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[注目疾患!] 2019/06/12[水]

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蓮池林太郎先生
新宿駅前クリニック院長・蓮池林太郎先生

昨今、「梅毒」が日本で急増しているとのニュースが話題になっています。かつては男性同士の性行為による感染が多かった梅毒ですが、最近では女性患者も急増しています。つまり、異性間の性行為で患者が増えていると言えます。新宿駅前クリニック院長の蓮池林太郎先生によると、性感染症の検査や治療についての正しい知識がないために、感染に気付かず、時間が経ってから来院するケースも多いのだそうです。自分の身を守ることはもちろん、ほかの人への感染を防ぐためにも、最低限知っておくべきポイントについて、蓮池先生にお話を伺いました。

――昨今、梅毒が増えているというニュースをよく耳にしますが、先生ご自身、そのような実感はありますか?

やはり、ありますね。梅毒の検査を受けに来る方も増えていますし、実際に治療に至る方も2010年代前半頃より明らかに増えています。実際に、国立感染症研究所のデータを見ても、2011年頃から急増していることがわかります。当院でも、月に数十人は診察しています。

――なぜ、梅毒が増えていると思いますか?(原因、社会的背景など)

エビデンスがあるわけではありませんが、外国人旅行客の性風俗店利用が増加した2013年頃から増えているとの噂もあります。もしこれが事実だとすると、梅毒に感染した外国人旅行客が性風俗店の従業員にうつしてしまうのはもちろんのこと、感染した従業員からまた別の利用客にうつしてしまうこととなり、梅毒の患者が急増した理由として納得できます。

――梅毒では、どのような症状で来院される方が多いのでしょうか?

亀頭や陰茎に潰瘍ができる第1期の状態で来られる方が最も多いですね。あとは、手足を中心に、「バラ疹」と呼ばれる赤い斑点ができる第2期の状態で来院される方も多いです。この場合は、皮膚病だと思って皮膚科で検査したら梅毒と診断されたというケースもあります。また、最近では保健所で無料の検査が行われているので、そこで陽性と判定が出て、ほとんど自覚症状のない、ごく初期の段階で受診される方も増えていますね。

――ほかに、最近増えている性感染症はありますか?

世の中的には「草食化」して性交渉の回数が減っているということもあり、若い患者さんは以前に比べ、全体的に減っています。一方、咽頭のクラミジアや咽頭の淋病などで受診される方は増えています。

――なぜ、咽頭のクラミジア・咽頭の淋病の患者さんが増えたと思われますか?

昔であれば風邪だと思って病院に行き、処方された抗菌薬で治っていた患者さんが、今はインターネットなどで自分の症状を調べ、「これは風邪ではなく、咽頭クラミジアという病気かもしれない」と、きちんと認識して、病院を訪れるという流れができつつあるのだと思います。あとは、性風俗の多様化ですね。オーラルセックス(口腔性交)などで感染するケースが昔に比べて増えています。

――性感染症の予防法はありますか?

コンドームを正しく使用することが最も大切です「コンドームは使っていたけれど、きちんと装着できていなかった」という理由で感染してしまうケースも少なくありません。

また、傷口から感染しやすいと言われているので、傷があるときは粘膜同士の接触を避けた方が良いでしょう。

――初期に顕著な症状がなく、気付いたら罹患しているというケースの多い性感染症はありますか?

梅毒、HIV、クラミジア、トリコモナスなどは初期症状が比較的少ないとされており、自覚症状がなくても感染していたというケースが多く見られます。

――症状が最もつらそうな性感染症は何ですか?

淋病は炎症が強いことが多いので、排尿痛がある、膿が出てくるなど、はっきりした症状が出て受診されるケースが多いです。中には、排尿時の痛みが強く、トイレをせず我慢してしまったり、激痛のため、痛み止めの飲み薬が必要になったりすることもあります。これらの症状は病状にもよりますが、きちんと治療をすれば、大体1週間程度で治まります。毛じらみは、強いかゆみを訴える方が多いですね。ちなみに、クラミジアや細菌性の尿道炎は、コンドームで予防できますが、毛じらみは体毛についているので、コンドームで予防はできません。

女性の性器ヘルペスでは、初発だと高熱が出たり、痛みで動けなくなったりして救急搬送されるというケースもあります。

――1度罹患すると治らない、あるいは癖になる性感染症はありますか?

HIVは1度感染すると治りません。また、ほかの性感染症も一度なったからといって免疫ができるわけではありません。風邪をひきやすい人、ひきにくい人がいるように、性感染症もなりやすい人となりにくい人がいます。それは体質的なものかもしれませんし、ライフスタイルに関係しているのかもしれません。一度でも性感染症に罹患された方は、再びかからないよう、十分注意された方が良いと思います。

――性感染症の検査に来た人に対し、HIV検査をすることはありますか?

淋病は炎症が強いことが多いので、排尿痛がある、膿が出てくるなど、はっきりした症状が出て受診されるケースが多いです。中には、排尿時の痛みが強く、トイレをせず我慢してしまったり、激痛のため、痛み止めの飲み薬が必要になったりすることもあります。これらの症状は病状にもよりますが、きちんと治療をすれば、大体1週間程度で治まります。毛じらみは、強いかゆみを訴える方が多いですね。ちなみに、クラミジアや細菌性の尿道炎は、コンドームで予防できますが、毛じらみは体毛についているので、コンドームで予防はできません。

女性の性器ヘルペスでは、初発だと高熱が出たり、痛みで動けなくなったりして救急搬送されるというケースもあります。

蓮池林太郎先生

――最後に、患者さんへのメッセージをお願いいたします

性病と聞くと、どうしても「病院に行くのが恥ずかしい」と感じられる方も少なくありません。その意識を変えるためにも、私たち医療者が「病院の敷居を低くする」努力をするのはもちろん、国を挙げて「性感染症の啓蒙活動」に全力で取り組むことが大切だと考えます。一人ひとりの性感染症に対する知識が深まることで、重症の患者さんや、新たな感染者も減っていくのではないでしょうか。

また、「お金がかかる」という理由で検査や治療を受けず、重症化してしまうケースが多く見られます。保健所や検査センターで受けられる無料の検査がありますが、それを知る人はごくわずかです。まずは、無料で受けられる検査があるということを1人でも多くの方に知っていただきたいです。

また、「性病の治療って自由診療になるんじゃないの?」と、誤解している方がおられますが、性感染症が疑われる症状がある場合は、「保険診療」が可能なので、一刻も早く保険診療をしている泌尿器科、婦人科、性感染症内科を受診していただきたいと思います。他の人に感染させないためにも、「早期発見・早期治療」が何よりも大切です。(QLife編集部)

【蓮池林太郎先生プロフィール】

2006年 帝京大学医学部卒業

2006年 国立精神神経センター国府台病院臨床研修(現国立国際医療センター国府台病院)

2008年 国際医療福祉大学三田病院勤務

2009年 新宿駅前クリニック開設

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