[患者さんの相談事例] 2014/09/12[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

再検査の理由が聞くたびに違うため、医師に直接尋ねたのですが話が噛み合いません。(42歳・女性)

 私は20代のころから婦人科系のトラブルが多く、時折、近くの産婦人科クリニックを受診しています。近所で産婦人科クリニックはそこしかなく、結構有名なクリニックなので、患者さんや妊婦さんでいつも混んでいます。最近も、何度か不正出血があったので、気になって受診しました。
 問診のあと、内診とエコー検査、子宮頸がんの検査を受けました。その後、血液検査も受けて、次回の診察で検査結果を説明してもらう予定でした。
 予定通り、次回診察日に受診したのですが、受付の段階で「前回の診察のときに採血した血液を紛失したので、もう一度採血させてください」と言われました。結果を聞きに行った段階で言われたことに釈然としない気持ちはあったのですが、結果が出ていないのなら仕方がないので、そのときは言われるがままに再度採血を受けました。
 1週間後、今度は受診前にクリニックに電話をかけ、血液検査の結果が出ているかどうかを確認してから受診することにしました。すると電話に出た受付の人が、「最初の血液検査で採取した血液が凝固していたので再度採血をした方ですね」と異なる理由を話すのです。私はクリニックの対応に不信感を抱き、受診の際には夫に同行してもらいました。
 診察室に夫とともに入り、「血液検査は採取した血液の紛失だったのか、血液が固まってしまって検査ができなかったのかどちらが正しい理由なんでしょうか」と最初に質問しました。すると、いきなりドクターが「いったい何の話だ!? 当院の検査に難癖でもつけようと言うのか!?」と怒鳴られました。私が再度、これまでの事情を伝えようとすると、「そんなことは私は知らない!!」と再び怒鳴り、診察室から出て行こうとするのです。夫と二人でドクターを引き留め、話し合おうとしたのですが、一切話が噛み合いませんでした。ナースに確認しようとしても、ドクターの前で「私も知りません」と繰り返すので埒があきません。結局、子宮頸がんの検査も血液検査も結果がわからずじまいになっています。ほかに産婦人科にかかるとすれば、かなり離れた大きな病院まで行かなければならず、困っています。クリニックのこのような対応は、許されるのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 検査結果を聞きに行った段階で血液の紛失を知らされ、そのような誠実さが感じられない対応を受け入れて再度血液検査に応じたにもかかわらず、説明を求めて怒鳴られたのでは納得いかないお気持ちになるのも当然だと思います。そのクリニックは周辺に産婦人科がないことで、慢心してしまっているのでしょうか。
 そのような対応をするクリニックだと二度とかかりたくないお気持ちになられていると思いますが、かといって検査結果は気になるところだと思います。その日はドクターも感情的になって怒鳴ってしまったものの、もしかしたらその後反省されたかもしれません。一度、クリニックに電話をかけて、検査結果について説明してもらえるのかどうか、クリニック側の考えを聞いてみてはどうでしょうか。そのときの対応にも疑問を感じる部分があれば、遠くても別の医療機関を選ぶしかないように思います。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 採取した血液を紛失するということ自体、わかった段階で患者さんにすぐ連絡をし、対応をする必要があることだと思います。それなのに、患者さんが検査結果を聞きに来た段階で伝えるというのは、あまりにも誠実さに欠ける対応ではないでしょうか。さらに、再度採血をした理由について異なる説明をし、そのことで質問したら怒鳴り出す…。これでは患者側が不信感を抱いても当然だと思います。非は非としてきちんと認め、そのうえで誠実かつ真摯に対応することが不可欠ではないでしょうか。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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