父がお世話になったのが、千葉県がんセンターです。
父のがんが発見された時はすでに末期の肺がんで、身体の数箇所に転移しており骨盤や大腿骨への転移で歩行もままならない状態でした。
父の年齢、体力、病状を考え担当の先生を交えて、父や家族と下した結論は寿命をまっとうさせることでした。
手術や抗がん剤をせず、残された日々を大切にすごす選択でもありました。余命は3ヶ月。
千葉県がんセンターには緩和病棟が設置されております。
最後はこの緩和医療のお世話になりました。
耐え難い痛みもあったと思いますが、父は私たちにつらさを見せず比較的おだやかに最後まで接してくれました。
容態が急変するまでいつもの父でした。
自分でできることは自分でためす、そういった人間としての尊厳も尊重され、常に暖かくスタッフの方たちに見守っていただいていました。
身体の機能が徐々に低下し、最後は膀胱に溜まりきった尿さえ自分で出せないつらさも、本人に痛みを感じさせず手際よい早業で解消してくださった時の、父の「ああ!楽になった」と言ったコトバと表情が、ここの看護士さんたちスタッフの技術の高さを物語っています。
また、一度、記憶が定かでない状態に陥った父が見せた、苛立ちや激昂に立ち会うスタッフの姿にカウンセリングマインドを見た事がありました。
父の感情の奔流に流されることなく、受け止め、やさしさを根底にもちながら毅然とした態度で包み込んでくれる、その姿こそ本当のプロフェッショナルだと思い、緩和病棟を選択して心から良かったと感じました。
その日は父を理解しようと、いろいろ私に聞いてくる熱心さにも頭が下がりました。
緩和医療病棟は末期医療のためだけにあるのではなく、患者の苦痛やいたみを和らげながら患者やその家族が生をしっかり生きていくための、積極的な捉え方で私は考えるようになりました。
それを担当の先生や看護士さん、スタッフのみなさんが全力で支えてくださってくれたことに本当に感謝しています。

30~40代男性 2007年10月09日投稿

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