日本赤十字社和歌山医療センター

専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

日本赤十字社和歌山医療センターは、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

消化器内科

分野

消化器・一般内科

特色

当院は和歌山北部から大阪南部にかけての救急医療の中心病院であり、また同地域の中核病院でもある。そのニーズに応えるため、消化器疾患救急医療に対しては、消化器内科医師が常に2人以上待機しており、内視鏡やその他による緊急検査、処置は24時間365日可能な体制をとっている。すべての処置に対して十分な説明と同意を得るために、図を用いた説明同意書を各検査や処置ごとに作成し、使用している。多くの検査処置に対し、クリニカルパスを作成し、安全で効率的な医療の実施にも心がけている。外来患者の便宜を考慮し、上部消化管内視鏡検査や腹部超音波検査は可能な限り来院当日の検査実施を行っている。内視鏡室には多数のモニター類を配置し、全患者に対して検査中血圧、血中酸素モニター測定を実施し、また鎮静剤使用希望患者に対しても安全に検査が可能としている。さらに検査処置中の不測の事態には複数の医師が対応できるような体制をとっている。病診連携も積極的に進め、他院からの外来予約等が可能な体制をとっている。なお、03年より電子カルテを、また内視鏡、腹部超音波検査も同時期にファイリングシステムを導入し、通院/入院患者のデータは、即座に参照可能となっている。2011年よりは約500m2の広々とした内視鏡センターが完成し、今まで以上の充実した診療が可能となる予定である。

症例数

1日平均消化器内科外来数約200人、入院患者数年間約2,200-2,400人、平均在院日数約12日、上部消化管内視鏡検査年間約8,000件、下部消化管内視鏡検査年間約3,000件、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)年間約700件。入院患者の主な疾患は、肝細胞癌、膵臓癌、食道癌、胃癌、出血性胃十二指腸潰瘍、総胆管結石症、急性膵炎、クローン病、潰瘍性大腸炎など

★当院は救急病院であることより、吐下血で搬入される患者は多く、緊急上部消化管止血術は年間約300件施行している。そのうち胃食道静脈瘤破裂に対する緊急止血術は約50件である

★ERCPも24時間可能な体制をしいており、急性胆管炎等に対する内視鏡的ドレナージを迅速に施行している。また急性胆嚢炎に対しては、経皮的胆嚢穿刺ドレナージを第一選択治療として多数実施している

★重症急性膵炎に対しては、膵酵素阻害薬と抗菌薬の持続動注療法や、状況により血液浄化療法も可能である

★急性肝不全に対しては血漿交換療法を中心に治療しているが、状況により京都大学移植外科とも密接な連絡をとり対応している

★炎症性腸疾患患者に対しては、内服療法、栄養療法、白血球/顆粒球除去療法や免疫抑制療法等、近年ではインフリキシマブを中心に、病態に応じたあらゆる治療が可能である

★肝疾患診療の実績も高く、C型肝炎に対するペグインターフェロン+リバビリン療法や、最近ではDFPP(二重濾過血漿交換)療法を併用し、有効率を高めている

★肝細胞癌に対しては①外科治療、②肝動脈塞栓療法、③肝腫瘍熱凝固療法(RFA;ラジオ波療法)、④経皮的エタノール注入療法等を組み合わせて治療をしている。特にRFA療法(外科治療を併用しない)の治療成績は、3年生存率83%、5年生存率76%となっている。年間肝動脈塞栓療法約200件。また、局所療法の困難な場合はインターフェロンを併用した化学療法やリザーバー留置による抗癌剤持続動注療法等も積極的に実施している

★早期食道/胃癌/大腸癌に対する新しい治療法である内視鏡的粘膜切開剥離法(ESD)を02年より積極的に取り入れ、多数の患者を治療している

★手術不能消化器癌に対する治療としては、食道癌は放射線化学療法、FP療法、胃癌はS-1/CDDP療法を中心に、イリノテカン、タキサン系抗癌剤、メトトレキセート等を組み合わせ、大腸癌は分子標的治療薬とFOLFOX/FOLFIRI/XELOX/IRIS療法、膵臓癌はS-1/ジェムシタビン療法を中心とした治療を実施している。また、癌に対する治療困難な状況下においては、胆道ステント、消化管ステント等の留置や除痛放射線療法、減圧目的の内視鏡的胃瘻造設術等を実施し、患者の生活の質の向上に努めている。また各種麻薬等を使用した緩和医療にも力を入れている。

医療設備

内視鏡装置(オリンパス-ハイビジョンルセラ 5台)、超音波装置(東芝ネミオ 4台、エクサリオ1台)、MDCT 3台、MRI 2台、DSA、各種血液浄化装置、他。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

呼吸器外科

分野

呼吸器外科

特色

和歌山県全体および阪南地域の基幹病院として呼吸器外科全般の診療に当たっている。呼吸器内科・放射線科などとの密接な連携により、あらゆる呼吸器疾患の診断から治療までを一貫した方針のもとで行っている。救急救命センターを有しており、病状の急変時や様々な胸部外傷に対して24時間対応している。各診療科の手術枠の制限による手術待ちがないため、予定手術は2週間以内に可能である。肺癌治療に関しては地域のがんセンター的な役目を果たしている。

症例数

対象疾患は肺癌、転移性腫瘍、縦隔腫瘍などの腫瘍性疾患、気胸などの嚢胞性疾患、膿胸などの炎症性疾患、手掌多汗症などである。これらの手術では胸腔鏡下手術を積極的に取り入れており、約70%が胸腔鏡下手術である。気管・気管支狭窄に対するステント留置も行っている

★術後は硬膜外麻酔による創部痛の軽減とハイムリッヒバルブを用いた簡易胸腔ドレナージセットによる早期離床を行い、術後合併症の予防と早期の回復を図っている。クリニカルパスを導入し、標準手術の均質化と早期退院が可能となった

★2009年の手術総数は300例。肺癌145例、転移性肺腫瘍14例、縦隔腫瘍16例、気胸47例、炎症性疾患18例、手掌多汗症8例、その他52例。胸腔鏡下手術は194例(65%)で、肺葉切除は86例であった

★縦隔鏡検査を縦隔病変や肺癌のN因子診断に積極的に行っており、適切な治療方針や術式の決定が得られるようにしている。2009年は139例に施行

肺癌手術の特徴=術前・術後を通じ、手術、化学療法、放射線療法を組み合わせた集学的治療を行い、成績向上に努めている。肺門・縦隔リンパ節郭清を行う肺葉切除を標準術式としているが、非常に早期の肺癌や高齢者などのハイリスク患者には部分切除や区域切除の縮小手術も行っている。診断時に完全切除が不能である肺癌を含む進行肺癌では導入化学放射線療法を行い、腫瘍を縮小させた後に手術を施行し、手術根治度の向上と全摘術の回避などによる肺機能の温存に努めている。手術に際しては、全例に直前に行う縦隔鏡の生検縦隔リンパ節、手術中の肺門リンパ節、気管支断端、洗浄胸水などの迅速病理診断を行い、より正確な病期診断と切除の完全性を確認し、最適の手術術式が選択できるようにしている。術後補助化学療法を重視し、最近ではI期の一部およびII期以降の症例に外来にて経口剤を中心とした化学療法を施行しており、再発予防による手術成績の向上に努めている

★99年以降の肺癌手術全体の他病死を含めた5年生存率は、病理病期IA期79.8%、IB期71.2%、II期46.8%、IIIA期39.6%、IIIB期30.8%、IV期0%。現在までに導入療法を行った進行肺癌240例の5年生存率は41.8%

転移性肺腫瘍=164例に1回~複数回の手術を施行。大腸・直腸癌が最も多く、5年生存率は53.5%と最も良好。全体での5年生存率は51%

縦隔腫瘍=胸腺腫が最も多く、5年生存率は90.4%。重症筋無力症の拡大胸腺摘出術20例

自然気胸=若年者では初発でかつブラを認めない場合を除き、手術を第一選択にしている。術後の入院期間は3~4日。80歳以上の超高齢者や肺機能不良症例ではまず胸膜癒着術を行い、不成功例に手術を施行する。ほとんどが胸腔鏡下手術である

ステント留置=悪性腫瘍による気管・気管支狭窄の症例に対してステント留置を行い、QOLの改善を図っている。32例に施行

手掌・腋窩多汗症=74例に胸腔鏡下両側胸部交感神経焼灼術を施行

★セカンドオピニオンは予め電話(呼吸器外科外来、内線2129)にて予約を取って下さい。火・金は外来終了時の午後、水は午前中になります。診療情報提供書(紹介状)と検査データ・X線写真等を持参して下さい。初診の費用のみで可。

医療設備

マルチディテクターCT3台、MRI2台、DSA、リニアック・Xナイフ、各種シンチグラフィ、各種レーザー、胸腔鏡、ビデオ縦隔鏡、電子気管支鏡、硬性気管支鏡、高圧酸素室。外来化学療法室。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

整形外科

分野

整形外科

特色

地域の基幹病院として、整形外科全般を取り扱っているが、救命救急センターを併設しているため外傷も多い。当科の基本理念を5つあげると、①チーム医療、②インフォームド・コンセント(説明と同意)の充実、③高度医療の推進、④救急医療の充実、⑤病診連携の推進である。整形外科疾患の多くは生活機能病であり、その治療は患者との十分な話し合いによって成立するものである。個人の全身的問題、生活環境、社会的立場を考慮し、より良い機能回復を目指して治療方針を決定している。外傷外科は、整形外科の重要な分野と認識しており、救急患者は緊急手術も含めて24時間、365日体制で対応している。

症例数

年間新患数6,700人、1日平均入院患者数75人で、手術件数は年間1,250件である

★人工関節置換術は,股関節、膝関節を中心に肩、肘も行っている。除痛効果に優れ満足度の高い手術で年間約180件行っている。股関節、膝関節は、ナビゲーションシステムを使用して人工関節の設置がより正確に行えるようになった。さらに人工関節においては、2005年より最小侵襲手技を導入し、早期離床から術後2週間での退院も可能となった

★人工関節以外の関節手術としては、膝のスポーツ障害(靭帯損傷、半月板損傷)や変形性関節症、慢性関節リウマチに対して関節鏡視下手術を行っている。肩関節は、腱板断裂や反復性肩関節脱臼に対して鏡視下手術を行っている。術前より理学療法士が参加して、患者の状態に即した治療計画を立てて早期の社会復帰を目指している

★脊椎外科は、慢性疾患や外傷に対して頚椎から腰椎まで年間130件に上る手術を行っている。椎間板ヘルニア、頸部脊髄症、腰部脊柱管狭窄症に対する除圧術(神経の圧迫を解除)や脊髄腫瘍摘出術は、顕微鏡視下手術を行い早期離床、術後数日での退院も可能である。不安定性のある脊椎に対しては、必要に応じて金属による内固定術(インスツルメンテーション)を施行している。インスツルメンテーションにおいては、術中CTの撮れる透視装置とナビゲーションシステムを連動させ、より精度の高い安全な手術を実施している

★手の外科は年間約120件あり、外傷が多く腱縫合、神経縫合、さらに切断指の再接着も可能で脊椎外科同様顕微鏡視下手術を行っている。慢性疾患では、末梢神経障害に分類される手根管症候群が最も多く、専用の器具を用いた2皮切法を施行して術後の痛みはほとんどない。リウマチ手に対しては、腱断裂や手関節障害に再建術を行っている

★骨折・外傷外科は年間約450件を数える。外傷は整形外科で大きな比重を占めており、骨盤骨折を含む多発外傷も他科と連携して積極的に手術を行っている。高齢化社会を向かえ全身的合併症を有する患者の手術が増加しており、大腿骨頚部骨折のみで年間150件を超える。大腿骨頚部骨折は、多くの患者で術後に転院治療が行われているが、06年9月より地域連携診療計画を開始して、透明性のある患者中心の地域完結型医療を実践している。手術手技としては、イリザロフ創外固定や骨折部の血流を阻害しない最小侵襲骨接合術なども行っている

★骨軟部悪性腫瘍は、転移性悪性腫瘍を除けば数が少なく、一般病院では特殊な治療の部類に入る。当科では、京都大学の腫瘍グループと密に連絡を取りながら、化学療法を併用し極力看肢温存(切断しない)治療に努めている

★小児整形外科は、先天性股関節脱臼、筋性斜頸、内反足、側彎症に対して滋賀小児医療センターと連携しながら日進月歩変化する最新の医療を取り入れている

★自己血輸血(貯血式、回収式、希釈式)を取り入れ、患者のニーズに応じて極力輸血を回避するよう心がけている。

医療設備

64列MDCT、MRI、RI、電気生理学検査機器、無菌手術室、手術用顕微鏡、手術用3d-CT、手術用ナビゲーション装置、関節鏡、超音波診断装置、骨密度測定装置。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

産婦人科

分野

産婦人科

特色

当院は865床をもつ和歌山県の基幹病院で、産婦人科は85床を有している。地域周産期母子医療センターに指定されているため県内外の病院や診療所から紹介される各種の異常をもつ妊婦の母体搬送を受け入れ、PICUにて管理している。二次、三次救急の重症患者のみならず、あらゆる産婦人科疾患をもつ患者が昼夜を問わず来院する。充実した医療設備とスタッフに恵まれており、高度の医療を提供することによって地域医療に貢献している。

症例数

1日あたりの平均外来患者数はおよそ100人。09年に行われた総手術件数は939例、分娩数は661例であった

婦人科=県内外の病院や診療所との病病・病診連携にて、あらゆる婦人科疾患をもつ症例が多数紹介される。子宮癌の疑われる症例に対しては、子宮膣部拡大鏡診や子宮鏡検査をもとに精度の高い病理組織検査を行うことによって早急に確定診断が得られるように心がけている。また子宮癌の進行症例や卵巣癌の疑われる症例に対しても、超音波検査はもちろんCTやMRIなどの画像診断(放射線科の専門医による診断)を参考に精度の高い診断(暫定的な臨床期別分類も行う)を行うことによって、最善の治療方法の選択に努めている。09年に初回治療を行った悪性腫瘍症例数は126例で、その内訳は子宮頸癌73例、子宮内膜癌17例、卵巣癌32例、外陰癌1例、腹膜癌や悪性中皮腫など3例であった。これらのうち子宮頚癌と子宮内膜癌に対して、広汎性子宮全摘術が15例、準広汎性子宮全摘術が7例に行われた。広汎性子宮全摘術では、自己血貯血以外の輸血はほとんど必要とせず、また可及的に骨盤神経を温存することによって術後の排尿障害の軽減に努めている。09年に行われた子宮全摘術は263例で、その内訳は腹式子宮全摘術135例、膣式子宮全摘術76例、腹腔鏡下膣式子宮全摘術52例であった。09年に行われた腹腔鏡下手術件数は190例であった。子宮鏡下手術(TCR)も子宮粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープなどの症例に対して積極的に行っている。悪性腫瘍症例に対する抗癌剤治療は、選択する薬剤と投与方法にもよるが、できるだけ入院期間の短縮につとめ、可能なれば外来にて行うこともある

産科=09年の分娩数661例のうち帝王切開は120例に行われた。帝王切開率は18.2%と高いが、それは県内外から紹介される何らかの合併症をもつ妊婦や異常な妊娠の症例、さらに分娩中の異常によって母体搬送される症例が多くを占めていることによる。PICUにて管理している症例は、小児科との合同カンファレンスにおいて分娩時期や分娩方法が検討されている。出生した児に何らかの異常があった場合、その児は当院のNICUにて管理されるが、児に外科的な治療が必要とされる場合、当院の小児外科にて手術が行われる。突然に発症した産科異常のために救急搬送された症例に対しては、何時でも緊急手術を行うことができるような体制をとっている

不妊症=不妊治療を専門とする医師が毎日の外来を担当している。患者の年齢や不妊期間、これまでの不妊治療歴を考慮したうえで、できるだけ身体的にも経済的にも負担の少ない治療法から開始し、段階的に治療レベルを上げていく方針としている。まずタイミング指導を行い、次いで精子を活性化させたうえでの人工授精を行う。それでも妊娠しない場合には腹腔鏡検査を行い、不妊原因の除去に努めている。これらの一般不妊治療によっても妊娠しない夫婦に対しては、体外受精をはじめとする生殖補助医療(顕微授精、無精子症に対する精巣精子を用いた顕微授精、精子や受精卵の凍結保存など)を行っている。これまでに延べ886症例に対して生殖補助医療を行い、230症例が妊娠、155症例が待望の赤ちゃんを獲得している

中高年医療相談外来=更年期障害のみならず中高年婦人の訴えるいろんな症状の改善を目的として中高年医療相談外来を開設している。患者の訴えをじっくりと聞いたうえで、ホルモン剤の投与に頼り過ぎることなく漢方薬による治療など患者とともに最良の治療方法を模索するようにしている。また潜在する他の疾病を見逃さないように常に全身のチェックを行い、何らかの異常が疑われた場合には、それを専門とする院内の診療科を紹介している。

医療設備

CT、MRI、カラードプラ、腹腔鏡下手術セット、子宮鏡下手術セット、レーザー手術セット、放射線治療(リニアック、ラルストロン)、骨密度測定装置など。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

小児科

分野

小児医療

特色

和歌山県で最初に開設(1920年)された病院小児科として、小児医療の中核的役割を担っている。県内初のNICUと救命救急センターを有して、未熟児・新生児医療、急性疾患の治療ならびに慢性疾患の継続的医療を通して成育医療を実践している。院内小・中学校も県下で最初に設置され、これまで数多くの入院児童が闘病生活を続けながら学んできた。在院日数の短縮と共に、短期入院児童の勉学の場としての活用にも力を入れている。独立型の臨床研修病院として研修医の教育に熱心な病院であり、県内出身の医学生の人気を集めている。小児科研修は2カ月間であり、病棟には常時2~3人の初期研修医がいる。

症例数

外来患者数は年間約18,000人、年間実入院患者数は約1,000人

内分泌・代謝=発育異常外来登録患者2,450人のうち低身長症は約半数を占める。成長ホルモン治療を実施した105人のうち、ターナー症候群10人、プラダー・ヴィリー症候群6人、軟骨無形成症1人を除く患児88人中25人(28%)は、続発性および原発性の重症型成長ホルモン分泌不全症である(うち成人2人)。甲状腺機能亢進症57人、甲状腺機能低下症19人、思春期早発症252人(うち性腺抑制療法実施したもの18人)、性腺機能低下症15人(カルマン症候群2人)、糖尿病37人(1型20人)など

免疫・アレルギー=アレルギー外来の年間新患者数は約150人、週平均の患者数は60~80人であり、その内訳はアトピー性皮膚炎30%、気管支喘息30%、食物アレルギー30%である。気管支喘息の薬物療法は、軽症持続型以上では、抗ロイコトリエン薬の内服をほぼ全例に、吸入ステロイド薬治療は約40%の患児に行っている。食物アレルギーに対しては、外来あるいは入院で負荷試験を行い、摂取可能となる場合も多い。エピネクリン自己注射は約30人に処方を行っている

川崎病=県下全例の半数以上を占め、入院患者数は年20~30人で、これまでに約600人。ガンマグロブリン大量療法を主にして心エコー等で長期的経過観察を実施している

呼吸器=慢性呼吸不全に対して小児の在宅人工呼吸療法を県下で初めて実施し、現在4人が継続中である

未熟児・新生児=NICUは年間約150人が入院し、このうち約10%が1,500g未満の超および極低出生体重児である。最近(2005~09年)の成績は、超低出生体重児(1,000g未満)の新生児死亡は12%、極低出生体重児(1,000g以上1,500g未満)の死亡は0%である。全体の新生児死亡は1.2%(2005~09年)である

血液・悪性腫瘍=京都大学小児科血液グループに属し、連携をとりながら治療を行っている。白血病、リンパ腫についてはJACLS、JPLSGに属し、脳腫瘍や神経芽腫、横紋筋肉腫その他の固形腫瘍についても、それぞれの全国的な治療研究グループに属して、外科系の各科と連携しながら標準的な治療プロトコールに従った治療を行っている。最近3年間の新規治療例は、急性白血病3例、脳腫瘍2例、その他の固形腫瘍1例などである。必要に応じて固形腫瘍に対する自家造血幹細胞移植療法を施行できる。その他血友病などの非腫瘍性疾患についても標準的な治療を行っている

神経=現在加療中のてんかん症例は約250人、年間の脳波検査は約300人。ビデオモニタリングシステムの導入により、発作時脳波の検索が可能となった。

医療設備

MRI 2台、マルチスライスCT 3台、ガンマナイフ、リニアック。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

皮膚科

分野

皮膚科

特色

地域の基幹病院の一つとして診断が困難な症例、治療に難渋している症例、入院治療を要する症例を受け入れて短期集約的に治療方針を確立し、一般開業医でのフォローが可能になれば逆紹介も躊躇せず、皮膚科領域での病診提携の構築を目指している。研究段階にある治療は行わず標準的な治療を主体にしているが、保険診療の枠内で種々の工夫を考えている。

症例数

1日平均外来患者数は約70人、1日平均入院患者数は約2人。原因アレルゲン検索のためパッチテスト、RAST、光線照射試験等を積極的に施行している。皮膚生検を行い、特殊染色、蛍光抗体法、免疫組織化学染色なども併施して病態生理を把握し、診断の一助としている。皮膚症状によっては糖尿病、サルコイドーシス、リンパ腫など全身疾患の検索、発見にも努める

★日常的なものから比較的稀なものまで多彩な皮膚疾患を治療対象としているが、同じ疾患であっても各個人の背景因子、事情をきめ細かく把握し、QOLを重視してオーダーメイドの対処法を考慮する。また特殊な治療法として、適応を慎重に検討したうえで自己免疫性水疱症に対して血漿交換療法、乾癬、掌蹠膿疱症、アトピー性皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症、皮膚リンパ腫等に対して紫外線療法(主としてナローバンドUVB照射)を試みることがある。感染症(帯状疱疹、蜂窩織炎等)に対しては場合によっては入院させて原因治療を行っている。難治性皮膚潰瘍に対して高圧酸素治療を試みることがある。また最近承認された生物学的製剤による乾癬の治療にも取り組んでいる。慢性疾患患者の教育入院も勧めている。膠原病、口腔粘膜疾患、眼瞼部病変、病巣感染疑診例についてはリウマチ科、歯科、眼科、耳鼻科等と相互補完的に診療している

★年間外来手術は約80件(主として良性腫瘍切除)。皮膚悪性腫瘍に対しては早期発見に努め、形成外科、整形外科、放射線科、血液内科などと共同診療体制をとっている

★美容皮膚科的アプローチに関しては保険診療の対象となるものが少ないが、信頼できる商品、施設等の紹介はしている。

医療設備

各種紫外線照射装置、電気外科装置、冷凍凝固用液体窒素、ダーモスコピー。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

血液内科

分野

血液内科

特色

和歌山県下最大の血液専門科として、血液疾患全般を対象として診療している。特に造血器悪性腫瘍の進行例や難治例には積極的に造血幹細胞移植(骨髄移植・末梢血幹細胞移植・臍帯血移植など)を行っている。また、地域の基幹病院として、地域病院と病診連携を図りつつ血液疾患患者家族の会との交流を保ちながら、地域住民に開かれた血液疾患診療を目指している。悪性リンパ腫や骨髄腫など化学療法後の骨髄抑制が軽微な患者さんの場合は、1コースのみ入院で行い、2コース目以降は外来で行っている。日本血液学会認定研修施設、骨髄バンク認定施設、さい帯血バンク登録施設。

症例数

血液疾患患者さんは常時40~45人が入院している。09年の新規入院患者さんは、急性白血病が27人、骨髄異形成症候群が11人、悪性リンパ腫(成人T細胞白血病を含む)が50人、多発性骨髄腫が13人、再生不良性貧血が5人、特発性血小板減少性紫斑病が13人、その他14人で計132人であった

急性白血病=急性骨髄性白血病は、日本成人白血病研究班(JALSG)のプロトコールに準じている。急性リンパ性白血病は、hyper CVADを基本治療としている。完全寛解率は、いずれも約80%である

悪性リンパ腫=CHOP療法を基本とし、B細胞リンパ腫であればリツキサンを加える。適応例では、自己末梢血幹細胞移植を積極的に行っている

多発性骨髄腫=年齢・病状に応じてVAD療法・MP療法・BD療法を行い、適応例では自己末梢血幹細胞移植を行っている。また、再発例ではサリドマイドも導入している

再生不良性貧血=シクロスポリンを用いた免疫療法が主体で、適応例では抗リンパ球抗体(ATG)を積極的に使用している。

医療設備

無菌室10床(完全無菌室1床、準無菌室9床)、血液成分分離装置など。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

救急集中治療部

分野

救急医療

特色

市民や第一線の医師が「救急」と考えた疾患は、その重症度にかかわらずそれは「救急」であり、初期~3次まで全科、全症例の依頼に24時間応需することが救急施設の基本と思っている。このため全例応需を絶対命題としている。時には愚痴も言いたくなるが、救急部における応需拒否はその存在を危うくする重大な過誤と考え、この方式を続けており、多くの方から評価を頂いている。また救急医療の重要な課題の中に患者選別があり、軽症群からの重症例のピックアップは重要であり、医師研修にも有効に活用されている。

症例数

2007の1年間に救急搬入された患者は、28,928人。経年的変化としては、右肩上がりの増加がある。搬入時刻は午前9時から午後5時までの日勤帯に38%が、午後5時から深夜12時までの準夜帯に46%が、午前0時から午前9時までの深夜帯に16%が搬入され、準深夜帯に2/3が搬入されている。年齢分布:1~10歳未満が19%と最多であり、これを含めて10歳未満が約1/5を占めた。70歳以上は22%であった。90歳以上も447人認めた。来院方法:救急車を利用したものが7,364人(26%)、直接自己来院したものが21,546人であった。救急車の使用数は、00年では3,372台であるが、8年間で7,364台と約2倍に増加している。救急車搬出地域:近接した消防署からの搬送が多いが、第7位は大阪府の「阪南岬消防」であり、20km以上の遠隔地からも多く搬送されている。救急車搬送患者の転帰:救急車により来院した患者の転帰は、入院は42%であった。入院加療を要する重症患者が救急車による搬送を依頼しているが、半数は結果的には入院不要患者であった。疾患別分類:内因性疾患が21,842(76%)と圧倒的に多い。代表的な疾患の詳細を示す。呼吸器系疾患が最多であり、6,713人であった。上気道炎が2,445人、気管支炎1,004人、インフルエンザ978人、気管支喘息593人、肺炎530人などであった

消化器系疾患=4,337人で、胃腸炎が最多で2,403人、ついで嘔吐・下痢症387人、イレウス258人、急性腹症214人、消化管出血209人、消化管潰瘍149人などであった

外傷疾患=3,475人で、挫創883人、眼外傷280人、咬傷192人、脳内出血75人など

整形外科系疾患=2,097人で、骨折815人、頸椎捻挫179人、関節炎168人など

循環器系疾患=1,774人で、心筋梗塞278人、狭心症266人、発作性頻拍症266人、心不全250人、高血圧230人など

脳疾患=1,539人で、脳梗塞413人、脳出血231人、てんかん142人、TIA 104人、破裂脳動脈瘤76人など

内科系疾患=1,162人で、熱性けいれん380人、脱水症138人、糖尿病114人など

中毒など=690人で、異物誤飲180人、薬物過量服用156人、アルコール中毒74人など

産婦人科系疾患=596人で、流産・早産217人、卵巣腫瘍34人など

精神科系疾患=419人で、不安神経症195人、自律神経失調症70人など

腎臓系疾患=261人で、腎不全127人など

熱傷、環境性疾患=201人で、熱傷163人など

心肺停止=255人であった。救急外来で心拍再開が得られたものは30%であった。残りは入院に至らず死亡した

★転帰:入院を要したものは5,141人であった。このため、1日平均14人の救急入院がある。入院患者数は、00年では3,231人であったが、以降は増加の一途をたどっている

病床=救急患者入院用の病室としては、特定集中治療室(原則的に院内からの救急患者対応用)8床、集中治療室(救急外来からの患者用ICU)12床、救急病棟(ICUから退室した患者の後方病床やHCUとして使用)48床を持つ

研修=当院での救急医療の修練を希望される方は、1カ月の短期から1年以上まで、希望に沿って受け入れている。当施設での修練の長所は、各科にわたる豊富な患者数の経験が可能なこと、救急外来から集中治療までの一貫した救急を研修できること、専門科との円滑な連携による専門科の知識も吸収できることである。

医療設備

マルチスライス全身用CT、MRI、高気圧酸素治療室、熱傷バス、空気流通ベッド、体位変換ベッド、血液浄化装置、脳波計、電子内視鏡、毒物分析装置、人工心肺補助循環装置、IABP、ドクターカーなど、「ない機器はない」状況で、すべての機器を備えている。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

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