出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
心タンポナーデ
しんたんぽなーで
心タンポナーデとは?
どんな外傷か
穿通性心臓外傷(心刺創、心銃創など)や鈍的心臓外傷(心破裂、心挫傷など)により心嚢内に血液がたまったため、心臓が拡張期に十分拡張できなくなり、全身から心臓への血液還流が障害され、ショック状態から死に至る極めて重篤な病態です(図42)。
症状の現れ方
胸部を強く打ったり刺されたあと、胸内苦悶や胸痛を訴えて発症し、症状が進行すると、頸静脈怒張(頸〔首〕の静脈がふくれる)や奇脈(呼吸運動に伴い、大きくなったり小さくなったりする脈拍)がみられるようになります。さらに進行すると、意識障害や血圧低下を起こして急激に死に至ります。
検査と診断
前述の症状のほか、心電図、胸部X線、超音波などの検査により診断されます。
治療の方法
心嚢穿刺(針をさす)または心嚢ドレナージ(管を挿入して排液する)などを行って一時的に状態の改善を図り、引き続いて開胸または胸骨縦切開をして損傷部の修復を行います。
応急処置はどうするか
心タンポナーデに対して一般の人が行う応急処置はありません。迅速に救急車を呼び、しかるべき医療機関へ搬送することが最も重要です。
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