出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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アトピー性皮膚炎
あとぴーせいひふえん

アトピー性皮膚炎とは?

どんな病気か

 アトピー性皮膚炎は、増悪・寛解を繰り返し慢性的に経過する、かゆみのある湿疹と定義されています。患者さんの多くはアトピー素因をもっています。乳幼児から成人まで、あらゆる年齢層で発症する病気です。

原因は何か

 アトピー素因(アトピー体質)とは、気管支喘息アレルギー性鼻炎結膜炎、アトピー性皮膚炎などの病気にかかりやすい体質のことをいいます。家系内にこれらの病気にかかっている、またはかかったことがある人が多く、また、ダニやハウスダスト(家のホコリ)、食物などの環境中のアレルゲン(アレルギー反応の原因となる物質)に対してアレルギー反応を起こしやすい体質のことを指します。

 このアトピー素因に加え、皮膚の易刺激性、乾燥肌そして環境因子などが複雑に絡みあって関与し、病変をつくっていると考えられています。皮膚の乾燥傾向が基本となり、そこにアレルゲンやさまざまな刺激が加わり、慢性の湿疹がみられます。

症状の現れ方

 かゆみを伴った湿疹病変が慢性に経過し、左右対称性に分布します。年齢などにより湿疹のできやすい場所は違ってきます。

 乳児では顔面・頭部にできやすく、乳児脂漏性湿疹と区別が付きにくい時があります。成長すると次第に肘や膝関節の曲がる部分に湿疹病変が分布するようになります。幼児期になると、かき傷を伴って皮膚の乾燥が目立ちはじめます。空気が乾燥する冬に症状が悪化することが多いようです。

検査と診断

 アトピー素因などのアレルギー検査として、血液の検査と直接皮膚で行う検査があります。

 血液の検査では、白血球数などの検査のほかにIgE抗体を測定します。IgEは血液のなかに作られる抗体の一種で、アレルギー反応に関与します。さらにIgEがどのようなものに対して作られているかを調べるRAST法という検査も行われます。ダニ、ハウスダスト、卵の白身、牛乳などに陽性を示す人が多いとされています。また最近、アトピー性皮膚炎の重症度の指標となるTARC値の測定も行われるようになっています。

 皮膚の検査では、パッチテストが有用です。原因あるいは増悪因子の可能性がある生活環境中の物質を背中に貼り、2~3日後に反応をみて判定します。ヒョウヒダニ、家のホコリ、カンジダ(カビ)などで高い陽性率がみられます。

治療の方法

 治療の基本方針として、環境の整備、湿疹病変の薬物による治療、乾燥肌に対するスキンケアの3つが重要です。

 生活環境に増悪因子がある場合が多いので、それらへの対策を立てるとともに、湿疹をステロイド外用薬、免疫抑制薬、その他の外用薬で治療します。かゆみに対しては抗ヒスタミン薬などの内服も効果があります。皮膚が過度に乾燥しないように保湿効果のある外用薬を入浴後などに使用して、皮膚の調子を整えます。

 繰り返し起こる、あるいは慢性に続くのが特徴の湿疹なので、症状がないか、あっても気にならない程度で、日常生活に何ら支障がない状態か、症状は軽度で長引いているが急に悪くなることはなく、たとえ悪くなっても治療ですぐ落ち着くといった状態を保つことが重要です。

病気に気づいたらどうする

 皮膚科または小児科を受診し、各人で異なる増悪因子を探して対策を立てるとともに、薬で湿疹を治療します。

(執筆者:久留米大学医学部皮膚科学准教授/久留米大学医学部皮膚科学准教授 安元 慎一郎)

アトピー性皮膚炎に関連する可能性がある薬

医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、アトピー性皮膚炎に関連する可能性がある薬を紹介しています。

処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。

・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。

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