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[ヘルスケアニュース] 2023/01/11[水]

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なんでも相談できる関係構築が大切


左から中田さん、杉山先生、中山先生
(アレクシオンファーマ提供)

 難病は発病の機構が明らかではなく、治療方法が確立していないため、多くの場合、長期の療養を必要とします。また、希少疾患であれば治療や療養生活の情報を得ることもより難しくなります。そのような状況の患者さんにとって、主治医をはじめとした医療者になんでも相談できる、安心して治療を任せられる、といった信頼関係を構築することは大切です。

 第10回日本難病医療ネットワーク学会学術集会(2022年11月19日開催)では、製薬会社のアレクシオンファーマ合同会社の協賛のもと、難病・希少疾患患者さんと医療者とのコミュニケーションをテーマにしたランチョンセミナーが開催されました。座長は医療コミュニケーションの専門家である中山健夫先生(京都大学)がつとめ、患者の立場から、難病の情報提供サイトを運営する中田郷子さん(特定非営利活動法人MSキャビン)が、医療者の立場からは医師の杉山絢子先生(帯広協会病院/非営利一般社団法人CANnet)が講演しました。

病気と付き合うためには知ることが大事


中田さん(アレクシオンファーマ提供)

 患者の立場から登壇した中田さんは、MSキャビンという多発性硬化症(MS)視神経脊髄炎(NMOSD)、MOG抗体関連疾患(MOGAD)の情報を発信するWebサイトを運営しています。このサイトは、MS当事者である中田さんが、約30年前の発症当時、日本では疾患や治療に関してほとんど情報が得られなかった体験を機に、自ら立ち上げました。

 中田さんは「情報が私の人生を変えたと言っても過言ではない」とし、病気と付き合っていくためには「知ることが大事」と強調しました。一方で、「今は治療法が増えて情報が複雑化し、誰でも自由に発信できることで主観的な情報が増え、何を見たらいいかわからない状態になっている」と、自分に合った正しい情報を得る難しさを指摘しました。

 だからこそ「主治医が患者さんにとっての一番の情報源」であると中田さんは話します。「医療者には、患者さんがどこから情報を入手しているかを押さえつつ、患者さんの話を流さずに受け止め、一緒に考えてほしい」と呼びかけました。

 またMSキャビンでは、患者さんと専門家の双方の視点を取り入れることを最も大事にし、良質でわかりやすい情報を提供していると紹介。「患者団体が出している情報を、患者さんと医療者のコミュニケーションツールとして活用してほしい」と講演を締めくくりました。

医療者は、療養生活や人生のイメージがつくような情報提供を


杉山先生(アレクシオンファーマ提供)

 医療者の立場から登壇した腫瘍内科医の杉山先生は、医療者に必要なこととして「患者さんがどんな人生を送ってきたのか背景そのものを知ること」「多職種チームで患者さんの思いや価値観を共有し、みんなで支えていく態勢をつくること」の2つを挙げました。

 杉山先生は「患者さんが病気に適応するまでの時間は医療者が考えるよりずっと長い」と述べ、実際の患者さんの「病気を受け入れられたのは発病から11年後」といった声を紹介しました。一見病気を受け入れているように見える患者さんでも、まだ状況が呑み込めていないだけだったり、諦めの気持ちから受け身になっている場合もあることを、医療者は理解しておく必要があるといいます。

 また「患者さんは、病気や治療だけでなく、具体的に生活や人生のイメージがつくような希望の見える情報を欲している」とし、多職種チームで連携して「病人ではなく人として寄り添っていくことが重要」と話しました。特に難病・希少疾患は、患者さん本人だけでなく周囲も病気の想像がつかず、病状を軽く考えてしまったり、まわりから「たいしたことないんでしょ」と言われてしまったケースがあると報告。医療者には、そういった患者さんの立場や理解度に配慮した説明が求められていると解説しました。

 難病・希少疾患は情報が少なく、患者さんもまわりの方も治療や療養生活についてイメージしづらいものです。医療者には患者さんの生活をサポートする情報提供や、暮らしや将来についてともに考えていくコミュニケーションが求められているといえそうです。(QLife編集部)

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