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[ヘルスケアニュース] 2022/12/13[火]

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乳がん患者さんによって必要な情報は異なる

 乳がんは世界中で最も多く診断されているがんであり1)、2019年に日本で新たに乳がんと診断された患者さんの数は約9万7,000人で、女性の部位別がん罹患数第1位となっています2)。一口に乳がんといっても、発症と進行の背景にはさまざまな因子があり、それによって治療が変わってきますから、患者さんごとに必要とする情報は異なります3)。そのため、乳がん関連情報があふれている一方で、乳がん患者さんや乳がんの不安がある方が「自分に合った正しい情報」を必要なときに入手するのは難しいのが現状です。


左から、増田さん、だいたさん、鈴木さん、清水先生
(アストラゼネカ提供)

 そこで、乳がんに関するさまざまな治療方法や、自分に合った情報を得る方法を知るためのイベントが2022年10月25日に開催されました(製薬会社のアストラゼネカとキャンサーネットジャパン共催)。イベントには、乳がん専門医の清水千佳子先生(国立国際医療研究センター病院)や、乳がんサバイバーである芸人のだいたひかるさんと、元報道記者・キャスターの鈴木美穂さん(認定NPO法人マギーズ東京共同代表)、女性医療ジャーナリストの増田美加さんが登壇しました。

医師の説明が「素人にはわからない」ことも

 ピン芸人コンクールR-1グランプリ初代王者として知られる芸人のだいたさんは、2016年にステージ2Bの乳がんと診断されました。告知されたときは「突然、冬の海に放り投げられたような恐怖だった」といいます。パニック状態にもかかわらず「人生を決める大事なことなのに、ライスまたはパンみたいな感じでどんどん決めていかなければいけなかった」と、自分の病状の緊急度や深刻度すらつかめていない中で治療選択を求められる難しさを語りました。


だいたさん(アストラゼネカ提供)

 だいたさんは「先生は説明してくれているのだけれど、素人には何を言われているのかわからなかった」と、医療者と自分の理解度にギャップがあったことを振り返りました。「がんのステージがいくつまであるかも知らなかった。専門用語をもう少しわかりやすく教えて欲しかったなっていうのはありましたね」

 混乱するだいたさんに代わり、夫が冷静に治療に関する情報収集をしてくれたそうです。だいたさんは「正確な治療情報の収集は夫に任せ、自分は患者さんのポジティブな体験談を拾いながら、前向きに人生の目標を立てていった」と、二人三脚で治療を乗り越えてきたと話しました。

まずは乳がんの専門家団体が出している情報を確認して

 元報道記者・キャスターの鈴木さんは、24歳の時に乳がんを経験。その経験をもとに、今はがん患者さんや家族が訪れ無料で相談できる「マギーズ東京」という施設をオープンし、がんに影響を受けた人を支える活動を続けています。

 鈴木さんは、マギーズ東京に相談に来る人には「いろいろな情報の中で溺れそうになっている方がいる」とし、インターネットで誰もが簡単に情報にアクセスできる一方で、「しっかりしたエビデンスのある情報を見分けるのは本当に難しい世の中」と課題を示しました。


清水先生(アストラゼネカ提供)

 医師の清水先生は、患者さんの情報収集には「乳がんの専門家団体が出している情報が安心」とし、国立がん研究センターの「がん情報サービス」や、日本乳癌学会の患者さん向けガイドラインなどをおすすめしました。

 ただし、乳がんは症状や治療法が人それぞれであることから「一番の相談相手は主治医」と強調します。清水先生は「こんなこと医師に聞いていいのかしらと思うようなことも、ぶつけてみることが大事」といいます。「ちょっと手ごわそうな感じの人だったらまわりの看護師さんにも伝えるだとか、セカンドオピニオンを希望してみてもいいと思います」とアドバイスしました。

 セミナーの最後には、乳がん情報収集における悩みを解決できるツールとして「わかる乳がん」というLINEアカウントが紹介されました。これは当アカウントをLINEで友だち追加することで、乳がん専門医が監修した乳がんの特徴や基本的な治療の解説記事や動画が見られたり、患者さんが抱きやすい疑問についてチャットボット形式で回答が得られるものです。正しい情報収集ツールの一つとして、参考にしてみてはいかがでしょうか。(QLife編集部)

1)International Agency for Research on Cancer. Globocan 2020.
2)国立研究開発法人国立がん研究センター:がん情報サービス.[https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/14_breast.html](2022年12月12日閲覧)
3)Yersal O, Barutca S. Biological subtypes of breast cancer: Prognostic and therapeutic implications. World J Clin Oncol. 5(3):412-424, 2014.

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