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気管支喘息の治療法執筆者:聖路加国際病院院長 福井 次矢

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気管支喘息とは、どんな病気でしょうか?

おもな症状と経過

 気管支喘息は気道に慢性の炎症がおこり、空気の流れが妨げられる病気です。発作性のせき、喘鳴(呼吸のたびに「ぜいぜい」という音がでること)や呼吸困難(息苦しさ)などがおもな症状であり、発作がくり返されるのが特徴です。

 発作は昼間より夜半から明け方におこる特徴があり、季節の変わり目、気候の不安定な時期におこりやすいことも昔からよく知られています。発作がおこっていないときでも気管支の粘膜には炎症がおきていて、ちょっとした刺激にも過敏に反応して発作が現れることになります。のどや胸がつまる感じになって、やがて喘鳴がおこり、呼吸が苦しくなり、さらに、激しいせきや痰がでます。

 このような症状は自然におさまったり、適切な治療をしたりすることで元に戻ります。しかし、長期にわたって発作の続く患者さんでは、炎症とその修復過程がくり返されるうちに気道の壁が厚くなって元に戻りにくくなり、さらに気道の過敏性が増加してしまいます。

 そこでなるべく発作のない状態を保ち、そうした気道の変化を防げれば、ほとんど健康な人と変わらない日常生活を送ることができます。しかし、病状のコントロールがうまくいかず、発作をくり返しながら重症化が進むと、死に至ることもあります。

 専門医の適切な診断とともに、自己管理も喘息の治療に欠かせないものです。喘息の重症度を確認するためにピークフローメーターが使用されます。ピークフローメーターは、思いきり息を吹き込んだ際の値を読み取るもので、簡便な装置のため患者さん自身が症状や病態を把握するためにも使用します。

 気管支喘息の重症度分類は次のようになっています。

 ●ステップ1(軽症間欠型)

  ピークフロー値は予測値の80パーセント以上、朝と晩のピークフロー値の変動は20パーセント未満、喘鳴、せき、呼吸困難は週に1回未満。

 ●ステップ2(軽症持続型)

  ピークフロー値は予測値の80パーセント以上、変動は20~30パーセント、症状は週1回以上であるが毎日ではない、日常生活や睡眠が妨げられることが月に1回以上、夜間症状が月に2回以上。

 ●ステップ3(中等症持続型)

  ピークフロー値は予測値の60以上80パーセント未満、変動は30パーセント以上、慢性的に症状がある。吸入β刺激薬がほとんど毎日必要。日常生活や睡眠が妨げられることが週1回以上、夜間症状が週1回以上。

 ●ステップ4(重症持続型)

  ピークフロー値は予測値の60パーセント未満、変動は30パーセント以上、治療を行っていてもしばしば増悪し、症状が持続し、日常生活が制限され、しばしば夜間症状の増悪などがみられ、経口副腎皮質ステロイド薬連用、気管支拡張薬が必要である。

 急性に増悪する発作の重症度分類は以下のようになります。

 ●軽度症状(小発作)

  いつもは軽症あるいは良好にコントロールされている患者さんが、かぜや過労あるいは抗原曝露などで発作をおこした場合。比較的症状も軽く、日常生活に支障はない。ピークフロー値は予測値の80パーセント以上。

 ●中等度症状(中発作)

  せき、痰、呼吸困難の程度はかなり強くなり、手持ちのβ刺激薬の吸入では効果はあるが、あまり長続きしない状態になっている。ピークフロー値は予測値の60~80パーセントに低下し、苦しくて横になれない(起座呼吸)状態。

 ●高度症状(大発作)

  中等症~重症の患者がかぜや過労をきっかけとして発作状態に至り、それでも十分な治療を受けずにがんばっているうちに大発作に陥ることがある。ピークフロー値は予測値の60パーセント未満。

 ●重篤じゅうとく症状・エマージェンシー(重篤発作)

  大発作の患者が治療をおろそかにした場合に出現することが多い。呼吸音は減弱し、呼吸困難感は非常に強く、顔面から冷や汗がしたたり落ち、歩くことも口をきくこともできない状態。ピークフロー値は測定不可能。

病気の原因や症状がおこってくるしくみ

 気管支喘息は遺伝的な要素と環境的な要素が関係しておこると考えられていますが、明確な原因はいまだに不明です。遺伝的には患者さんが生まれつきアレルギーをおこしやすい体質をもっているために発病すると考えられるアトピー性喘息と、生まれつきの体質とは関係なく発病する非アトピー性喘息とに分けられます。アトピー性喘息は即時型アレルギーという反応が、非アトピー性喘息は遅発型アレルギーという反応が関与しているといわれています。いずれもふつうの人より気道の過敏性が強く、刺激を受けやすくなっています。

 発作をおこす原因となっている抗原(ダニ・カビ・花粉など)との接触のほか、かぜ、過労、ストレス、ペット、天候、運動、たばこの煙、強いにおい、冷気、飲酒、月経などさまざまなものが原因としてあげられます。重症で不安定な状態であれば、なんらかのきっかけで病態が激変し、チアノーゼや意識障害をおこし、喘息死(窒息死)に至る場合もあります。

病気の特徴

 1960年代には人口の1パーセント前後といわれていた気管支喘息の患者さんの数は2010年代の調査では約3~5パーセントと増加しています。とくに最近の傾向として都市部の子どもとお年寄りに増加傾向がみられています。

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治療法とケアの科学的根拠を比べる

 気管支喘息には、いくつかガイドラインが存在しますが、国際指針となっている「GINA2014」や日本アレルギー学会の「喘息予防・管理ガイドライン」では、これまで同様に、吸入副腎皮質ステロイド薬の重要性が強調され、長期管理薬の中心的な薬として位置付けられています。

治療とケア 評価 評価のポイント
ステップ1(軽症間欠型) 気道の炎症を抑えて肺機能を維持し、長期的に発作をおこりにくくする ★5 軽症間欠型の患者さんでは、症状の回数などに応じて、低用量の吸入副腎皮質ステロイド薬、テオフィリン除法製剤、またはロイコトリエン受容体拮抗薬を含む抗アレルギー薬を用いるかどうかを検討します。軽症喘息の患者さんを対象とした非常に信頼性の高い臨床研究により、吸入副腎皮質ステロイド薬がピークフロー値の改善に有効であることが示されています。抗アレルギー薬は、軽症から中等症までの患者さんに対して効果が認められています。6~10週で効果が認められない場合は、ほかの抗アレルギー薬に変更するか、ほかの治療法に変更するよう勧めている臨床研究もあります。ロイコトリエン拮抗きっこう薬の有効性はほぼ確立しています。 根拠(1)~(17)
ステップ2(軽症持続型) 気道の炎症を抑えて肺機能を維持し、長期的に発作をおこりにくくする ★5 軽症持続型の患者さんでは、低用量の吸入副腎皮質ステロイド薬、長時間作用性の気管支拡張薬(テオフィリン徐放剤、β刺激薬など)、ロイコトリエン受容体拮抗薬を含む抗アレルギー薬のいずれかを単独あるいは併用で、毎日用います。軽症持続型の患者さんにおいても、非常に信頼性の高い臨床研究により、吸入副腎皮質ステロイド薬は、ピークフロー値の改善に有効であるとされています。また、長時間作用性の気管支拡張薬(テオフィリン徐放剤)の効果は、吸入副腎皮質ステロイド薬と同等であるかやや劣るとされ、長期的には、吸入副腎皮質ステロイド薬のほうが明らかに有効であるとされています。経皮吸収型のβ刺激薬も軽症から中等症の患者さんに対して、ピークフロー値を改善する効果があると報告されています。 根拠(1)~(18)
ステップ3(中等症持続型) 気道の炎症を抑えて肺機能を維持し、長期的に発作をおこりにくくする ★5 中等症持続型の患者さんでは、中~高用量の吸入副腎皮質ステロイド薬、長時間作用性の気管支拡張薬(テオフィリン徐放剤、β刺激薬など)、炎症を抑制する作用のある抗アレルギー薬(ロイコトリエン拮抗薬など)、長時間作用性抗コリン薬を併用で毎日用います。これらの効果は非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。中用量以上の吸入副腎皮質ステロイド薬を使用しているにもかかわらず、喘息症状が安定しない場合、吸入副腎皮質ステロイド薬を倍量にするかわりにテオフィリン徐放剤を併用すると、その効果は同等かテオフィリン徐放剤併用のほうが若干まさるとの報告があります。 根拠(1)~(18)(45)
ステップ4(重症持続型) 気道の炎症を抑えて肺機能を維持し、長期的に発作をおこりにくくする ★5 重症持続型の患者さんでは、高用量の吸入副腎皮質ステロイド薬、長時間作用性の気管支拡張薬(テオフィリン徐放剤、β刺激薬など)、長時間作用性抗コリン薬を毎日用います。それでも症状が安定せず、しばしば増悪することがある場合は、経口副腎皮質ステロイド薬を短期で用いたり、通年性吸入アレルゲンに対して陽性かつ血清IgE値が30~1500IU/mlの場合に抗IgE抗体の注射を行うこともあります。さらに、抗アレルギー薬の併用も考慮するなどして、できるだけ症状を抑え、日常生活を続けられるようにします。これらの治療の効果については非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。 根拠(19)~(21)(45)(46)
ステップ1~4 発作時には発作治療薬を用いる ★5 軽症~重症いずれの患者さんでも、発作に対しては短時間作用性の気管支拡張薬(吸入β刺激薬)の頓用で抑えます。ただし、重症の患者さんで状態が不安定で発作がしばしばおこる場合には、短期間だけ経口副腎皮質ステロイド薬を用いることがあります。これらの効果は、非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。吸入β刺激薬の頓用については、1日3~4回までとし、それ以上必要になる場合は、現在の治療では症状がコントロールできていないと判断し、治療を強化します(ステップ1から2へというようにステップアップする)。一方、少なくとも3カ月以上症状が安定している場合には、治療の段階を下げ(ステップダウン)、薬の使用を軽減することもあります。 根拠(1)~(21)
軽度症状(小発作) 吸入気管支拡張薬の頓用を追加する ★5 軽度の発作には、短時間作用性の吸入β刺激薬の頓用を追加します。スペーサーとネブライザー吸入で、ほぼ同等の効果があることが非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。ただし、軽症間欠型の患者さんに、吸入副腎皮質ステロイド薬を用いないで、β刺激薬を常用することは、むしろ、気道過敏性や肺機能をさらに悪化させるとされています。テオフィリン薬(アミノフィリン)の点滴の静脈注射でも状態が改善することが示されています。 根拠(16)(22)~(24)
中等度症状(中発作) 気管支拡張薬の吸入の反復、点滴、皮下注射、副腎皮質ステロイド薬の静脈注射を行う ★5 中発作の患者さんでは、救急外来の受診が必要です。まず、β刺激薬のネブライザー吸入を行い、1時間程度で症状が改善すれば、帰宅可能です。改善しない場合は、β刺激薬の皮下注射、テオフィリン薬(アミノフィリン)の点滴、副腎皮質ステロイド薬の静脈注射などを行います。これらの治療の効果は非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。 2~4時間程度治療しても反応が不十分であったり、反応がなければ入院治療が必要な場合もありえます。 根拠(22)~(25)
高度症状(大発作) 気管支拡張薬の吸入の反復、点滴、皮下注射、副腎皮質ステロイド薬の静脈注射、酸素の使用を行う ★5 大発作の患者さんでは、救急外来の受診が必要です。β刺激薬のネブライザー吸入を反復して行い、β刺激薬の皮下注射、テオフィリン薬(アミノフィリン)の点滴、副腎皮質ステロイド薬の静脈注射などを追加します。これらの治療の効果は非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。通常、1時間程度で改善しなければ入院を考慮します。 根拠(23)~(28)(38)
重篤症状・エマージェンシー(重篤発作) ただちに入院し、ICUで大発作の治療を継続する ★5 重篤発作の患者さんでは、呼吸困難も強く、チアノーゼや意識障害をおこしている場合もあります。ただちに入院が必要となります。β刺激薬のネブライザー吸入を反復して行い、β刺激薬の皮下注射、テオフィリン薬(アミノフィリン)の点滴、副腎皮質ステロイド薬の静脈注射などを行いますが、反応しない、あるいはさらに悪化するような場合は人工呼吸や気道内の吸入や洗浄を行います。また、気管支拡張作用のある麻酔薬(イソフルラン、セボフルラン、エンフルレンなど)を用いる場合もあります。これらの治療の効果は非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。 根拠(20)(23)~(28)(38)

よく使われる薬の科学的根拠を比べる

長期管理薬として

主に使われる薬 評価 評価のポイント
吸入副腎皮質ステロイド薬 アルデシン/ベコタイド/キュバール(プロピオン酸ベクロメタゾン) ★5 吸入副腎皮質ステロイド薬は局所抗炎症効果にすぐれ、全身的な影響が少ない薬剤で、現在もっとも効果的な喘息治療薬であると考えられています。吸入副腎皮質ステロイド薬中心の薬物療法を適切に行うことで、発作による入院、喘息死の頻度が減少してきています。吸入副腎皮質ステロイド薬は喘息患者さんの気道炎症を改善し、その結果自覚症状、肺機能、気道過敏性を改善させます。とくに早期に用いれば気道リモデリングを改善し、肺機能の低下を防止できる可能性があります。高用量の吸入副腎皮質ステロイド薬を用いた患者さんでは、骨、副腎機能などへの影響が出現する可能性があります。長期に使用する場合には、使用量を最少限にするべきです。目、皮膚などへの影響にも注意する必要があります。これらのことは、非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。 根拠(29)(30)(31)(4)(7)
フルタイド(フルチカゾンプロピオン酸エステル) ★5
パルミコート(ブデソニド) ★5
オルベスコ(シクレソニド) ★5
アズマネックス(モメタゾンフランカルボン酸エステル) ★5
長時間作用性の気管支拡張薬 ユニフィルLA/テオドール/ユニコン(テオフィリン徐放剤) ★4 軽症、中等症の患者さんに対する、テオフィリン徐放剤の喘息症状および肺機能の改善効果については信頼性の高い臨床研究によって確認されています。ただし、その効果は吸入副腎皮質ステロイド薬と同等であるか少し劣るとされ、長期的には、明らかに吸入副腎皮質ステロイド薬のほうが有効であると報告されています。中用量以上の吸入副腎皮質ステロイド薬を使用しているにもかかわらず、喘息症状が安定しない場合、吸入副腎皮質ステロイド薬を倍量にするかわりにテオフィリン徐放剤を併用すると、その効果は同等かテオフィリン徐放剤併用のほうが少しまさります。 根拠(5)~(7)
スピロペント(塩酸クレンブテロール) ★4 長時間作用性のβ刺激薬には経口薬、貼付薬、吸入薬があり、長時間にわたる気管支拡張効果をもたらし、喘息症状を軽減し、運動や日常生活が維持でき、患者さんの生活の質(QOL)を改善することが信頼性の高い臨床研究によって確認されています。とくに早朝・未明の症状や運動誘発喘息の軽減に有効です。しかし、β刺激薬は抗炎症作用をもたないため、単独使用は治療としては不適切であり、抗炎症作用をもつ吸入副腎皮質ステロイド薬などの薬剤との併用が非常に有効で適切であることが証明されています。 根拠(17)(22)(23)(33)~(37)(5)~(7)
メプチン(プロカテロール塩酸塩水和物) ★5
ホクナリンテープ(塩酸ツロブテロール) ★5
セレベント(サルメテロールキシナホ酸塩) ★4
吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤 アドエア(サルメテロールキシナホ酸塩・フルチカゾンプロビオン酸エステル) ★5 吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬を組み合わせることにより、相乗効果をきたして、個々に吸入するより有効性の高いこと、および、ステロイド薬の減量が可能になることが信頼性の高い臨床研究によって確認されています。現在わが国では、上記4種類の吸入薬配合剤が発売されています。 根拠(32)(39)(40)(41)(42)(43)
シムビコート(ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物) ★5
フルティフォーム(フルチカゾンプロピオン酸エステル/ホルモテロールフマル酸塩) ★4
レルベア(フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロールトリフェニル酢酸塩) ★5
長時間作用性抗コリン薬 スピリーバ(チオトロピウム臭化物水和物) ★5 長期管理薬として吸入ステロイド薬と併用することにより効果が得られることが非常に信頼性の高い臨床研究によって証明されています。 根拠(45)
抗IgE抗体 ゾレア(オマリズマブ) ★5 高容量の吸入ステロイド薬でもコントロールが不十分な患者に有効であることが質の高い臨床研究によって証明されています。 根拠(46)(47)
抗アレルギー薬 シングレア(モンテルカスト) ★5 抗アレルギー薬は、一般にアトピー性喘息または混合型喘息、軽症および中等症喘息に用いることが適当と考えられています。これらの薬剤は発作治療薬として用いるべきではなく、長期管理薬として用いることが推奨されています。その際、長時間作用性の気管支拡張薬や、吸入副腎皮質ステロイド薬などの抗炎症薬と併用します。効果が現れるまでには4~8週以上を要します。ただし、プランルカスト水和物の有効性は非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。 根拠(10)(44)(8)(9)
オノン(プランルカスト水和物) ★5
インタール(クロモグリク酸ナトリウム) ★3
アレジオン(エピナスチン塩酸塩) ★3
アイピーディ(スプラタストトシル酸塩) ★3
抗ヒスタミン薬 セレスタミン(d-クロルフェニラミンマレイン酸塩・ベタメタゾン配合剤) ★2 吸入副腎皮質ステロイド薬との併用によりアレルギー症状を効果的に抑制ができることは専門家の意見と経験によって支持されています。吸入副腎皮質ステロイド薬の用量の削減が目的となります。

発作治療薬として

主に使われる薬 評価 評価のポイント
短時間作用性の気管支拡張薬 ベネトリン(硫酸サルブタモール) ★5 喘息症状の一時的な増悪には短時間作用性の吸入β刺激薬の頓用を行います。この効果は非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。発作の重症度によっては(中発作以上)、注射で用いることもあります。 根拠(17)(22)(22)~(23)(25)(33)~(37)
ネオフィリン/アルビナ(アミノフィリン) ★5

中等度以上の発作治療薬として

主に使われる薬 評価 評価のポイント
副腎皮質ステロイド薬 リンデロン(ベタメタゾン) ★5 中等度以上の発作に対する副腎皮質ステロイド薬の静脈注射の有効性は、非常に信頼性の高い臨床研究によって確認されています。 根拠(20)(21)(26)~(28)(38)
ソル・コーテフ(コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム) ★5
ソル・メドロール(メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム) ★5

総合的に見て現在もっとも確かな治療法

吸入副腎皮質ステロイド薬が治療の中心

 気管支喘息の治療は、気道の炎症を抑える日常的な予防と発作時の治療の二つに大別されます。従来は気管支を広げる薬(気管支拡張薬)が主体でしたが、最近は吸入副腎皮質ステロイド薬を用いて炎症を抑制し、長期的に発作をおこしにくくすることが治療の主目的となってきました。

うがいをすれば副作用の心配はない

 副腎皮質ステロイド薬は血液に吸収されれば副作用をおこす可能性がありますが、気管支喘息での吸入療法では、うがいをきちんとして口に残った副腎皮質ステロイド薬を洗い流せば、内服薬や注射薬による場合のような心配はいりません。そのほかに、気管支拡張薬(テオフィリン徐放剤、経口β刺激薬、吸入β刺激薬、経皮β刺激薬など)、抗アレルギー薬なども、有効性は十分確立されていると考えられます。

 これらの薬を組み合わせながら、症状の重症度に応じて治療が行われます。

ピークフローメーターの活用

 喘息の重症度を確認するためにはピークフローメーターが使用されます。ピークフローメーターは、思いっきり息を吹き込んだ際の空気の流れる速度を記録する簡便な装置で、患者さん自身が症状や病態を把握するためにも使用します。

 呼吸困難感などの自覚症状は、呼吸機能が40パーセント以上低下しなければ現れてこないこともありますが、ピークフローメーターを用いれば、わずかな呼吸機能の変化を知ることができます。患者さん自身、また家族も喘息発作に慣れてしまっていて、症状を軽く見てしまうこともありますので、ピークフローメーターで得られる客観的なデータに基づいて管理すれば、発作が重症化する前に適切な治療を行うことができます。

自己管理も重要

 とくに吸入β刺激薬は発作の初期に用いると効果的ですが、発作が強くなってしまうと十分に吸入できずに、吸入回数が増え、副作用が強くでることになってしまいます。呼吸機能の変化から早めに発作を予測することは大切です。

 症状を軽くみて治療を怠ることは発作の重症化を招きかねません。最悪の場合は生命にかかわることもあります。喘息日記をつけるなど毎日の自己管理は重要な治療の一部となります。

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出典:EBM 正しい治療がわかる本 2003年10月26日初版発行(データ改訂 2016年1月)