出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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眼瞼腫瘍
がんけんしゅよう

  • 眼科
  • 診療に適した科

眼瞼腫瘍とは?

どんな病気か

 まぶたにできる腫瘤(しこり)で、硬さはさまざまです。皮膚にできると表面がただれることもあります。また、まぶたの裏の結膜側にできるものもあります。

原因は何か

 腫瘍とは、もともと人体を構成していた無数の細胞のうちの通常1個が制御を失い、無秩序に増殖していくもので、真性腫瘍とも呼ばれます。真性腫瘍は1個の細胞が増殖したものであるため、普通は単一の腫瘍組織からなります。

 真性腫瘍には、良性腫瘍と悪性腫瘍があります。悪性腫瘍はがん(または肉腫)と呼ばれ、一般に増大傾向が強く、全身に転移し生命を脅かします。まぶたの皮膚にできるもの、内部にできるもの、結膜にできるものがあります。

症状の現れ方

 皮膚にできれば、直接見えるので容易にわかります。皮膚表面の良性腫瘍で色の目立つものには血管腫(赤くて軟らかい)、黄色腫(黄色で平たい)、母斑(ほくろ。黒~青黒色、茶色)(図9図9 眼瞼縁の母斑)、脂漏性角化症(青~黒、老人に多い)などがあります。

 このほか、乳頭腫(いくつも突起がある)もよくみられます。また、いぼも良性腫瘍(尋常性疣贅)です。内部にできる良性腫瘍には、皮様嚢腫といって乳幼児期からまぶたの外寄りにできるものがあります。

 悪性腫瘍では、皮膚表面には基底細胞がんがよくみられます(図10図10 眼瞼の基底細胞がん)。少し盛り上がり、なかがただれてじくじくした感じになります。これは悪性腫瘍としてはめずらしく転移しません。このほか、皮膚表面には、非常にまれに悪性黒色腫が発生します。

 まぶた内部の腫瘤としては脂腺がんが発生します。これは転移もします。高齢者では霰粒腫との区別が大切です。結膜側には扁平上皮がんがみられ、表面に凸凹があり、色調は白色~ピンク色です。

検査と診断

 外見からかなりの正確さで診断できますが、決定的には腫瘍組織を顕微鏡で調べて診断します(病理組織診)。悪性であれば転移の有無などを調べます。

治療の方法

 良性腫瘍は全摘出し、採取した組織は必ず病理組織診を行います。悪性ならば、腫瘍より大きめに切除摘出し、腫瘍が完全に取れたことを病理組織診で確認します。転移があれば、化学療法や放射線療法が必要です。

 まぶたの腫瘍の場合、大きく切除した場合はまぶたの機能的、美容的な再建術が必要になります。

病気に気づいたらどうする

 早めに専門医を受診してください。

(執筆者:大阪市立総合医療センター眼科部長 森 秀夫)

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