専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

杏林大学医学部付属病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

呼吸器内科

分野

呼吸器内科

特色

当院は東京西部地区三多摩の中核的医療センターの役割を果たしており、高度救命救急センターや救急初期診療チームなどの救急診療体制は充実している。そのため当科は救命救急センターからの重症呼吸不全例や重症感染症例なども診療し、かつ市中肺炎、肺癌、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎など幅広く呼吸器疾患の専門的な診断・治療を行っている。なかでも市中肺炎はマイコプラズマ肺炎を中心に臨床・基礎研究を進めている。また肺癌診療は地域がん拠点病院として呼吸器外科、放射線科、病理部、薬剤部、看護部、ソーシャルワーカーなどと集学的チーム医療を行っている。

症例数

年間の外来患者数は約20,000人、延べ入院患者数も20,000人以上である。入院症例の主要疾患は腫瘍性疾患(原発性肺癌、転移性肺癌、胸膜中皮腫、悪性リンパ腫、縦隔腫瘍など)60%、びまん性肺疾患(間質性肺炎・肺線維症、サルコイドーシス、膠原病・血管炎、好酸球性肺炎、薬剤性肺障害、過敏性肺炎など)15%、感染症(肺炎・胸膜炎・膿胸、肺結核、非結核性抗酸菌症、AIDS、ウイルス感染症、真菌感染症など)15%、慢性呼吸不全(肺気腫、肺結核後遺症、びまん性汎細気管支炎、気管支拡張症など)10%である

市中肺炎の診断と治療=日本呼吸器学会の「呼吸器感染症に関するガイドライン」に従った診療を行っている。市中肺炎診断時の重症度判定、グラム染色や各種迅速診断を用いた対応を基本とし適切な初期治療をすすめている。当科での重症市中肺炎(A-DROP 3以上)における原因菌は約50%が肺炎球菌で、重症例は集中治療室において積極的な全身管理を行っている。また、マイコプラズマ肺炎を中心とした非定型肺炎や外来診療となる市中肺炎に対しても、抗菌薬の治験を積極的に行っている

びまん性肺疾患の診断と治療=高分解能CTによる画像診断を評価し、気管支鏡検査(気管支肺胞洗浄や経気管支肺生検)を行う。また呼吸器外科に胸腔鏡下肺生検も積極的に依頼し、呼吸器内科・外科、放射線科、病理科とのCRP(clinical radiological pathological)診断も定期的に行っている

肺癌の診断と治療=肺癌の新規入院症例は年間約150例である。気管支鏡検査は年間約350例施行し、呼吸器外科、放射線科と病期評価および治療方針の決定を毎週定期的に行っている。化学療法に関しては新規抗癌剤を含む多剤併用療法を先行して行っているが、非小細胞癌の場合は生検組織からEGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子変異の有無を確認し、分子標的治療の適応も検討している。そして各種併用化学療法の臨床試験の参加施設でもあり、新しい治療法や副作用調査なども積極的に行っている

慢性閉塞性肺疾患COPDの診断と治療=日本呼吸器学会「COPD診断と治療のためのガイドライン」に基づく診療を行っている。吸入薬等の薬物療法、包括的呼吸リハビリ、肺炎球菌ワクチン接種、そして在宅酸素療法の導入・指導を行っており、また当科ではCOPD患者の栄養学的評価も臨床研究として進めている。

医療設備

高分解能CT、MRI、核医学検査、DSA、呼吸機能検査(アストグラフを含む)、気管支鏡、胸腔鏡、リニアックなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

呼吸器・甲状腺外科

分野

呼吸器外科

特色

原発性肺癌の治療を中心に、転移性肺腫瘍、良性肺腫瘍、縦隔腫瘍、膿胸、自然気胸、気道狭窄など呼吸器外科領域全般にわたり診療を行っている

★肺癌の治療方法を決める上で重要な要素であるリンパ節転移の正確な評価として、CT検査・PET検査に加え超音波ガイド下経気管支鏡生検(EBUS-TBNA)を利用している。また、肺の中の小さな病変に対しても超音波ガイドを使用して気管支鏡下に生検・診断を行い、従来全身麻酔下の縦隔鏡・胸腔鏡等の検査を要していた方も、局所麻酔で気管支鏡を用いて行う検査により体に負担が軽い検査でできるようになっている

★早期の肺癌や縦隔腫瘍に対しては、低侵襲な胸腔鏡を使用した手術を行っており、良好な結果を得ている。手術の対象でない小細胞肺癌・切除不能進行非小細胞肺癌に対しても「肺がん診療ガイドライン」に沿った抗癌剤治療・放射線治療を行い、あらゆる状況の肺癌に対応できる体制をとっている。さらに終末期の患者に対する緩和医療も近隣の医療機関と連携をとりながら行っている

★診療情報の開示は徹底して行い、インフォームド・コンセント(患者さんへの説明と同意)は分かりやすいように書面で行っている。すべての治療方針は患者本人の納得を得て行われている

★また、肺癌の早期発見のため、多摩地区を中心に地域の健診活動(画像診断読影)にも参加している。他院からのセカンドオピニオンの要請や、他院へのセカンドオピニオンの希望にも積極的に応じている。

症例数

主要疾患の年間平均切除例数は、原発性肺癌85例、自然気胸50例、転移性肺腫瘍15例、縦隔腫瘍10例である

肺癌=初診患者数は年間150例。早期の肺癌、高齢者の肺癌には区域切除など縮小手術も行っている。IA期の胸腔鏡補助下手術の5年生存率は90%である。IB期、II期、IIIA期の症例には再発予防を考慮して、術後の補助治療としての抗癌剤治療を行っている。IIIB期、IV期には放射線と化学療法を行う。切除成績(5年生存率)はIA期82%、IB期72%、IIA期100%、IIB期45%、IIIA期37%である。これらは全国統計(99年)、IA期83%、IB期66%、IIA期60%、IIB期47%、IIIA期33%と比較しておおむね良好である

転移性肺腫瘍=大腸癌の肺転移が多数を占める。大腸癌肺転移をはじめ、腎癌、頭頸部癌、子宮癌、精巣腫瘍などの肺転移に対しても、積極的に手術を行っている。大腸癌肺転移切除例の5年生存率は75%である

縦隔腫瘍=胸腺腫では適正な画像診断の基に手術治療を行っている。また、必要に応じて術後追加療法を行っている。胸腺癌や胚細胞腫瘍に対しての外科治療は化学療法・放射線療法と提携した集学的治療の一部として行っている。嚢胞性疾患、神経原性腫瘍、小型の胸腺疾患に対しては低侵襲な胸腔鏡下手術を行っている

自然気胸=自然気胸の再発は手術治療によって大幅に減少させることができる。従って低侵襲に胸腔鏡を用いた手術を積極的に行っている。若年者の自然気胸の症例では術後平均2日で退院が可能である。高齢者では手術適応と術式の選択を慎重に行う。気漏の部位を同定するために胸腔造影も行っている。胸膜癒着術を第一選択に、不要な侵襲を回避するよう心がけている。約40%に手術を要するのが現状である

膿胸=内科的治療でコントロール不良な症例に対し、胸腔鏡を用いた低侵襲手術を行っている

審査胸腔鏡=リンパ節腫大(悪性リンパ腫・サルコイドーシス)、特発性肺線維症、間質性肺炎、難治性胸水など組織を採取して確定診断や治療方針決定を要する疾患に対し、積極的に胸腔鏡を利用した診断を行っている。詳しくはhttp://www.kyorin-u.ac.jp./hospital/clinic/surgery02/center.shtml を参照。

医療設備

高分解能マルチスライスCT、胸腔鏡手術装置、超音波気管支鏡検査(EBUS)、ビデオ縦隔鏡、気道ステント、ヤグレーザーなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

心臓血管外科

分野

心臓血管外科

特色

多摩地区の基幹病院のひとつとして、充実した設備、スタッフで高度先進医療を行っている。特に、当院は本邦に誇る高度救急救命センターを有しており、当科も昼夜を問わず常に高度な医療が迅速に提供できる体制で臨んでいる。疾患として急性冠症候群、急性大動脈解離、大動脈瘤破裂等の救急・重症患者が多いのが特徴である。施設に関しては、救命救急センター、心臓カテーテル室、CCU、ICU、中央手術室、循環器病棟が連携を密に保っており、検査から手術、術後管理までを短い動線で機能的に行うことを可能にしている。10年の関心術141例中63例(45%)が救急手術であった。人工心肺非使用冠動脈バイパス手術(OPCAB)および心拍動下人工心肺使用冠動脈バイパス術(ONCAB)などの低侵襲手術を積極的に行っており、大動脈瘤に対してはステントグラフト術により、他の合併症を有する重症例および高齢者(90歳以上)にも適応の拡大を図っている。また末梢動脈瘤破裂、末梢動脈損傷、末梢動静脈狭窄等に対しても、放射線科との連携でカテーテル治療(コイル塞栓、ステント)を積極的に行っている。

症例数

過去3年間(08、09、10年:以下数字はこの3年間のものを示す)の年間手術数は、心臓大血管(関心術)が225(123)例、191(119)例、240(141)例、末梢血管は266例、284例、249例、計491例、475例、489例であった

★疾患別症例数および成績では、冠動脈バイパス手術が43例、37例、57例で、透析施行例など合併症を有する重症例や、急性心筋梗塞に対する緊急症例が多いのが特徴である。待機手術の死亡率は2%であった。弁膜症は計68例であり、追加手術として心房細動に対するメイズ手術を弁または冠動脈バイパス手術との同時手術で21例に対して行っており、良好な成績である。約70~75%の症例が洞整脈に戻っている。他の不整脈に対するカテーテルアブレーション、ICD(植え込み型除細動器)・ペースメーカー植え込み等の治療は循環器内科で行っている。また07年より心不全CRT(心房同期両室ペーシング)植え込みも開始され、さらに慢性肺動脈血栓塞栓症、肺高血圧症に対する経皮的肺動脈拡張術も10年より循環器内科にて導入された。当科でのペースメーカー手術は年間約30例であった

★胸部大動脈瘤は計168例であり、このうち死亡率は9.5%であった。この中にはショックを呈する急性大動脈解離、動脈瘤破裂、心肺蘇生後などの重篤な症例も含まれており、成績は向上したと自負している。新しい術式としてオープンステントグラフトを併用した広範囲胸部大動脈瘤を一期的に治療する試みや、脳梗塞予防のための人工血管挿入法、超低体温循環停止法に間歇陽圧逆行性脳潅流を併用した弓部大動脈手術なども積極的に行っている。胸部大動脈瘤に対するステントグラフト移植もゾーン2まで積極的に行っている

★腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療も50例(3年間計)に施行した。他に成人先天性心疾患手術、心臓腫瘍、急性肺動脈塞栓症に対する血栓除去術を年間数例施行しており、心臓腫瘍や肺動脈塞栓に対しては胸腔鏡・内視鏡を使用した有効性、根治度の高い手術を目指している

★末梢血管に関しては、動脈瘤、動脈閉塞が主要な疾患である。腹部大動脈瘤の人工血管置換術は71例に施行した。慢性動脈閉塞に対するバイパス手術は35例に施行した。動脈閉塞、末梢動脈痛に対するカテーテルによるステント留置、コイル塞栓術(放射線科医施行)は68例に、急性動脈閉塞に対する血栓除去術は30例に施行した。下肢静脈痛手術が68例、血液透析のための内シャント作製術が508例、血管外傷等が年間10~20例であった。

医療設備

ICU、CCU、NICU、心臓カテーテル・血管造影室、CT、MRI、心・血管エコー室、セルセーバー、PCPS2台、IABP5台、ステントグラフト用DSA装置など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

腎臓・リウマチ膠原病内科

分野

腎臓内科

特色

腎臓内科は第1内科の腎・膠原病グループが担当している。リウマチ性疾患も当施設では当科が担当しているので、一次性腎疾患のみならず、リウマチ膠原病による二次性腎疾患、あるいは糖尿病性腎症などにも広い視野で対応している。対象疾患は慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、膠原病に伴う腎炎、糖尿病性腎症および高血圧である。当科はまた、腎透析センターを運営しており、外来維持透析患者のほか、当科および他科の入院患者の血液透析をはじめとする各種血液浄化療法に対応している。

症例数

腎臓外来患者数は月間1,084例、リウマチ膠原病外来患者数は月間1,102例。入院診療の実績としては10年度患者総数358例のうち、腎臓疾患200例、リウマチ膠原病158例、透析導入患者102例。腎・透析センターにおける09年度の延べ新規入室患者は355人で、うち白血球吸着、顆粒球吸着、LDLアフェレーシス、血漿交換、二重膜濾過血漿交換、免疫吸着、ECUMなど特殊血液浄化法は計26人であった。当科は腎疾患、リウマチ膠原病を2本の柱としており、それぞれが専門外来を持っている。腎疾患は糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、膠原病や糖尿病による二次性腎疾患、慢性腎不全などを扱っている。泌尿器科と外来を共有して連携している。リウマチ膠原病は関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどの膠原病、全身性血管炎のほか、各種免疫疾患を扱っている。整形外科、血液内科と外来を共有して連携している。当科はまた、腎透析センター(26床)を運営しており、外来維持透析患者(血液透析14人、CAPD25人)のほか、当科および他科の入院患者の血液浄化療法に対応している

★ANCA関連腎炎および全身性血管炎は、全国的にも随一の患者数を擁しており、常に数人の入院患者がおり、東京近県からの紹介も多い。治療成績は近年飛躍的に向上しており、当科は治療法に関しては長年にわたる蓄積がある。急速進行性腎炎を呈するので透析を必要とする症例も多いが、透析センターとは緊密な連携があるので、透析を行いながら、肺合併症などに対して強力な治療を行っている

★全身性エリテマトーデスをはじめとする膠原病に伴う腎障害も、多数の症例の蓄積がある。腎透析センターも当科が運営しているので、血漿交換を含む集約的な血液浄化療法によって良好な治療成績を得ている

★慢性糸球体腎炎・ネフローゼ症候群など一次性腎疾患に対しても、血液浄化療法を含む積極的治療法を行っている

★糖尿病腎症による透析導入は当科においても多く、毎年30~40例を導入している

★腎障害を伴わない関節リウマチのようなリウマチ性疾患も多数の患者数を抱えており、近年の生物学的製剤の導入患者数も全国のベストテンに入る。また、コメディカルとの連携により、個々のケースに対して生活指導を行うとともに、3カ月に1回の腎臓教室を開いて、家族共々集団で、看護師、薬剤師、臨床工学技士、ケースワーカー、栄養士らによる指導を行っている。定期的に近隣施設との腎生検カンファレンス、さらに年2回、三多摩地区の透析施設を中心とした連絡会の本部として研究会を開催している

★新規透析導入、急性腎不全に対する緊急透析のほか、近隣の透析クリニックからの紹介による合併症患者を随時受け入れている。数年前より外来腹膜透析(CAPD)の導入が増加傾向にあり、09年度末現在で外来患者総数25人に達した。必要に応じて血液透析との併用療法も行っている。血液濾過透析も実施可能で、各種アフェレーシス療法にも対応している。当センターは日本透析医学会の認定教育施設に指定されており、専門医・指導医、看護師、臨床工学技士が各方面の教育・指導に当たっている。

医療設備

透析ベッド26床(うち個室4床)、患者監視装置26台(うち個人用4台)、血液濾過透析装置、血漿交換機、逆浸透装置、多人数用透析液自動供給装置、同4人用、CAPD患者診察室など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

泌尿器科

分野

泌尿器科

特色

泌尿器科疾患全般を対象に、患者さんに優しい医療を心がけ、体に優しい腹腔鏡や腎盂尿管鏡を用いた手術を行っている。腹腔鏡手術は国内でも先進的に取り組んできた実績を持つ。前立腺癌は、①腹腔鏡、あるいは開腹での前立腺全摘除術②小線源療法③強度変調放射線治療(IMRT)④高密度焦点式超音波(HIFU)治療(私費)⑤内分泌治療⑥抗癌剤治療を実施している。

症例数

年間の全手術数は1,000症例を超える

副甲状腺腫瘍=年間約10症例

副腎腫瘍=年間20症例、主に腹腔鏡下手術を実施

腎癌=年間70症例、主に腹腔鏡下根治的腎摘除術を実施。大きな腫瘍は開腹術を行っている。比較的小さな腫瘍等では腹腔鏡あるいは開腹で腎部分切除術を行う。下大静脈浸潤を伴う腫瘍や転移症例でも可能な限り手術を行い、生物活性製剤、分子標的薬で予後の改善に努めている。5年生存率は、StageI:91%、II:93%、III以上は50%

腎盂尿管癌=年間約20症例、腹腔鏡下腎尿管全摘術を基本とし、限局性表在性腫瘍に対して経尿道的尿管腫瘍切除術も選択。腫瘍の浸潤・転移・再発例に対しては化学療法を行う。5年生存率:StageI:98%、II:85%、III:64%

膀胱癌=年間120症例の経尿道的膀胱腫瘍切除術(非筋層浸潤癌)と年間20例の根治的膀胱全摘術(筋層浸潤癌)を実施。膀胱全摘後の尿路変更術では自然排尿可能な回腸新膀胱、畜尿可能なマインツパウチ、標準的な回腸導管を患者さんの条件と希望に合わせて作成。膀胱全摘除術のできない高齢者やハイリスク患者には、膀胱温存治療を実施(年間15例)。5年生存率:T1以下:99%、T2:74%、T3:52%、T4:14%

前立腺癌=当院での新規診断患者数130〜140症例、他院からの紹介患者数約100例。治療は年間、全摘手術症例60例、小線源療法25例、IMRT60~70例、化学療法30例。5年生存率:限局癌(病期A、B)は95%、局所浸潤癌(病期C)は70%、転移癌(病期D)40%。骨転移症例にはゾレドロン酸を投与

精巣腫瘍=年間約15症例。セミノーマの場合で転移を認めない場合と、非セミノーマで腫瘍マーカーが正常な場合は経過観察となる。転移のある場合は化学療法を行い、その後、後腹膜リンパ節郭清術を行う。患者さんの希望にて腹腔鏡手術(高度先進医療)も行っている。また、症例によっては末梢血幹細胞を採取して超大量化学療法を実施。5年生存率:StageIとII:100%、III:79%

尿路結石=年間約1,000人の新規患者。多くは疼痛をコントロールしながら自然排石を待つ。自然排石が期待できない場合や、尿路閉塞、尿路感染を合併した場合には積極的治療を行う。体外衝撃波砕石術(ESWL)は年間200〜250例で、その多くが外来的な無麻酔治療である。またESWLで治療困難な結石に対しては、内視鏡を用いた経尿道的尿管砕石術(TUL、年間約60例)や経皮的腎砕石術(PNL、年間約25~30例)を実施

前立腺肥大症=年間約600人の新規患者。QOL(生活の質)を重視し薬物療法を施行。薬物療法で治療効果が得られない場合、従来は経尿道的前立腺切除術(TUR-P)を行ってきたが、近年では経尿道的ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP、年間80例)を施行。HoLEPは出血が少なく、入院期間も短く(早ければ3泊4日)、大きな前立腺肥大にも実施可能な利点がある。リスクの高い患者さんには尿道ステント留置術を施行

尿失禁専門外来=年間新患者数は約60人。行動療法、薬物療法を主体に治療を行い、専門看護師による骨盤底筋体操の指導も取り入れている、病状に合わせた手術療法を行っている

★男性更年期症状を主訴に受診する新患者数は年間約40人。約60%の患者は治療後症状の改善を認めている

★多発性嚢胞腎。主として保存療法になるが、治療に関係する臨床研究も行っている。現在200人以上の患者が通院中

★セカンドオピニオン外来は年間20人程度。地域連携室へ申し込めば可能。

医療設備

ESWL装置、レーザー装置(尿路結石、HoLEP)、HIFU(前立腺癌)、密封小線源装置、IMRT、ウロダイナミックス装置、各種内視鏡装置(腹腔鏡・尿路内視鏡)。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

リハビリテーション科

分野

リハビリテーション科

特色

当院は中央線の吉祥寺・三鷹、京王線の仙川の中央に位置し、武蔵野の緑に恵まれた環境にある。特定機能病院で3次救急指定を受け、救命救急から始まる急性期リハビリに焦点をあてている。脳卒中はもちろんのこと、骨関節疾患、心臓・肺疾患、また全身熱傷、脳性麻痺、多発外傷など、多様な患者のリハビリテーションを担っている。リハビリテーション科専用の入院床はない。

症例数

最近の年間リハビリテーション新患者数は2,500人を超え、過去9年間に約2倍に伸びている。傷病別では脳卒中をはじめとする神経疾患が約半数を占め、骨関節疾患、循環器疾患が続く。病院の全患者の平均入院日数が13~14日と短いこともあって、リハビリテーションを実施した患者の自宅退院率は50~60%と決して高くはなく、患者の30%は一般病院、回復期リハビリ病院、老人保健施設を含めた療養施設に転院している。したがって近隣の回復期リハビリ病院とは密に連携し、質の高いリハビリテーションの継続をお願いしている。なお、当院での平均リハビリテーション期間は1カ月弱で、その間に脳卒中など神経疾患の日常生活動作自立度を約40%から約70%へ改善している。付属の脳卒中センターでのリハビリテーションには特に力を入れていて、しっかりしたシステムと良好な成績がゆえにマスコミによく取り上げられている。

医療設備

特定機能病院としての先進医療設備が整っている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

形成外科・美容外科

分野

形成外科

特色

03年4月より前東京大学形成外科波利井清紀教授が主任教授として赴任して以降、スタッフの増員、全国からのレジデント応募により、全国で1、2を争う規模の施設となった。現在、顔面神経麻痺、顔面・四肢の先天異常、癌切除後の再建や乳房再建などに対する手術を求めて、全国から患者が集まってきている。また、東洋一の規模を誇る高度救命救急センターが大学病院に併設されているため、顔面、四肢などのあらゆる外傷に対応している。さらに、美容外科の他、10数台のレーザーが設置されているため、種々のシミ、アザなどに対応することができるなど、施設設備も充実している。一方で、頭頸部外科、乳腺外科、血管外科など、他科との協力体制も確立されているため、形成外科的治療対象となる疾患のほぼすべてを網羅していると言ってよい。

症例数

形成外科新患者総数は年間約2,300人、入院手術数は約1,000件、外来手術数を含めると約1,400件である。これに年間約1,200例のレーザー手術が加わる。手術の内訳は唇裂、小耳症などの先天異常が10%、顔面神経麻痺の再建が20%、頭頸部腫瘍切除後の再建、乳癌切除後の再建などが20%を占め、その他皮膚、軟部組織腫瘍、瘢痕拘縮、熱傷を含めた外傷と多岐にわたる

★顔面神経麻痺に対する手術療法は、波利井教授と多久嶋教授が中心となり、世界で最も多い手術症例数を誇っている。具体的にはマイクロサージャリーの技術を用いて筋肉移植を行い表情を再建する他、美容外科的手技を取り入れた手術方法を行っている

★唇裂、口蓋裂に対しては、歯科、耳鼻咽喉科、言語聴覚士と共にチーム医療を行っている

★顔面骨骨折など顔面の外傷、また手の外傷に対しては、初期治療より形成外科が中心となって機能的だけでなく、整容的改善も目標として治療を行っている

★科長である波利井教授はマイクロサージャリーのパイオニアであり、このため血管吻合を必要とする組織移植術は最も得意とする分野である。耳鼻咽喉科による頭頸部腫瘍切除後の再建は勿論のこと、脳神経外科、整形外科、婦人科などにおける腫瘍切除後の組織欠損に対して、マイクロサージャリーを駆使した手術を数多く行っている

★また、腫瘍切除後の変形だけでなく、外傷後、放射線治療後の他、顔面萎縮症など特殊な疾患による変形に対しても、遊離組織移植術を中心とした方法による再建術を数多く行っている

★乳癌切除後の乳房再建に対しては、一つの術式にとらわれず、侵襲の小さな乳房インプラントを用いた方法から、有茎、遊離皮弁移植など自家組織を用いる方法や自家脂肪注入法まで、欠損の範囲、大きさ、患者の希望に応じてカスタマイズされた治療を行っている

★アザに対しては、症例に応じて軟膏ピーリング療法、外科的治療、レーザーを用いた治療を使い分けている。また、同じように見えるアザでもレーザーによって反応性が違うが、多くの種類のレーザーを設置していることが大きな効果をもたらしている

★近年、増加しつつある褥瘡、動脈閉塞による下腿潰瘍などいわゆる難治性潰瘍に対しては、フットケア外来を新設し、できるだけ下肢を温存する方向で手術的、保存的治療に当たっている

★大学に熱傷センターが併設されており、急性期の熱傷患者、あるいは熱傷後瘢痕拘縮の患者に対する手術症例も豊富である

★当科では、美容外科が正式に標榜されている。シミ、シワなどに対しては、抗加齢医学の一環として捉え、ピーリング療法、レーザー療法、注入(コラーゲンなど)療法、手術的療法を組み合わせて、患者の希望に添った治療を行っている。また、重瞼(二重まぶた)術、隆鼻(整鼻)術の他、頭蓋顎顔面外科の技術を応用した骨格形態を整える手術や豊胸、乳房縮小術、脂肪吸引術など、体幹における美容外科手術も専門のスタッフが担当している。

医療設備

CT、3次元CT、MRI、MRIアンギオ、血流シンチグラム、カラードプラ、レーザー(10種類以上)、手術用顕微鏡など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ×
  • 主治医指名 ×
  • 執刀医指名 ×

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

小児外科

分野

小児外科

特色

80年に多摩地区における唯一の大学病院小児外科として診療科が開設されて以来、約30年の診療実績を持つ。94年には大学医学部の小児外科学講座に昇格。日本外科学会認定施設、日本小児外科学会認定施設、総合周産期母子医療センター指定施設。新生児手術、小児がん、胆道閉鎖など難病治療の他、地域の外科的救急患者の受け入れに積極的である。

症例数

10年の年間入院総数293人、うち新生児入院11人、手術総数300件(新生児19件、乳幼児以降281件)。症例の約30%が鼠径ヘルニア、精巣水瘤(陰嚢水腫)、停留精巣など鼠径部疾患。約20%が急性虫垂炎、腸閉塞、外傷など腹部救急疾患。残り30%が新生児疾患、ヒルシュスプルング病、小児がん、胆道疾患、泌尿器疾患など難病

★新生児疾患のうち約60%は食道閉鎖症、小腸閉鎖症、横隔膜ヘルニア、臍帯ヘルニアなど出生前診断による母体搬送例で、産科、新生児科と連携して未熟児、極小未熟児の重症例はNICU内で手術している

★胃食道逆流症、ヒルシュスプルング病、卵巣嚢腫、脾腫、精巣静脈瘤などに対しては腹腔鏡手術を施行

★ヒルシュスプルング病や鎖肛に対しては肛門機能温存手術を行い、術後成績は良好

★小児がんに対しては、小児科と連携して、手術と多剤併用化学療法を組み合わせた集学的治療を行い、進行癌でも多くの長期生存例を持つ

★膀胱尿管逆流症、水腎症、尿道下裂、包茎など泌尿器手術も多い。

医療設備

MRI、CT、核医学、内視鏡、超音波、消化管内圧検査、24時間pH測定、組織化学検査など。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

アイセンター(眼科)

分野

眼科

特色

本邦初のアイセンターとして眼科各領域にわたり専門外来を開設し、専門医師による一貫した診断、治療を行っている。特に網膜硝子体分野では多くの専門医を揃え、硝子体手術、網膜剥離手術等を積極的に行っている。また、救命救急センターでは24時間救急疾患に随時対応し、西東京の基幹病院的な役割を果たしている。

症例数

10年度の外来患者数は延べ84,940人、救急外来受診者数は1,624人、手術件数は3,030件。内訳は白内障手術1,591件、硝子体手術743件、網膜剥離手術218件、緑内障手術153件、斜視手術52件、角膜移植9件、外眼部手術100件などである

★白内障手術は、永本教授を中心に専攻医以上の全員が施行しており、小切開無縫合による超音波乳化吸引術が中心で、ほぼ全例で眼内レンズが挿入されている。日帰り手術が中心だが、入院手術にも対応している。難症例でも水晶体嚢拡張リングを挿入し可能な限り小切開手術を選択しているが、症例に応じて嚢外摘出術や嚢内摘出術を選択する場合もある。人工的無水晶体眼には眼内レンズ縫着術を施行している。多焦点眼内レンズは導入していない

★網膜硝子体手術は、平形教授をはじめとして最も力を注いでおり、専門の医師を11人擁している。網膜剥離に関しては緊急性のある場合は可能な限り迅速に対応し、症例に応じて網膜復位術、硝子体手術を選択している。網膜復位率は初回手術で90%以上、最終復位率はほぼ100%である。糖尿病網膜症に関しては蛍光眼底撮影検査等を随時行い、網膜光凝固を行う他、増殖性変化の強い症例等には積極的に硝子体手術を行っている。また、糖尿病網膜症専門外来では、糖尿病専門の内科医と連携し、全身的な管理を並行して行いながら治療をすすめている。黄斑円孔や黄斑前膜等の黄斑疾患を中心に23、25ゲージシステムによる小切開硝子体手術も行っている。糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などで血管新生変化や黄斑浮腫が強い症例では、未認可ではあるが患者への十分なインフォームド・コンセントの上、抗VEGF薬の硝子体内投与を行っている

★黄斑疾患外来では、岡田教授を中心に加齢黄斑変性症(AMD)、ポリープ状脈絡膜血管症等の適応症例に対し、抗VEGF療法および光線力学療法(PDT)を積極的に行っている。10年度では、抗VEGF治療薬であるルセンティスは1,650件、PDTは150件行っている

★眼炎症外来では、岡田教授を中心にサルコイドーシス、原田病、ベーチェット病に代表されるぶどう膜炎に対して、内科と連携を取りつつ免疫抑制剤あるいは生物学的製剤を用い治療を行っている。また、難治性強膜炎も同外来で数多く治療している

★緑内障では、隅角検査、各種視野検査を行い、正しい病型診断のもとに長期的な治療方針を立てて診療している。また、進行程度の強い原発緑内障、ぶどう膜炎や糖尿病などによる続発緑内障に対しては、適応に応じて線維柱帯切除術、線維柱帯切開術、隅角癒着解離術などを積極的に施行している

★小児眼科・斜視弱視外来では、視能訓練士との連携を密にし、屈折矯正、遮蔽訓練等を行い、小児の良好な視機能獲得を目指している。また小児、成人の斜視に対しての手術も施行している

★角膜外来では、オキュラーサーフェイス全般を診療している。アイバンクを併設しており、角膜移植も行っている。LASIK等の屈折矯正手術は施行していない

★神経眼科外来では、気賀沢非常勤講師を中心に、視神経炎、甲状腺眼症等に対応している

★ロービジョン外来は、低視力者の残存視機能を評価して、日常生活の拡大を援助する特殊外来であり、専門のスタッフ2人が各専門外来の担当と連携して実施している。

医療設備

OCT(スペクトラルドメイン)、HRA2、眼底自発蛍光(FAF)、SLO、アルゴンレーザー、ヤグレーザー、FDT、ハンフリー視野計、ゴールドマン視野計、UBM、大型弱視鏡、白内障手術装置インフィニティー(ozil搭載)、硝子体手術装置アキュラスなど。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

耳鼻咽喉科・頭頸科

分野

耳鼻咽喉科・頭頸部外科 

特色

耳鼻咽喉科、気管食道科のすべての領域にわたり診療を行うが、特に①頭頸部悪性腫瘍の診断と治療、②鼻・副鼻腔疾患の診断と治療、③アレルギー性鼻炎に対する手術治療(鼻粘膜レーザー焼灼、後鼻神経切断術)、④耳管疾患(耳管狭窄症、耳管開放症)に対する手術治療、⑤嚥下障害に対する診断と治療、⑥難聴の遺伝子診断、⑦めまい疾患の診断と治療、⑧補聴器の相談とフィッティング、⑨喉頭疾患の診断と治療、などは専門的な診療を行っている。

症例数

09年度(09年4月から10年3月)の一般外来患者数は27,717人(初診5,216人、再診22,501人)、救急外来患者数は1,663人(初診1,274人、再診389人)

★09年度の入院患者総数は797人で、このうち手術目的の入院患者は386人、緊急入院患者は302人、また癌の治療目的の患者は151人であった

★09年度の総手術件数は775件であった。主な手術の件数は、内視鏡下副鼻腔手術(ESS)105件、鼻中隔矯正術54件、鼻副鼻腔腫瘍手術12件であった。鼻副鼻腔手術は低侵襲手術と入院期間短縮に配慮している。アレルギー性鼻炎に対する後鼻神経切断術は15件。アレルギー性鼻炎は薬物治療を優先するが、中等症~重症例には手術を行い良好な成績を得ている。慢性中耳炎に対する鼓膜穿孔閉鎖術14件、真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成術49件であった。口蓋扁桃摘出術64件、舌・口腔腫瘍摘出術28件(良性16件、悪性12件)。喉頭マイクロ手術(声帯ポリープや喉頭腫瘍など)58件、喉頭悪性腫瘍手術23件であった。気管切開術20件、頸部良性腫瘍摘出術8件、頸部隔清術15件、顎下腺摘出術10件、耳下腺腫瘍摘出術28件、甲状腺腫瘍摘出術10件(良性3件、悪性7件)。滲出性中耳炎や耳管狭窄症、耳管開放症に対する鼓膜チューブ留置術は27件。保存的治療で軽快しない耳管狭窄症や耳管開放症に対し手術治療を行い、良好な治療効果を得ている

★緊急入院患者の疾患内訳は、突発性難聴46人、扁桃周囲炎・扁桃周囲膿瘍43人、めまい34人、急性咽喉頭炎31人、顔面神経麻痺17人(ベル麻痺7人、ハント症候群10人)、鼻出血7人。突発性難聴では通院治療あるいは入院の上、安静とステロイドの漸減投与を行う。メニエール病、外リンパ廔((ろう)、聴神経腫瘍などを鑑別するため、MRI検査や経過観察を行っている

★頭頸部悪性腫瘍に対する治療目的の患者では、喉頭癌46人、口腔癌24人(舌癌21人、舌以外3人)、中咽頭癌13人、下咽頭癌31人、上顎癌11人、顎下腺癌4人、上咽頭癌1人、原発不明癌3人であった。主な悪性腫瘍疾患の5年生存率は、喉頭癌80%、舌癌67%、中咽頭癌64%、下咽頭癌41%である。呼吸、発声、食物摂取などの機能をできる限り温存できるよう治療法を選択している。外来通院で抗癌剤治療を行うなどQOL(生活の質)の向上に配慮している。主に口腔悪性腫瘍患者にセンチネルリンパ節の検索を行うことにより、頸部郭清手術を必要な患者だけに行うよう配慮している。下咽頭早期癌では、特殊内視鏡を用いることにより、できる限り縮小手術を心がけている。喉頭癌では再発時にも可能であれば極力部分切除を行い、機能温存に努めている

★嚥下障害患者に対し嚥下内視鏡検査、嚥下造影検査を行い、嚥下機能の評価および治療(リハビリや手術)を行っている。

医療設備

CT、MRI、核医学検査(シンチグラフィー)、超音波(エコー)、内視鏡、レーザー治療機器、放射線治療設備、マイクロデブリッダー、嚥下造影検査機器、高圧酸素療法設備。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

皮膚科

分野

皮膚科

特色

アレルギー疾患から悪性腫瘍まで、幅広く皮膚疾患の診療を行っている。特に治療に関しては、個々の患者のQOL(生活の質)を重視し画一的にならぬよう心がけている。アトピー性皮膚炎、薬疹、じんま疹、接触皮膚炎などの免疫・アレルギー疾患に関しては、必要な検査を行った上で個々の症例に応じたきめ細かい治療法の選択を行っている。悪性リンパ腫、悪性黒色腫、有棘細胞癌、パジェット病などの悪性腫瘍に関しても手術療法、化学療法に加えて、QOLを重視して光線力学療法、サイトカイン療法、放射線療法などを取り入れている。また、種々の母斑(アザ)、腫瘍に対するレーザー療法を積極的に行っている。皮膚を通じて患者の全身的な病態を把握し、それに応じた治療をすることをモットーとしている。また病診連携の立場から、一般病院、開業医との連携を密接にするよう努力している。

症例数

1日の平均外来患者数約150人、入院患者数20~25人であり、年間の手術件数は入院、外来を合わせ約650例である

★特殊外来は週1回行っており、接触皮膚炎、薬疹の原因検索のためパッチテストなどを行い、抗原除去指導を行うアレルギー外来は約10人、母斑、腫瘍に対して種々のレーザー機器を用いて治療を行うレーザー外来は約20人、爪白癬などの難治性真菌症の治療を行う真菌外来は約15人、乾癬に対して個々の患者の症状に応じて種々の治療を組み合わせて行う他、発汗機能検査を行う乾癬・発汗外来は約10人、主に成人型難治性のアトピー性皮膚炎に対して、個々の患者のQOLを重視して治療を行うアトピー外来は約20人

★アトピー性皮膚炎は外来での通院治療を基本とするが、重症例は入院の上、アレルゲンの検索、光線過敏テスト、発汗テスト、サーモグラフィ-などを行い、その病態を正確に把握することに努めている。ステロイド外用剤の副作用のチェックのために副腎機能検査を行うとともに、他科との協力により白内障、網膜剥離などの合併症の早期発見に努めている。治療としてはステロイド外用剤を使う際には副作用を防ぐため薬剤のランク、使用量に注意を払うようにしている。他に免疫抑制剤の外用や紫外線療法などを行い、これらの治療により多くの症例で軽快が得られている

★薬剤アレルギーに関して軽症例から重症例まで多彩な症例の蓄積があり、このデータをもとにいかに早く原因薬剤をつきとめるかに力を注いでいる。この過程で、従来薬剤とは無関係と考えられていた疾患における薬剤の関与を明らかにしたり、重症薬疹にウイルス感染の関与を見出している。特に重症薬疹は皮膚のみならず全身諸臓器が冒される可能性があり、早急に入院、検査の上、病態に応じてガンマグロブリン投与、血漿交換療法を含めた治療を行っている。また単に原因薬剤を明らかにするだけでなく、安全に使用しうる薬剤の検出にも努めている

★乾癬に対しては、患者の症状にあわせて外用剤、レチノイド内服、免疫抑制剤内服、紫外線療法などを適切に組み合わせて治療を行っている

★皮膚悪性腫瘍に対しては手術療法(年間約50例)の他、光線力学療法、化学療法、サイトカイン療法を組み合わせて治療を行っており、患者の年齢、合併症を考慮し、画一的な治療ではなく個々の患者にとって最適の治療法を選択するよう努力している

★母斑、腫瘍に対するレーザー療法は豊富な症例経験(年間約200例)をもとに、症例に応じて種々のレーザー機器を選択ないしは組み合わせて治療を行っている

★爪白癬は内服治療のみでなく、特殊外来において携帯用ドリルを用いた爪甲削り術を併用しており、これにより治療期間の短縮を図っている

★天疱瘡、類天疱瘡などの自己免疫水疱症には入院の上、血漿交換療法を併用することにより、難治例に対処している。

医療設備

MRI、CT、サーモグラフィー、PUVA全身照射装置、半導体レーザー、炭酸ガスレーザー、Q-Rubyレーザー、Q-YAGレーザー。Er-YAGレーザー、V-beamレーザー、パルスdyeレーザー、局所発汗量連続記録装置、皮膚弾性測定装置。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

糖尿病・内分泌・代謝内科

分野

糖尿病内分泌内科

特色

日本糖尿病学会認定教育施設であり、糖尿病を中心に内分泌、代謝疾患領域を幅広く専門的に診療している。また、外来診療ブース内に栄養指導室を設置しているところから、医師の診療と同時に栄養学的な見地からも疾患の病態にアプローチできる特色がある。糖尿病に関しては、診断はもとより、チーム医療の推進のもとに総合的、かつ専門的な対応を行っている。特に療養指導外来(看護師、栄養士、薬剤師、検査技師が外来に常駐し、外来でのインスリン導入や、日常の療養指導にあたっている)は、大学病院では他に類をみない試みであり、血糖コントロール、合併症の拾い上げについてはもちろん、患者のQOL(Quality of Life:生活の質)向上や他科との連携を円滑に進める上でも大きな効果をあげている。

症例数

糖尿病=定期的に外来通院中の糖尿病患者は約5,000人、教育入院を含めた入院患者は年間300人。患者の多くは2型糖尿病であり、1型糖尿病は10%強である。治療ならびに日常生活に関する面接と指導を、医師はもとより糖尿病療養指導士の資格をもつスタッフが随時行っている。スタッフ間および他科との間で定期的に症例検討会をもち、さらにクリニカルパスを用いた糖尿病教育入院や、外来インスリン導入を進めている。今後、近隣の医療機関との間で診療連携パスを導入することも予定している。また、連日糖尿病教室を開催し、患者やその家族の方々に随時参加していただき、治療への取り組みに対する支援を進めている。他科との連携は必須であり、眼科ではアイセンターにも糖尿病外来を設置し、内科と眼科間で双方向的かつ綿密な連絡を可能としている。また、糖尿病性腎症による慢性腎不全に対しては腎臓内科と連携をとり、透析療法の円滑な導入を図っている。狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患および、脳梗塞などの動脈硬化性疾患に対しては負荷心電図や頸動脈の超音波検査を随時行い、循環器内科や、神経内科、脳卒中センター、脳神経外科とともに、常に患者さんのニーズに応えるべく診療にあたっている

内分泌疾患=患者数の比較的多い甲状腺疾患をはじめとして、視床下部・下垂体、副腎および副甲状腺などの内分泌臓器異常や、電解質異常について、精度の高い診断を行い、患者の方々のQOLの向上を念頭に診療にあたっている

★甲状腺疾患では、バセドウ病、慢性甲状腺炎(橋本病)、亜急性甲状腺炎、良性および悪性腫瘍の診断、治療を行っている。結節性甲状腺腫に対しては吸引細胞診を適宜行い、手術適応例の場合には内分泌外科と連携し、適切に処置している

★視床下部・下垂体においては、末端肥大症や下垂体機能低下症、尿崩症などに対して、各種内分泌学的負荷試験や画像診断により、病変の有無および存在部位を診断した上で治療にあたる。外科的治療が必要な場合は脳神経外科と連携をとり、適切に診療を進めている

★副腎に関しては、アジソン病やクッシング症候群、褐色細胞腫などについて、画像診断と各種内分泌学的負荷試験により診断を行い、腫瘍の切除が必要なときには適宜泌尿器科と連携をとっている

★副甲状腺やカルシウム・骨代謝疾患については、副甲状腺機能亢進症・低下症や悪性疾患に伴う高カルシウム血症などの診断、治療にあたっている。

医療設備

付属病院は特定機能病院の認定を受けており、多くの設備を有する。血糖・HbA1c自動測定器、体脂肪計、超音波検査、MRI、CT、血管造影検査、放射線核医学検査装置、DEXA。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

脳神経外科

分野

脳神経外科

特色

杏林大学脳神経外科は、病院の理念でもある「患者の立場に立って、温かい心の通う医療を提供する真心の医療」を実践し、生活の質(QOL)の維持・改善など、患者満足度の高い診療に全力を尽くしている。診療対象は脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷、特発性正常圧水頭症、機能外科(顔面けいれん、三叉神経痛)、先天性奇形など、脳神経外科疾患全般にわたり、院内関連科と緊密な連携を保ちつつ専門的高度医療を行っている。特に専門性の高い脳神経疾患、中でも脳卒中、悪性脳腫瘍に対しては、脳神経外科医が24時間即時対応できるシステムになっている。

症例数

脳神経外科の平均外来患者数約は14,000~17,000人程で脳卒中科が約4,000人、この他救急外来受診患者数が脳神経外科・脳卒中科合わせ3,000人を超えている。入院患者数は10年度脳神経外科だけで20,000人を超え、手術件数は過去3年間400件後半から10年度は約600件施行している(血管内手術、リニアック含む)、このうち動脈瘤クリッピング術が約80件、同コイル塞栓術約20件、脳動静脈奇形摘出術10件未満。脳内出血摘出術約50件(うち内視鏡手術は2割程度)。脳腫瘍摘出術は約100件(うち経鼻的下垂体腫瘍摘出20件程)。この他に頭部外傷や水頭症手術を行っている

破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血=年間平均くも膜下出血収容人数は70~80人以上にのぼり、最重症例が約2割を占める。急性期の動脈瘤治療を原則としており、症例に応じて直達手術と血管内治療の選択は、24時間体制でいずれの治療も実施可能である

未破裂脳動脈瘤=脳ドックなどで偶然発見された動脈瘤は、経過観察と直達手術、血管内治療の選択について根拠に基づく医療(EBM)を実践している。紹介症例で多い大型ないし後頭蓋窩病変に対しては、high flow bypassや頭蓋底手術、血管内治療手技を集学的に駆使して対応している

脳動静脈奇形=直達手術と血管内治療、リニアックを合わせた治療を、すべて杏林大学内のスタッフ、施設で実施している

脳内出血=直達手術と内視鏡下血腫除去術を随時選択して行っている

★脳虚血は脳卒中センターと、地域内診療連携体制構築が完成され、10年度の入院患者数は約550症例で、脳梗塞患者総数は約370症例であった。そのうちt-PA静注療法施行したのは31例であった。虚血性脳血管障害の外科治療は脳卒中センター内で適応決定と治療選択が検討されており、10年度の頚動脈内膜剥離術は19件、ステント留置術は11件で、外科手術総数29件、血管内治療は24件であった。これらすべては同一チームにより実施されている

悪性脳腫瘍=10年の診療症例数は288例(原発性悪性脳腫瘍216例、転移性脳腫瘍72例)で、実治療施行症例数は同じく156例(106例、50例)であり、化学療法は91症例に延べ536サイクルの治療を施行、いずれも年々増加してきている。綿密な画像診断とナビゲーション、術中の電気生理学的モニタリングおよび5ALAによる術中腫瘍蛍光診断、覚醒下手術などを駆使して神経機能の温存を図りつつ、最大限の腫瘍摘出を目指す安全かつ徹底した手術を行っている。手術後は摘出腫瘍の遺伝子解析による分子遺伝子学的病理診断も加味した繊細かつ体系的な腫瘍分類を行い、個々の患者に最適な治療法を選択、実施している。治療の原則は標準治療を施行することにあるが、厚生労働省班研究が組織するJCOG 脳腫瘍グループの中核的立場として(永根)、悪性神経膠腫や中枢神経系原発悪性リンパ腫に対して先進的臨床試験を計画実施するとともに、新薬の治験にも積極的に関与している。また、新規の治療法については、院内IRBでの承認のもとに十分なインフォームド・コンセントを得て、適応のある症例には対応に努めている。転移性脳腫瘍に対しては、JCOG脳腫瘍グループの臨床試験を展開中であり、また個々の症例の病態に応じて、摘出術、全脳照射、リニアックによる定位放射線手術などの治療方針を採用している

良性脳腫瘍=悪性腫瘍と同様の綿密な手術支援システムを駆使し、これに頭蓋底手術手技やくも膜の概念を徹底させた微小外科解剖に基づく診療を行っている。特に下垂体腫瘍は内分泌内科との緊密な連携のもと、手術は侵襲の少ない経鼻的摘出術に内視鏡支援を組み合わせて行っている

頭部外傷=重症例や多発外傷などへの対応は、救命救急科との連携下に迅速な手術と術後の頭蓋内圧管理、脳平温療法などを行っている

機能的脳神経外科=顔面けいれんと三叉神経痛に対して、術中モニタリングを駆使した安全性の高い微小血管減圧術を積極的に行っている

先天奇形・水頭症=総合周産期母子医療センターを有しており、ハイリスク分娩に積極的に対応しているため分娩以前に診断された先天奇形や水頭症、脳腫瘍症例が増加している

認知症=当院もの忘れセンターと緊密な連携のもと、特発性正常圧水頭症の診療を行っており、手術の適応と判断された場合脳室-腹腔短絡術や腰椎-腹腔短絡術が積極的に行われている。

医療設備

PET、術中MRIを除くすべての脳神経外科関連の診断、治療機器が揃っている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ×
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

高齢診療科

分野

老年科

特色

高齢診療科は高齢者の専門医療診療科・講座として、83年に開設された。お年寄りはこの国の発展に尽くした大きな宝であることを常に念頭において診療にあたっている。「生き甲斐のある生活」を最大限に保証するべく努力している。生き甲斐のある生活を理解・測定するためには、病気の理解だけでは不十分で、日常生活の自立や、認知機能、心の問題に対する評価を行うことが大切である。高齢者に多い肺炎、脳血管障害などの急性疾患の治療、慢性疾患である認知症、骨粗鬆症や糖尿病、高血圧、高脂血症などの動脈硬化性疾患の診療を行っている。虚弱な方から、介護の必要な方まで、日常生活の自立を総合的機能評価によって科学的に判断し、入院診療ではターミナルケアにも対応。いずれの診療形態においても、かかりつけ医との診療連携、継続看護、介護を最も重視している。

症例数

機能低下の早期予防は重要で、「動脈硬化外来」で複数の最先端の動脈硬化の非侵襲的検査、「もの忘れセンター」で認知症の精査を行っている。外来患者数は年間延べ約6,000人、入院患者数は年間延べ約300人を超えている

もの忘れセンター=認知症には、神経細胞が少なくなるタイプ(アルツハイマー症)以外にも、脳の血管が詰まったり、流れが悪くなったりするタイプ(血管性認知症)や、パーキンソン病に近いタイプ(レビー小体病)、性格の変化が強いタイプ(前頭側頭葉型)など様々なタイプがあり、正確な診断によって適切な治療を行っている。認知症は次第に進行する病気であるが、早期発見で良好な時期を延ばし、多少進行しても生活指導とご家族の対応、福祉サービスの利用によって、穏やかに暮らしていただける方法を工夫している

高齢診療科外来=高齢者の特徴である「虚弱」のプロセスやその要因を解明し、客観的な評価とその背景要因や危険因子の分析を行い、これらを各々の症例にあてはめ、きめ細やかな治療・予防に応用している。地域に根ざしたより良い高齢者の健康管理、生活環境作りに積極的に関わっていくことが今後の課題である

脂質代謝異常専門外来=遺伝性を含めた難治性高脂血症患者の診断、治療を行い、冠動脈疾患や脳血管障害などの一次予防および二次予防を実践している。一方、栄養障害専門外来では、栄養障害を来した高齢患者を中心に、詳細な栄養評価によって筋肉減少症の原因究明、適切な栄養治療や栄養指導を行っている

入院診療=肺炎、その他の感染症、心不全などの治療を中心に行っている。治療のゴールは病気の回復だけでなく、日常生活を自立して行えることが最大の目標である。高齢者は一度病気にかかると自宅退院が困難なことがあるが、生活機能の予後を正確に測定し、日常生活の自立度、もの忘れの程度、意欲などを総合的に測定し評価することや、院内・院外の医療・介護連携によって、当科での自宅退院率は50%を超えている。

医療設備

★脳画像検査:MRI、MRA、脳血流シンチグラフィーを用いた認知症、脳血管障害の早期発見

★動脈硬化検査:動脈脈波速度計、頸動脈エコーを用いた動脈硬化の評価

★血圧検査:24時間血圧計を用いた高血圧の検査および治療

★循環器系検査:心エコー、ホルター(24時間)心電図を用いた心機能の評価

★骨粗鬆症検査:DXAを用いた骨密度・骨塩定量検査

★嚥下機能検査:簡易嚥下機能検査およびビデオフルオログラフィーを用いた詳細な嚥下機能評価。これに基づく言語聴覚士、栄養士との連携による患者さんごとに適した食形態の工夫。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 △
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

乳腺外科

分野

乳腺・内分泌外科

特色

杏林大学の健学の精神である「真・善・美」を探求すべく、真「腫瘍学の真理の探求」、善「謙虚たる人材の育成」、美「先進的ながん治療の創造」を目指す。乳癌の診断と治療を通して、若手医師の指導育成と臨床および基礎研究を推進する。

症例数

乳腺疾患を疑う場合は画像診断を行い、必要に応じて針生検または細胞診を行う。乳癌の治療方針は、腫瘍外科医・腫瘍内科医・病理医・臨床検査師・放射線科医との合同カンファレンスを通して決定される。現在の基本方針は、I-IIA期乳癌には、乳房部分切除とセンチネルリンパ節生検による腋窩リンパ節郭清の個別化を進めている。IIB-III期乳癌には、原則として術前薬物療法後に手術を行う。また、0期を含む広範な乳管内進展を伴う乳癌には、乳房再建チーム(波利井清紀形成外科教授)と積極的に乳房全切除における同時再建を進めている。手術症例数は、月間20~25例(手術待機2カ月以内)。薬物療法は、外来化学療法室にて施行している。II期乳癌の10年生存は72%。進行再発乳癌では病状に応じた治療を行う一方、治療抵抗性になった場合は緩和ケアを専門とする病院と連携して、症状緩和と心のケアを中心に質の高い生活が長く保たれるように努めている。国内外の薬物療法に関する臨床試験に積極的に参加している。ラジオ波焼灼治療などの手術療法に関する臨床試験も行っている。

医療設備

マンモグラフィ、超音波、MRI、CT、放射線治療装置、マンモトーム他。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 △

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

腫瘍内科

分野

癌化学療法

特色

最近の癌診療の分野は腫瘍学(oncology)として目覚ましく進歩しており、癌治療全体を体系立てた教育や診療・研究の必要性が高まってきている。特に癌薬物療法の進歩は著しく、有効性も向上した一方、適応や毒性などますます複雑となっている。分子標的薬など新しい概念の治療薬も次々と登場している

★08年3月、杏林大学医学部に内科学のひとつとして腫瘍内科が開設され、癌薬物療法を中心に癌治療の診療、研究、教育を行っている。癌制圧のためには多方面からのアプローチと協力による多業種間チーム医療が必須であり、病理学、薬理学などの基礎医学、外科、内科、放射線科、臨床検査部など臨床医学、さらに薬剤部、看護部、ソーシャルワーカーなどなど多くの部門の協力を進めている。腫瘍内科はそのような包括的な癌教育・研究・診療の中心的役割を果たしている

★当腫瘍内科では、消化器癌や原発不明癌、その他の難治癌を対象に薬物療法を実施している。カンファレンスを通じて、1人ひとりの患者さんの病状を十分把握した上で、治療方針を決定し、安全かつ確実に実施しています。また、より有効な新しい治療法の開発のため、本学独自の臨床試験はもちろん、国内の多施設共同研究や国際共同治験にも積極的に参加している

★当科は、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の肝胆膵グループ代表厚生労働省がん臨床研究の主任研究、分担研究、膵癌診療ガイドライン作成委員会など、多くの研究組織や分野で活動している。

症例数

固形癌、特に胃、大腸、食道等の消化管癌や肝・胆道・膵癌など消化器癌を中心に診療している。また他の診療科では治療が難しい、原発不明癌やその他の難治癌に対する治療も行っている。癌治療では、標準治療を確実に行うことが重要であり、新規抗癌剤は積極的に導入している。さらに製薬会社の治験、多施設共同研究による臨床試験、本学独自の臨床試験など新しい薬剤や組み合わせなど新規治療開発も数多く実施している。最近は、癌薬物療法はほとんどが通院での治療となっている。自宅での生活や療養が安心してできるように、近隣の地域病院との連携も進めている。

医療設備

化学療法病棟25床(うち、クリーン病室3床)、外来化学療法室17床。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 △
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

高度救命救急センター

分野

救急医療

特色

94年より当時国内10カ所の高度救命救急センターの一つとして認定を受け、東京都西部三多摩地区を中心とした医療圏の主幹的な役割を担っている。外因性疾患、内因性疾患を問わずすべての重症救急疾患を24時間体制で受け入れている。高度救命救急センターの病床数は30で、うち4床は熱傷センターとなっている。全看護スタッフは約100人で、重症患者の看護については患者2人に対して看護師1人の看護を24時間体制で施行している。さらに、専属の臨床検査技師、臨床工学技士が緊急検査や集中治療機材の管理を行っている。当センターは地上3階、地下2階の独立型救命センターで、現在稼働している国内唯一の重症熱傷患者用スキンバンクを含む組織移植センターも併設している。3次救急患者は年間1,800~2,000人、1次・2次救急患者は約4万人程度で、この数は全国のトップレベルである。厚生労働省が毎年行う救命救急センターの現況調査の質的評価でも、最高レベル機関の一つ。

症例数

10年の年間受け入れ患者数は約1,900人。主な疾患は来院時心肺停止、多発外傷、熱傷、急性中毒、心筋梗塞、脳出血などである

外傷疾患=休日夜間を問わず、外傷医療の経験豊富な指導医を含む4人以上の医師が治療を受け持っている。初療室、CT室、血管造影室、手術室が互いに隣接しており、重傷外傷患者にダメージコントロール・サージャリーなど先駆的な外傷治療が容易に行える状況にある

熱傷=ヘリコプター搬送を利用して、国内さらに海外からも重傷熱傷患者の受け入れを行っている。植皮術に関しては、杏林大学付属病院に併設している臓器移植センターからの提供による同種皮膚、または培養皮膚を積極的に利用し、救命率の向上を目指している。リハビリ、栄養科、ソーシャルワーカー等を含めた多職種カンファレンスを週1回行い、広範囲熱傷患者の社会復帰に向けての総合的な取り組みも行っている

中毒=液体・ガスクロマトグラフィーを用いた薬物分析を24時間体制で行っている。それらのデータに基づき血液浄化法をはじめとする様々な特殊治療を行っている。急性薬物中毒患者は、精神疾患を伴っていることが多く、精神科医と密に連絡を取り、救命後の精神科的治療にも注力している

来院時心肺停止=定期的にACLS/ICLS(2次救命処置)の講習会を開き、それに基づく心肺蘇生法を行っている。除細動は全例に2相性の除細動器を使い、自己心拍再開が困難でかつ神経予後の期待できる症例には積極的にPCPS(体外式心肺補助装置)を導入し、蘇生後脳症の治療には脳低体温療法を行い、良好な効果を得ている。救急救命士の再教育ならびに一般市民への1次救命処置(BLS)の講習会を定期的に行い、プレホスピタルを含めた蘇生率の向上を目指している

心筋梗塞=初療室にある血管造影器を一般造影用と心臓用の二つに対応できるように改良したことにより、救急医学専任循環器内科スタッフが24時間いつでも心臓カテーテル検査が行える体制になっている

脳出血=救急医学専任脳外科スタッフが、緊急手術や血管造影を利用した血管内治療を24時間体制で行っている

脳梗塞=脳卒中専門医がt-PAを用いた血栓溶解療法など、最先端の治療を行っている

災害救急=災害拠点病院として指定を受けており、地域・広域災害時に中心的な役割を担うことを期待されている。一般市民への災害に対する教育活動ならびに病院間での災害活動訓練を定期的に行っている。また東京DMAT(災害医療派遣チーム)の中核的な施設として活動している

重症管理=外因性・内因性を問わず重症疾患は多数の診療科にまたがる総合的な集中治療が必要となる。そこで各科の連携を密に図るため、毎朝、教授・准教授など救急科上級スタッフを中心に、救命センター内の全患者の症例カンファレンスを開き治療方針を検討している。

医療設備

救命センター内に緊急手術室、CT室、血管造影室、集中治療室(ICU26床)、熱傷センター(4床)、人工呼吸器30、各種血液浄化装置5、PCPS、IABP、心臓超音波診断装置、基礎代謝測定器、薬物分析装置など全国・あるいは諸外国にも誇れる最先端の設備が整っている。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 /
  • 主治医指名 /
  • 執刀医指名 /

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 東京都版」(ライフ企画 2011年11月)

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