あぶないよ! 薬の家庭保存、使いまわし

あぶないよ! 薬の家庭保存、使いまわし

 お医者さんからもらったお薬を、ご家庭に保存していませんか?
 処方薬が余ると、「捨てるのはもったいない」「いつか使うかも」と、しまっておく人が多いようです。家庭内に残っている薬は、本人以外の手に渡るケースも珍しくありません。医療者に相談することなく、しかも使用期限が切れているのにも気づかずに、家族や友人・知人間であげたりもらったりすることにつながり、危険です。
 QLifeでは、そういった家庭内保存と使いまわしの実態を明らかにするとともに、解決の糸口を見つけることを目的として、アンケート調査を実施しました。(対象者は、1年以内に医療機関を受診した子持ちの女性1000人です。)

 その結果、85%の家庭に処方薬が余っていることがわかりました。理由は、「服用忘れ」が半数を占め、「意図的に途中で服用止めた」「多めに処方してもらった」なども。
 また、25%の母親は、家庭内に処方薬が余っている事実を医療者に隠そうとし、半数の母親が余った処方薬を自己判断で子供に使用した経験があるという結果が出ました。医療者に隠れて使われやすいタイプの薬なども浮き彫りになりました。

 この調査結果について、東京大学大学院薬学系研究科・情報学環教授の澤田康文氏は、次のように述べています。
「自己判断での使いまわしや子供への服薬は、『医者もどきで処方、薬剤師もどきで調剤』しているようなものだ。まさに不適正使用といえる。
『この薬でこのように使い回すとこのような副作用が起こる!』ということをもっと具体的に知って頂きたい。例えば、この調査で『あまり怖さを感じないで使いまわされることが多い薬』として『腰痛のシップ』が挙がったようだが、腰痛症によく処方されるケトプロフェンテープは、旦那さん用のものが余ったからといって妊娠後期の奥さんに過量に貼付したら、胎児毒性(胎児動脈管収縮)が起こる可能性がある。」

 また、くすりの適正使用協議会の事務局長、松田偉太朗氏は、次のように述べています。
「当協議会でも昨年、小・中学生の保護者600名に『くすりの服用に関する実態調査』を行ったが、やはり約7割の人が飲み残していた。この調査はそれをさらに拡大・深堀りしている点で大変興味深い。処方薬は決められた期間を服用し続ける必要があり、治ったように見えるからといって自己判断で服用を止めると治療は完了しないし、その後の医師の治療方針を誤らせることとなる。また、くすりはその人の病状、体質に合ったくすりが処方されているのであって「家族が服用していたから、自分が服用しても問題ない」と安易に考え、自己治療するのはとても危険だ。くすりは正しく飲んでこそ「くすり」だと、認識して頂きたい。」

 これら専門家のお話にもあるように、「処方薬の家庭内保存や個人間譲渡」は、事故につながる危険も十分にあります。薬は、医師・薬剤師の指示に従い、正しく服用しましょう。

『他人の薬で大変な目にあった!』体験談大募集

 家庭に残っていた処方薬を、「熱にうなされる子供が可哀そうで」「夜中だったので、応急措置にと思って」…と使いまわしたら、副作用などで予想外の事態になってしまい、大変な思いしたこと、ありませんか?
 皆さんから投稿頂いたエピソードを、薬剤師さんからのコメントをもらったうえで、掲載しています。