専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

慶應義塾大学病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

一般・消化器外科

分野

消化器・一般外科

特色

特定機能病院として、食道、胃、腸、肝胆膵、移植、血管、乳腺の良性・悪性疾患に対して、臓器ごとに専門スタッフによる質の高い医療を提供している。患者さん個々の病態に応じた個別化医療や、内視鏡外科を取り入れた低侵襲治療を行っている。また、関連する他の診療科や診療部門と積極的に連携して、チーム医療で、患者さんのあらゆる問題に対応している。

症例数

食道=食道癌:入院総症例約150例、食道切除約50例、内視鏡的切除(EMR・ESD)60例。粘膜癌にはEMR・ESDおよび化学放射線療法、粘膜下層以深の癌では胸腔鏡、腹腔鏡併用の食道癌根治術、3領域郭清を行う。高度進行癌や患者が希望された場合には、まず化学放射線併用療法を施行し、遺残再発例には手術を行う。良性疾患(アカラシア、逆流性食道炎など)の年間手術例は約10 例で、全例内視鏡下手術を行う

=胃癌の年間手術症例数は約200例(うち腹腔鏡手術80例)。胃がん治療ガイドラインに準じた治療を行うが、内視鏡治療、センチネルリンパ節生検による個別化医療、腹腔鏡手術、化学放射線療法など最新の治療も行う。粘膜下腫瘍(GISTなど)の外科的・内科的治療も行う

=年間手術症例数は結腸  癌約130例、直腸癌約70例。JCOGのメンバーとして、質の高い腹腔鏡下手術を行う。結腸癌の5年生存率は、StageI:93%、II:88%、IIIa:69%、IIIb:58%、IV:8%。直腸癌にはできる限り肛門温存手術を行い、また進行直腸癌に対して術前化学放射線療法も取り入れている。進行再発癌に対しては、抗癌剤感受性試験(高度先進医療)を含めた、質の高い個別化治療を行う。潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患や家族性大腸腺腫症に対する治療にも腹腔鏡下手術を積極的に導入している

肝胆膵=肝胆膵癌の個別化医療が基本方針。肝細胞癌や転移性肝癌には拡大肝切除からラジオ波焼灼、凍結療法まで、患者状態や病変に応じて開腹、腹腔鏡手術と組み合わせて最適な治療を提供。十二指腸乳頭部癌では膵頭十二指腸切除から内視鏡的乳頭切除までを選択。膵癌には術前化学放射線療法や術後門脈注入療法を取り入れている。胆嚢癌、肝門部胆管癌に対しても積極的な切除を施行。年間手術症例数:肝90~120例、膵20~30例、腹腔鏡下胆嚢摘出術100~130例

移植=一般・消化器外科と小児外科の共同で11年までに成人・小児合わせて176症例の生体肝移植を施行、5年生存率は成人78%、小児86%。生体小腸移植もこれまでに2例成功させている。困難なABO血液型不適合肝移植に対して、適合症例とほぼ同等の成績を達成。脳死肝・小腸移植実施施設である

血管=腹部大動脈瘤のステントグラフト治療や下肢閉塞性動脈硬化症の血管内治療にも力を入れている。また血管新生療法にも取り組んでいる。年間症例数は、腹部大動脈瘤42例(ステントグラフト治療33例)、閉塞性動脈硬化症(バイパス術)約30例、血管内治療約100例、腹部内臓動脈瘤4例

乳腺=乳癌手術は年間約200例。腫瘍の大きさが3cm以下を乳房温存手術の適応とし、手術全体の68%は乳房温存手術である。これまでの乳房温存術施行例600例の10年後の生存率95%、術後乳房内再発率は約2.1%。大きさ3cm以下で腋窩リンパ節の腫脹がない場合、センチネルリンパ節生検を施行し、約70%で腋窩リンパ節郭清を省略。10年生存率はI期91%、II期82%、III期49%、IV期20%。

医療設備

MRI、CT、MDCT、カラードプラエコー、マンモグラフィ、内視鏡、超音波内視鏡、リニアック、血管造影装置(DSA)、腹腔鏡下手術機器、凍結融解壊死療法、その他。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ×
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

心臓血管外科

分野

心臓血管外科

特色

当科の特色は、慶應義塾の実学の精神の下、弁膜症、冠動脈疾患、先天性心疾患、大動脈疾患など、あらゆる心臓大血管疾患に対する外科治療に対応できることにある。さらに低侵襲心臓手術(MICS)や大動脈ステントグラフト治療を早くから導入し、肉体的にも精神的にも患者さんに優しい手術を目指している。また、心臓病の重症化に伴い糖尿病、腎臓病、脳血管病変など、全身疾患を合併する患者さんが増加しており、他科との連携を密に大学病院という利点を最大限に活用し、総合診療にあたっている。四津はMICSをさらに進化させた胸骨切開を全くしないポートアクセス手術に積極的に取り組んでいる。この術式を希望して全国から紹介患者がある。また重症心不全の患者さんに対して、人工心臓や補助循環装置を用いる高度先進医療の施設認定を受け、補助人工心臓の応用を含めた重症心不全の治療体系を積極的に実践している。

症例数

10年度の年間の開心術(体外循環使用心臓・大血管手術+オプポンプ冠動脈バイパス手術)件数は314件であった

★弁膜症手術では、弁置換術で高齢者には抗凝固療法が不要な生体弁使用を考慮し、僧帽弁閉鎖不全症例では弁形成術を第一選択とするなど患者のQuality of Life(QOL:生活の質)を考えた手術を行っており、10年は91例の弁膜症手術を施行している。僧帽弁形成術は47例行い、うち42例に対しては後述する低侵襲心臓手術:ポートアクセス手術での形成術を行い、早期の社会復帰を可能にしている

★低侵襲心臓手術として、96年より開始したスタンダードMICS手術の経験を踏まえ、ポートアクセス法による開心術を積極的に導入し、体外循環法や大動脈遮断法の工夫や独自の道具を開発することで、より安全で低侵襲な手術手技の確立と手術適応の拡大を目指してきた。主に僧帽弁疾患と成人の先天性心疾患(心房中隔欠損症など)に対し現在までに本邦トップの約540例のポートアクセス手術を施行している。術後在院日数10日(僧帽弁疾患)、4.5日(先天性心疾患)と退院後の早期就業復帰を可能にし、全国から本手術を希望し患者さんが来院している。10年の低侵襲小切開手術64件の内訳は、僧帽弁44例、成人先天性心疾患20例であった

★大動脈疾患に関しては、当院において伝統的に得意としている分野で、自己弁温存基部置換術、全弓部大動脈置換術、胸腹部大動脈置換術、大動脈解離手術など難易度の高い手術にも積極的に取り組んでおり、豊富な経験を基に良好な成績をあげている。胸部・腹部ステントグラフトの症例数も多く、QOLを含めた治療成績の改善を図っている。過去1年間の胸部・胸腹部大動脈瘤の手術およびステントグラフト治療数は101例(急性解離や破裂による緊急手術14例)で手術死亡は緊急1例、予定2例(2.3%)、腹部大動脈瘤は62例(緊急2例)で手術死亡0例ときわめて良好な成績を達成している。11年度よりステントグラフト分野の第一人者である川口講師が加わり、ステントグラフト治療の一層の充実を図っている

★虚血性心疾患では、最先端の外科治療を安全・確実に提供することをモットーとし、冠動脈バイパス術では、冠動脈病変の重症化と共に高齢化により全身状態不良患者が多くなってきたことから、より低侵襲な人工心肺を使用しないオフポンプバイパス術を第一選択とし、長期にわたり機能し続ける動脈グラフトを多用した完全血行再建を行っている。最近5年間のグラフト早期開在率は、内胸動脈で99%、他の動脈グラフトで96.2%、と良好である。患者の大半は、カテーテル治療困難例、心筋梗塞後心機能低下例、透析患者、高齢者、川崎病、重症糖尿病合併例などであるが、予定手術での手術生存率は99%、緊急手術を含む全体の手術生存率も98.6 %と、世界および本邦の平均治療成績を大きく上回っている。また、心筋梗塞後の重症心不全を伴う低左心機能の虚血性心筋症に対し、ドール手術を中心とする左室縮小形成術を行い機能回復に努めおり、現在5年生存率80%と本邦トップレベルの成績を維持している

★小児先天性心疾患に対しては、新生児、乳児の複雑先天性心疾患の機能的修復手術:大血管転位に対するジャテーン手術、単心室に対するフォンタン手術(TCPC)や両方向性上大静脈肺動脈シャント手術(BCPS)、左心低形成症候群に対するノーウッド手術、大動脈弁輪狭小例に対する弁輪拡大術や自己肺動脈弁移植術(ロス手術)など―に積極的に取り組んでいる。当院は胎児診断などにより予め重症または合併疾患のあることが判明している症例が多いことが特徴であるが、10年の手術実績は91例で手術死亡2例となっている。

医療設備

心臓カテーテル・血管造影検査装置、MRI、CT、心臓超音波検査装置、心筋RI検査装置、人工心肺装置、補助人工心臓、PCPS(経皮的人工心肺補助装置)、自己血回収装置などを備える。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

内科(腎臓)

分野

腎臓内科

特色

血尿、蛋白尿など腎疾患の原因診断、慢性腎臓病の進行抑制、高血圧を主体とした診療や、糖尿病腎症、腎硬化症、膠原病に伴う腎障害などの多岐にわたる腎疾患の診療を行っている。慢性腎臓病の進行抑制策として、従来の手法にとどまらず、高血圧、肥満、脂質異常症などメタボリックシンドロームに関連した因子の是正も取り入れた包括的治療戦略を導入している。糖尿病腎症の管理は、当科内の糖尿病グループによる外来からの患者を早期から併診する体制が整っており、腎症の進行抑制はもとより完全寛解を目指している。末期腎不全に至った患者に対する腎代替療法として、血液透析、腹膜透析、腎移植の治療選択を行っている。慢性腎臓病や内分泌性などの原因による二次性、難治性高血圧患者の紹介患者も多く受け入れており、多くの高血圧専門医による高血圧の管理を行っている。

症例数

現在、腎臓病(原発性、二次性)、高血圧、透析患者の定期チェックの通院患者数は約4,000人。腎生検数は年間約70例、年間透析導入患者数は血液透析患者60例、CAPD患者10例

★年間入院患者数は約600症例(糖尿病腎症 25%、腎炎 24%、高血圧 20%、透析合併症 25%など)で、平均在院日数は約15日

★腎生検、IgAパルス療法、血液透析導入、CAPD導入などは、入院時にあらかじめ計画されたパス入院を行い、効率化を図っている

★慢性腎臓病に対する患者教育の一環として、医師、看護師、管理栄養士の協力体制のもとで、各病期に対応した慢性腎臓病教室を定期的(年3回)に開催している

★慢性腎臓病患者に対して、外来診察後、定期的に看護師による面接を行い、食生活・服薬の指導や、精神的問題点などのサポートを行い、腎機能の温存効果を図っており、さらに慢性腎臓病早期介入治療プログラムによるパス入院(約7日間)を立ち上げている

★慢性腎臓病における合併症の管理は、心エコー、頸動脈エコー、PWV、頭部MRアンギオグラフィーなどによる心血管合併症のチェックや、骨塩定量、尿中骨マーカーを用いた骨病変の管理を、比較的早期段階から行っている

★高血圧の初期診断(二次性高血圧の診断を含む)ならびに難治性高血圧の管理ができる専門医を多数かかえており、大規模臨床試験における中軸施設でもある

★内分泌性高血圧として、近年診断頻度が増加している原発性アルドステロン症による二次性高血圧患者の紹介が多く、すでに確立したパス入院により原因を含む確定診断や、内科的あるいは外科的などの今後の治療方針を決定している。症例数は日本でも指折りの中に入る

★当院で導入された透析患者ならびに紹介患者に対して、外来で定期的に全身検索を行い、関連クリニックとの連携を行っており、状況に応じて入院、精査・加療する体制が整っている

★CAPD患者の外来経過観察は、患者とCAPDチームドクターとの間で常時密な連絡体制を敷いており、緊急時のバックアップ体制(入院あるいは外来対応)も整えている。

医療設備

特定機能病院としての機能を有しており、ほとんどの先端医療設備を具備している。CT、MRI、MRアンギオグラフィー、血管撮影装置、超音波診断下腎生検、腎シンチグラフィー、骨塩定量装置、脈波伝播速度測定装置、血液浄化装置、持続的緩徐式血液濾過装置。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

泌尿器科

分野

泌尿器科

特色

泌尿器科では腎臓癌、尿路上皮癌(膀胱癌、腎盂癌、尿管癌が含まれる)、前立腺癌、精巣腫瘍の4つの悪性腫瘍を主に扱っている。悪性腫瘍だけでなく、様々な良性疾患を扱う。腎不全(人工透析)、腎移植、副腎腫瘍、小児泌尿器科疾患、尿路感染症、尿路結石症、神経因性膀胱、前立腺肥大症、尿失禁、勃起不全、男性更年期障害、不妊症など。低侵襲治療としての腹腔鏡下手術の導入、前立腺癌に対する小線源治療、腎癌に対する分子標的治療においては特に積極的に取り組んでいる。前立腺癌に対する体腔鏡下根治的前立腺全摘除術は本邦でもトップクラスと言える。

症例数

09年度の外来患者総数48,079人、外来初診患者総数3,199人、入院患者延数16,693人、総手術件数852件、腹腔鏡下手術件数203件

腹腔鏡下手術=皮膚にカメラや操作用の器具を挿入するための小切開を加え、気腹下に内視鏡を入れて行う手術。泌尿器科で手術する臓器は後腹膜腔にあるため、腹腔鏡で行う場合と、後腹膜鏡で行う場合があり、それぞれの場合に応じて方法を選択する。現在、各種泌尿器腫瘍に対する体腔鏡下手術が保険診療で認められている(適応疾患:前立腺癌、腎癌、腎盂尿管腫瘍、副腎腫瘍)。特に前立腺癌に対する体腔鏡下手術は認定施設のみで保険診療が認められており、当院も認定を受けている。症例数は国内随一

前立腺癌に対する永久挿入密封小線源療法=前立腺の内部へ放射性物質(小線源)を挿入して、それが放出する放射線により正確かつ的確に前立腺への照射を行う方法。会陰部からX線と超音波映像を見ながら約50~100個の小線源の挿入を行う。本治療は前立腺とその周囲への限局した照射が可能となり、前立腺へ照射する線量を多くしても直腸や膀胱などの周囲臓器への線量を低く保つことができる

腎癌に対する分子標的治療=腎癌は抗癌剤・放射線が効きにくい。現在、日本において最も効果があるとされている免疫療法(インターフェロン・インターロイキン2)で10~15%程度の有効率といわれる状況下で、新しい治療として注目を浴びているのが、分子標的治療である。分子標的治療薬は、腫瘍細胞の増殖や血管内皮細胞の増殖にかかわる細胞内シグナル伝達を阻害することによって腫瘍の増殖を抑える薬であり、スニチニブ(スーテント)、ソラフェニブ(ネクサバール)、テムシロリムス(トーリセル)などを当院でも使用している

膀胱癌に対する治療=当院では、マルチディテクターCT、MRウログラフィーなどを用いて、術前の膀胱腫瘍のより精密な病期診断を行った後に治療を施行している。浸潤性膀胱癌に対しては、根治的外科治療とともに尿路変更術が必要である。当院における尿路変更術は、新しい膀胱を腸で作り、尿道につなげ、自身で排尿を可能にする自排尿型と、回腸の一部で尿を人工肛門に導き排出させる回腸導管を主に施行している。尿路変更術に際し、当院では皮膚・排泄・ケア認定看護師が重要な働きを担っている。なお、膀胱温存治療(化学療法+化学放射線療法)も希望があれば施行している

尿失禁に対する治療=問診をはじめとし、排尿日誌、生活の質アンケート調査、触診(膀胱脱、子宮脱の存在の確認)、理学的検査(ストレステストなど)を行い、きめの細かい診断をしている。最終的には病態の把握は尿流量測定、膀胱内圧測定といったウロダイナミクス検査で判定する。最も多い腹圧性尿失禁に対しては、生活指導や骨盤底筋体操を施行しているが、無効の際には内服療法を施行し、さらに効果不十分の場合はTVT法やTOT法をはじめとする手術療法を検討している

小児泌尿器科診療=先天性水腎症、膀胱尿管逆流症、尿道下裂、停留精巣、小児腎・尿路腫瘍をはじめ一般泌尿器科施設では扱われていない小児泌尿器科疾患に対しての専門診療チームが存在する。尿道下裂に対する尿道形成術、性分化疾患に対する外陰形成術、腹腔内精巣に対する腹腔鏡下精巣固定術などの治療成績も良好である。

医療設備

MRI(拡散強調画像あり)、3DCT、マルチディテクターCT、リニアック、IMRT、密封小線源、ビデオ尿流動態検査、電子スコープ軟性膀胱鏡、ESWLなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ×
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

整形外科

分野

整形外科

特色

1917年慶應義塾大学医学部が設立。初代医学部長は北里柴三郎博士。22年に整形外科学教室が開講。病床数1,072の総合病院の一角を担っている。これまで970余人の整形外科医を輩出し、臨床のみならず最先端基礎研究にも力を注ぎ、世界レベルにある横断的・融合的かつ先駆的・先導的な教室を目指している。計55の関連病院、関連大学と連携し、専修医(卒後6年目まで)教育、およびより高い専門技術を習得するための臨床実地トレーニングを行っている。新入局者数は例年15~20人で、女性医師の入局も複数人ある。臨床グループを脊椎・脊髄、上肢、下肢、骨・軟部腫瘍の4つに分け、慢性、亜急性疾患を中心に、各分野でトップレベルの専門医が外来診療、入院診療を行う。入院ではクリニカルパスを導入し、術後早期離床、早期社会復帰を目指す。手術では関節鏡、脊椎内視鏡、手術用顕微鏡、ナビゲーション技術などを用いた低侵襲でより確実な手術法を導入している。

症例数

新患者数は年間約9,000人、1日平均外来患者数約350人、入院患者数約80人。年間手術件数は約1,800件で、内訳は脊椎・脊髄500例、上肢450、下肢400例、骨・軟部腫瘍250例、その他である

脊椎・脊髄外科=頸椎症性脊髄症や頸椎後縦靱帯骨化症などの頸椎疾患、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなどの腰椎変性(加齢性)疾患、胸椎加齢性疾患、脊椎腫瘍、炎症性疾患、脊柱変形、脊髄腫瘍、脊髄空洞症、脊髄係留症候群、脊髄ヘルニア、脊髄動静脈奇形など脊椎、脊髄疾患全般を扱う。術式では頸椎片開き式脊柱管拡大術、内視鏡下腰椎椎間板摘出術、腰椎棘突起縦割式椎弓切除術やインプラントを用いる脊椎固定術に加え、一般病院で扱うことの少ない側彎症に対する矯正手術や脊髄腫瘍摘出術を数多く手がけている

上肢の外科=手根管症候群、手指腱鞘炎、ばね指などに対する外来手術、関節リウマチに対する滑膜切除、関節形成術や人工関節置換術、難治性となった陳旧例・変形治癒骨折例への矯正手術、三角線維複合体(TFCC)損傷に対する修復術や再建術を広く行っている。手指関節や肘関節の軟骨欠損に対しては、肋骨肋軟骨移植術を積極的に行っている。人工肘関節置換術では独自に開発したインプラントを使用している

下肢の外科=変形性関節症に対する人工股関節置換術、人工膝関節置換術に加え、キアリ骨盤骨切り術、寛骨臼回転骨切り術(RAO)、高位脛骨骨切り術など各種骨切り術、膝靱帯損傷に対する再建術を行っている。人工関節置換術では、最小侵襲技術を用いて術直後の疼痛の軽減と早期社会復帰を図り、ナビゲーション技術によってより正確なインプラントの設置が可能となっている。軽度から中程度の外反母趾に対しては、外来でも可能な低侵襲の遠位中足骨骨切り術(デルモ法)を行っている

骨・軟部腫瘍の外科=CTガイドによる低侵襲手術から、片側骨盤切除に腫瘍用人工股関節を用いて再建する大掛りなものまで、多様な術式を病態に応じて選択している。悪性腫瘍に対しては、大半の症例に患肢温存手術を行っている。骨移植では、血管柄付き自家骨移植や熱処理自家骨の再置換、同種保存骨などを選択している。

医療設備

MRI、CT、骨塩定量(DEXA)、骨シンチ、筋電図、超音波、クリーンルームなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

リハビリテーション科

分野

リハビリテーション科

特色

日本リハビリテーション医学会専門医7人、日本臨床神経生理学会認定医(筋電図)5人、日本脳卒中学会専門医1人を擁する基幹病院であり、急性期から維持期の脳血管障害、電気生理学、小児疾患、体力医学、切断、神経筋疾患、悪性腫瘍など多岐にわたる分野で経験豊富な専門医が揃っている。疾病あるいは外傷により何らかの障害を受けた者に対し、その失われた機能の回復を図るとともに残された機能の最大限の活用を促進し、障害者の社会復帰を促進させることを目的とし、科学的根拠に基づくリハビリテーション医療の実践に取り組むとともに、大学病院のリハビリテーション科ならではの先端的なリハビリテーション医療を提供している。訓練部門は理学療法士12人、作業療法士4人、言語聴覚士3人を擁し、脳血管障害(I)、運動器(I)、心臓大血管(I)、呼吸器(I)、癌患者リハビリテーションの各リハビリテーション承認施設に指定され、日本リハビリテーション医学会専門医研修施設に認定されている。

症例数

小児から高齢者までの幅広い年齢層を対象に、脳卒中、脳外傷、脊髄損傷、骨関節疾患、神経筋疾患、末梢神経障害、関節リウマチ、脳性麻痺、発達遅滞、切断、リンパ浮腫、呼吸循環器疾患、熱傷、悪性腫瘍などに対して、関連診療各科と連携し機能障害、能力低下、社会的不利に対してQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を踏まえたリハビリテーションを行っている。年間新規訓練処方内訳は理学療法部門3,002件(脳血管1,585、運動器714、呼吸413、心大血管268、癌22)、作業療法部門945件(脳血管529、運動器412、呼吸2、癌2)、言語療法部門623件(脳血管612、癌1)である。理学療法部門では、脳血管障害、神経筋疾患、骨関節疾患にとどまらず、慢性呼吸不全やリンパ浮腫に対するリハビリテーションにも対応している。心筋梗塞などの虚血性疾患に対しても専門スタッフによるチームを設け、独自のプログラムを用い運動療法を施行しているほか、造血幹細胞移植などの高度医療にも携わっている。作業療法部門では主に上肢機能と日常生活に対する介入を行い、介護用品の選定、住宅改造への指導も行っている。また手の外科とも連携して、詳細な手指機能の評価および専門的な治療を行っている

★痙性麻痺(痙縮)やジストニアなどの不随意運動に対しては、電気生理学的評価に基づき、ブロック注射、装具療法、運動療法、電気刺激療法、薬物療法を組み合わせた包括的リハビリテーションを行い、年間150件程度のブロックを施行し、効果をあげている。脳性麻痺などの小児症例についても対応している。特に痙性斜頸、上下肢痙縮に対してはボツリヌストキシンを用いた治療も行っており、今までに約300例以上の経験を有する

★嚥下障害に対して、言語聴覚士とともにその評価から食事形態や姿勢の指導、摂食・嚥下リハビリテーションを行っており、嚥下造影検査は年間約500件施行している

★装具外来(週1回)では、各種の義手、義足、装具、車いす、座位保持装置等を処方し、動作解析に基づく評価、指導を行っている

★リンパ浮腫専門外来では、リンパ浮腫に対する包括的な指導(多層包帯法と圧迫下での運動、日常生活指導、リンパドレナージ)を行っている

★癌患者に対しては腫瘍センターや緩和ケアチームと連携して、原発巣・治療別・病期別に専門的な癌のリハビリテーションを実践している

★高次脳機能障害(失語、記憶障害など)に対する認知リハビリテーションに対応しており、各種の評価をもとにコミュニケーション能力の改善、生活範囲の拡大へ向けた訓練を行っている

★臨床神経生理検査(筋電図検査、体性感覚誘発電位検査、経頭蓋磁気刺激等)は年間約500例施行しており、末梢神経、中枢神経疾患の電気診断とそれに基づく治療方針の決定に役立てている

★実験的な先端治療として、慢性期脳卒中片麻痺患者の歩行障害に対する義足療法、上肢機能障害に対する特殊な電気刺激装置を用いたHANDS療法やブレイン・マシン・インターフェースを用いたニューロフィードバック訓練などを行っている。またジストニアに対して反復経頭蓋磁気刺激なども行っている

★外来リハビリと短期入院リハビリテーションが中心であり、いわゆる回復期リハビリテーションや長期入院が必要な場合は、東京都リハビリテーション病院、東京湾岸リハビリテーション病院、市川市リハビリテーション病院、済生会神奈川病院、国立病院機構村山医療センター、国立病院機構東埼玉病院をはじめとする連携施設を紹介している。

医療設備

CT、MRI、SPECT、NIRS、トレッドミル、3次元動作解析装置、床反力計、重心動揺計、磁気刺激装置、筋電計、誘発電位記録装置、随意運動介助型電気刺激装置、膀胱内圧測定、ビデオ内視鏡、超音波断層装置など。
  • セカンドオピニオン受入 △
  • 初診予約 ×
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

形成外科

分野

形成外科

特色

慶應義塾大学病院形成外科は、63年(昭和38年)に開設された日本における形成外科の草分け的存在である。形成外科は、生まれつきの体表の形態異常、外傷による変形・欠損、悪性腫瘍切除手術による組織欠損などを可能な限り正常な状態に近づける治療を行っている。慶應義塾大学形成外科の特色としては、大小様々な欠損に合わせ、精緻な解剖の研究に基づいた皮弁による繊細な再建、傷あとやケロイドを目立たなくするための手術と補助療法に力を注いでいる。また、乳房再建、口唇口蓋裂のチーム医療、頭蓋額顔面領域の先天異常や外傷、コンピュータシミュレーションに基づいた治療の予測、眼瞼下垂、顔面神経麻痺の治療を行い、総合的に質の高い医療の提供を目指している。

症例数

手術数は年間約800例

皮弁による再建=形成外科の大多数の手術は、皮弁に基づいて行われる。慶應の形成外科は、これまで長年積み重ねてきた血管解剖、皮膚の質感の研究に基づいた、より低侵襲、安全で、整容的・機能的に満足のいく再建を、症例に合わせて相談し満足のいく手術を目指している。乳房再建をはじめ、頭頚部・四肢・体幹の悪性腫瘍切除後の大小様々な欠損や変形の再建に取り組んでいる(担当:貴志、矢澤、清水瑠加)

傷あと・ケロイドの治療=これまで行われてきたあらゆる手術法を総合的に用いて、またさらに手術法の改良や補助療法を行い、傷あとをできるだけ目立ちにくくするような治療に取り組んでいる。専門外来としてケロイド外来を行っている(担当:貴志、清水瑠加、岡部)

口唇・口蓋裂のチーム医療=形成外科、小児科、歯科、耳鼻咽喉科、麻酔科などによるチーム医療体制のもと、長年の治療の蓄積により安定した治療を行っている(担当:緒方、矢澤、宮本)

顔面骨骨折=いろいろな顔面骨骨折に対して、整復術を行っている(担当:緒方)

漏斗胸=コンピュータシミュレーションに基づき、ナス法の改良を行っている(担当:永竿)

リンパ浮腫=集学的療法に加えマイクロサージャリーによりリンパ管静脈吻合を行っている(担当:永竿)

眼瞼下垂・顔面神経麻痺=症状に合わせ各種の治療を行っている。特に低侵襲で効果の上がる手術法に取り組んでいる(担当:清水雄介)

頭蓋顎顔面の先天異常=特殊外来として頭蓋顎顔面変形外来を行い、様々な頭蓋顎顔面の変形の治療を行っている(担当:坂本)。

医療設備

CT、MRI、各種レーザー機器、内視鏡、手術用顕微鏡など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

婦人科

分野

産婦人科

特色

数多くの専門医を擁し、幅広い婦人科疾患に専門的な対応が可能である。特に悪性腫瘍については子宮頸部腫瘍、子宮体部腫瘍、卵巣腫瘍それぞれに特殊外来が開設され、専門領域の医師が診療にあたっている。さらに特殊外来として、更年期障害や骨粗鬆症、高脂血症などを対象とした健康維持外来を開設しているほか、月経不順や卵巣機能障害などの症状に対しては、産科特殊外来であるホルモン外来に紹介し、連携して診療にあたっている。治療に際しては、適応基準を十分に考案した上で、患者のQOL(生活の質)向上のための縮小手術や妊孕能温存手術を指向している。さらに、手術療法のみならず、放射線療法、化学療法(含む抗がん剤療法)をまじえた集学的治療を可能とする設備・施設を有している。また家族性に発生する傾向の強い子宮体癌や卵巣癌については、当院の遺伝相談外来とも連携をとりながら遺伝子検査を行うなど、積極的に対応している。

症例数

婦人科良性疾患(子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜症、子宮脱、骨盤内炎症性疾患、性器感染症など)、悪性疾患を含め、09年の婦人科総手術件数は927件(外来手術を除く)であった

★婦人科良性疾患の手術症例別では、子宮筋腫187例(うち腹腔鏡手術82例)、卵巣嚢腫176例(うち腹腔鏡手術124例)が多く、良性疾患については積極的に腹腔鏡を用いた術式を選択している

★悪性疾患症例数は09年380例であった。子宮頸癌については、上皮内癌(0期)の115例に加え、浸潤癌は106例(Ia期22、Ib期66、II期10、III期7、IV期1)であり、広汎子宮全摘出術(09年施行実績42例)などの根治手術のほか、症例に応じて同時化学放射線療法(同19例)による治療を行っている。なお、子宮温存術式の適応は原則として0期とIa1期であり、レーザー子宮頸部円錐切除術(同128例)を行っているが、Ia2期とIb1期の扁平上皮癌症例については妊孕能(妊娠できる能力)温存を患者が強く希望し、かつ適応基準(腫瘍径が2cm以下、リンパ節転移陰性など)を満たした場合は試験的治療として広汎子宮頸部切除術(同20例)を行うことがある。また、子宮頸癌の前癌病変である異形成には、外来手術室における日帰り手術としてレーザー蒸散術(同128例)を行っている。子宮体癌は88例(I期55、II期13、III期16、IV期4)であった。浸潤癌の場合、リンパ節郭清術を含めた根治術や術後の化学療法が必要となるが、その術式や術後治療の選択は臨床的な再発リスクを十分に考慮した上で行っている。なお、子宮体癌の前癌病変である異型子宮内膜増殖症とIa期の高分化型類内膜型腺癌については、子宮内膜全面掻破術によって診断が確定し、かつ妊孕能温存を患者が希望した場合、黄体ホルモン療法を外来で行っており(09年新規治療実績19例)、治療終了後に妊娠に至る症例も経験している。卵巣癌は50例(I期23、II期6、III期19、IV期2)であった(境界悪性腫瘍15例を含まず)。卵巣癌に対しては基本的に骨盤・傍大動脈リンパ節郭清術を含めた根治術を行うが、進行卵巣癌に対しても外科や泌尿器科と連携し可能な限り腫瘍減量手術を行っている

治療成績=最近10年間に当院で治療を行った症例の5年累積生存率(カプランマイヤー法による)は子宮頸癌=0期100%、I期93.3%、II期58.8%、III期57.1%、IV期33.3%。子宮体癌=I期98.9%、II期95.2%、III期88.7%、IV期57.9%。卵巣癌=I期91.6%、II期77.1%、III期52.2%、IV期29.7%であった。

医療設備

MRI、CT、ヤグレーザー、リニアック、RALS、パワードプラ超音波など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ×
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

産科

分野

産婦人科

特色

"伝統的に生殖医療から周産期までの新しい生命への医療を継続的に「産科」として取り扱うため、妊婦はもとより、不妊症・不育症で訪れた方への同じスタッフによる産後までのトータルサポートを実現。諸大学の中でも医局員が多い特性を生かし、周産期・生殖・内分泌・遺伝などすべての分野の専門指導医による専門外来を設けており、あらゆるニーズへの対応を可能としている。不妊症へ腹腔鏡・子宮鏡・卵管鏡による内視鏡手術を多数行っているほか、不育症への抗凝固療法・免疫療法、遺伝性疾患への出生前・着床前診断、周産期合併症への胎児治療など先端医療も併せて行う。最先端の医療実践および診断法・治療法の研究開発を行う一方で、教育病院でもある当院の教育理念は「病気ではなく患者を診る」である。 "

症例数

09年年間統計

不妊症治療=体外受精・顕微授精357件、融解胚移植227件、人工授精1,036件、非配偶者間人工授精1,312件、不妊症治療合計3,124件。40歳以降の方、他院で妊娠に至らなかった方の受診が多い中、妊娠率は体外受精で約35%。一般的な生殖補助医療のほか、HIVキャリアの夫を持つカップルに対して、母児への感染を予防するための特殊な体外受精も行っている

腹腔鏡手術=196件、子宮鏡、卵管鏡をあわせた内視鏡手術は合計335件。産科での腹腔鏡手術は主に子宮筋腫、子宮内膜症、腹腔内癒着などで不妊の原因と考えられる症例に対して行っている。子宮・卵管・卵巣など婦人科臓器だけでなく腸管・膀胱などへ広く伸展した難しい手術症例も取り扱う。手術中の腹腔内への出血を回収し、洗浄濾過し不溶物を除去した血液成分を体内へ戻す自己血回収装置も積極的に使用している

子宮鏡手術=14件。子宮内腔へ突出する子宮筋腫、内膜ポリープ、流産手術後の子宮内癒着など、不妊症の原因となりうる症例を対象に行う

卵管鏡手術=59件。卵管閉塞や狭窄により他院で体外受精適応とされた症例に対し、卵管再疎通を行い、体外受精を用いないでも妊娠できることを目的とした手術である。累積2,000件の手術経験を持ち、この治療のパイオニアである。卵管通過障害のうち慎重な適応基準を満たした症例に対して行うが、再疎通率は90%以上

不育症治療=自己免疫疾患など凝固系異常を示す症例への抗凝固療法のほか、夫リンパ球を用いた免疫療法などを、厳密な原因検索の後に行っている

遺伝相談=羊水検査を用いた出生前検査、受精卵を用いた着床前検査を行っているが、いずれも繊細な内容を含むため、検査前後に専門資格者スタッフによるカウンセリングを併設し、リクエストだけに応じた安易な検査は行っていない。着床前診断は、筋ジストロフィーほか日本産科婦人科学会が検査を認可した遺伝病に対する診断を行っているが、自ら最先端の遺伝子診断技術を開発し、実施している

周産期=分娩584件、うち帝王切開は248件(43%)。施設の性格上、母体搬送の受け入れも多く、(緊急)帝王切開が少なくないため、取り扱い分娩における帝王切開率は高い。半数以上は合併症妊娠。総合病院であるため他科疾患の合併症妊娠の取り扱いも十分に対応可能。また、小児科(新生児科)の高い技術に支えられ、1,000g未満の超低出生体重児17件(うち500g以下3件)、1,500g未満の極低出生体重児17件など妊娠20週台の早期産児への対応も多く取り扱う

胎児治療=胎児奇形、子宮内胎児発育遅延、多胎、合併症妊娠などに対して幅広く母体紹介(搬送)を受け入れている。周産期・超音波専門医資格を有するスタッフによって、高度超音波装置や胎児MRIを駆使し厳密な胎児診断を行う。双胎胎児間輸血症候群に対する胎児鏡を用いた胎盤血管凝固治療や、同症候群、血液型不適合妊娠などによる胎児貧血に対する胎児輸血などの胎内治療も行っている。

医療設備

4次元超音波、パワードプラ超音波、CT、MRI、胎児MRI、胎児鏡、自己血回収装置、自己血輸血システム、腹腔鏡、子宮鏡、卵管鏡、子宮卵管造影など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

小児科

分野

小児医療

特色

"多くの専門医を揃え、小児疾患全般について患者・家族の立場に立った全人的医療を目指している。日常よく見かける病気を対象とした一般小児科診療・外来総合診療から、疾患別専門診療まで、各専門医の連携により幅広い医療を提供する。特殊診療として心臓病のカテーテル検査・治療、骨髄・末梢血幹細胞・臍帯血移植、先天異常・遺伝病の遺伝相談、精神保健疾患に対する「再アタッチメント療法」などにも力を入れている。また、厚生労働省から高度先進医療として承認を受けた「性腺機能不全の早期診断」が可能である。近年の分子生物学・遺伝学的研究の成果を、疾患を持つ子どもたちの診療に積極的に生かし、先進的な医療を行っている。02年からは厚生労働省の指定を受けて、薬の副作用を受けやすい体質の子どもを遺伝子検査によって見いだし、副作用を未然に防ぐためのシステム(小児のオーダーメイド医療)を開発・運用するための拠点となっている。 "

症例数

"10年度の初診患者数は2,244人、通院患者延べ数は23,686人、新入院患者数は606人

神経=小児神経疾患全般、特に精神運動発達遅滞、てんかん・慢性頭痛(片頭痛等)などの発作性疾患、末梢神経・筋疾患、発達障害などを診療する。また、心臓病、白血病などに合併する神経症状の診断・治療にも対応している。外来に専従の慢性疾患コーディネーター(小児科専門医)を配置することで慢性疾患を持つ患者家族の抱える医学的・社会的問題への包括的支援を実施している。遺伝専門医をはじめとする他領域の専門医と協力し、発達遅滞、先天異常(小頭症、滑脳症、先天奇形症候群など)の診断を行っている。さらに入院患者を対象にビデオ脳波同時記録によるてんかん診断や、精神保健的側面など多角的な神経発達評価を行っている。オーダーメイド医療として、抗てんかん薬クロバザムの副作用を未然に防ぐための遺伝子検査を実施している。米国マサチューセッツ総合病院小児神経科と長年の人事交流があり、在日外国人の診療を積極的に行っている

内分泌・代謝=成長に関する疾患、性・思春期に関する疾患、肥満・メタボリックシンドロームなどの生活習慣病、甲状腺疾患、副腎疾患、骨系統疾患、尿細管機能異常、尿崩症、フェニルケトン尿症、その他の先天代謝異常症を診療する。成長・性の問題に対する総合的診断・治療システムを有し、特に性腺機能不全の早期診断システムは、わが国で唯一の高度先進医療として厚生労働省に承認されている。また、遺伝子解析、尿ステロイドプロフィルによる性ホルモンの分泌動態評価などの先進技術を用いて、停留精巣、ミクロペニス、外性器形態異常、思春期遅発症などを診療する。さらに、性腺機能不全に対しては、小児内分泌代謝、臨床遺伝、小児外科、泌尿器科、産婦人科、形成外科の各専門医から構成されるチームで包括的治療を行う

循環器=先天性心疾患、後天性心疾患、不整脈、川崎病などを診療し、登録患者数は約1万人に達する。心エコー検査(年間約2,000件、出生前診断を含む)、心臓カテーテル検査・治療(年間約100件)、心臓電気生理学検査、運動機能検査、心臓CT・MRI検査などが可能である。新生児・乳児期から成人期までの様々な先天性心疾患の手術(年間約100件)、心房中隔欠損の閉鎖術を含むカテーテル治療が可能な施設として認定され、常時20人前後の入院患者を管理する。染色体異常や先天異常にともなう心疾患患者の包括医療、成人先天性心疾患の医療にも積極的に取り組み、生涯にわたる長期的診療を提供している

血液・悪性腫瘍=小児がん(白血病、リンパ腫、神経芽細胞腫など)、血液疾患(再生不良性貧血など)の診断・治療を行っている。骨髄移植推進財団(骨髄バンク)、日本臍帯血ネットワーク(臍帯血バンク)の移植認定施設であり、非血縁ドナーからの造血幹細胞移植も行う。日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)、東京小児がん研究グループ(TCCSG)などの臨床研究グループに参加している

未熟児・新生児=未熟児・新生児=超早産児、超低出生体重児の診療を中心に産科周産期グループと協調した医療を行っている。特に500g未満で出生した児の治療成績には実績がある

精神保健・思春期=幅広い年代の小児の心の問題と家族関係に取り組む。神経性食欲不振症、集団不適応、心身症、発達障害など、従来の精神保健領域疾患に加え、慢性疾患児の反応性障害や思春期危機、性虐待児の治療、虐待家族の再統合、生殖補助医療(非配偶子人工授精)により生まれる子どものトラウマ治療と家族指導など、現代日本の新たな問題にも取り組む。「小児心身症包括的診療システム」を厚生労働省および小児科学会に提案し、小児科医がまず予防・早期発見・初期治療(1次ケア、2次ケア)を行い、必要と判断した時に小児精神保健専門医(3次ケア)につなげるチーム治療体制を実施している。専門外来では、初診時15歳以下の患者に対し、遊戯治療、母子再愛着療法、家族療法、薬物療法、個人精神療法、入院による身体的心理的治療を行う。死産・流産・障害告知などをめぐるグリーフワークや産後うつ病の早期発見・介入など、国際的視点に立つ乳幼児精神保健による予防精神医学を実践する。現在、新規患者は原則として本小児科に入院あるいは通院中の患者、および他院で初期治療を受け専門治療のために紹介された患者に限られる

腎臓=慢性腎臓病(腎炎、ネフローゼ、腎不全など)、学校検尿異常(血尿、蛋白尿)、急性腎炎、尿路感染、先天異常(水腎症、異形成腎、片腎、膀胱尿管逆流など)、嚢胞疾患(多嚢胞腎、若年性ネフロン癆など)、尿細管疾患(尿細管性アシドーシス、腎性糖尿、Dent病など)、腎尿路結石、糖尿病性腎症、高血圧、全身疾患に伴う腎疾患(膠原病、代謝異常など)の診療を行っている。小児泌尿器科医と連携し外科的治療を含む腎尿路異常の総合的管理を行っている。携帯型自動血圧計を用いた小児の24時間血圧モニター、腎生検が可能である。また、夜尿症、膀胱機能異常の薬物・行動療法、心臓・血液などの疾患における水・電解質異常の診療、血液浄化・透析センターとの連携による腎不全に対する血液・腹膜透析、持続濾過透析、泌尿器科との連携による思春期以降の生体腎移植および腎疾患を持つ患者家族の抱える医学的・社会的問題への包括的支援を行っている

遺伝・先天異常=遺伝性疾患・先天異常や発達異常を持つ子どもたちに対して正確な原因診断を心がけ、合併症を回避しつつ成長・発達を促進している。同時に家族に対して的確な遺伝相談・遺伝カウンセリングを提供している。担当医はわが国で唯一の米国人類遺伝学会認定の臨床遺伝専門医であり、海外も含めた豊富な臨床経験を持つ。併設されている先天異常遺伝子診断センターでは現在、50以上の疾患について遺伝子診断が可能であり、国内外からの診断依頼に応じている

呼吸器=小児呼吸器疾患全般(気管支喘息・肺炎・気管支炎など)に加え、長引く咳嗽や鼻汁(慢性気管支炎・副鼻腔気管支炎など)・先天性喘鳴(喉頭軟化症、声帯麻痺など)・先天性肺疾患(気管支閉鎖、CCAMなど)の診療に力を注いでいる。単純X線・CTなどの専門的読影や肺機能検査に加え、小児科呼吸器領域ではあまり行われていない内視鏡検査(喉頭・気管支ともに)を積極的に行い診断治療に役立てている

感染免疫=病棟では、一般感染症、免疫抑制患者の感染症の治療のアドバイスを行っている。また、院内感染対策のための業務、例えばRSウイルス感染症、インフルエンザ、麻疹、水痘、ムンプスなどの流行性ウイルス疾患の院内伝播の防止対策を講じている。感染外来では、当院で肝移植を受ける患者への移植前後の予防接種に力を入れている。その他、退院後の感染症患者のフォローアップを行う。当外来を受診するためには、まず初診外来で診察を受け、予約をとることが必要。なお、一般的な予防接種については、一般外来(午前中)で平日毎日実施されている(すべて任意扱いで有料)

外来総合診療=子どもの健康上のあらゆる問題を対象とし、継続的な診療を通して、子どもの成長・発達・ライフサイクルを見据えた総合的な視点から医療を提供することを目指す。家庭や地域社会の中に育つ子どもの多様な健康上の問題に対応するために、担当医が中心となり、専門医と連携を取りながら診療を進める。 "

医療設備

小児病棟総病床数108床(NICUを含む)。総合大学病院として、ヘリカルCT、MRI、DSA、超音波、核医学、骨密度測定装置、脳波など多数の検査設備、心臓カテーテル検査室、運動機能検査室、透析室、無菌治療室などを備える。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

眼科

分野

眼科

特色

当科は大正8年に初代教授が就任して以来約90年の歴史があり、「独立自尊」「実学の精神」を理念とする慶應義塾大学病院の診療科として、総合的な眼科医療を提供してきた。現在は、前眼部から後眼部に至るまで13に及ぶ専門外来を開設し、経験豊富な各専門スタッフが高度な医療を実現する大学病院眼科の責務に取り組んでいる。また、再生医療を導入した最先端の角膜移植やアンチエイジング医学の考えに基づいた予防的な医療など先進的な眼科医療も行っており、伝統ある医療と最新技術の融合をモットーに、日々の診療と研究に従事している。

症例数

10年度の初診患者数は7,140人、再診患者延べ数は68,178人、手術件数は3,104件である

★角膜外来では、角膜移植、ドライアイ、円錐角膜等の角膜疾患に対応している。角膜移植手術件数は年間100例を超え、日本では全国2位の件数を誇る実績をもつ。当科は63年設立の日本で最も長い歴史を持つアイバンクの一つである慶大眼球銀行、そして米国のアイバンクと連携して角膜移植手術の待機日数短縮を実現している。また、角膜疾患の多くは角膜の一部が障害されることで視力が低下していることから、近年は角膜の障害された部位のみを取り替える「パーツ移植」に力を入れている。事実、07年より開始された角膜内皮移植(DSAEK)は、全層角膜移植術に比べて手術時間が短縮されると同時に安全性も高く、良好な成績を得ている。また、拒絶反応を回避できる深層層状角膜移植も多く執刀している

★白内障外来では、症例に応じてそのライフスタイルを考慮した白内障手術を行っており、特に老視治療もかねた多焦点眼内レンズの診療に力を入れている

★屈折矯正外来では、医学的、職業的、その他の理由で眼鏡、コンタクトレンズを使用することができない症例に対し、眼の状態に合わせてLASIK、有水晶体眼内レンズ(フェイキックIOL)など、数種類の屈折矯正手術(主に近視矯正)を行い、安定した術後成績を得ている。詳細はホームページ(http://www.keio-eye.net/lasik/index.html)を参照

★網膜硝子体外来では、網膜剥離や糖尿病網膜症、黄斑円孔、黄斑上膜など手術・レーザー治療が必要な症例の診療を行っている。現在、硝子体手術では小切開硝子体手術を主に施行しており、以前よりさらに手術侵襲は少なく、術後視力も短期間で回復するようになった

★加齢黄斑変性(滲出型)に対しては、光線力学的療法や抗血管新生療法といったレーザーあるいは薬剤による治療法を提供するメディカルレチナ外来という専門外来を設置し、その診療を行っている。「萎縮型」や初期の段階に対しては、抗加齢眼科外来(後述)とともにサプリメントの指導等も行っている

★緑内障外来では、3台の静的自動視野計や、新たに保険適用となった眼底3次元画像解析なども必要に応じて用い、早期発見・早期治療を心がけている。患者様の一生涯にわたる視機能保持を目指して、点眼と手術とを中心とした治療を行っている

★眼形成眼窩外来では、老人性眼瞼下垂から眼窩壁骨折まで眼瞼眼窩(がんけんがんか)疾患全般の治療を、視機能を尊重しながら行っている。眼科医が眼形成手術を担当する病院が非常に少ない中、この分野の専門医師が2人常勤する全国有数の施設である。

医療設備

ドライアイ観察装置、涙液安定性解析装置、角膜内皮細胞撮影装置、角膜トポグラフィ、3D前眼部撮影・解析装置、波面センサー、視神経乳頭解析装置、網膜神経線維層厚測定装置、光学式および超音波式眼軸長測定器、各種視野計、光干渉断層計、眼底カメラ、電気生理学的検査装置、各種レーザー凝固装置など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

耳鼻咽喉科

分野

耳鼻咽喉科・頭頸部外科 

特色

耳鼻咽喉科・頭頸部外科疾患全般を対象としているが、特に外科的治療として中耳炎、耳硬化症などを対象とした聴力改善手術、感音難聴を対象とした外リンパ瘻手術、人工内耳埋め込み術、聴神経腫瘍に対する顔面神経・聴力保存手術、鼻・副鼻腔疾患、頭蓋底疾患に対する内視鏡手術、声帯ポリープや声帯結節などを対象とした音声改善手術、喉頭癌や下咽頭癌における音声保存手術、上顎癌や口腔咽頭癌に対する形態および機能保存手術など低侵襲・短期入院手術に取り組んでいる。感音難聴や耳鳴、めまいに対する治療にも積極的に取り組んでおり、耳鼻咽喉科専属の言語聴覚士(2人)、臨床心理士(3人)を含めたチーム医療で特色ある診療を行っている。

症例数

年間の手術件数は入院全身麻酔手術約800件で、局所麻酔で行う日帰り手術および1泊2日の短期入院手術は約220件。鼓室形成術、人工内耳埋め込み手術などの聴力改善手術220件、聴神経腫瘍などの頭蓋底手術20件、鼻・副鼻腔内視鏡手術210件、喉頭微細手術190件、耳下腺腫瘍、甲状腺腫瘍などの頭頸部良性腫瘍手術110件、頭頸部悪性腫瘍手術100件。その他、150件

★突発性難聴に対しては、難聴の程度に応じて外来または入院にてステロイドおよびプロスタグランジンによる保存的療法を行っている。外リンパ瘻の手術的治療も積極的に行っている

★耳鳴に対しては、原因疾患に対する治療の他にも臨床心理士による心理治療や自律訓練法を行い、症例に応じてTRTやTMSなどの新しい治療法を行っている

★慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎、耳硬化症に対しては約1週間の短期入院で聴力改善手術を積極的に行っている。特に耳硬化症などアブミ骨手術は独自に開発した人工耳小骨を用いた手術を行い、日本でもトップクラスの手術件数である

★人工内耳埋め込み手術は成人例を中心に行い、言語聴覚士と臨床心理士を加えたチームによるきめ細かい術後のリハビリが特徴である

★良性頭位性発作性めまい症に対しては、独自の診断法により症例に応じた適切な理学療法を行っている。メニエール病に対しては心理療法による発作予防を行い、難治症例に対しては局所薬物療法や手術療法も導入している

★顔面神経麻痺に対してはステロイド大量療法を基本として、改善不良例に対しては顔面神経減荷手術も積極的に行っている。陳旧性の顔面神経麻痺に対しては眼科、形成外科とのチームで総合的な顔面神経再建手術を行っている

★慢性副鼻腔炎に対しては、約1週間の入院で内視鏡下手術を行っている。鼻アレルギーや鼻ポリープに対しては日帰りのレーザー手術を行っている

★音声障害に対する手術治療も当科の得意分野の一つで、声帯ポリープや声帯結節に対しては2泊3日で喉頭マイクロ手術を行っており、プロ歌手も対象にしている。声帯麻痺に対しても積極的に音声改善手術を行っている

★頭頸部癌に対しては、手術と放射線療法、化学療法を組み合わせた集学的治療法を行っている。音声、嚥下、咀嚼などの機能保存を目標にして症例に応じた化学療法を行うことにより、手術切除範囲を最小限にできるように治療法を工夫している。喉頭癌や下咽頭癌に対する音声保存の内視鏡下部分切除術も当科の特徴的な治療法である。機能再建に関しても形成外科とのチーム医療により良好な成績をあげている

★聴神経腫瘍に対しては、脳神経外科とのチーム医療で独自に開発した拡大中頭蓋窩法による聴力保存手術を基本的に行っている

★耳下腺腫瘍や顎下腺腫瘍、副咽頭間隙腫瘍の手術症例数も多く、神経機能保存手術を基本としている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

歯科・口腔外科

分野

歯科口腔外科

特色

口腔腫瘍(良性、悪性)、顎変形症、口腔インプラント、外傷などの外科治療や、顎関節症、口腔顔面痛、口腔粘膜疾患、睡眠時無呼吸症候群、有病者の歯科治療などの総合的治療を行っている。

症例数

口腔癌=年間初診患者は約40人。進展度などに応じて外科的療法・放射線治療・化学療法を組み合わせた集学的治療を行っており、根治性と機能温存・回復の両立を目指している。外科的療法では、ラジオ波メスやレーザーを用いて出血量や手術侵襲の軽減を図り、部分切除の場合はコラーゲン製人工粘膜を貼付し、疼痛軽減や形態、機能の温存に努めている。また、迅速病理診断を用いてより精度の高い切除を行っている。高度進展例では、形成外科との連携により遊離皮弁を主体とした再建術を行い、インプラントや顎補綴にて顎口腔機能の回復を図っている。術後はリハビリテーション科と協力し、より専門的な機能訓練を行っている。また、適応は限られるが、超選択的動注化学療法と放射線治療の併用により、臓器・機能の温存(手術回避)に努めている。当科における5年累積生存率は、StageI・IIの平均で97%、III・IVの平均で62%である

顎変形症=手術症例は年間平均約40例、その75%が下顎前突症、16%は下顎もしくは顔面の非対称症例、9%が下顎後退症や上顎の劣成長および過成長症例である。その全例で術前後の矯正治療を行っている。治療方法(術式)は主訴、術前咬合状態、模型および頭部X線規格写真の分析のもとに矯正専門医と相談の上、総合的に判断し決定している。術式は全症例の88%に下顎枝矢状分割術を施行している。近年は上下顎同時移動術実施の前に、CT画像の撮影データをもとに術中ナビゲーション手術も行っている。骨片の固定には生体吸収性樹脂もしくはチタンプレートを適宜使用している。当科で下顎枝矢状分割術を施行した場合の入院日数は7~10日、顎間固定期間は0~7日である

デンタルインプラント=最近3年では668例のインプラント及び関連手術を行っている。中心となるシステムは、ザイブ、カムログ、フリアリット、SPI、GC、アンキロス、アストラ、リプレイスで、ブローネマルク、カルシテックも対応可能である。術前分析は全例歯科用コーンビームCTを導入している。当科は抜歯後即時・早期インプラント埋入法を先駆的に行い、治療期間の短縮を目指してきた。また、外傷や腫瘍によって顎骨を失った患者への骨移植とインプラントを組み合わせた咬合治療を行っており、厚生労働省の先進医療の認可を受けている。近年、難症例にもかかわらず、どうしてもインプラント治療を行いたい患者の手術依頼が多い。特にサイナスリフトや骨造成を併用しなければならない顎骨萎縮の激しい症例である。手術は大学病院で行い、その後の咬合治療は便の良い紹介歯科医院に再度戻って行うのがこのような場合の傾向である。遠方より来院する患者や埋入本数の多い患者では、1~3日の短期入院下で手術を実施している。今後は、術後早期咬合治療や歯周病のコントロール中の患者に対する治療が増加してくるものと予測している

口腔粘膜疾患=アフタ性口内炎、口腔カンジダ症や細菌・ウイルス感染症、味覚障害、さらにシェーグレン症候群をはじめとするドライマウスや天疱瘡、類天疱瘡などの自己免疫疾患、歯科金属アレルギー、口腔扁平苔癬などの診断治療を関連他科と連携をとりながら行っている。また心身医学的アプローチが必要な舌痛症などの診断治療も行っている

顎関節症=初診患者が年間約300人。顎関節症は歯ぎしり、くいしばりなどの非機能的口腔活動による顎への過剰負荷の結果であると捉え、認知行動療法、薬物療法、理学療法を主とした保存療法により治療を行っている

口腔顔面痛=初診患者が年間約100人、神経障害による口腔顔面領域の慢性痛や三叉神経痛、舌咽神経痛、さらには筋・筋膜疼痛の関連痛による口腔顔面痛に対し、理学療法、薬物療法により治療している

睡眠時無呼吸症候群=02年度より麻酔科、呼吸器内科と共同で行い、スプリント療法を年間約40例行っている。

医療設備

MRI、CT、コーンビームCT、RI、リニアック、レーザーメス、ラジオ波メス、ナビゲーション手術支援システム、骨立体モデルなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

皮膚科

分野

皮膚科

特色

皮膚疾患全般を対象に、皮膚を全身の一部とし総合的に診療することを心がけている。様々な経験を持つスタッフ陣が協力体制のもと診察を行い、協議の上、できるだけ正しい診断、治療を提供できるように努めている。午前中の一般外来では皮膚疾患全般を対象としている。午後の外来は、それぞれの疾患に対して最善の治療ができるように、疾患ごとに専門化された特殊外来を数多く設けている。また、症状の重い方、集中的な検査、治療が必要な方、手術後安静が必要な方などには、豊富なスタッフ陣による入院診療を行っている。また、必要に応じて慶應義塾大学病院の他の専門領域と連携をとり、患者さんの視点に立った診療を行っている。

症例数

1日の平均外来患者数約200人、入院患者数20~25人、年間の手術数は約400例である。午前の外来は皮膚疾患全般を対象に診察、午後の特殊外来は、より専門性を要する疾患患者を診療しており、アレルギー外来、アトピー外来、毛髪外来、皮膚膠原病外来、アトピー生活指導外来、光線外来、腫瘍外来、爪外来、免疫病外来、真菌外来、しみ・あざレーザー治療外来、にきび外来、遺伝相談外来、乾癬外来、ダーモスコピー外来がある

★アレルギー外来は、接触性皮膚炎、薬疹の原因検索のためにパッチテスト検査を行い、抗原除去指導を行っている

★アトピー外来は、アトピー性皮膚炎患者を対象に毎週30人程度の患者を診察している。ガイドラインに沿った治療を基本に、個々の患者のQOL(生活の質)を重視し治療を行っている

★爪外来は、巻き爪・陥入爪を対象に、主に超弾性ワイヤーによる爪矯正を行っている

★毛髪外来は、毛髪の疾患(壮年性脱毛、円形脱毛症など)を対象としており、1回の外来あたり20~30人の患者を治療している。組織検査も取り入れた丁寧な診断と、ニーズにあった治療を心がけている

★皮膚膠原病外来は、皮膚症状のある膠原病の診断と治療を行っている

★光線外来は、主に尋常性乾癬の患者を中心にナローバンドUVBの全身照射機を使用して、紫外線療法を行っている。1カ月に延べ約120人の患者を診療している

★アトピー生活指導外来は、アトピー性皮膚炎患者を対象に、病気の性質、内服、外用療法、正しいスキンケア、生活習慣、食事指導など丁寧な生活指導を行っている

★腫瘍外来は、入院加療を行った、皮膚腫瘍の術後経過観察などを行っている

★免疫病外来は、天疱瘡、類天疱瘡などの難治性自己免疫性水疱性疾患患者を対象に診察を行っている

★真菌外来は、爪白癬患者を主に診察を行っている

★しみ・あざレーザー治療外来では、Qスイッチルビーレーザー、炭酸ガスレーザー、ロングパルス・アレキサンドライトレーザーの3台を用いて、種々の母斑(あざ)、日光黒子(しみ)の治療を行っている

★乾癬外来は、患者の症状に応じて外用剤、レチノイド内服、免疫抑制剤内服、紫外線療法を適切に組み合わせて治療を行っている

★ダーモスコピー外来は、ほくろなどの病変をダーモスコピーという特殊な拡大鏡をもちいて経過観察する

★遺伝相談外来は、遺伝性の皮膚疾患の出生前診断、治療、遺伝相談を行っている

★にきび外来は、なかなか良くならないにきびの方を対象に必要に応じてケミカルピーリング、ロングパルス・アレキサンドライトレーザーを併用し治療している。1日20~25人程度の患者を診察している

★総合診断外来は、診断の難しい患者、また治療方針の決定の難しい患者を対象にして、必要に応じて皮膚生検という皮膚の組織検査をし、様々な経験をもつスタッフ陣が協力して診察を行い、協議の上、できるだけ正しい診断、治療を提供できるように心がけている。時に直接蛍光抗体法、電子顕微鏡などの特殊な検査を併用することもある

★入院治療に関しては、症状の重い方、集中的な検査、治療が必要な方、手術後安静が必要な方などに対して行っている。たとえば、蜂窩織炎や帯状疱疹などの急性感染症、アトピー性皮膚炎の生活指導教育入院、天疱瘡、類天疱瘡などの難治性自己免疫性水疱症、重症の乾癬、膠原病の患者さん、さらには全身麻酔または局所麻酔の必要な皮膚腫瘍の摘出手術、抗がん剤の点滴が必要な皮膚悪性腫瘍などである。

医療設備

UVAおよびナローバンドUVB全身照射装置、Qスイッチルビーレーザー、炭酸ガスレーザー、ロングパルス・アレキサンドライトレーザー、ダーモスコピーなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ×
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

腎臓・内分泌・代謝内科

分野

糖尿病内分泌内科

特色

糖尿病を中心とした診療に取り組んでおり、特にLife style modification(生活様式の修正)を目指した病態の進展予防に重点を置く。糖尿病療養指導士(看護師12人、管理栄養士8人、臨床検査技師3人)、スポーツ医学総合センターとの連携や専属のフットケアナース、血管外科、整形外科などとフットケアチームを構成するなどコメディカルスタッフを交えた糖尿病チーム医療、糖尿病患者教育システムの充実を図っている。また、糖尿病患者会として「カラムスの会」があり、糖尿病患者さんの要望に応える形で各専門家を招聘し、レクチャーや実地指導を行っている。代謝疾患は全身疾患であることから、科の枠にとらわれない他科との共同診療(併診)にも力を入れている。内分泌領域では、副腎、甲状腺疾患を中心に診療しており、特に原発性アルドステロン症などの副腎性高血圧の診断、治療に力を入れている。詳細はwww.hosp.med.keio.ac.jp/shinryo/renal/index.htmを参照。

症例数

11年5月現在、内分泌代謝疾患(1型糖尿病、2型糖尿病、甲状腺疾患、副腎疾患、視床下部・下垂体疾患、副甲状腺疾患、性腺疾患など)として通院継続中の症例数は約4,900人で、うち糖尿病患者数は約3,500人(1型150人、2型3,100人、その他250人)。通院圏は関東地方を中心として全国に及び、中国から定期受診する症例もある。初診症例のうち、紹介状持参者は約85%であるが11年7月から完全予約制をとる

★年間入院患者数は約300例(2型糖尿病62%、1型10%、内分泌疾患10%、その他)で、平均在院日数は14日、他科の入院患者診療(併診)も多く、年間併診症例数は上記に加えてさらに約400症例となる。手術前後の血糖管理はもちろんのこと、専門性を要求される妊娠糖尿病管理については産科との連携パスになどにより充実している

★常により質の高い医療の提供を目指しており、回診、カンファレンス、治療コンセンサスを医師のみならず、コメディカルスタッフとも定期的に行い、糖尿病診療の根幹であるチーム医療を実践している

★糖尿病教育システムについては、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士による外来糖尿病教室を毎週開催し、また入院患者さんを対象として、病棟・糖尿病教室を別途開催し、インスリン療法を中心とする薬物療法への理解を深められるよう配慮をしている。また、外来、病棟ともに患者さんへの個別栄養相談を随時行っている。さらに個別の運動処方をスポーツ医学総合センターにて実施している。糖尿病教育入院は約2週間のプログラムとしているが、近日クリニカルパスを導入予定である

★糖尿病療養指導士の資格を有する看護師が充実しており、インスリン治療導入、インクレチン関連薬(GLP-1製剤)導入は外来においても実施している

★糖尿病足病変については、血管外科、整形外科、皮膚科医師やWOC(Wound, Ostomy, Continence)看護師などと連携し「フットケアチーム」として包括的な管理を行っている

★10年4月の通院患者さんの平均HbA1c 6.9%で、HbA1c6.5%未満の割合は約35%

★糖尿病や単純性肥満に対する運動療法にも伝統があり、当院スポーツ医学総合センターと共同して、オーダーメイドの運動処方を実施している

★内分泌疾患としては、特に副腎腫瘍の診断・治療を放射線科や泌尿器科と連携して精力的に行っている

★30以上にも及ぶ関連病院においては、当科出身の糖尿病専門医が中心となり、質の高い糖尿病チーム医療の実践や、当科との有機的な診療連携を実施している。まお、関連病院を含めた治療管理中の糖尿病患者数は20,000人規模に達する。

医療設備

当院は特定機能病院として、CT、 MRIをはじめ、ほとんどの先端医療設備を具備している。当科においては、24時間糖モニタリング(CGMS)やインスリン持続注射ポンプ(CSII)、インスリン抵抗性に評価に重要な人工膵臓グルコースクランプ)などを実施している。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

血液内科

分野

血液内科

特色

 4つのFを大切に患者さんに、優しい包括医療を実践し、クオリティーの高い医療提供を目指している。4つのFとは「For the patient 患者中心の」「For the team スクラムを組んだ質の高い医療」「Fair play 誠意を持って患者に接する」、そして「Fighting spirit 新規治療を開発し、努力を惜しまない」。慶應義塾大学病院の血液内科では、医師と様々なスタッフがチームを組み、治療に取り組んでいる。外来には病棟看護師や臨床心理士が参加し、経過中の患者さんの様々な問題点や悩みに対応すると共に、医療チームとの密なコミュニケーションを築くよう心がけている。岡本教授は日本を代表する造血幹細胞移植の第一人者である。

症例数

症例数=1週間の平均外来患者数は350人で、そのうち5〜10人が慶應病院関連施設や他大学から紹介された初診患者である。10年度の年間初診患者数は420人で、その内訳は白血病・MDS 38例、リンパ腫112例、骨髄腫22例と造血器腫瘍患者が約40%である。セカンドオピニオンでの受診患者数は年間平均70例である。造血幹細胞移植に関しては、血縁者間・非血縁者間移植、臍帯血移植、末梢血幹細胞移植、自家移植、ミニ移植、HLA不適合移植とすべての移植治療が対応可能で、同種および自家移植を合わせて年間約50~60例が施行され、これまでの移植総数は800例を超える

治療=基本的には患者さんと患者さんの家族に対して、病気の状態、予後、選択できる治療、その効果と問題点などについて詳細に説明し、質問を受け、患者さんごとに最善の治療法を臨床試験でのエビデンス(科学的根拠)に基づき選択している。急性白血病では標準的化学療法からスタートし、予後不良因子の有無によって第一寛解期での同種移植の適応を決定している。慢性骨髄性白血病はグリベックによる治療を第一選択とし、グリベック耐性/不耐容の場合には第2世代の分子標的薬剤による治療を行い、移行期/急性期に対して同種移植を施行する。悪性リンパ腫は化学療法とリツキサン(B細胞性リンパ腫)による治療を第一選択とし、再発例に対しては組織型に応じて自家移植、トレアキシン、ゼバリン、同種移植を行っている。骨髄腫においては化学療法に続き、適応のある症例では末梢血幹細胞を採取後、メルファラン大量投与を前処置としての自家移植を行っている。さらに若年者では自家移植に続いて同種移植を行う治療を行っている。またベルケイド、レブラミドなどの新規薬剤も多数の症例で使用している。骨髄異形成症候群では、QOL(生活の質:Quality of Life)を保った生存期間の延長を目標として、従来から行われてきた化学療法、ビダーザなどの新規薬剤の使用、同種移植の適応を決定している。臨床試験にも積極的に参加し、エビデンスを見つけ、新規治療の開発に尽力している

成績=急性白血病および、第一寛解期の慢性骨髄性白血病(慢性期)の移植後における無病生存率は血縁者、非血縁者ともに60~70%。進行期では30~35%。骨髄異形成症候群の血縁者間移植においては、長期の無病生存率が70~80%、非血縁者間では50%である。ホジキンリンパ腫では標準的治療で90%の治癒率あげ、非ホジキンリンパ腫の早期でも80%の長期生存率が得られている。進行期や再発期であっても化学療法、自家移植での治療で50~60%の治癒が得られている。骨髄腫では自家移植と新規薬剤の併用によって70~80%の3年無進行生存が得られている。

医療設備

血液内科固有床が36床あり、そのうちクラス100の無菌室が3床、クラス10000の準無菌室が18床で、主に移植や化学療法に用いられている。外来では化学療法/輸血・細胞療法専用の治療センターと専属スタッフが整備されている。輸血細胞療法部ではCD34陽性細胞分離などの細胞分離が行われている。療養支援室などの支援体制が充実している。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ×
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

リウマチ内科

分野

リウマチ・膠原病内科

特色

日本リウマチ学会認定施設。日本におけるリウマチ膠原病学黎明期の立ち上げに貢献し、その後も日本各地の大学・病院に数々の人材を輩出してきた伝統のある診療科である。主要スタッフは厚生労働省研究班(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、ベーチェット病、混合性結合組織病など)においても主任研究者を歴任しつつ分担研究員として多数に参画し、我が国における診断・治療ガイドラインの作成にも主導的役割を果たしている。診療面では、基礎研究に基づいた最先端医学の知見を患者さんに還元することを目標とし、新規治療法も積極的に導入している。特に、関節リウマチの生物学的製剤による治療と、生命予後を脅かす主要な臓器病変である間質性肺炎、肺高血圧症、腎炎の積極的介入による予後改善に重点を置いている。

症例数

リウマチ・膠原病疾患の外来通院者数は約3,000人(月間外来患者数は延べ約2,300人)。入院患者数は年間延べ約350人。セカンドオピニオン外来受診者数は年間約20人。関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎・皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、シェーグレン症候群、ベーチェット病、血管炎症候群、悪性関節リウマチ、成人発症スティル病などリウマチ膠原病全般を扱っているが、不明熱、多関節痛、自己抗体陽性などの精査で受診される症例も多い。診断から治療まで一貫した診療体制を整えている

★関節リウマチの早期診断や数々の治験を含めた生物学的製剤の積極的導入により、日常生活に全く不自由ない状態を目指した積極的治療を行っている

★強皮症およびその類縁疾患をでは末梢循環障害や線維化病変に対する新規治療法の開発を行っており、難治性皮膚潰瘍や肺線維症に対する臨床試験を実施中である。また、レーザードプラ血流計やサーモグラフィーを用いた独自の末梢循環評価を行っている

★全身性エリテマトーデスの免疫やシグナル伝達の異常を解析しており、分子異常に基づく根本的治療の開発を目指しながら、長期予後を改善させるためのきめ細かい診療を行っている

★膠原病の予後を左右する間質性肺炎、肺高血圧症の早期診断と早期治療に注力しており、積極的にカテーテル検査を行っている

★腎炎の病態の把握に必要な腎生検を積極的に実施しており、病理診断部と連携をして組織診断に基づいた正確な診断および最適な治療法を選択している

★膠原病の診断や病型分類に有用な数々の自己抗体を発見・報告してきた実績があり、免疫沈降法など詳細な対応抗原分析を実施している

★カンファレンスなどを通じて、関連する診療科と綿密に連携することで包括的な診療に当たっている

★医師・看護師・薬剤師などの医療スタッフと協力して患者さんの十分な理解を心掛けている。

医療設備

X線、CT、MRI、アイソトープ検査、骨密度測定器、サーモグラフィー、レーザードプラ血流計、各種内視鏡検査、超音波検査、ICU、透析室、血液浄化装置、リハビリテーション室など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

脳神経外科

分野

脳神経外科

特色

当科では洗練された手術手技、患者への優しい応対、看護部や他科との密なチームワークが可能なスタッフを揃え、安心できる医療を提供することをモットーとする。大学病院である特徴を生かして耳鼻咽喉科・形成外科とのチームワークで、最も難しい手術が要求される頭蓋底腫瘍の独自の手術方法を開発しているため、他施設、他大学からの紹介が多いことが特徴である。手術方法は美容を重視し、手術創が目立たないように無剃毛で行う。治療法は患者の選択権を尊重し、手術を押しつけることはせず、脳動脈瘤では手術治療のみならず血管内治療を、脳腫瘍では放射線治療をすすめることも多い。われわれの目標は、苦悩を持たれる患者とご家族と共にその最長の幸せを考えることにある。

症例数

年間手術数450例。うち脳腫瘍が3分の2を占め、頭蓋底腫瘍手術は年間120例に達する。手術には手術顕微鏡の他、神経内視鏡、ナビゲーション、神経モニタリングなどの最新技術を使用している。脳動脈瘤の治療も年間50例と、大学病院の中では上位に位置する。うち4分の1に対して血管内治療を行っている

頭蓋底外科=熟練した技術を要する頭蓋底髄膜腫などの手術(年間60例)を得意とし、特に脳幹周辺の頭蓋底腫瘍に対しては、世界に誇る低侵襲手術法で長年好成績をあげているので、他施設からの紹介が絶えない。また聴神経腫瘍手術は、30年間700例の実績・歴史があり、三叉神経鞘腫53例と共に日本最多数の経験を有する。複数科の技術で脳損傷の少ない手術法を行うので、難しい頭蓋底腫瘍でも手術死亡率は0.5%と低い。他施設で「とても無理」といわれた方は一度ご訪問下さい

悪性脳腫瘍=脳内に発生する腫瘍(グリオーマ)や癌の脳転移などは、脳磁計や機能MRIなどで脳機能を確認しながら後遺症の少ない手術を行う。また、摘出した腫瘍の遺伝子診断を行い、その後の適切な化学療法や放射線治療法を選択している。年間40~50例の治療実績がある

下垂体腫瘍=耳鼻咽喉科と合同で神経内視鏡を用い、鼻孔からの低侵襲手術を行っている(年間25例)。腫瘍の種類や大きさによっては、手術をせずに薬剤で治療することも可能である

脳機能疾患=薬剤治療の効果がなくなってしまったパーキンソン病や手のふるえなどの不随意運動を、脳深部電気刺激療法(DBS)という最先端の技術で治療する(年間10例)。ベッドから起き上がることもできなかった重症パーキンソン病の方が社会復帰した例も多い。その他、顔面けいれん、三叉神経痛の治療も行っている(年間15例)

脳血管障害=脳卒中・未破裂脳動脈瘤(年間35例)、破裂脳動脈瘤(年間15例)、脳・硬膜動脈奇形(年間8例)、頸動脈狭窄(年間10例、うちステント治療5例、手術3例、脳動脈バイパス術2例)、脳出血(年間6例)など。未破裂脳動脈瘤は、その破裂リスク、治療法の種類(カテーテルによるコイル塞栓術か開頭クリッピング術)および治療のリスクなどを説明する。治療はあくまでもくも膜下出血の予防治療であるので、治療するか否かは本人の選択に任せる。しかし、今まで治療により死亡した例はない。動静脈奇形の大部分は、血管内治療+放射線による非開頭治療を優先している。脳動脈狭窄の治療は、血管内治療担当医や神経内科と協議した上でステントか手術かの選択を行っている。

医療設備

診断機器:MRI(機能MRI、トラクトグラフィー、MRA、MRSを含む)、CT(立体CTアンギオを含む)、DSA、脳血流SPECT、シンチグラフィー、超音波、脳磁図、近赤外線脳代謝計(NIRS)。治療機器:手術顕微鏡、神経内視鏡、超音波吸引機、定位脳手術装置。術中モニター機器:ナビゲーター、神経モニタリング、ドプラ血流計、ポータブルDSA。非手術治療機器:定位放射線治療(Xナイフ)、脳血管内治療機器など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

放射線治療科

分野

放射線科

特色

慶應義塾大学病院放射線治療科では主に高エネルギーX線を用いた外部照射による放射線治療と小線源療法、放射性同位元素(ラジオアイソトープ)を用いた核医学治療を行っている。近年、患者さんの身体的な負担が少なく、化学療法との併用も容易で根治的な治療として注目が集まっている放射線治療だが、医療機器の進歩が目覚ましい分野の一つでもあり、正常臓器の機能や形態を温存しつつ、根治を目指すための技術が確立してきている。大学病院の特質としての内科・外科の各専門科はもとより、あらゆる専門診療科の協力を得ることが可能で、一般的な癌治療だけでなく、非常に稀な良性・悪性腫瘍など幅広い疾患に対して治療実績がある。各科との連携を密に取るために定期的なカンファレンスを開催し、具体的な症例検討を行っており、手術や抗癌剤治療あるいは各科で行っている高度先進医療との組み合わせなど大学病院でしか行えない最新で最善な治療方法の実践を目指している

★最近では、各専門科との連携を密に抗癌剤を併用した化学放射線療法を積極的に行い、食道癌・頭頸部癌・肺癌・子宮癌・など多くの癌で根治治療を行い、これまで根治が難しかった疾患に対しても成果をあげている。さらには、これまで放射線治療があまり有効とされていなかった胃癌・肝臓癌などにも適応を拡大して徐々に実績をあげている。07年に最新の放射線治療装置2台を導入し、腫瘍のある場所だけを正確に狙って短期間に多方向から放射線を集中的に照射することで病巣を完全に死滅させる定位放射線治療を脳腫瘍、脊髄腫瘍、原発性・転移性肺癌、原発性・転移性肝癌などに対して行っている。また高精度に病巣と周辺の正常臓器とをしっかりと識別し、病巣にはより強く、正常臓器にはより弱く放射線がかかるように強さを変えながら放射線を照射する強度変調放射線治療を前立腺癌、脳腫瘍、頭頸部腫瘍などに対して行っている。小線源治療に関しては、ヨード125による前立腺癌に対する永久挿入療法、子宮頚癌に対する腔内照射療法を以前から行い、良好な治療成績を収めている

★上記のような最新で高精度な治療の品質を左右する要素として使用機器の位置精度管理や線量管理、特に高精度を要する治療における症例ごとの品質管理など、放射線物理学的な視点からのシステム作りや品質管理体制が極めて重要だが、その点でも専任・兼任合わせて2人の医学物理士がその業務に携り、今後も更なる人的資源の充実を図る計画がある

★また多発性骨転移をはじめとする癌による痛みや諸々の苦痛(他にも食道癌による通過障害などあらゆる癌の諸症状)を可能な限り緩和するための放射線治療についても積極的に取り組み、疼痛緩和ケアチームとの連携を図りながらどのような治療を行えば、その患者さんのQOL(生活の質)を改善・維持できるのか、患者さん中心の治療戦略を大事に診療に当たっている。08年4月から保険適用となった骨転移による疼痛に対するストロンチウム89治療についても積極的に受け付けている。

症例数

10年1月~12月の実績を以下に示す。脳腫瘍19例、頭頸部腫瘍53例、食道癌56例、肺癌62例、乳癌207例、胃癌28例、肝・胆・膵癌27例、子宮癌77例、前立腺癌132例、血液疾患36例、悪性リンパ腫26例、骨転移79例、脳転移58例、その他32例、合計952例

★特殊治療としては、強度変調放射線治療(IMRT)は91例(脳15例、頭頸部4例、前立腺70例、その他2例)。脳定位放射線治療は12例、体幹部定位放射線治療は肺38例、肝5例。子宮腔内照射46例。前立腺小線源療法48例。

医療設備

リニアック2台(バリアン社製、呼吸同期システム、コーンビームCT撮影可能)、放射線治療計画装置7台(一般用エクシオ4台、その他特殊治療用3台)、脳定位放射線治療用マイクロマルチリーフコリメーター1台(アキュナイフ)、小線源治療装置1台(マイクロセレクトロン)、前立腺小線源治療用一式。治療計画専用CT装置1台(東芝社製、16列検出器、呼吸同期システム装備)、X線シミュレーター1台(東芝社製)。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ×
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

麻酔科(ペインクリニック)

分野

ペインクリニック

特色

脊椎疾患による腰下肢痛、上肢痛の患者が多いが、CRPSを含む慢性疼痛症例も診察している。癌性疼痛は新規に開設した緩和ケア外来が窓口となっている。

症例数

ここ数年の年間新患者数は約800人である。良性疾患では、椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症などの脊椎疾患による腰下肢痛、上肢痛に対して神経ブロックを行うことが多いが、帯状疱疹、末梢血行障害、神経因性疼痛に対してブロックを行うこともある。また、院内の手術件数も多いため、遷延性術後痛に対応することも多い

★頻度の高い手技として、硬膜外ブロック、星状神経節ブロック、腕神経叢ブロック、トリガーポイントブロックがある。患者の高齢化に伴って、抗凝固療法中の患者や、複数の合併疾患を有する患者が増加してきているが、そのような症例では安全性を第一として、薬物療法やXe光線療法が選択できる。また、ブロックが有効でない患者に対して、薬物療法を選択することもある。どの症例に対しても、十分な説明を行うよう配慮している。運動療法が重要な慢性疼痛の症例に対しては、リハビリ科へ依頼を行っている

★癌性疼痛では、治療前から精査と並行して積極的に疼痛管理を開始している。適応があれば、腹腔神経叢ブロックや硬膜外カテーテルの埋め込み術も行っている。従来より、疼痛緩和ケアナースにより、トータルペインに対してよりきめの細かい対応が行われてきたが、精神科的ケアが必要な場合には、緩和ケアチームの精神科医が対応する。

医療設備

X線透視装置、CT、MRI、高周波熱凝固装置、ニューロメーター、神経筋刺激装置、キセノン光線治療器など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ×
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

漢方医学センター

分野

東洋医学

特色

93年「現代医学の中で漢方治療をより良く生かす」を理念として開設された。最先端の医療と体にやさしい漢方治療とを同時に受けられる施設としての地位を確立している。担当医師は、東洋医学会の理事2人、専門医11人からなる漢方のエキスパートであり、脈診・舌診・腹診など漢方医学の伝統的な診断方法に基づいて治療を行っている。一方、大学病院ということで、西洋医学的診断も欠かせない。エキス剤が主だが、伝統的な煎じ薬を処方する場合もある。いずれも保険が適用され、経済的負担が少ない。

症例数

1カ月に約1,200~1,400人の患者が受診している。乳児から高齢者まで幅広い年代の方が来院され、その中で女性が約7割を占める。多い疾患は、胃腸障害、アレルギー疾患、冷え症・更年期障害などの婦人科疾患、心身症・自律神経障害、生活習慣病、がんや膠原病などである。特に、アトピー性皮膚炎やストレス疾患・冷え症などは、漢方薬が奏効することが多い。「この病気は漢方がいいのでしょうか。西洋医学がいいのでしょうか」という質問をよく受けるが、どんな病気に対しても漢方は適応になると言っても過言ではない。大切なことは「治すべきは病気ではなくて患者さんの体である」ということである。どちらが主となり従となるかは病状により異なるが、西洋医学と漢方医学のいい点を組み合わせることにより、より良い効果を生むことが多い。当クリニックは他科との連携も整っており、治療効果をあげている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

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治験参加メリット:専門医による詳しい検査、検査費用の負担、負担軽減費など

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