出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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下顎前突(受け口、反対咬合)
かがくぜんとつ(うけくち、はんたいこうごう)

もしかして... 口唇裂  口蓋裂

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下顎前突(受け口、反対咬合)とは?

どんな病気か

 下顎前突(受け口)とは、一般に上あごと下あごの前歯が反対に噛み合っている状態のことをいいます。(図12図12 下顎前突(口腔内)図13図13 下顎前突(顔貌))。下顎前突には、下あごの過度な成長や上あごの成長不十分による骨格性のものと、上の歯が後方に傾斜したり下の前歯が前方に傾斜している歯性のものがあります。

原因は何か

 遺伝、口唇裂口蓋裂、内分泌疾患などの病気や、舌の位置・大きさ、悪い癖が長く続いた場合などが原因となります。

症状の現れ方

 噛み合わせが反対になっているために噛む力が弱くなったり、サ行やタ行などが発音しづらくなることがあります。また、下あごが前に出ているため外観上の問題から心理面に悪影響を及ぼすこともあります。

治療の方法

 幼少期に骨格性のあごの前後のずれがみられる場合、下あごの成長を抑制するチンキャップ(図14図14 チンキャップ)、上あごの成長を促進させる上顎前方牽引装置(図15図15 上顎前方牽引装置)を用いて治療します。歯の位置に異常がある場合には、機能的矯正装置(図16図16 機能的矯正装置)、床矯正装置やリンガルアーチ(図17図17 リンガルアーチ)などの装置を用いて治療します。

 永久歯列期では、マルチブラケット装置による治療を行い、また、必要に応じて歯を抜いて治療をする場合もあります。あごのずれが大きい場合は、外科手術を伴う歯科矯正治療が行われることもあります。

下顎前突(受け口、反対咬合)と関連する症状・病気

(執筆者:東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面矯正学教授 森山 啓司)

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