滋賀医科大学医学部附属病院

専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

滋賀医科大学医学部附属病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

循環器内科

分野

循環器科

特色

患者中心の開かれた循環器内科として安全で質の高い医療の提供、新しい循環器診療に関わる診断・治療の開発と実践を通しての社会への貢献、専門家としての責任と使命を自覚し、人間性豊かな医療人を育成するという理念のもとに診療・研究・教育を行っている。急性心筋梗塞、狭心症などの虚血性心疾患、心不全、不整脈疾患など各種心疾患に対し、地域医療に根ざした診療を担っている。05年から不整脈センターを開設し、難治性不整脈の診療に当たっている。不整脈の遺伝子解析では全国の医療機関からの依頼を受けている。また、地域連携医療に関して携帯心電計を介する「さざなみプロジェクト」を推進している。ホームページはhttp://www.shiga-med.ac.jp/~hqmed1/

症例数

病床数は呼吸器内科と合わせて50床で、年間入院患者数は746人、外来患者数は20,046人。入院患者の平均在院日数は10.68日。年間の心エコー件数は3,362件、トレッドミル452件、心電図12,611件、ホルター心電図1,390件

★狭心症、心筋梗塞に対する心臓カテーテル検査を年間570件実施しており、そのうちカテーテルインターベンションは223例で、高度石灰化狭窄病変に対するロータブレーター治療では県下唯一の施設である。冠動脈内エコーを多用して病変の正確な評価を行った上で的確な治療を選択している。薬剤溶出ステントの導入以来、PTCA後の再狭窄は激減している。冠動脈疾患の非侵襲的スクリーニング検査として注目されているマルチスライスCT検査も多用している。重症心不全症例には救急部・ICUと連携し、年間IABP 21例、PCPS 8例の治療をしている

★不整脈診療では、WPW症候群をはじめとする上室性頻拍、心室性頻拍などの心室性不整脈に対する根治療法であるカテーテルアブレーションを本邦で最も早期から積極的に導入した。また、不整脈の画像診断であるelectroanatomical mapping system(CARTOシステム)を国立大学病院では最初に導入して難治性不整脈の治療を行っている。現在の治療症例数(年間177件)では全国トップクラスである。近年では薬剤抵抗性の心房細動に対するカテーテルアブレーション治療を積極的に行い、80%以上の成功率を収めている。致死的不整脈(心室性頻拍/心室細動)による突然死予防や治療のための植え込み型除細動器(ICD)によるデバイス治療患者も県内外から紹介されている。携帯心電計を用いた不整脈疾患の積極的診断を行っている

★心不全症例に対するhANP治療やβ遮断薬、ACE-IやARBを用いた薬物療法の他、近年注目されている心臓再同期療法(両心室ペーシング、ICD治療と合わせて年間25例)を県下で最初に導入して高い治療効果を得ている

施設基準届(循環器関係)=ロータブレーター、経皮的中隔心筋焼灼術、ペースメーカー移植術および交換術、両心室ペースメーカー移植術および交換術、植え込み型除細動器移植術および交換術、大動脈バルーンパンピング法

専門医・認定医=日本循環器学会循環器専門医研修施設、日本内科学会認定教育施設(認定内科医、認定内科専門医)、日本心血管インターベンション学会認定研修施設

臨床指導・カンファレンス=毎朝の入院紹介のほか、週1回の症例検討会および回診を行うことにより手厚い診療を行っている。週2回の心カテカンファレンス、抄読会・勉強会により最近知見を紹介し研鑽に努めている。

医療設備

フラットパネルシネアンジオ装置、MRI、マルチスライスCT、DSA、心臓電気生理学的検査装置2台、CARTOシステム、心エコー、トレッドミル、ホルター心電図、携帯型心電計26台、体表面加算平均心電図、心筋シンチグラフィ、血管内エコー、IABP、PCPSなど。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

腎臓内科

分野

腎臓内科

特色

腎疾患については、蛋白尿、血尿、ネフローゼ症候群から透析導入まで、総合的に幅広い診療を専門的に行っている。特に、糖尿病性腎症の早期診断および進展予防は、国際的な評価を受けている。また、腎疾患は血圧コントロールが重要であるが、当科では携帯型血圧計を用いた積極的管理を行っている。

症例数

本院における腎疾患診療はevidence(科学的根拠)に基づいた治療を十分なインフォームド・コンセントのもとに行うことを基本姿勢としている。原発性および二次性の腎疾患診療を行うのみではなく、腎疾患に関連した膠原病の診療にも積極的に取り組んでいる。年間入院患者約250例、腎生検80例、透析導入50例。CAPD導入も積極的に行っている。慢性腎臓病に対しては、腎機能低下を抑制するとともに心血管合併症の低下を図るために、クリニカルパスを用いた教育入院を導入し、生活・栄養指導、治療薬の選択とともに心血管合併症の評価を行っている。中央診療部門として血液浄化療法も担当しており、透析療法のみではなく、血漿交換や吸着療法も施行している。高血圧に関しては、家庭血圧計のみではなく携帯型血圧計を用いて血圧の日内変動を評価し、外来で的確な治療を行っている。病棟では腎臓内科医以外の内科医とも意見を交換して診療を行っており、多臓器に疾患を持つ患者に即応することができる。

医療設備

血液透析10床、ICU、血管撮影室、超音波装置、CT、MRIなど。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

泌尿器科

分野

泌尿器科

特色

増え続ける泌尿器癌に対し、適確な診断と病期診断のもとに必要かつ十分な治療を施し、完治を目指す。治療にあたっては可能なかぎり患者さんのQOL(生活の質)を重視した医療を行うことを第一の目標とする。表在性膀胱癌や前立腺肥大症に対する経尿道的切除術、近年発展の著しい腹腔鏡手術など、患者さんへの負担がより少ない治療(低侵襲治療)を提供する。特に、早期の前立腺癌に対しては、開腹手術のみならず、腹腔鏡手術(08年3月に県下で二番目の認定施設となった)による治療のほか、滋賀県下で唯一の施設としてブラキセラピー(前立腺癌密封小線源療法)、IMRT(強度変調放射線治療)による外照射治療など、すべての選択肢を用意している。当院の理念でもある「信頼と満足を追求する全人的医療」の実践と人間味のある温かい医療の提供に努める。

症例数

年間手術数は約400件。07~09年の過去3年間の主な泌尿器癌に対する手術件数は、腎癌56例(腹腔鏡手術51例、開放手術5例)、膀胱癌282例(膀胱全摘24例、経尿道的手術242例)、前立腺癌131例(腹腔鏡全摘29例、開放手術12例、ブラキ90例)である

治療成績=腎癌5年生存率(I期98%、II期100%、III期70%、IV期40%)、膀胱癌5年生存率:67%(0期80%、I期75%、II期63%、III期64%、IV期50%)、前立腺癌5年生存率(A期100%、B期100%、C期82%、D1期67%、D2期26%)。

医療設備

MRI、CT、RI(核医学検査)、IMRT、ブラキセラピー、ESWL(体外衝撃波砕石装置)、ヤグレーザー治療装置など。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

整形外科

分野

整形外科

特色

診療内容は整形外科全般にわたり、疾患別に専門外来で診療を行っている。専門外来では、膝関節・スポーツ疾患、スポーツ・肩関節疾患、リウマチ・関節外科、脊椎疾患、骨・軟部腫瘍、手の外科、骨粗鬆症がある。各疾患別専門外来では大学病院としての特色を生かした最先端の医療を行っている。外来ではスポーツ障害、脊椎疾患、変形性関節症、関節リウマチの患者が多い。手術は膝関節・肩関節の関節鏡視下手術、脊椎手術、膝関節・股関節の人工関節手術が主な症例である。

症例数

1日平均外来患者数75人、1日平均入院患者数50人、手術件数は年間約570例。手術症例の内訳は、膝関節の関節鏡視下手術が50例、脊椎手術が150例、膝関節・股関節の人工関節手術が160例、再置換術は約10数例。肩関節手術は50例で、骨・軟部腫瘍の手術も50例を行っている

膝関節・スポーツ疾患=変形性膝関節症やスポーツ傷害に対する加療を幅広く行っている。深い屈曲角度の得られる人工膝関節および小侵襲による人工関節、関節鏡視下の十字靱帯再建術や半月板手術では高い評価を得ており、関節鏡による最小侵襲手術には定評がある。また従来治療困難とされた関節軟骨損傷に対する治療法(軟骨移植術)では世界のパイオニア的存在である

脊椎疾患=頸椎、腰椎変性疾患に対する保存的治療および手術的治療には開学以来の実績がある。また関節リウマチの頸椎炎、OPLL、脊椎腫瘍、多数回手術例などに対しても良好な手術成績を得ている。脊椎・脊髄腫瘍などに対してオープンMRIを用いた新しい手術、診断法を導入している

リウマチ・関節外科=関節リウマチに代表される炎症性疾患、変形性関節症、大腿骨頭壊死症などの関節疾患の保存的治療、外科的治療を行っている。特に関節リウマチの患者さんの数は多く、日本リウマチ学会指導医、認定医が治療を担当している。関節リウマチの治療は関節だけにとどまらず全身的な治療が必要となるが、関連する各科と連携しながら治療を行っている。手術では人工関節置換術症例が多く、人工関節のゆるみに対する再置換術の症例では、骨欠損に対し同種骨移植で対応している

スポーツ・肩関節疾患=投球障害、野球肘、テニス肘などのスポーツによる肩肘関節の傷害に対して保存治療、手術治療を行うほか、スポーツドクターとして傷害予防や能力向上に関する医学的側面からのアドバイスも行っている。また、中高年者の肩の痛みの原因となりやすい五十肩や腱板断裂の治療に関しても、保存治療だけでなく適応のある症例には積極的に関節鏡を用いた手術治療を行い、効果をあげている

手の外科=手根管症候群では関節鏡視下の非侵襲的解放術、また腕神経叢損傷に対する再建術を行っている

骨・軟部腫瘍=原発性骨・軟部肉腫患者については、化学療法を併用して積極的に患肢温存手術を行っている。骨・軟部腫瘍の診断にはオープンMRIを導入し、効果をあげている

足の外科=足の変形、疼痛性疾患に対する診断・治療、また血管性および糖尿病性足部疾患の外科的治療も行っている

骨粗鬆症=骨量の測定および薬物療法を中心とした保存療法を行っている。

医療設備

MRI、オープンMRI、等速性運動機器など。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

小児科

分野

小児医療

特色

臓器別医療に偏ることなく、子どもの成長発達、社会的背景などを考慮した全人的医療を行うよう心がけている。滋賀県下唯一の大学病院の小児科として、全県下の病院から紹介される患者さんへの高次専門医療を行う一方で、周辺地域からの一般紹介患者さんの診療も適宜行っている。さらに、外科、耳鼻咽喉科、眼科、整形外科、放射線科など関連他科との連携も密に行い、幅広い医療を提供している。

症例数

09年度:小児科外来受診者総数14,188人(救急552人を含む)、小児科入院延べ総数8,871人

神経=ウエスト症候群や皮質形成異常など難治性のてんかん症候群を含む各種けいれん性疾患、変性疾患、中枢神経感染症、先天異常、発達障害、その他多様な神経疾患の診断、治療および生活指導を行っている。けいれん(てんかん)性疾患においてはビデオ脳波モニタリング、CT、MRIを基本として、発作間欠時脳血流SPECTやMRSなどを用いた質的診断を含め、多角的な臨床評価を行っている。発達障害に関しては注意欠陥多動性障害(AD/HD)、学習障害(LD)、自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害など、知的発達障害の専門外来を開設している

血液腫瘍=ほとんどすべての小児血液疾患および小児がん疾患に対応し治療を行っている。入院患者は常時10~15人程度で、その内訳は、白血病、リンパ腫、神経芽細胞腫、ウイルムス腫瘍、横紋筋肉腫、脳腫瘍、ユーイング肉腫などの小児がんをはじめとして、再生不良性貧血、血球貧食症候群、血小板減少性紫斑病、各種貧血などである。固形腫瘍については、外科、整形外科、脳神経外科、耳鼻咽喉科、放射線科などと連携、協力しながら集学的治療を行っている。小児科病棟には無菌室が2床あり、造血幹細胞移植も積極的に行っている。滋賀県下では小児領域での日本骨髄移植財団(骨髄バンク)および日本臍帯血バンクの唯一の移植認定施設である

循環器=年間の心臓カテーテル検査数は約40~50例で、先天性心疾患、川崎病をはじめあらゆる小児の心疾患に対し行っている。カテーテル治療は年間3~5例程度で肺動脈弁形成術や術後の狭窄病変解除術、異常血管のコイル塞栓術などを行っている。先天性心疾患の症例には適切な全身管理を行い、手術前の条件を整えるとともに手術後も内科的治療を行っている。また重症の心不全症例は集中治療室と連携し、慎重に全身管理と治療を行っている。不整脈症例では、根治的治療であるカテーテルアブレーションも視野に入れながら治療方針を検討している。冠動脈病変を伴う川崎病症例を積極的に受け入れCT、心臓カテーテル、心筋シンチを用いた正確な冠動脈の評価、治療を行っている

内分泌・代謝=新生児マススクリーニング対象疾患(先天性甲状腺機能低下症、先天性副腎皮質過形成症など)を含む甲状腺疾患、副腎疾患、低身長など成長に関する疾患、思春期に関する疾患、その他先天性代謝異常(フェニルケトン尿症、ホモシスチン尿症)、糖原病についての診療を行っている。また、遺伝性非抱合型高ビリルビン血症(Gilbert症候群、Crigler-Najjar症候群、母乳性黄疸)の診療も行っている、診断は遺伝子診断などの先端技術を駆使して行っている。とくに遺伝性非抱合型高ビリルビン血症の診断については、国内外の多数の施設より診断の依頼があり遺伝相談などに応じている

新生児=新生児集中治療管理室(NICU)はNICU9床、GCU12床の認可を受けて24時間365日の体制で専属医師が常駐し、緊急入院や管理に対応している。早産児や低出生体重児の全身管理以外にも先天性心疾患・先天性代謝疾患・神経疾患など小児科における高度の専門管理を要する新生児疾患に対しても、それぞれの専門医師と連携をはかりながら管理を行っている。また院内産婦人科医師とのカンファレンスを定期的に行い、ハイリスク分娩に対して連携を深めている。NICU退院後のフォローアップに対しても、新生児部門はもちろん小児循環器部門、小児神経部門などの小児専門外来にても定期的な診察を行っている

腎臓=種々の糸球体腎炎、ネフローゼ症候群など、各種の小児腎疾患の診療を行っている。急性および慢性腎不全に対する血液透析・腹膜透析などの血液浄化療法や、学校検尿などで異常を指摘された小児の診断・治療を行っている。難治性ネフローゼ症候群や腎炎に対しては、腎生検による組織診断を実施し、適切な診断を行って、不要な制限や入院を可能な限り避けるように配慮している。県内の多くの施設から腎疾患診療に関する相談を受けている。ネフローゼ症候群の患者会サポートも行っている

アレルギー疾患=気管支喘息は、ガイドラインによる診断と治療を基本として、幅広い選択肢から個々の患者さんに適した治療法を選んでいる。アトピー性皮膚炎は、その原因を精査しながら抗アレルギー薬内服とステロイド薬外用を基本として治療を行っている。食物アレルギーについては血液検査などの原因食物精査結果をもとに日常の食事へのアドバイスを行い、また制限食物の摂取可能時期を調べるために積極的に食物負荷テストを実施している。

医療設備

付属病院は特定機能病院として厚生労働省より認定を受けており、あらゆる疾患に対し、最新の医学に基づいた医療ができるように心がけている。院内に大津市立瀬田東小学校分校(ひまわり学級)あり。中学生には滋賀県教育委員会派遣の教師による個別訪問指導(5教科)が行われている。それ以外に月1回程度のボランティアによるイベントも行われる。小児科の病棟は5階A病棟にあり、病床数は一般小児科23床、NICU9床、GCU12床の計44床である。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

眼科

分野

眼科

特色

最新の診断機器や手術装置を導入し診療にあたっている。難治性疾患に関しては初診で診察した後にそれぞれ専門クリニックの医師が担当し、各分野での適切な診療を心がけている。特に黄斑疾患を含む網膜硝子体疾患と斜視弱視・眼筋麻痺分野では国内外で積極的な活動を行なっている。硝子体手術や斜視手術に加えて、白内障手術、緑内障手術も積極的に行っている。

症例数

09年度の外来患者数は初診患者数2,375人、延べ患者数24,854人。年間手術件数1,195件で、内訳は網膜硝子体手術398件、白内障629件、斜視手術59件、緑内障61件、その他48件

★網膜硝子体クリニックでは、最新の検査機器、手術装置を導入することにより診断から治療まで迅速かつ正確に行える体制をとっている。近年問題となっている加齢黄斑変性に対しては抗VEGF療法や光線力学的療法を積極的に行っている。黄斑上膜、黄斑円孔や増殖糖尿病網膜症に対しては積極的に硝子体手術を行っており、患者さんに負担が少ない無縫合硝子体手術も積極的に導入し低侵襲手術を努めている。網膜剥離に対しては緊急手術を含めて随時対応している。網膜静脈閉塞症には薬物療法に加えて硝子体手術も行っている

★斜視弱視・眼筋麻痺クリニックでは、通常の斜視弱視に加えて、眼筋麻痺による複視に困っている小児から成人までの幅広い年齢層の方を対象に、5人の視能訓練士がさまざまな斜視や両眼視の検査を行い、この分野で豊富な経験をもつ3人の医師が専門に診療を担当している

★ロービジョンクリニックでは、視力あるいは視野に障害があり、視覚的に行動制限がある患者さんを対象に残存している視機能で何がしたいか、そして何ができるかを適切に診断し対応している。微小視野計を用いた固視機能改善のための訓練や拡大読書器やルーペなどの処方を通じて、日常生活の質の向上に努めている

★緑内障クリニックでは、通常の細隙灯顕微鏡検査や眼圧測定に加え、超音波生体顕微鏡装置、自動視野計、光干渉断層計などを用いて、緑内障の診断だけではなく進行の程度を把握し、それぞれの病態に応じた治療を行っている。点眼治療を基本としているが、点眼治療で十分に効果が得られない場合には、視野が進行して手遅れになる前にトラベクロトミー、MMCトラベクレクトミーをはじめとする手術を病態に応じて適切に選択し行っている。さらに手術療法の改良や開発にも積極的に取り組み、より良好な成績の達成に努めている

★コンタクトレンズクリニックでは、通常の処方が難しい円錐角膜や無水晶体眼などに対するコンタクトレンズを処方している

★色覚クリニックでは、色覚異常の正確な診断に加えて、遺伝子異常の検索も行っている。色覚異常に起因する諸問題の相談にも対応している。

医療設備

各種レーザー治療装置(光線力学療法用レーザー、マルチカラーレーザー、PASCALレーザー、ヤグレーザー、赤外線レーザー)、硝子体手術装置、超音波白内障手術装置、光干渉断層計(OCT)、Scanning Laser Ophthalmoscope(SLO)、IOLマスター、超音波生体顕微鏡装置、網膜電図、蛍光眼底撮影装置、超音波断層装置、角膜形状解析装置、ハンフリー視野計、微小視野計(MP-1)、大型弱視鏡。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

耳鼻咽喉科

分野

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

特色

中耳・内耳外科(人工内耳)、鼻副鼻腔外科、頭頸部腫瘍外科、音声外科など手術治療に力を入れる一方で、アレルギー性鼻炎に対する減感作療法など難治性疾患に対する特異的な治療、嚥下障害、嗅覚・味覚障害に対する専門外来の開設などQuality of life(QOL:生活の質)向上を目指した診療を実践している。

症例数

年間外来患者数は約20,000人、年間入院患者数約600人、年間手術件数は約450件

頭頸部癌=入院患者数の半数以上を占める。手術、放射線、化学療法による集学的治療を行っている。手術症例は年間約130例。甲状腺腫瘍や唾液腺腫瘍は超音波検査や穿刺細胞診を外来で行い、正確な術前評価のもとに手術を行うとともに、術後の定期診察にも万全の体制を整えている。口腔咽頭腫瘍は構音・嚥下機能に留意した治療に取り組んでいる。腫瘍切除とともに再建手術にも力を入れ、形成外科医と共同で行う遊離組織移植手術では移植組織の生着率は95%以上と良好である。放射線治療は症例により抗癌剤の同時併用療法や交替療法なども行い、毎週放射線科とカンファレンスを行って、個々の症例に最適な治療を心がけている

アレルギー性鼻炎=薬物療法で十分効果の得られない難治例の紹介が多い。患者さんの希望に合わせ、減感作療法や外来でのレーザー治療、症例によっては下鼻甲介切除術を行い良好な成績を収めている

鼻・副鼻腔疾患=副鼻腔炎ではマクロライド系抗生物質少量長期投与による薬物治療と内視鏡手術が中心である。内視鏡手術は年間100例以上あり、副鼻腔炎にとどまらず、鼻・副鼻腔腫瘍や眼窩骨折などにも応用している。また副鼻腔嚢胞疾患には、2000年に日本で初めて導入された術中MRシステムを用い安全・確実な手術が可能である

中耳・内耳手術=真珠腫性中耳炎、慢性中耳炎に対する手術が中心で年間約70例行っているが、その他耳硬化症、耳小骨離断、外リンパ漏などの疾患も多く、手術を手がけている。真珠腫性中耳炎では一期的手術が多いが、再発防止のため症例により二期的手術を選択し良い成績をあげている。耳漏停止、聴力改善といった手術目的を達成しつつ、入院期間も2週間以内と短いのも特徴である。両側高度感音性難聴への人工内耳手術も対応可能である

睡眠時無呼吸症候群=脳神経センター睡眠外来と協力し、小児へのアデノイド切除・口蓋扁桃摘出術、成人への咽頭形成術など外科治療を行っている

音声外科=年間約45例声帯ポリープなどへの喉頭微細手術や反回神経麻痺に対し、喉頭枠組み手術を行い良好な音声を獲得している。早期喉頭癌にはレーザー切除術も積極的に行っており、音声面でも満足のいく成績をあげている。喉頭全摘症例にも、気管食道シャントを作成し、音声再獲得を行っている。嚥下障害への外科治療も音声機能温存を第一に考え、嚥下機能と音声機能の両立を図っている

神経耳科(めまい、難聴、耳鳴)=病院開設以来定評があり症例も多い。各種検査機器も揃っており、適切な診断・治療が可能である

嗅覚・味覚障害=嗅覚や味覚の低下・消失に悩む患者さんは多いにもかかわらず、こうした障害の原因や程度を評価する設備の整った施設は少ない。当科では06年より検査設備を整え専門外来を開設し、検査・評価から症例に適した治療に取り組んでいる。

医療設備

MRI、オープンMRIシステム、CT、レーザー(KTP、YAG)、鼻内視鏡、電子スコープ、超音波装置、音声機能検査機器、人工内耳関連機器、耳科検査機器(聴力検査装置、聴性脳幹反応、耳音響放射、蝸電図、乳幼児聴力検査)。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

歯科口腔外科

分野

歯科口腔外科

特色

口腔顎顔面の疾患全般(外傷・骨折、炎症、腫瘍、嚢胞、顎変形症、顎関節疾患など)に対し、診断と治療を行っている。最近では特に、骨移植を必要とする難易度の高い口腔インプラント治療および顎変形症の治療に力を入れている。口腔インプラントと顎変形症については独自の地域連携インプラントシステム、地域連携顎矯正治療システムを構築し、地域の開業歯科医と連携した治療を行っている。また、日本口腔インプラント学会指定研修施設に認定されている。

症例数

08年度における初診患者数は2,096人、外来小手術件数は705件、中央手術件数は111件である。中央手術の内訳は顎変形症15件、腫瘍19件、口腔インプラント21件、嚢胞18件、骨折12件、その他26件である

★口腔インプラントはあらゆる症例に対応しており、関連する骨移植術はGBR、オンレーグラフト、サイナスリフトなどで様々な術式に対応している。口腔インプラントの成功率は高く、上顎は94.1%、下顎は96.6%である

★顎変形症に対しては、下顎骨形成術、上下顎骨同時形成術、オトガイ形成術などの術式を症例に応じて選択し、重度の顎変形症にも対応している

★顎関節症に対しては、保存的療法、上関節腔洗浄療法、顎関節内視鏡下関節授動術を行っており、良好な治療成績が得られている

★口腔悪性腫瘍に対しては、術前化学療法、放射線療法、手術療法を組み合わせた集学的治療を行っており、高い治療成績が得られている。

医療設備

CT、MRI、超音波診断装置、放射線治療装置、口腔インプラントシステム、顎関節内視鏡システムなど。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

皮膚科

分野

皮膚科

特色

滋賀医大附属病院の理念は「信頼と満足」がキーワード。この理念にもとづいて、当科では湿疹や足白癬(水虫)などの日常的な疾患から、希少または難治性疾患まで、あるいは、良性の疾患から悪性の疾患(癌など)まで、幅広い皮膚疾患に対応できるように努めている。質の高い医療の提供を目指しているが、特殊療法に偏ることなくオーソドックスな治療法を主体とし、治療の第一選択としては、スタンダードなものを採択し、医学的に評価の定まっていない治療法は第一選択には採用していない。最先端に属する検査法や治療法を用いることがあるが、ご本人に説明と同意取得を十分に行うように努めている。

症例数

09年度の年間の延べ外来患者数は17,845人。1日平均73.46人。延べ入院患者数313人、中央手術室での手術件数304件、皮膚生検年間数約600件、医療法上の紹介率49.11%。すなわち、他院からの紹介が多いことが特徴である。皮膚科がカバーする分野を万遍なく診察治療できるようにしているが、急性期基幹病院の性格から、入院適応のある方、紹介状のある方を優先する。先端医療/高度医療として認可されているものには、皮膚隆起性線維性肉腫の遺伝子診断があり、症例数を重ねている

★湿疹皮膚炎群に対しては、ステロイド外用を第一選択とし、症状、部位に応じて、補湿剤、免疫抑制剤外用剤を組み合わせている。かゆみには抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤を用いている。悪化因子の検索は湿疹群では貼布試験など蕁麻疹群ではプリックテストや食物負荷試験で検索している

★尋常性乾癬をはじめとする炎症性角化症や角化症には、ステロイド外用剤やビタミンD誘導体外用剤を第一選択とし、必要に応じて、ビタミンA誘導体内服、免疫抑制剤内服、光線療法、生物学的製剤などを組み合わせている

★入院の適応は、重症の丹毒、蜂窩織炎、帯状疱疹などの急性感染症、水疱症などの自己免疫性疾患や膿疱症、皮膚悪性腫瘍、皮膚潰瘍、膠原病、重症の薬疹などであり、水疱症ではステロイド内服、血漿交換療法、免疫抑制剤内服、免疫グロブリン大量療法、必要と判断される時にはパルス療法等を行い、ほぼ全例で寛解状態になっている。感染症では、原因によって抗ウイルス剤を用いたり、抗生物質を用いた点滴を行う。重症化したものは外科的な切開が必要なケースもある

★手術は良性腫瘍、悪性腫瘍を、手術の難しさ、麻酔の種類、範囲の大きさで、入院手術と外来手術(日帰り手術)に分けている。術式は、良性腫瘍摘出術、悪性腫瘍切除術、単純縫縮、皮弁作製法、植皮術、リンパ節郭清術などを組み合わせる。最も重視している考え方は標準治療の提供である。標準治療とは「現在までにしっかりとした治療成績の証拠のある治療法のうちで、最も優れた方法」と考えて頂きたい

★悪性腫瘍は手術のみではなく、化学療法、放射線療法を組み込み集学的治療を行うことがある。検査は、診断のための検査、治療効果を見るための検査に分けられるが、大雑把には貼布試験やプリックテスト等のアレルギーの有無を見る検査、良性悪性の区別に威力を発揮する皮膚生検、光線過敏症等の日光と病気の関係を知る光線検査、真菌症(ミズムシ)やウイルス感染症を調べるための苛性カリ法直接検鏡やツァンク試験、感染性の培養同定、血管の状態を見るルンペルリ-デ試験、ドプラ検査。画像検査は、エコー、CT MRI などを行っている。

医療設備

病院の共通機器にエコー、CT MRI などがあり、皮膚科特有の機器には、局所型紫外線照射装置、全身型紫外線照射装置、炭酸ガスレーザー、アレックスレーザー、ダーモスコピーなどがある。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

神経内科

分野

神経内科

特色

広く神経内科領域の疾患に携わっている。脳血管障害については、脳神経外科・救急集中治療部とともに、超急性期治療にも積極的に対応している。脳炎などの重症炎症性疾患や診断に難渋する症例の紹介も多い。同一講座の代謝内分泌・腎臓内科の教授回診と診療科長回診および毎週の症例検討会で、内科的問題点の抽出や診断・治療方針を決定している。外来では、ボツリヌス外来(片側顔面けいれんなど)・難病外来を設けている。

症例数

年間の神経内科全入院患者数は約200人。1日平均外来患者は50人。救急車搬入は年間約60台

★脳血管障害では、神経内科・脳神経外科・救急集中治療部の合同で、発症3時間以内の超急性期脳梗塞に対してtPA治療を実施している。当院は24時間体制でCT/MRI対応が可能であり、脳梗塞早期診断の後、病態(脳塞栓症・アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞)に応じて、抗血小板薬・抗凝固薬・脳保護薬・抗浮腫薬などを適宜用いて治療を行っている。入院後早期からリハビリテーション(理学療法・言語療法)と危険因子把握による二次予防対策を実施している。嚥下困難例には、NST(栄養サポートチーム)と連携し嚥下造影や喉頭鏡検査で評価を行い、必要ならば胃瘻造設を行っている。リハビリテーションの継続が必要な症例は、回復期病棟をもつ他院へ紹介している

★神経変性疾患では、パーキンソン病をはじめ、多系統萎縮症・進行性核上性麻痺・脊髄小脳変性症・筋萎縮性側索硬化症・皮質基底核変性症などの検査入院・合併症治療を行っている。診断にはMRI・MR spectroscopy・脳血流シンチグラフィ(SPECT)の3次元解析・心筋シンチグラフィなどを用いた総合的な診断に心がけている。当院ではパーキンソン病の定位脳手術による治療はできないが、これまで数例を関連実施施設へ紹介し、外科治療についての一定の適用基準を有している。当院は滋賀県の難病拠点病院の一つであり、継続看護室・ソーシャルワーカーらとともに難病患者の在宅治療への橋渡しを行い、レスパイトも可能な限り受け入れる。痙性対麻痺については、バクロフェン髄腔内持続投与に関して脳神経外科とともに準備中である

★末梢神経・筋疾患については、電気生理学的検査・神経筋生検を用い診断を行っている。特に糖尿病性神経障害は安田教授の専門分野で、種々の臨床治験も豊富である。ギラン・バレー症候群や慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーなどの免疫性末梢神経障害には、免疫グロブリン大量療法や血漿交換療法などの免疫療法を行っている

★ミトコンドリア脳筋症は、比較的稀な疾患であるが、筋生検や遺伝子診断を駆使して診断に努めている。また、脳卒中様発作を伴うMELASについては、新しい治療を目指して特許を公開し、症例の集積を行っている

★髄液減少症(低髄液圧症候群)についての問い合わせや受診も増加しつつある。造影MRI・脳槽シンチグラフィ・ミエログラフィなどを用いて診断し、麻酔科と協力して自家血パッチによる治療を行っている

★診断に苦慮され紹介されたり、セカンド・オピニオンを求められた症例には、傍腫瘍性小脳変性症・クラッベ病・原発性進行性失語症・眼咽頭筋ジストロフィー・家族性脳石灰化症・近位型遺伝性運動感覚ニューロパチー・鎖骨頭蓋形成不全症・先天性拘縮性くも状指症など稀少疾患もあるが、的確に診断している。

医療設備

CT 2台、MRI 2台、核医学(脳血流・心筋シンチグラフィ)、脳血管撮影、心エコー、経食道心エコー、脳波、末梢神経伝導検査、筋電図、磁気刺激誘発電位、各種誘発電位、頸動脈超音波、神経心理学的検査など。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

脳神経外科

分野

脳神経外科

特色

脳血管障害(脳卒中)、脳腫瘍、下垂体病変、頭部外傷、脊椎脊髄疾患、小児脳神経外科、機能外科などを対象とし、難治性の脳血管障害、多角治療を要する悪性脳腫瘍、高度な技術を要する頭蓋底・深部病変から、通常の疾患まで脳神経外科領域全般に対応しており、救急患者も積極的に受け入れている。脳血管内手術、神経内視鏡手術を積極的に導入し、また、安全かつ正確な治療を行うために、ニューロナビゲーターおよび術中モニタリング、覚醒下手術などを行っている。救急集中治療部の協力のもと、重症頭部外傷や一部の脳卒中症例に脳低温療法を行い、脳梗塞超急性期(発症3時間以内)に対して迅速に対応できるように、神経内科・放射線科と共同で脳卒中コール体制を敷いている。機能外科として、顔面痙攣や三叉神経痛に対して治癒率の高い手術を行っている。変形性脊椎症や認知症の専門外来としてそれぞれ脊椎脊髄外来および物忘れ外来を開設している。その他、脳脊髄液減少症の診断・治療、痙性麻痺に対するバクロフェン持続髄注なども行っている。

症例数

病床数は20~25床。年間の外来新患者数は550~600例、入院患者数350~400例(脳卒中35%、脳腫瘍35%、頭部外傷10%、脊椎脊髄疾患10%、その他10%)、手術件数は250~300件、紹介入院患者60%

★脳動脈瘤(年間40例)については開頭術、血管内手術の両方が可能である。くも膜下出血の原因である破裂脳動脈瘤の治療340例の追跡調査では、術前に意識がはっきりしていれば85%、意識障害が軽度の場合は62%が社会復帰している。未破裂脳動脈瘤に対しても、巨大脳動脈瘤を含め、良好な成績を得ている

★脳・脊髄動静脈奇形(年間10~15例)に対して積極的に外科治療を行っている。また、脳動静脈瘻、硬膜動静脈瘻に対して脳血管内手術を行い良好な成績を得ている

★頚部内頸動脈の狭窄に対しては内膜剥離術、ステント留置術の両方を行っている。椎骨動脈の狭窄に対しても脳血管内手術を行っている

★モヤモヤ病(年間10例)に対しては、頭蓋内外吻合術を行い、良好な結果を得ている

★頭部外傷も積極的に受け入れ、重症例に対しては救急集中治療部において脳低温療法を行い、治療成績は向上しつつある

★脳腫瘍は年間60~70例の手術を行っている。ナビゲーターや術中モニタリングを導入し、また覚醒下手術、内視鏡手術を行い、機能温存を心がけている。悪性神経膠種の5年生存率はgrade3で40%、grade4で10%である。小児脳腫瘍では小児科と協力して化学療法を行っており、髄芽種の5年生存率は90%を超えている。下垂体病変は年間10~20例で、内視鏡手術を主体としている

★三叉神経痛や顔面痙攣症は年間10例で、微小血管減荷術が有効で良好な成績である

★脊椎脊髄外科も積極的に行っており、腰痛や歩行障害をきたす椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、後縦靭帯骨化症、脊髄空洞症、脊髄腫瘍、脊椎脊髄外傷などに対応している

★小児の水頭症、脊髄髄膜瘤(脊椎披裂)に対しても専門的な治療を行っている。

医療設備

MRI、垂直開放型術中MR装置(IVMR)、CT、Xe-CT、SPECT、DSA、超音波エコー、超音波ドプラ、体性感覚誘発電位装置、コンピューターガイド脳外科手術装置(ニューロナビゲーター)、定位脳手術装置、脳神経内視鏡、Xナイフなど。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

乳腺・一般外科

分野

乳腺・内分泌外科

特色

滋賀県のがん拠点病院であり、腫瘍センターや放射線科、臨床病理、緩和医療など多部門と協力の上、最新かつ総合的な乳癌治療を行うことを目指している。乳房温存率は09年度87%であり、乳房温存が可能である症例に対して、Dynamic MRIや術中迅速病理診断などを利用し、詳細な検討のもとに切除範囲を決定して温存手術を行っている。また、赤外線蛍光法を用いたセンチネルリンパ節生検術や、内視鏡手術を積極的に行い、低侵襲で整容性にすぐれ、かつ根治性を保った手術を目標に手術を行っている。形成外科専門医と共同で乳房再建術(シリコンも含む)にも取り組んでいる。平均在院日数は4~6日で、早期に社会復帰を図っている。薬物療法はEBM(科学的根拠)に基づいた治療を、腫瘍センター(化学療法部)にて行い、全国レベルの臨床試験にも多数参加しており、当科独自の臨床試験も行っている。

症例数

年間の乳癌手術件数は約80例、非浸潤癌の手術件数も増加している

★診断については外来診察時にエコーやマンモグラフィを利用しており、エコーガイド下の針生検やマンモトームを積極的に行って早期乳癌の、迅速病理検査を利用して確定診断をし、速やかに治療を行っている

★乳房温存術は日本乳癌学会のガイドラインにそって腫瘍径が3cm以下の場合に行っており、それより大きな腫瘍の場合には術前化学療法を行い、腫瘍を小さくしてから乳房温存術を行っている

★乳房切除術を行う場合は、同時乳房再建または異時乳房再建術を視野に入れて行っている

★腋窩リンパ節郭清術はレベルIIまでの郭清を標準としているが、術前にリンパ節転移陰性と判断された患者様には積極的にセンチネルリンパ節生検術を行って、リンパ浮腫等の合併症を極力少なくしている

★化学療法は、腫瘍センター(化学療法部)と提携し、外来治療を原則としており、EBMに基づいた治療、さらに臨床試験も積極的に取り入れている

★放射線治療は、本院放射線治療専門医と相談の上行っている

★当科の5・10年生存率はそれぞれ進行度I期96%・92%、IIA期92%・86%、IIB期87%・82%、IIIA期84%・70%、IIIB期77%・62%、IV期23%・0%。

医療設備

MMG、US(エラストグラフィー)、CT、MRI、シンチグラム、PET(他施設に依頼)、放射線治療装置(リニアック、電子線)、PDE(センチネルリンパ節生検用)、超音波ガイド下マンモトーム、他。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

放射線科

分野

放射線科

特色

常勤医、非常勤医合わせて、16人の放射線科専門医が、病院内の画像診断および放射線治療を担当している。画像診断では、全身の単純X線写真、造影X線写真、CT、MRI、超音波、消化管や尿路の造影検査等、大部分の画像検査の読影を担当し、PACSによって画像とレポートを院内に配信している。また、IVR-CTを使い、各診療科からの血管造影やインターベンショナル・ラジオロジー(IVR)の依頼に対応している。大学病院ではあるが、放射線科と各診療科との連携が緊密である点に特色があり、特に消化器領域、呼吸器領域では、放射線部内で内科、外科、放射線科合同のカンファレンスを定期的に開催し、診療にあたっている。また、当放射線科のIVRの特徴として、新しい治療材料や治療手技の開発に重点を置き、そのための基礎研究を続けながら、臨床応用を目指している点をあげることができる。一方、放射線治療部門では、CTやコンピューターを駆使した高精度の放射線治療を実施しており、特に、前立腺癌に対しては、密封小線源治療とともに強度変調放射線治療(IMRT)を行っている。

症例数

★画像診断部門における08年度の検査件数は、単純X線写真67,859件、造影X線写真3,357件、CT 17,971件、MRI 6,686件、核医学検査1,972件、血管造影およびIVR 659件であった。肝腫瘍に対するCTアンギオなどの精密な画像診断とともに、消化器カンファレンスを経て選択的肝動脈塞栓術や抗癌剤動注、あるいはラジオ波焼灼術を行っている。血管塞栓術においては、当科で開発したシスプラチン徐放ゼラチン粒子を肝腫瘍に対する塞栓物質として使用開始し、現在その有効性を検証しているところである。また、血管狭窄性病変に対しては、血管形成術やステント留置術、下肢静脈血栓症に対しては下大静脈フィルターの挿入、あるいは交通外傷に対する止血等、救急症例を含め、IVRの適応症例には迅速に対応している。さらに各診療科からの依頼に応じて、IVR-CTを用いた各種生検、膿瘍ドレナージ、経皮的椎体形成術などのIVRを積極的に行っている。乳腺画像診断では、当科も開発に参加した高精細のデジタルマンモグラフィ装置によって、951件のマンモグラフィ撮影を行い、認定を受けた放射線科医が読影を担当している

核医学部門=3台のSPECT装置を用いて、骨関節、脳神経、腫瘍、循環器等の核医学検査を施行し、大部分の検査の読影を核医学認定医が行い、画像およびレポートは院内配信している

★放射線治療部門における08年度の治療実績は371件で、内訳は頭頸部癌37件、肺癌86件、乳癌65件、泌尿器・生殖器癌89件、その他94件であった。脳腫瘍に対しては特殊な治療としてリニアックを用いた定位照射(Xナイフ)も行っている。また、肺癌に対しても適応があれば呼吸同期下の定位的放射線治療を行っている。子宮癌に対してはマイクロセレクトロンを用いたリモートアフターローディングシステム(RALS)での高線量率小線源治療を外照射に併用することで、治療成績の向上を図っている。子宮頸癌の5年局所制御率は、I期100%、II期90%、III期80%、IV期86%と良好である。前立腺癌に対しては治療計画用コンピューターを駆使したIMRTをこれまでに65例に実施し、現在のところ全例再発なく経過しており、06年11月1日には先進医療として認定されている。早期の前立腺癌に対しては、ヨウ素125密封小線源永久挿入療法を年間30~40例実施している。加えて、骨髄移植のための全身照射も年間10例ほど実施している。

医療設備

MRI、IVMR、MDCT、IVR-CT、デジタルX線撮影装置、デジタルマンモグラフィ、デジタルX線テレビ、リニアック、マイクロセレクトロン、前立腺密封小線源治療装置など。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

ペインクリニック科

分野

ペインクリニック

特色

専門性の高い診療体制を整えるため、07年6月から付属病院の麻酔科は、麻酔科とペインクリニック科に分かれた。ペインクリニック科では、ペインクリニックの対象となる様々な痛みに応じて、抗うつ薬、抗てんかん薬、抗不整脈薬、漢方薬などの薬物療法、神経ブロック療法、精神心理学的療法、脳神経外科的療法をバランスよく組み込み、患者さんにとってベストの治療を提供している。X線透視下神経ブロック療法と低侵襲手術療法を中心的治療としており、放射線部で多くの治療を行っている。脊椎疾患の治療手段が豊富で、最先端のパルス高周波法、椎間板内治療法を積極的に導入してきた。腰椎椎間板ヘルニアは様々な最新の椎間板内治療を取り入れることにより、90%程度の患者が手術することなく保存的治療で治癒できるようになった。

症例数

1日の外来患者数は約60人~70人、火曜日午前、金曜日は1診のため予約患者のみとしている。院内整形外科をはじめ、県内外の整形外科、皮膚科などの開業医、基幹病院から多数の患者が紹介されている。ペインクリニックの患者数は飛躍的に増加してきており、07年度6月からペインクリニック科が設立され、助教、非常勤講師の採用によって患者数の増加に対応している

★X線透視下神経ブロック療法は、ペインクリニックでは最も重要な治療手段で、中心的治療と位置づけており、月、水、木曜日の午後は放射線部で、X線透視下の神経ブロック治療を行っている。X線透視下治療は年間約1,300件程度である。その中でも高周波熱凝固法、パルス高周波法(P-RF)は約600件施行している

★脊椎疾患に対しては、通常の治療(腕神経叢ブロック、神経根ブロック、椎間板造影・ブロック、仙骨硬膜外造影、ブロック、交感神経節ブロック、椎間関節ブロックなど)に加えて、先進的な治療としては、椎間板内高周波熱凝固法(IDET)、椎間板パルス高周波法による椎間板性腰痛に対する治療、ラッツカテーテル、硬膜外内視鏡による脊椎手術後疼痛に対する治療、慢性頸部痛、慢性腰痛に対する後枝内側枝高周波熱凝固法、神経根に対するパルス高周波法、仙腸関節痛に対する高周波熱凝固法、パルス高周波法などを行っている。また、椎間板ヘルニアによる腰下肢痛に対しては経皮的髄核摘出術、椎間板内加圧注入療法などの椎間板内治療法を積極的に導入してきた。このような治療で腰椎椎間板ヘルニアによる腰下肢痛は、90%程度の患者が保存的治療で治癒できるようになった。難治性の椎間板性腰痛の患者に対しては、IDETを施行してきたが、最近はより低侵襲の椎間板パルス高周波法を行っている

★帯状疱疹後神経痛などの神経障害性疼痛に対しては、神経根のパルス高周波法や、世界標準のガイドラインに基づいた投薬治療を行っている

★三叉神経痛に対しては、関連施設と提携して三叉神経痛に対するガンマナイフ治療を行っている。また超音波ガイド下、X線透視下の高周波熱凝固法、パルス高周波法も施行している

★肩関節痛のなかでも、肩関節周囲炎の痛みに対しては、肩甲上神経のパルス高周波法や、超音波ガイド下の肩峰下滑液包ブロックを行っている

★難治性慢性疼痛に対しては、神経内科、脳神経外科、心療内科、精神科、リハビリテーション科など院内外の関連各科と連携しつつチーム医療を行っている。院内の痛みに関連する各診療科との関係は非常に良好である。またMR Spectroscopyによる前頭前野、前帯状回の局所脳神経機能を評価する試みを行っている

★緩和ケアは、木曜日の緩和ケア外来で、非常勤講師を中心にオピオイドや鎮痛補助薬の使用法、副作用対策などを中心にコンサルトに応じている。緩和ケアチームと密接な連絡のもと、痛みに苦しむことのない病院づくりを目指している。

医療設備

最新のパルス高周波法が可能な高周波熱凝固装置、神経ブロック用電動ベッド、X線透視・撮影装置、超音波透視・診断装置、硬膜外内視鏡、MRI、CT線透視・撮影装置、MRスペクトロスコピー。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

救急・集中治療部

分野

救急医療

特色

救急部と集中治療部を専任常勤医師のみで一体運営(ICU・CCU 6床、一般救急病棟4床)を行い、総合診療部との協力体制で、1次から3次救急の初期診療から重症管理までを24時間体制で行っている。集中治療部では、術後症例(心臓血管外科を除く)、CCU、Respiratory ICU、ストロークICU(脳低温療法)、急性血液浄化、小児ICU(新生児を除く)の治療管理を行い、病診・病病連携により集中治療を要する院外重症症例も受け入れている。また、災害拠点病院としてDMATチームを有している。

症例数

" 09年度救急患者数3,372人(1次2,496人、2次592人、3次284人)、そのうち救急車搬入患者1,990人で、ICU・CCU延べ患者数は2,268人(稼働率103.6%)である

★心肺停止患者は蘇生後、脳低温療法を積極的に行っている。世界標準に準拠した2次救命処置で反応しない急性冠疾患患者は、循環器内科、心臓血管外科との協力体制下に、PCPS(経皮的人工心肺補助装置)・IABP(大動脈内バルーンパンピング)、冠動脈カテーテル検査、心拍動下冠動脈バイパス術等を行い、早期での社会復帰を目指している

★ARDS(急性呼吸促迫症候群)は、NIPPV(非侵襲的陽圧換気)やNO療法も行っている。一般病棟の人工呼吸器の管理・指導を臨床工学センターと協力して行っている

★敗血症ショック・DIC・多臓器不全の予測死亡率平均68%の症例群に対し、急性血液浄化法を含む集中治療を行っている(28日後死亡率21%)

★急性血液浄化法は、急性肝・腎不全、重症膵炎および重症敗血症の補助治療(CHDF、PMX-DHP、PE、PDFなど)として積極的に行っている。"

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

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