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[ヘルスケアニュース] 2021/09/28[火]

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 アミロイドーシスという病気の名前を聞いたことはありますか? アミロイドと呼ばれるナイロンのような線維状の異常タンパク質がさまざまな臓器にくっついていき、機能障害をおこす病気です。アミロイドーシスは、異常なタンパク質が複数の臓器にくっつく全身性アミロイドーシスと、特定の臓器にくっつく限局性アミロイドーシスに大きく分かれます。全身性アミロイドーシスのうち、代表的なものの1つとして全身性ALアミロイドーシスという病気があり、国は病気の研究や患者さんの経済的な支援をするために「指定難病」に定めています。

 日本赤十字社医療センターの鈴木憲史先生(⾻髄腫アミロイドーシスセンター顧問)は9月2日、全身性ALアミロイドーシスについて製薬会社のヤンセンファーマが開いたセミナーで講演しました。


鈴木憲史先生(ヤンセンファーマ提供)

 病気の進行を食い止めるために早期診断・早期治療はとても大切ですが、全身性ALアミロイドーシスで早期の診断を受けることは難しいという問題があります。鈴木先生は早期診断が難しい理由について、「すぐに症状が出るわけではない」と説明。アミロイドを雪に、臓器を屋根に例えて、「雪が屋根の上に積り、屋根が潰れかけてくると症状がでてくる。気づいたときには雪野原になっている」と話しました。精力的に働いていた会社員が立ちくらみを感じ、受診した2か月後には寝たきりになってしまったというケースもあるといいます。

 アミロイドーシスと診断されるまでに診察した医師の数が5人以上だった患者が30%いるという調査結果1)もあります。鈴木先生は、「かかりつけ医を受診した段階で診断がつけばいいが、ほとんどの医師は一生に1人診るか診ないかの病気。病気の存在を知っていても実際の診療で思い浮かべることは難しい」と指摘しました。

 全身性ALアミロイドーシスの患者数について、日本では年間535人が新たに発症するという推計2)がありますが、鈴木先生は「診断されていないケースがあると考えられるため、実際はもっと多く、800~900人に上るのではないか」との考えを示しました。その上で病気を疑うポイントとして、「舌が厚くなり、歯形がついている」「目の周りに紫色の斑点がある」「難治性の下痢症を抱えている」などを挙げました。

体の変化に気づいたら、医療機関の受診を

 セミナーでは、全身性ALアミロイドーシス患者であるコバヤシさんも登壇しました。コバヤシさんは発症当時の症状について、「むくみがひどく、今まで履いていた靴が履けなくなったり、正座ができなくなったりした。太ももから足の甲まで象の足のようにむくみ、太ももはウエストくらい、足の甲は通常の2~3倍に腫れあがった」「舌に歯形がついていた」と話しました。ただ、「太っていることが原因でむくんでいると思っていた」と、病気を疑うことはなかったといいます。

 コバヤシさんは、ひどいむくみが2~3か月続いたため異常を感じて受診したのだそう。最初は腎臓病のネフローゼ症候群と診断されたものの、入院中に実施した腎臓の組織を取って調べる腎生検の結果から、全身性ALアミロイドーシスだと診断を受けたといいます。

 診断後は、「アミロイドーシスという言葉がわからなかったので、インターネットで調べた」とコバヤシさん。「関連する用語として『生存率』という言葉がでてきて、命にかかわる病気なのだと死を身近に感じた」といいます。自身の経験を踏まえコバヤシさんは、「体の変化に気づいたらそのままにせず受診して、正しい診断と治療を受けてもらいたい」と呼びかけました。

 体に異変を感じても、「気のせいかな」「年齢のせいだろう」などと自分で判断をしてしまいがちですよね。新型コロナウイルス感染症の影響で、医療機関の受診を控えてしまっている方も多いのではないでしょうか。

 本文中にもありますが、早く病気を見つけることは、治療をしていく上でとても大切です。受診して異常が見つからなかったとしても安心につながります。何か体がおかしいと思ったら、お近くの医療機関に行ってみてくださいね。(QLife編集部)

1)Isabelle Lousada, et al :Adv Ther. 2015;32(10):920-928.
2)Shimazaki C. :Rinsho Ketsueki. 2019;60(8):973-978.

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