出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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仮性近視
かせいきんし

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仮性近視とは?

どんな病気か

 近視は、多くの場合、眼が奥行き方向に伸びることにより生じます。伸びた眼軸は短くなることはありません。つまり近視はいったん始まると、正視の状態にもどすことは困難です。しかし、まれに調節を司る毛様筋が緊張して、軽度の近視を生じることがあります。この場合は治療により正視にもどる可能性があるので、仮性近視と呼ばれています。

原因は何か

 仮性近視の原因は、毛様筋の過緊張にあります。軽い遠視がある学童で、近くを見る作業が多くなった時に生じます。しかし頻度は少なく、軽い近視が始まった学童の数%程度です。

症状の現れ方

 遠くの物を見る時に眼を細めて見る、テレビを見る時に近づいて見るなどの症状が出た場合は、近視の初期症状と考えられます。

検査と診断

 屈折検査で近視がみられ、これを矯正する眼鏡をかけて視力が1・0以上あれば近視です。調節を麻痺させる点眼薬をさして、もう一度屈折検査を行い、屈折度が1D(ディオプター)以上遠視側(近視度が少ない方向)に変化した場合、仮性近視と診断されます。

治療の方法

 仮性近視と診断された場合は、寝る前に調節麻痺の点眼薬をさすことにより、寝ている間に毛様筋がリラックスし、近視が改善することがあります。仮性近視ではない軽度近視の始まりの場合は、調節麻痺の点眼で近視を改善することは困難ですが、進行を遅らせる可能性はあります。しかし、黒板が見にくくなった時点で眼鏡を作製することになります。

 近視の進行を予防する一般的な注意事項としては、悪い姿勢で読書をしないことなどです。

(執筆者:大阪大学大学院医学系研究科感覚機能形成学教授 不二門 尚)

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大阪大学大学院視覚情報制御学寄附講座教授 前田直之

 近視により視力が低下した場合、以前であれば眼鏡かコンタクトレンズを使う以外に視力を矯正する方法がありませんでしたが、最近では手術によって近視を治療することが可能になっています。これは屈折矯正手術と呼ばれていて、そのうち現在最も多く行われている近視の手術はレーシック(LASIK)です。

 レーシックは、まずマイクロケラトームと呼ばれる器具あるいはフェムト秒レーザーで、黒目の表面(角膜)を薄くはがして、内側にエキシマレーザーで近視の度数だけ角膜を削り、その後表面を元にもどします。神経の通っている表面は傷つきませんから、痛みはほとんどありません。手術後は、翌日から眼鏡やコンタクトレンズがなくても遠くが見やすくなり、多くの方は結果に満足されます。

 ただし、近視であれば、レーシックによって誰でも見えるようになるというものではありません。近視以外に眼に病気がある場合は向いていませんし、近視が強すぎても、弱すぎてもだめです。あるいは、近視が進行している途中ですと、せっかく手術で視力が回復しても、しばらくすると近視が出てきてしまいますので、1年以上眼鏡やコンタクトレンズの度が変わっていない人に限られます。また、老眼は治りませんので、40代後半以降になると、眼の悪くない人と同じように、遠くがよく見えても、近くを見るのに老眼鏡が必要となります。

 レーシックは、眼鏡やコンタクトレンズが合わない方、近視であることをコンプレックスと思っていて、手術後にだいたい見えるようになればよいと思っている方にはとてもよい方法です。

 しかし現在の医学の水準では、手術で眼鏡やコンタクトレンズ以上によく見えるようにはなりません。むしろ若干弱めの眼鏡やコンタクトレンズをした時の見え方に近くなります。また、手術後に元にもどすことはできませんし、手術ですから、頻度は低いですが副作用の可能性はあります。希望される方は、一度検査を受けて眼科専門医とよく相談されることをすすめます。

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