出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
縦隔腫瘍
じゅうかくしゅよう
縦隔腫瘍とは?
どんな病気か
縦隔内に発生した腫瘍をいいます。縦隔腫瘍には好発部位があり、その発生する場所から、腫瘍の種類が推定できます。
すなわち、上縦隔には甲状腺腫が、前縦隔には胸腺腫と奇形腫が、中縦隔にはリンパ性腫瘍、気管支嚢腫、心膜嚢腫が、後縦隔には神経性腫瘍がよくできます(図48)。
発生頻度は胸腺腫が最も多く、次いで奇形腫、神経性腫瘍です。
原因は何か
肺がんと喫煙のような、明らかに原因となるものは不明です。また、気管支嚢腫や心膜嚢腫のように、先天性の腫瘍もあります。
症状の現れ方
縦隔腫瘍の約半数は無症状で、健康診断による胸部X線検査で偶然発見されます。
腫瘍が気道への圧迫や浸潤を起こして咳、血痰、呼吸困難を、食道への圧迫や浸潤により嚥下障害を、胸壁や神経への浸潤により胸痛や神経痛を、反回神経麻痺によるかすれ声を、交感神経麻痺によるホルネル症候群(縮瞳、眼裂狭小、眼球陥凹)を、上大静脈への圧迫や浸潤により上大静脈症候群(顔面や頸部の浮腫)を来すこともあります。
胸線腫では腫瘍随伴症状として、重症筋無力症(骨格筋が疲れやすくなったり脱力を来す病気で、眼瞼下垂を来すことが多い)や、赤芽球癆(赤血球のみが減る病気)が高率にみられるのが特徴です。
検査と診断
胸部X線検査や胸部CT検査で、腫瘍を確認します(図49)。
前述のように、縦隔腫瘍には好発部位があり、その発生する場所から腫瘍の種類を推定します。しかし、良性か悪性かの見分けは、画像からは困難です。
治療の方法
縦隔腫瘍は、発見後できるだけ早期に手術をするのが原則です。多くは手術により治癒します。悪性リンパ腫であれば、抗がん化学療法が行われます。
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