胆道感染症
たんどうかんせんしょう
胆道感染症とは?
加齢とともに胆石保有率は上昇します。この結石が原因(90%以上)となって胆嚢管や胆管の通過障害を引き起こし、腸管から逆流した胆汁による細菌感染が加わって胆嚢、胆管の炎症や肝膿瘍を生じます。原因菌としては、腸管内の常在菌である大腸菌、クレブシエラなどのグラム陰性桿菌のほか、腸球菌、バクテロイデスなどがあります。
症状の現れ方
①腹痛、悪心、嘔吐
通常、悪心、嘔吐を伴って、心窩部から右季肋部にかけての疝痛発作で発症します。
②発熱
38℃以上の発熱が現れます。
③黄疸
結石が胆道内に移動し内腔を閉塞すると、胆汁が肝臓内にたまって黄疸が生じます。
④シャルコーの三徴候
胆道感染症の重症型である「急性閉塞性化膿性胆管炎」を発症した時にみられる症状で、腹部疝痛、高熱、高度の閉塞性黄疸の3つを指します。この場合、早期に敗血症性ショックに移行する確率が高いので、消化器外科にて経過観察してもらう必要があります。
検査と診断
①血液検査
白血球増多、胆管結石ではGOT、GPTをはじめ胆道系酵素の上昇、直接型ビリルビンの上昇が認められます。
②腹部単純X線検査、腹部CT検査
カルシウム含量の多い胆石は石灰化像としてみられます。CTは石灰化の有無やその程度の判定に利用されます。
③腹部超音波検査
低侵襲(体をあまり傷つけない)で容易に実施でき、胆嚢結石や肝内結石の存在を診断するのに最も優れた検査法です。総胆管結石は描出困難な場合があり、その時は以下の検査を行います。
④そのほかの画像診断
内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)、経皮的経肝的胆道造影(PTC)、経静脈性胆管造影、MR胆道造影など
治療の方法
疝痛発作に対しては絶食、補液、鎮痙薬、鎮痛薬および抗生物質の投与を行います。
通常、症状の有無、胆石の存在場所、胆石の性状、合併症などを考慮して治療法を決定します。
胆石症では、経口胆石溶解療法、体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)、経皮経肝胆嚢内視鏡による切石術、胆嚢摘出術などを行います。経口胆石溶解療法の適応条件は、コレステロール胆石であること、カルシウム成分の少ないこと、大きさは直径15~20mm以下、胆嚢機能が保たれていること、などです。
胆管炎では胆道減圧術として、経皮経肝胆管ドレナージ(PTCD)、内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)、内視鏡的逆行性胆道ドレナージ(ERBD)、内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)などを行います。
急性閉塞性化膿性胆管炎の時は、緊急ESTを行って結石を除去するか、E RBDまたは緊急PTCDを行います。
胆管炎に関連する可能性がある薬
医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、胆管炎に関連する可能性がある薬を紹介しています。
処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。
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メイセリン静注用1g
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
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メロペネム点滴静注用0.25g「明治」 ジェネリック
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
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タゾピペ配合静注用2.25「明治」 ジェネリック
主としてグラム陽性・陰性菌に作用するもの
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レボフロキサシン点滴静注500mg/20mL「DSEP」 ジェネリック
合成抗菌剤
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パズクロス点滴静注液1000mg
合成抗菌剤
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スオード錠100
合成抗菌剤
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バクシダール錠100mg
合成抗菌剤
・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。
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胆管炎に関する病院口コミ
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アットホームな病院です
Qさん 2018年01月03日投稿
私は30代に、別の病院で、手術をして、合併症で、年に何回か胆管炎になります。 理事長についていき、今のにれの杜クリニックにお世話になっています。 ドクターの真剣さ伝わります。 看護師も、外来病棟のスタ… 続きをみる
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説明が内科・外科共に丁寧で分かりやすかったです
ナースアンケート調査回答者さん 30代女性 2014年02月18日投稿
父が2年前に胆管炎内科に、その後、胆嚢切で入院治療し、毎日面会に行ってました。 数年前に病棟をリフォームし、全体的に明るくて居心地が良いです。 通常の病室でも4人床でベッド間が広く、部屋にトイレやシャワ… 続きをみる
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