急性腎不全
きゅうせいじんふぜん
- 泌尿器科
- 診療に適した科
急性腎不全とは?
どんな病気か
急性腎不全とは、何らかの原因により腎機能が急激(数時間から数週間)に低下し、その結果、高クレアチニン血症(血清クレアチニンの高値)、高窒素血症(血中尿素窒素の高値)、体液中の水・電解質異常などが起こり、体の内部環境の維持ができなくなった状態です。
尿量の減少を伴う乏尿性急性腎不全(尿量が400ml/日以下)と伴わない非乏尿性急性腎不全に分けられ、30~60%が非乏尿性といわれています。
原因は何か
原因は、障害された部位によって腎前性、腎性、腎後性に分けられます(表12)。それぞれが占める割合は腎前性55~60%、腎性35~40%、腎後性5%以下といわれていますが、時間の経過とともにこれらの原因が組み合わさって、病態がより複雑になります。
①腎前性
腎臓自体に障害はなく、循環血流量が低下するために起こります。つまり尿を作る原料である血液の、腎臓への供給が不足して腎不全になった状態です。
出血や下痢などによる循環血漿量の減少、心筋梗塞などによる重症の心機能低下、敗血症などによる末梢血管障害、両側腎動脈狭窄など、腎臓以外の臓器障害が原因になります。
②腎性
腎臓自体が障害されたために起こる急性腎不全です。腎臓自身の病気、薬物、その他の病気の代謝産物による閉塞や、その物質の腎毒性などが原因となります。
③腎後性
腎臓でつくられた尿を体外へ排泄するための経路(尿管、膀胱、尿道など)が閉塞したために発症する急性腎不全です。通常は、他臓器の腫瘍の後腹膜への転移や、泌尿器科的な病気が原因となります。
症状の現れ方は尿毒症の項目で詳細に解説しているので、参照してください。
検査と診断
急性腎不全の診断は、血液検査での血清クレアチニンの値でわかります。しかし、原因検索のためには、血液検査、尿検査、画像診断(超音波、X線、CT、MRI検査など)だけでなく、詳細な病歴(経過)がヒントとなることが少なくありません。
治療の方法と予後
治療の基本は、原因となる病態を改善し、腎機能が回復するまで、腎不全により破綻した体内の内部環境を維持することです。薬物治療で臨床上、効果が証明されたものはありません。進行した急性腎不全には血液浄化療法が必要です。
腎臓自体の障害が原因の場合は、死亡率は10%以下といわれています。しかし、腎臓以外の臓器障害が原因の場合(とくに複数の臓器障害が同時に起こった場合には)、約50%が死亡します。
腎機能の不完全な回復が30%にみられ、そのうち腎機能が軽度低下していても安定した経過をたどる人は約25%、腎機能がいったん回復しても徐々に低下する人が約5%います。
病気に気づいたらどうする
病歴をはっきりさせることが最も大切です。つまり、これまでかかった病気、受けた検査や手術、薬物の服用歴とアレルギー(使ってはいけない薬)、健康食品や嗜好品などについて詳細に医師に伝えることが、原因の早期診断につながります。
腎不全に関連する可能性がある薬
医療用医薬品の添付文書の記載をもとに、腎不全に関連する可能性がある薬を紹介しています。
処方は医師によって決定されます。服薬は決して自己判断では行わず、必ず、医師、薬剤師に相談してください。
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アルファカルシドールカプセル0.25μg「BMD」 ジェネリック
ビタミンA及びD剤
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カルシトリオールカプセル0.25μg「BMD」 ジェネリック
ビタミンA及びD剤
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球形吸着炭細粒「マイラン」 ジェネリック
解毒剤
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プリモボラン錠5mg
たん白同化ステロイド剤
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カルタン錠250
その他の循環器官用薬
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ジェノトロピンTC注用5.3mg[プラダー・ウィリ症候群]
脳下垂体ホルモン剤
・掲載している情報は薬剤師が監修して作成したものですが、内容を完全に保証するものではありません。
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コラム急性腎障害(AKI:Acute Kidney Injury)とは
急性腎不全は、腎機能が急激に低下し、身体の内部環境が維持できなくなった状態をいいますが、腎機能の低下の程度や速度についてのはっきりとした定義がなく、異なった施設で比較研究などを行ううえで困難でした。
また、急性腎不全の予後は血液浄化療法などにより死亡率が約80%から約50%に改善しましたが、その後いろいろな治療法が試みられていますが、さらなる進歩が認められていない現状があります。
近年、急性腎不全をより早期に診断し、治療を始めることにより予後の改善を図れるのではと考えられ、AKIの概念が提唱されました。2002年に国際会議で新たな診断基準としてRIFLE基準(表13)が提唱され、国際的に使われています。2007年にはAKIN(Acute Kidney Injury Network)からRIFLE基準を修正したAKIN基準(表14
)が示されました。今後は、これら基準の有効性について検証し、さらに尿量や血清クレアチニン値以外の、AKIを早期診断できる指標の開発が期待されています。
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