尿道狭窄
にょうどうきょうさく
尿道狭窄とは?
どんな病気か
尿道狭窄は文字どおり尿道が狭くなり、それによって排尿障害を生じるものです。尿道狭窄には先天性の尿道狭窄と後天性の尿道狭窄とがあります。後天性のものは尿道組織障害後の瘢痕化によるものです。
原因は何か
①先天性尿道狭窄
先天性尿道狭窄は発生学的にみると、内胚葉に由来する部分と外胚葉に由来する部分の接合部に発生するもので、両者の間にあった尿生殖膜は胎生7週で破れて開口しますが、この膜が残ると先天性尿道狭窄になると考えられています。
②後天性尿道狭窄
外傷と感染が原因になりますが、外傷によるものが多い傾向にあります。
・外傷性尿道狭窄
骨盤骨折や会陰部打撲などで外力が加わり、尿道そのものに断裂あるいは裂傷を生じると、その治癒過程で組織の瘢痕を生じて狭窄ができます。
通常は経尿道的手術・尿道ブジーのような、尿道内操作により尿道粘膜の傷を生じるものが最も多く、単なるカテーテル挿入によっても尿道狭窄を生じることがあります。このような場合では、操作後数年たってから偶然発見されることもあります。
・炎症性尿道狭窄
尿道炎にかかったあと、尿道壁が瘢痕性の収縮を起こすために発生します。原因としては淋病と結核が多いのですが、現在では圧倒的に淋病によるものが多くなっています。手術などの理由で尿道カテーテル留置の既往のある場合にも、狭窄がみられることがあります。
症状の現れ方
先天性の場合、狭窄の程度によってさまざまな症状を示します。尿道の抵抗が増すために尿流が乱流あるいは逆流となり、尿道から膀胱への細菌の侵入を許し、膀胱炎が起こりやすくなります。尿道の通過障害のため、膀胱尿管逆流症が起こったり、膀胱排尿筋が過敏になって頻尿を伴う夜尿や昼間遺尿(尿をもらす)の症状を示します。
後天性の場合には、成人が多いため排尿困難を訴える場合が多いようです。尿路感染症を併発したり、前立腺炎や精巣上体炎を起こすこともあります。そのほか、狭窄部の尿道周囲膿瘍や尿道瘻の形成、尿流の通過障害による膀胱尿管逆流症や水尿管(尿管の拡張)がみられることもあります。
検査と診断
症状と病歴などから尿道狭窄が疑われた場合、尿道造影、尿道内視鏡で診断します。先天性で女児の場合、球頭ブジーでひっかかりがあれば診断できます。
先天性尿道狭窄では、外尿道括約筋の遠位部に狭窄が認められます。後天性の場合では、淋病では尿道振子部に多く、外傷性の場合は尿道膜様部に狭窄が多くみられます。
治療の方法
手術療法では内視鏡を用いて狭窄部を切開したり、尿道切開刀を用いて切開します。外傷性尿道狭窄では経会陰的に尿道を露出して瘢痕部を切除し、同部を再建します。
拡張術といって尿道ブジー、バルーンを用いて狭窄部を拡張する場合もあります。
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