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有機溶剤中毒、シンナー中毒
ゆうきようざいちゅうどく、しんなーちゅうどく

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もしかして... めまい  耳鳴り  心室細動  肺水腫

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有機溶剤中毒、シンナー中毒とは?

どんな中毒か

 トルエン、キシレン、ベンゼン、その他の各種脂肪族炭化水素からなる、いわゆる石油製品は、有機溶剤と総称されます。有機溶剤は肺、腸管、皮膚のすべての経路から吸収され、麻酔作用がありますが、いずれも急性毒性はそれほど強くありません。

 有機溶剤は揮発性のため、閉鎖空間で使用すると吸入による事故が生じます。

 一方、石油製品の経口摂取での死因の多くは、中毒ではなく、誤飲時や胃洗浄時に誤嚥したために激烈な化学性肺炎を引き起こすことです。したがって催吐(吐かせること)や胃洗浄は行ってはいけません。

 シンナーとは、塗料や接着剤などの希釈液の総称でトルエン、キシレンが主成分ですが、メタノールを含むものもあるので、注意を要します。摂取経路により毒性が異なり、50%致死量(摂取した人の半数が死亡する量:LD50)で比較すれば、経気道摂取は経口摂取の140倍の毒性を発揮します。

症状の現れ方

 急性中毒では多幸感、頭痛、めまい耳鳴り、吐き気・嘔吐、不穏、意識障害などが現れます。死因は、過度の麻酔作用による呼吸抑制、心室細動肺水腫などです。

 有機溶剤には皮膚刺激作用があり、接触によって発赤、びらん、水疱形成などが生じます。シンナー遊びでは羞恥心がなくなり、幻覚や幻聴が現れ、少々の刺激で異常行動を起こします。慢性中毒では造血機能の低下、中枢神経系の変性(脳萎縮)が注目されています。

治療の方法

 催吐や胃洗浄は禁忌です。吸着剤(活性炭)の投与と対症療法で対応します。

応急処置はどうするか

 新鮮な空気のもとに移動させます。皮膚汚染時や眼に入った時は、流水で十分に洗浄します。

(執筆者:大阪府立急性期・総合医療センター副院長/大阪府立急性期・総合医療センター副院長 吉岡 敏治)

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コラムたばこ関連病

産業医科大学学長 和田攻

 これまでに行われてきた多くの疫学調査で、喫煙は多くの病気の原因になることがわかり、これらを総称して「たばこ関連病」と呼んでいます。

主なたばこ関連病

①がん:肺がん、喉頭がん、口腔がん、咽頭がん、食道がん、胃がん、肝臓がんなどの増加がみられます。とくに肺がんの原因の70%を占め、すべてのがんを平均すると20~30%になります(図5図5 喫煙によるがんのリスク)。

図5 喫煙によるがんのリスク

②循環器系の病気:喫煙は、高血圧、高コレステロール血症とならんで心筋梗塞の三大危険要因です。そのほか、脳血管障害(とくに脳梗塞とくも膜下出血)、大動脈瘤、末梢血管の閉塞性疾患、高血圧、善玉コレステロールの低下などの原因になります。

③呼吸器系の病気:高齢者でみられる肺気腫、慢性気管支炎などは大部分が長期にわたる喫煙が原因とされています。気管支喘息の発作を引き起こすともされています。

 そのほか、胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎、歯周病などの消化器系の病気、胎児障害、妊娠率の低下、流産、妊婦の異常などの生殖器系の病気、アルツハイマー病、聴力障害、睡眠障害などの脳・神経系の病気、全体としての寿命の短縮や老化の促進もたばこ関連病とされており、非喫煙・禁煙でこれらの病気が減ることも証明されていいます。

受動喫煙によるたばこ関連病

 喫煙する本人だけでなく、たばこを吸う夫をもつ家庭の主婦でも肺がん(1・4~2倍)、鼻腔がん、脳腫瘍、乳がんや心筋梗塞、慢性呼吸器病などが増加すると報告されています。母親の喫煙による乳幼児の肺炎、乳幼児突然死症候群、胎児・新生児障害も報告されています。

たばこ関連病による死亡者と医療費

 WHO(1995年)の発表によると、日本人の喫煙が関係した死亡者は、全体の死亡者の14%、米国では20%とされています。また日本人全体の喫煙による病気の医療費は年間で3兆2000億円(2000年)になります。直接的にも間接的にも喫煙の影響は大です。