出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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ビダール苔癬
びだーるたいせん

ビダール苔癬とは?

どんな病気か

 体の一部に限って丘疹(ぶつぶつ)が現れ、かくなどの刺激によって丘疹が次第にくっつき合って盛り上がった紅斑になり、慢性に続く皮膚炎です。

原因は何か

 衣服や毛髪など何らかの刺激によってかゆみが生じ、繰り返し同じ部位をかくことで皮膚炎の局面が次第に拡大・くっつき合っていくものと考えられています。

 刺激に敏感な乾燥肌の人に起こりやすく、透析を受けている人や糖尿病の人にもみられることがあります。また、イライラした時などに無意識に皮膚の決まった場所をかく癖が原因になる場合もあります。

症状の現れ方

 女性にやや多く、首の横からうなじに症状が現れるのが典型的ですが、前腕や下腿、まぶたや陰嚢などにもみられることがあります。症状はまずかゆみの強い丘疹で始まり、かくことなどの刺激によって次第にくっつき合って盛り上がった楕円形の厚い紅斑になり、表面は乾燥しています。

検査と診断

 うなじや腕・脚などに現れるかゆみの強い盛り上がった紅斑が特徴的で、皮膚科を受診すれば、ほとんどは簡単に診断できます。尋常性乾癬アトピー性皮膚炎接触皮膚炎扁平苔癬などとの区別が必要な場合に、パッチテストや皮膚の生検を行うこともあります。

治療の方法

 ステロイド外用薬を塗ります。かゆみが強い場合にはかゆみを和らげる抗ヒスタミン作用のある内服薬を服用します。ステロイドをしみ込ませたテープを貼るのも有効です。

病気に気づいたらどうする

 かく癖や衣服との摩擦などかゆみのきっかけになるような刺激がないかどうかを考え、その刺激を避けることが第一です。衣服は柔らかい繊維のものにし、かゆみを悪化させる過度の飲酒をひかえましょう。かゆみがおさまっても、皮膚の盛り上がりやかさかさが残っている時点で治療を中断すると、症状が再燃することが多いので、病変が完全に軽くなるまで外用を続けることが大切です。

(執筆者:京都府立医科大学大学院医学研究科皮膚科学教授 加藤 則人)

ビダール苔癬に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、ビダール苔癬に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

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