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[クリニックインタビュー] 2015/05/08[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第180回
医療法人社団宏久会 泉岡医院
泉岡利於院長

メリハリのある診療こそ開業医の利点

 父が昭和35年から開業していたので、医療は身近なものでした。子どもの頃は診療所の2階に住んでおり、母も手伝っていたので、私にとって診療所は遊び場だったのです。中学ではサッカー、高校は陸上とスポーツばかりやってきましたが、高校2年の頃から自分の将来を考えるようになり、さまざまなジャンルの本を読んでいました。もちろん医学系の本もその中にあり、陸上の練習をしている時に脈拍を計ったりして次の練習に移るか否かを決めたりしていた関係上、体の循環に興味を持ちました。また、脳については本を読んで思考のしくみなどに興味を持ちだしました。医学部に入学した後も、心臓をはじめとした循環器が学問的にも自分に合うと感じました。当時は父の医院を継ぐ気はなく、卒業後は大学の付属病院に勤務しましたが、患者さんのかかりつけ医の先生とやり取りするうちに、地域医療の重要性を実感するようになりました。それが、父が長年やってきた開業医という仕事を見直し、跡を継ごうと思ったきっかけでした。
 開業医になって、患者さんを自分の裁量で診ることができるのは大きなメリットだと感じています。大きな病院では、経過が気になる患者さんがいてもマメに診るのは難しいこともありました。しかし開業後は診療時間を自分の采配で決めることができるようになったため、症状が気になる方は1~2週間後に、安定している方は2か月先に来てもらうなど、メリハリをつけて診療しています。特に生活習慣病の管理は、マメに診ることが大事だと思っています。血圧や血糖が不安定で症状が安定していなければ、「通うのが面倒だ」という患者さんとは、たとえ口論になってでも毎日来ていただくこともあります。もちろんケースバイケースで病状が安定していて血圧などの自己管理ができている患者様については2か月に1回程度の診察で診ていますが、何かあればすぐに診ることのできる体制を整えていたいと思っています。

地域医療の架け橋になりたい


(医院提供写真)

 父と一緒に勤務するようになってすぐ、患者さんにアンケートを取りました。「なぜここへ通院してくれているのか?」という質問に対して多かった回答が、「自分の身体のことを分かってくれているから」でした。これは開業医として嬉しい反面、本当にできているのかと疑問を持つようになりました。本当に患者さんの身体を分かっているとはどういうことなのか。そのためには何が必要なのか。考えながら診察していると情報がどんどん増え、カルテだけで患者さんの情報を管理していくのは難しくなり、そこで電子カルテへ移行しました。過去の病歴や検査データなどがすぐに検索でき、過去の検査データの比較も画面上でできるため、診察がスピーディになったと感じています。
 また、常に勉強を続けることを日々心がけるようにもなりました。糖尿病や高血圧、気管支喘息など多くの疾患に対する診療ガイドラインは4年に一度くらいの割合で改定されるので、その都度確認して頭に入れるように心がけています。その他にも、講演会で講演や座長を行ったり、年に1~3度は学会発表や論文執筆したりすることを、自分自身に課しています。開業すると「勉強しろ」とは誰からも言われませんが、勉強は自分のためでもあり、何より患者さんのために必要だと思っています。
 地域医療では、大きな病院や行政と連携を取っていくことも必要です。高度な治療が受けられる大学病院や中核病院、認知症のケアや介護保険などの対応を担う行政、患者さんに丁寧に対応できる街の診療所、それぞれ役割は違いますがこれらが連携してこそ、誰もが安心して治療を受けられる「地域医療」が実現されるのではないかと考えています。私はそのための「架け橋」になっていきたいのです。

困った時になんでも相談できる存在に


(医院提供写真)

 患者さんに症状を書いてもらう問診票に、「相談」と書かれていることが度々あります。その場合は診察室で話を聞きますが、精神的な症状だったり、本人ではなく家族の相談だったりと内容はさまざまです。私の専門ではない場合でもよく話を聞き、信頼できる先生を紹介するようにしています。患者さん本人だけではなく、家族の誰かに何かがあれば相談してもらえる、家族全員の「かかりつけ医」でありたいと思っているからです。診療する上できっちりといいサービスを身近に住む方々に提供すること、日々勉強をし続けること、そして困った時に何でも相談できる存在になること。決して大きくはありませんが、それが私の変わらない目標です。
 休日も、講演会や保険の支払基金の審査といった仕事があり、休みらしい日はあまりありません。それでも家族を連れて日帰りスキーへ行ったり、フットサルをしたりしてリフレッシュしています。スポーツばかりしていた学生時代を知っている友人は、私が医師になったと知ったらびっくりするかもしれませんね。

取材・文/佐藤裕子(Yuko Sato)
フリーライター。大手企業で、旅行・スクール関連の原稿作成に携わり、その後経験を活かしフリーに。独立後はWEBサイトを中心に、医療、旅行、求人などの取材、執筆を行っているほか、着物着付師、手作りアクセサリーのデザイナーとしても活動する、2児の子を持つママライター。

医療法人社団宏久会 泉岡医院

医院ホームページ:http://www.izuoka.com/

京阪京橋駅の中央出口、JR京橋駅の中央北口から徒歩約7分。国道を渡った住宅街の中にあります。待合室や診察室にはプリザーブドフラワーがたくさん飾られています。キッズルームもあり。(写真左は医院提供写真)
詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

内科、循環器科、小児科、放射線科

泉岡利於(いずおか・としお)院長略歴
1989年 関西医科大学 卒業
1991年 済生会野江病院循環器内科勤務
1992年 関西医大附属病院心臓血管病センターCCU勤務
1996年 門真市阪本蒼生会蒼生病院内科(循環器) 内科副部長として出向
1998年 関西医科大学第2内科医学博士号取得
2000年 門真市阪本蒼生会蒼生病院 内科部長
2000年10月 医療法人社団宏久会泉岡医院 勤務
2004年 医療法人社団宏久会泉岡医院 院長、一般社団法人大阪府内科医会 副会長、一般社団法人都島区医師会 副会長


■所属・資格他
日本内科学会、日本循環器学会、大阪府医師会医学会 評議委員、日本臨床内科医会 学術委員(循環器班)、日本内科学会 評議員、日本臨床内科医会 評議委員、大阪府医師会 代議員、日本臨床内科 認定医、日本医師会 認定産業医、大阪府内科医会 推薦医、日本臨床内科医会、大阪府内科医会 副会長、都島区医師会 副会長


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