出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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晩発性皮膚ポルフィリン症
ばんぱつせいひふぽるふぃりんしょう

晩発性皮膚ポルフィリン症とは?

原因は何か

 長期飲酒、肝がん全身性エリテマトーデス、肝炎(B、C型)、HIV感染、薬剤(避妊薬、前立腺がんのエストロゲン薬)、鉄剤の投与(鉄は酵素を阻害する)などが誘因です。ウロポルフィリノーゲン脱炭酸酵素の活性低下(50%程度)があります。家族性(原因不明)のものと孤発性のものとがあります。

症状の現れ方

 最も多いポルフィリン症です。長期飲酒歴がある中年男性が春から夏にかけて、日光に肌を露出すると、一見正常に見える皮膚でも水疱が生じることがあり、それが数週間治らない場合もあります。

 光線過敏症がありますが、急性のポルフィリア発作(骨髄性プロトポルフィリン症のような日光曝露後の痛み、熱感の急激な出現)はみられません。また、稗粒腫(汗管が詰まることによる白色小丘疹)を伴う瘢痕、色素の沈着および脱失を残します。強皮症に似た硬化(18%)が広がると、強皮症と区別できなくなります。側頭部から頬部にかけての顔面多毛もあります。家族性のものでは、小児でも発症します。

検査と診断

 血漿、尿、糞便中のポルフィリンの増加を調べます。赤色尿もみられます。組織的には、表皮下水疱、血管周囲性PAS陽性物質もみられます。3分の1に肝硬変がみられます。

 区別すべき疾患には、後天性表皮水疱症、薬剤性光線過敏症、慢性腎不全、偽性ポルフィリン症(透析患者の4~18%)があります。

治療の方法

 禁酒と遮光が必要です。薬剤性なら、原因とみられる薬を中止します。瀉血(血をとる)して血清鉄を減らすことで軽快します。

病気に気づいたらどうする

 皮膚科、内科を受診します。

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(執筆者:長崎大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学教授 宇谷 厚志)

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