出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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交叉咬合
こうさこうごう

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交叉咬合とは?

どんな病気か

 左右どちらか一方、あるいは、両方の奥歯が反対に噛み合っている状態のことをいいます(図19図19 交叉咬合)。

原因は何か

 原因は、上あごと下あごの歯列弓(歯列の曲線)の大きさに不調和がみられるものと、あごの骨の形によるものの2種類に大きく分けられます。上あごと下あごが噛み合う時に、ずれが生じて起こる場合もあります。先天的要因や後天的(環境的)要因によって生じるといわれていますが、原因が定かでないものも多くあります。

 また、頬杖や横向きの姿勢で寝るなど横方向から持続的に力をかける習慣が、成長期の骨の形成に影響することもあるといわれています。

症状の現れ方

 左右どちらか一方に交叉咬合がみられるような場合では、正面から見ると歯並びとともに下あご自体がずれていることも多く、顔が左右非対称になっている場合があります。また、あごの運動に制限が生じやすいので、あごの関節に負担がかかり、痛みや雑音などの症状がみられることもあります。

治療の方法

 歯列弓の大きさの異常に対しては、機能的矯正装置や側方拡大装置を用いて上下の歯列弓の大きさと位置を整えていきます。

 上あごの歯列弓が狭い場合は、歯列弓を広げる必要があります。歯列弓の幅を広げる治療法には2つあります。

 ひとつは、急速拡大装置と呼ばれる装置を用いてあごの幅を広げる方法(図20図20 急速拡大装置)で、上あごの幅が狭い場合に行われます。上あごの骨は左右2つの骨が中央部で結合しており、その結合部を開くことにより上あごの幅を拡大します。一方、歯の傾きが内側に傾斜している場合は、緩徐拡大装置と呼ばれる装置で、歯を徐々に外側に傾斜させることによって歯列弓を拡大する方法(図21図21 緩徐拡大装置)が選択されます。

 骨の形に異常がみられる場合の治療は困難で、著しくずれている場合は、外科手術を伴う歯科矯正治療を行う必要があります。若齢者の交叉咬合を放置しておくと、顔やあごの成長・発育に悪影響を及ぼす場合があるので、できるだけ早期に矯正歯科医に相談してください。

交叉咬合と関連する症状・病気

(執筆者:東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科顎顔面矯正学教授 森山 啓司)

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