専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

飯塚病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

呼吸器内科

分野

呼吸器内科

特色

当院は筑豊地区唯一の24時間対応の救命救急センターを併設し、あらゆる呼吸器疾患を対象としている。このため急患センターから入院する肺炎、気胸、呼吸不全などの急性期疾患から慢性期の管理を必要とする気管支喘息、COPD、呼吸不全の在宅酸素療法、睡眠時無呼吸など広範囲な疾患の治療・管理を行っている。近年増加している肺癌治療には特に力を入れており、西日本がん研究機構(WJOG)やLOGIKなどの肺癌研究グループなどに属し、最新の医療情報を基に最高の治療を行うように努めている。総合病院という特性を生かして呼吸器外科、放射線科など多くの診療科と緊密な連携をとり、各専門領域の意見を取り入れて最適な治療を受けられる環境を整えている。また地域の病院・診療所とも円滑な連携を行っている。

症例数

2008年1月~12月の入院患者実績は、入院総数810名。主な疾患は肺癌235、肺炎220、気管支喘息51、気胸51、COPD・慢性呼吸不全39、間質性肺炎26であった。入院期間中央値(日)は肺炎14.5、肺癌20、気管支喘息9、COPD・慢性呼吸不全23、間質性肺炎18.5であった。透視設備のある内視鏡室を使用しての気管支鏡検査は2008年には329例施行され、原発性肺癌に対する気管支鏡での診断率は81%である。これ以外にベッドサイドでも年間100例以上の気管支鏡を使った処置・検査を行っている。主に手術不能の進行肺癌に対して行われる化学療法は、2008年には149例の患者さんに対して施行されており、分子標的薬の登場により治療成績は確実に向上している。

医療設備

64列CT、MRI、リニアック照射装置、電子内視鏡、マイクロ波、気管ステント。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

心臓血管外科

分野

心臓血管外科

特色

当院では心臓大血管から末梢血管、不整脈デバイスまで成人心臓血管疾患の全般を治療対象としている。近年の高齢化に対応すべく、胸部腹部の大動脈ステント治療、内視鏡下のグラフト採取などより低侵襲な治療法の導入も行っている。ことに大動脈瘤ステント治療は2006年の治療導入以来、年々徐々に増加(年間30-40例)しているが、指導医の資格も取得、さらにhybrid手術も導入してハイリスク症例における弓部、胸腹部動脈瘤への適応拡大にも努めている。また冠動脈バイパス術においてはより高度かつ多枝病変が増加しつつあるが完全血行再建につとめ、平均のグラフト本数もほぼ4本となっている。また当院においては救急医療に力を入れており、筑豊全域、時には福岡、北九州市からの緊急手術症例を受け入れている。このため当科でも重症緊急症例も多く救急部、麻酔科、循環器科、手術室との連携を大切に治療に当たっている。さらに地域性もあり高齢症例が多く、ADLの保たれた症例に関しては積極的に手術治療を行っており90歳代の腹部大動脈瘤、80歳代後半の開心術、胸部大動脈瘤症例など超高齢症例が多いのも特色である。

症例数

年間開心術130-140例、腹部末梢血管及び大動脈ステント術約100例、不整脈デバイス手術約100例。2008年においては心臓血管外科手術症例は253例(10)、不整脈外科症例が75例(0)であった。( )内の数値は手術死亡を示す。冠動脈バイパス術においては可能な限り完全血行再建を目指し、平均バイパス本数が4本、グラフト開存率が98%であった。さらに虚血性心疾患での僧帽弁膜症合併症例の増加に対して積極的な弁形成術の併施も行っており、冠動脈バイパスを行った79例中13例において僧帽弁形成手術を併施した。大動脈瘤に関してはハイリスク症例に関しては久留米大学、東京医科大学の指導協力の下、より積極的なステント治療の応用を行い、ステント症例数も2008年は25例、2009年は9月4日現在で30例と増加している。

医療設備

人工心肺装置、自己血回収装置、IABP(大動脈内バルーンパンピング装置)、PCPS(経皮的人工心肺補助装置)、手術室Cアーム造影装置、術中経食道エコー、MDCT、MRI,心臓カテーテル装置、などを備えている。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

腎臓内科(腎センター)

分野

腎臓内科

特色

当院腎外来では、慢性糸球体腎炎や糖尿病性腎症の初期段階から症状のない保存期腎不全期、さらに高度の腎不全状態に至るまで、できるだけ時間をかけて、十分に理解ができるように疾患についてわかりやすい説明を心掛けている。慢性透析患者は、日本全国で約30万人に達し、なかでも九州地区は、腎不全の発症頻度、増加率ともに日本で上位を占めている

★そこで当科では比較的症状の少ない保存期慢性腎不全の時期から腎不全進行を遅らせる治療を積極的に取り入れており、現在、進行性腎不全の進行度抑制について、非糖尿病性腎不全(非DM)で-1~-2.5%/年、糖尿病性腎症(DM)で、-2~-4%/年の低下とかなり腎不全進行抑制が可能となっている(日本腎臓学会、高血圧学会に発表)

★一方、高血圧症、高脂血症、糖尿病や内臓脂肪蓄積(メタボリック)症候群の生活習慣病が近年激増しており、それによる蛋白尿や腎障害の患者さんも増加している。本来、軽症の腎疾患を持つ患者さんが高血圧症、高脂血症や肥満のために腎不全へ移行するケ-スも多くなってきている。自己血圧、体重管理の重要性を説明しながら、色々な最新の情報をわかりやすく指導し、診療にあたっている

★日本腎臓学会研修認定施設、日本透析医学会認定施設。日本腎臓学会(日腎)、日本内科学会、日本透析医学会、西部腎臓学会、日本高血圧学会,日本リウマチ学会などに毎年報告しており、腎外来にその良好な成績や結果の一部を掲載している。

症例数

総入院数(2008年)は約550例、急患数は約190例、新患紹介数は約180例、院内新患紹介(コンサルト)数は約270例、新規慢性透析導入数70例、シャント、アクセス手術115-120例、PTA(経皮的内シャント血管拡張術) 117-120件

★年間慢性透析患者死亡率4.0% (5/125)、08年新規慢性透析患者の死亡数0/67、剖検率0/11

★慢性糸球体腎炎の中で、最も多いIgA腎症に対する扁桃腺摘出術+ステロイドパルス療法を九州地区でも早期から導入して良好な寛解率をあげ、入院期間は扁桃腺手術を入れて10日間と日本で最も短く、日本腎臓学会に報告しすでに論文化している。透析導入を大幅に延長させる保存期慢性腎不全患者の集学的治療に最も力を入れており、栄養士と連携して食事療法(減塩、カリウム制限、低蛋白食)の指導や慢性腎不全患者の降圧治療はガイドライン(130/80mmHg未満)に沿って治療を行う保存期腎不全外来の総外来患者数や成績で、全国的にトップクラスを誇っている。2週間に1日、保存期腎不全外来(特殊外来)を行っており、待ち時間に1日蓄尿の分析結果に基いて、腎外来で管理栄養士から毎月、腎不全の栄養指導を受けることができる

★糖尿病性腎症について、糖尿病内科と連携し、尿蛋白量の少ない腎症早期から治療介入を開始、非常に良好な成績を収めている

★高年齢の原発性ネフロ-ゼ症候群や膠原病からの腎疾患は、合併症が多く、死亡率が高いことが指摘されているが、高齢者のネフロ-ゼ症候群では急性腎不全の合併が多いが、独自のプロトコ-ルにて、寛解率はかなり向上している。また膠原病内科と連携していることもあって当科で合併症は非常に低く、数多くの治療選択が可能。慢性関節リウマチからのアミロイド腎症に対して、生物活性薬と免疫抑制剤、RAS阻害剤の組み合わせで尿蛋白が陰性化する事をすでに学会で報告している

★ル-プス腎炎では、寛解率も95%以上と高率であり、慢性腎不全へ移行した症例は新規ではない。シャントトラブルに対するPTA(経皮的カテーテル拡張術)療法は、手術せずに1泊の短期間の入院で済むため、紹介患者数が多く、年間180-200件に達している

★耳鼻咽喉科と協力して二次性副甲状腺機能亢進症に対する副甲状腺摘出術+自家移植と軽度の場合は、手術せず、ベッドサイドで施行可能な経皮的エタノ-ル注入療法(PEIT)も行っている。

医療設備

MRI、CT、DSA、腎シンチグラフィ、血管造影検査、血液透析、腹膜透析、血漿交換装置、CHDF(持続血液濾過透析装置)、超音波診断装置(腎血流カラードプラを含む)、超音波下腎生検用超音波、PWVやCAVIなど血管評価器具、PEIT用ドプラ装置付き超音波、腎生検の蛍光抗体検査装置、光学顕微鏡装置、各種染色検査、各種放射線科学的検査。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

神経内科

分野

神経内科

特色

福岡県筑豊地区における神経疾患診療の中心的役割を担っている。8割以上が急患入院であり、神経疾患についても救急診療が主体である。神経内科医師が連日当直しており、24時間365時間体制で患者を受け入れている。当科には日本神経学会専門医が4人、日本脳卒中学会専門医が2人在籍しており、日本神経学会教育施設、ならびに日本脳卒中学会研修教育病院として認定されている。

症例数

外来患者数は約1,500人、入院患者数は約600人。神経内科の病床数は50~70床。外来診療については、待ち時間を短縮するため、また診察の際に見落としがないようにするため、初診・再診とも完全予約制にしているが、急患はもちろん予約外でもできるだけ対応するようにしている。多様な神経疾患が対象であるが、主要なものについて紹介する

脳血管障害=出血性疾患(脳出血とクモ膜下出血)は脳神経外科が担当しており、虚血性疾患(すなわち脳梗塞や一過性脳虚血発作)の診療を主に行っている。脳梗塞は年間約400人が入院する。病歴、診察所見、画像診断により正確な病型診断を行ったうえで、適切な治療法を選択するようにしている。CTおよびMRIは24時間稼働しているため、深夜でもMRI拡散強調画像にて急性期脳梗塞を確認することが可能である。脳神経外科との連携も緊密である

★脳梗塞に対する超急性期血栓溶解療法(t-PA静注療法)が認可されてまもなく4年が経過するが、当科では毎年20~30人にこの治療法を施行している。t-PA静注療法は、発症後3時間以内に治療を開始する必要があるため、脳卒中を疑ったらすぐに救急車を呼ぶことが大切である。検査の時間等を考慮すると、発症後2時間以内に救急外来に到着しておく必要がある

★当院ではリハビリテーション科との共同診療で、早期からのリハビリを行っている。また、回復期・維持期のリハビリテーションへのスムーズな移行を実現するために、脳卒中クリニカルパスを活用している

物忘れ外来=当科は急性期医療が中心であるが、時代のニーズに応えるべく、物忘れの診断サービスを行っている。物忘れの原因としてはアルツハイマー型認知症やその前段階である軽度認知機能障害が最多であるが、治療可能な疾患が隠れている可能性がある。当科の物忘れ外来では、神経学的診察、頭部MRI、脳血流シンチ、神経心理検査、採血などを行い、診断を行う。ただし、診断後はそれぞれのかかりつけ医でのフォローアップを原則としている

神経変性疾患=パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症など、神経難病の診療にも積極的に取り組んでおり、福岡県重症神経難病ネットワークの筑豊地区の基幹病院である。診断の難しい例や、薬剤コントロールの困難な例では入院していただき、必要な検査や治療的介入を行っている。治癒の難しい症例では社会資源を十分に利用して在宅療養ができるようにサポートをしている

てんかん=外来診療が基本であるが、けいれん重積状態で来院し、救急入院の適応となる場合も少なくない。実際の入院患者数は脳梗塞に次いで2位である。呼吸管理下に静脈麻酔薬を使用することもある

髄膜炎・脳炎=ウイルス性髄膜炎が最も多いが、細菌性髄膜炎や結核性髄膜炎、真菌性髄膜炎の入院もあり、最適な抗生剤を使用して治療している。また、ウイルス性脳炎や自己免疫性脳炎もしばしば経験し、各種の適切な治療を行っている

多発性硬化症=神経学的診察、MRI、誘発電位、脳脊髄液検査、抗アクアポリン4抗体などを組み合わせて確定診断を行い、急性期には入院治療を行っている。再発頻度が多い症例では、インターフェロンβによる治療を行っている

重症筋無力症=テンシロンテスト、反復刺激試験、抗アセチルコリン受容体抗体、胸部CTなどを組み合わせて確定診断を行っている。胸腺腫がある場合には呼吸器外科に胸腺摘除術を依頼している。胸腺腫を欠く場合には、各々の状況に応じて最適と思われる治療方針を決定する。最近では、ステロイドパルス療法と免疫抑制薬を組み合わせることにより、良好な治療成績をあげることができている。社会復帰率は高い

筋疾患=針筋電図、筋生検(特殊なものは他院に依頼)により確定診断を行っている。多発筋炎・皮膚筋炎については、ステロイド薬による治療を行っている

末梢神経疾患=頻度的には、手根管症候群、顔面神経麻痺、糖尿病性ニューロパチーなどが多い。ギラン・バレー症候群や、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)などは、頻度はそれほど多くはないが、血漿交換療法や免疫グロブリン大量静注療法などを行っている

脊髄疾患=変形性脊椎症、椎間板ヘルニアなど整形外科と重なる部分もあるが、脊髄炎や脊髄梗塞などが一定の頻度で存在する。脊髄炎は特に診断が難しく、各種検査を組み合わせて診断し、ステロイド薬などで治療する。脊髄腫瘍、硬膜外血腫、硬膜外膿瘍などの症例もある

頭痛疾患=筋緊張性頭痛や片頭痛が多いが、そのほか重篤な疾患を見逃さないためにも、画像診断を積極的に取り入れている。片頭痛に関しては、トリプタン製剤が各種使用できるようになっているので、患者に応じて使い分けている。

医療設備

CT(3D)、MRI、MRA、SPECT、DSA、超音波検査、脳波、誘発電位、神経伝導検査、針筋電図、筋生検、神経心理検査。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

心療内科

分野

精神科

特色

当院は、1918年(大正7年)に開設された病床数1,116床(一般978床、精神138床)、34の診療科(医師233名、看護師919名、医療技術者291名、事務その他337名)の総合病院である。心療内科は1990年1月に開設され、他科や開業の先生方と緊密に連携しながら診療を行っている。初診時には約1時間をかけて十分な問診と診察を心掛けている。癌患者の心理的サポート、不眠症や疼痛性障害を合併する他科患者なども受け入れている。

症例数

初診患者は年間約300人、身体症状を主とする心身症(動揺性高血圧症、頭痛、気管支喘息、過換気症候群、胃炎、過敏性腸症候群、自律神経失調症等)のほか、パニック障害、摂食障害、疼痛性障害、軽症うつ病なども多い。精神疾患(統合失調症や躁うつ病)などは精神科、神経疾患や認知症は神経内科と、院内各科と分担して、きめの細かい診療を心掛けている。臨床心理室は独立しており、10人の臨床心理士が当科のみならず、各科から依頼を受けて検査や治療に当たっている。当科以外では、精神科・婦人科・小児科からの依頼が多いが、その他の科からの依頼も増えている。筑豊地区は全国に先がけて高齢化が進んでおり、高齢者の心身症やうつ病も増えており、当科を紹介される老年期・初老期の患者も多い。子供たちも種々のストレスにさらされており、小児科からの紹介も増えている。また、当院には、癌患者も多く、院内には緩和ケアチームがあり、当科もその一員として活動している。

医療設備

総合病院であり、殆どの検査が可能。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

画像診療科

分野

放射線科

特色

当院は総病床数1,116、1日外来患者数約2千人で、福岡県筑豊地区の中核病院である。救命救急センターを擁し、急性期疾患を中心に地域医療に貢献するとともに、20数年前より臨床研修指定病院として、卒後教育にも精力を注ぎ、全国より優秀な若き医師が研修に勤しんでいる。当院は日本医療機能評価機構認定病院であり、また、環境マネジメントISO14001、品質マネジメントISO14001を取得し、「人と地球にやさしく」の環境理念の推進や医療の質の向上に努力している。経営理念は「We deliver the best.」である。画像診療科は画像診断、IVR、放射線治療のすべての分野を網羅し、最高水準の技術と最新の装置を駆使して、精度の高い診療を行っている。また、当院は地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院でもあり、常に病診連携を念頭におき、迅速かつ丁寧な対応を心がけている。院内、院外のカンファレンス、研究会を通じて、院内診療各科、院外医療機関との連携にも努めている。(HP:http://aih-net:83/)。

症例数

2008年の診療実績を示す。画像診療科で検査、報告書作成、および、治療を施行した件数、症例数である。CT、放射線治療の件数増が著しい。CT:28,906件、MR:7,584件、マンモグラフィ:2,632件、尿路造影検査:585件、核医学検査:1,666件、血管造影・IVR:528件、放射線治療:9,643件。

医療設備

MRI 2台(GE社製1.5T)、診断用CT 3台(GE社製64列、16列、2列)、ガンマカメラ2台(東芝製)、血管造影装置3台(1台はIVR-CT血管造影装置 GE社製 、他2台は心カテ装置 フィリップス社製、島津製)、放射線治療装置:リニアック(東芝製)、ラルストロン(島津製)。2009年度中に腔内照射装置の更新と前立腺癌永久挿入装置の新規導入が進行中である。2012年度竣工を目指して計画中の新棟内にはPET-CTを導入することが決定している。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

東洋医学センター・漢方診療科

分野

東洋医学

特色

漢方治療を主に、東西医学を融和した医療を目指している。漢方薬の本来の姿である生薬(煎じ薬)を中心とした漢方治療を、外来から入院診療まで、健康保険診療で実施している。治療方針は漢方医学的な診断に基づいて漢方薬を用いることを第一選択とするが、必要に応じて現代医学との併用や、総合病院の特色を生かした他部門の専門科との連携も行っている。病態の診断や治療経過の判定には現代医学的な検査も十分に実施する。さらに疾患によって、和食を基礎に漢方医学的な考えを生かし、玄米菜食を中心とする「和漢食」を用意しており、調理教室も開催して退院後の食養生にも気を配っている。また運動にも留意し、難治性疾患への全人的な治療を目指している。日本東洋医学会指定研修施設(教育病院)。

症例数

08年の外来初診患者数は814人で、年齢は0~93歳と幅広く、女性が約7割であった。内訳は、皮膚疾患15.2%(アトピー性皮膚炎、慢性湿疹など)、しびれや疼痛を伴うような運動器疾患12.2%(脊椎症、膝関節症など)の他に、脳・神経、消化器、呼吸器、循環器、糖尿病などの内科一般、また精神科、耳鼻科、婦人科などの各種の疾患で、現代医学的な治療のみでは十分満足の得られない患者が多かった。さらに、明確な診断がつきにくいが症状に悩まされる「愁訴」患者が28.3%あり、診断はつくが治療に難渋したり副作用が出現しやすい膠原病が4.3%(関節リウマチ、強皮症など)にみられた

★入院患者総数(08年)は109人で、皮膚疾患、膠原病、疼痛性疾患が上位を占め、次いで消化器、精神、呼吸器の疾患が多かった

関節リウマチ=関節の痛みや腫脹が強く、高度の炎症反応を伴う(活動性が高い)関節リウマチ患者に限った治療成績では、活動度指数が20%以上と明らかに改善した患者は、漢方治療単独では71%、難治のため抗リウマチ薬と漢方薬を併用した患者では56%だった。また治療効果は漢方薬を服用後3カ月以内に現れている

アトピー性皮膚炎=98~03年に入院治療した難治性のアトピー性皮膚炎患者44人の検討では、15人(34%)に漢方医学的に「潜在的な冷え」が存在することが明らかとなり、身体を温め補う漢方薬を多用することで多くの改善例を経験した。有効率は88.6%で、食養生(和漢食)も有効である

慢性腎不全=身体を温めて消化機能を賦活する漢方薬(温脾湯、補中益気湯など)を中心に治療し、透析前の慢性腎不全患者の7割で自覚症状と検査値を安定させ、透析導入時期を遅らせる効果を確認している。さらに維持透析患者も、漢方治療により様々な愁訴を軽減している

漢方治療とQOL=当科では多種類の疾患を有する患者が受診するため、疾患毎の治療成績は揃いにくい。そこで受診患者のQuality of Life(QOL:生活の質)について世界的標準指標であるSF-36を用いて検討したところ、当科の受診患者は多様な面で健康度の低下やそれに伴う日常生活の制限を認識していることが明らかとなった。しかし漢方治療を継続することで、身体・精神の日常役割機能が改善している

高齢者と漢方治療=連携している介護型老人ホームで漢方治療を行った29人中8人で明らかにADL(日常生活動作)が改善し、寝たきりの10人中4人が寝たきり状態から離脱できた

緩和ケアと漢方=他科とも連携し、終末期患者に出現しがちな種々の苦痛に対し、漢方治療を併用して冷え症状や倦怠感などの改善を認めており、QOLの改善効果を立証しつつある。

医療設備

センター設備::救命救急、がん集学治療、地域周産期母子医療、膠原病、腎、循環器病、脳神経病、脳卒中、東洋医学の各センターー。主な医療機器::MRI、CT、血管撮影装置、SPECT、RI、高気圧酸素療法、体外衝撃波結石破砕装置、コバルト照射治療装置、放射線治療装置、全身用骨密度測定装置、その他漢方専用の調剤室あり。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

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