出典:家庭医学大全 6訂版(2011年)
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脱色素性母斑
だつしきそせいぼはん

脱色素性母斑とは?

どんな病気か

 脱色素性母斑は、生まれつきある限られた部位にできた、不完全な脱色素斑(白く色が抜けて見える)です。体幹部や四肢に多くみられ、顔面、手足には少ないようです。この色素斑はとくに広がることもなく経過します。同じように見える脱色素斑がやや広く分布した場合は、色素失調症の可能性があり、注意が必要です。

検査と診断

 皮膚の色が抜けて見える場合、いくつかの区別すべき疾患があります。サイズが拡大していくようならば尋常性白斑、サイズが大きいようならば色素失調症、表面から鱗状の粉(鱗屑)を伴う場合は真菌症(カビ)である癜風などの可能性があります。専門医と相談のうえ、経過などで診断はつくと思いますが、場合によっては皮膚を一部採取する病理組織学的検査が必要になることもあります。

治療の方法

 あまり有効な治療法はありません。紫外線照射が多少有効な場合もあります。

病気に気づいたらどうする

 とくに問題となるのは見た目だけです。しかしまれに結節性硬化症の最初の症状のこともあります。一度皮膚科を受診して、先に述べた疾患との区別さえつけば、経過をみてよいでしょう。

(執筆者:産業医科大学病院形成外科診療科長・准教授 安田 浩)

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コラム母斑のレーザー治療について

産業医科大学病院形成外科診療科長・准教授 安田浩

 最近よく「レーザーで治してほしい」と受診する人が多くなり、関心のある人が増えてきたと実感しています。

 レーザーにはさまざまな種類があり、その用途に応じて選択しています。母斑のところで述べたレーザーではほくろをとったり、表皮母斑を削ったりする炭酸ガスレーザー、太田母斑などで述べたQスイッチルビーレーザー、Qスイッチアレキサンドライトレーザーなどがあります。

 炭酸ガスレーザーを用いる治療は皮膚を削りとるのでしばらく傷ができ、その処置が必要です。メスと同じ感覚で、治療に際しては麻酔が必要です。深くとった場合は当然傷跡が残る可能性があり、傷を目立たないようにすると削り方が浅くなるので、多少ほくろが再発する可能性もあります。なお炭酸ガスレーザーは今のところ保険適用ではないので、担当医と相談してください。

 これに対してQスイッチのレーザー群は太田母斑などに保険が適用されます。やはり多少の痛みがあり、また一時的に皮膚にダメージが加わるので、しばらくガーゼなどを当てる必要があります。保険適用でない疾患もあるので、担当医と相談してから治療に入ってください。

 皮膚科領域のレーザーはほかにも数多くあります。ひと口にレーザー治療といっても対象疾患によってその照射方法、回数、費用、経過などは異なるので、事前に十分相談してください。

脱色素性母斑に関する医師Q&A