[慢性じんましん] 2019/12/23[月]

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夜も眠れないほどの痒みと腫れ。原因もわからず、なかなか治らない蕁麻疹(特発性の慢性蕁麻疹)は、本人だけでなく介助する家族にとってもつらいものです。

特発性の慢性蕁麻疹患者で治療を続けている山田幸子さん(仮名、89歳)と、娘の由美子さん、主治医で皮膚科専門医の永井美貴先生(岐阜県総合医療センター皮膚科)にお話を伺いました。

夜になると繰り返す、強い痒み


永井先生

永井先生:山田さんに蕁麻疹がでるようになったのは、3年半ほど前のことだと伺っています。背中に赤い斑点(紅斑)が見られたため、近くの診療所を受診され、なかなか症状が改善しないため、いくつか診療所を受診されたそうです。

由美子さん:最初はかかりつけの内科の先生に、塗り薬を出していただいて、その後皮膚科のクリニックを受診しました。その皮膚科の先生のご都合で、通院を続けられなくなってしまったので、別の皮膚科クリニックに行きまして、何回か通院しました。

永井先生:塗り薬では症状がなかなか改善しないということで、その後、近所の総合病院を紹介されています。そこで原因の検索やいろいろな検査をされていますが、痒みがおさまらず、痒くなってから1年4か月経過して当院に紹介されてきました。

初めて山田さんを診察した当時は、背中のほぼ一面に淡い紅斑がありました。特に足や胸にひどく、全身に蕁麻疹が出ている状態で、相当強い痒みと痛みを訴えられていました。


山田幸子さん

山田幸子さん:痒くて夜も眠れないので、冷凍室で凍らせた大きな保冷剤をバスタオルで包んで背中に敷いて、そのうえで寝ていました。

永井先生:山田さんの場合は、例えばお風呂上りなど、温かくなるようなときに蕁麻疹が出やすい傾向がある一方、何の誘因もなく蕁麻疹が出ることも多くありました。また、特に夜、寝るときに痒みを訴え熟睡できず苦慮されていました。

由美子さん:床について身体が温まってくると、痒くなるようで、「痒い、痒い」と言っていました。前医の総合病院では入院して、様子を見ながら塗り薬や飲み薬など、治療法を変えていったのですが、蕁麻疹が痛くて薬が塗れなかったこともありました。母を見ていると、本当につらそうで、かわいそうでなりませんでした。

永井先生:その表情で、大変苦しんでいらっしゃることはすぐわかりました。持参された紹介状で、前医の治療内容がわかりましたので、『蕁麻疹診療ガイドライン』1)に準じて治療法の変更を提案しました。

症状の記録に家族も協力。つらい痒みはしっかり伝えて

永井先生:さらに症状を把握するために、山田さんには、蕁麻疹の症状を記録する日記をつけていただきました。蕁麻疹の数やかゆみを記録する簡単な日記です。症状を点数化することができ、山田さんの症状の変化がよくわかります。最初のころは点数も40点台で、「大変つらいです」「一晩中クーラーをつけていました」「どうしたらよいか教えてください」といったコメントがありました。


娘の由美子さん

由美子さん:先生に言われて、私も一時、母の症状を日記につけていました。痒みというのは本人しかわかりませんから、私と母の点数は少し違っていましたが。

永井先生:痒みが強いときには、日記に記入する内容も感情的になってしまったり、あるいは治療を受けているのだからと遠慮して、実際の痒さよりも控えめに書いてしまったりすることもあるようです。一番近くで見ているご家族の印象も大事です。

由美子さん:日記だけでなく、症状がひどいときは、写真をとって診察のときに先生に見ていただくこともありました。

永井先生:診察をしているときは、蕁麻疹が出ていないことも多いのです。実際に蕁麻疹が出やすいのは、夜中や明け方ですので、蕁麻疹が出たときに写真を撮っておいてくださると、症状の程度がよくわかるのでありがたいですね。

毎日の記録表

症状をコントロールできれば、家族の負担も軽減

由美子さん:永井先生の診察のあとは、調子が良くなるようなのです。先生に相談して、聞いてもらえて、落ち着くのでしょうね。

永井先生:症状がつらい患者さんの場合は、時間をかけてお話をじっくり聞くようにしています。つらい患者さんほど、話したいことがたくさんありますから。診察の際にはまず、「最近どうですか?」などと伺って、現在の状態を伺います。そのうえで、例えば症状の出やすい夜には服用する薬の量を増やしたりと、治療を調整することもあります。ご高齢の患者さんのなかには、ご自身の症状をなかなか表現できない方もいらっしゃいますが、顔には苦悶の表情を浮かべて、お腹や背中に掻爬痕(ひっかき傷)があるような方の場合は、どれほど痒いだろうかと推察しながら診察することもあります。

由美子さん:いまは、母も痒みを訴えなくなってきました。全然訴えないわけではありませんが、ずいぶん変わったと思います。母はもともと、オシャレが大好きなのですが、蕁麻疹がひどいときには、オシャレどころではありませんでした。最近はまた、オシャレを楽しむ余裕が出てきたようです。

山田さん:オシャレのほかにも、毎日朝夕、歩いています。自分の健康は、自分で頑張って維持しなければと、改めて思うようになりました。

永井先生:最近は、診察の際に痒み以外の話をしてくださるようになり、症状をコントロールできるようになってきたのかな、と感じています。患者さんには、痒いことが当たり前になってしまわないように、治療で症状をコントロールして、快適な時間を過ごしていただきたいですね。

患者さんが自分にあった治療を受けることで、ご家族の負担も変わってきたのではないでしょうか。強い痒みを訴える患者さんがいると、痒い部分を冷やしたり、塗り薬を塗ったり、空調の工夫をしたりと、患者さんを介助されるご家族の負担もかなりのものです。治療で症状をコントロールできれば、介助する家族の方にも時間的な余裕が生まれます。「たかが痒み」と思わずに、自分に合った治療を受けてほしいと思います。蕁麻疹は治癒を目指せる病気です1)。タイミングと治療さえ合えば、痒みから解放される患者さんも多いと思いますから、良くなりたいという思いをあきらめないでほしいですね。

診察で医師に話してほしいこと
  1. 日本皮膚科学会蕁麻疹診療ガイドライン改定委員会:蕁麻疹診療ガイドライン2018, 日皮会誌 2018;128(12):2503-2624
提供 ノバルティスファーマ株式会社
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