専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

福岡大学病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

消化器内科

分野

消化器・一般内科

特色

消化器内科は向坂教授を中心に、消化管および肝臓の専門スタッフと共に、最新の検査と治療を行っている。当科の特徴として、1.多数の難治性炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)患者に対して、抗体療法や白血球除去療法などの最新の治療を積極的に行い、先進的な治療法の確立を目指している。2.ダブルバルーン内視鏡、カプセル内視鏡を用いた小腸検査および治療。3.食道癌、胃癌、大腸癌に対して、X線検査、内視鏡検査および超音波内視鏡検査などの精密検査を行い、治療法を検討し、早期の癌であれば比較的広い病変の一括切除が可能な内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を積極的に行っている。4.消化性潰瘍、食道静脈瘤からの消化管出血に対する緊急内視鏡的止血術。5.多数の慢性肝炎(B型肝炎、C型肝炎)に対するウイルスの遺伝子解析結果を踏まえた抗ウイルス療法。6.多数の肝癌に対するラジオ波焼灼療法、肝動脈塞栓術、リザーバーを用いた動注化学療法。7.国内外の肝移植外科施設との連携により肝移植を行い、多数の肝移植後の患者さんを外来でフォローしている。8.食道静脈瘤に対する積極的な内視鏡的治療や新たな治療器具の開発。9.胃静脈瘤に対する放射線科との連携によるBRTOや内視鏡的治療。10.劇症肝炎や重症膵炎に対しては、救命救急センターに当科よりスタッフを常時数人派遣して治療を行っている。 当科の目標として、幅広い疾患をみられる内科医でありながら、臨床的にどこにも負けない症例数を経験し、最新の治療技術を身につけた消化器専門医の育成を目指している。一方、研究面では、教室内に最新のレーザー顕微鏡を設置し、他の研究機関がまったくやってこなかった分野の研究を行っている。また肝炎ウイルスの遺伝子を詳しく調べ、今後の肝炎治療に生かすための研究も積極的に行っている。

症例数

消化管グループ=上部消化管内視鏡検査は年間約4,000例、下部消化管内視鏡検査は約1,800例、小腸内視鏡検査は約60例行っている。X線検査は食道胃透視検査が年間約400例、経口およびゾンデ小腸は約150例、逆行性注腸造影は約500例行っている。治療法選択の重要な要因である深達度診断などに有用な超音波内視鏡検査は年間約250例、拡大内視鏡検査は上下部合わせて年間約2,000例に行っている。主な内視鏡治療としては1年間に食道癌約10例、胃癌約100例、大腸ポリープ・大腸癌約200例に対する内視鏡的粘膜切除術、ポリープ切除術を行っている。内視鏡治療の適応外病変は外科医師や腫瘍内科医師と治療法を検討し、外科的手術や化学療法を行っている。内視鏡的止血術は年間約80例行っている。炎症性腸疾患については、約100例のクローン病、約150例の潰瘍性大腸炎の症例をフォローアップしている。初期治療や再燃増悪での入院患者は年間約100例であり、薬物療法、栄養療法、抗体療法、顆粒球除去療法など、また腸管狭窄に対する内視鏡的狭窄拡張術を行っている

肝胆膵グループ=当科での腹部超音波検査数は年間約3,600例、肝生検は年間約200例行っている。B型肝炎に対する抗ウイルス療法やC型肝炎に対するインターフェロン療法は、現在までに1,000例を超えており、新規導入患者も年間約80例である。肝硬変への進展予防、肝細胞癌の発症予防という面からも高い治療効果をあげている。肝癌の治療については、ラジオ波焼灼術は年間約120例、肝動脈塞栓術は年間約200例、リザーバーを用いた動注化学療法は年間約10例に導入を行っており、単独治療のみではなく各治療を組み合わせた集学的な治療も行っている。肝硬変症の合併症である食道・胃静脈瘤に対しては、肝硬変の病態を把握している肝臓グループの医師による内視鏡的食道静脈瘤治療を年間約120例行っており、大きな胃静脈瘤に対しては、放射線科と連携して血管造影下の治療であるBRTOを現在までに約150例行っている。

医療設備

ダブルバルーン小腸内視鏡、カプセル内視鏡、ラジオ波焼灼術器、アルゴンプラズマ焼灼機器、バーチャルエコー機器。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

消化器外科

分野

消化器・一般外科

特色

福岡大学消化器外科は、2006年10月1日に福岡大学医学部外科学講座の再編が行われ、旧1外科と旧2外科の二つの消化器外科グループは外科学講座消化器外科となり、山下裕一教授のもと統一化された。専門グループとして、臓器縦割りとしての食道グループ、胃グループ、大腸グループ、肛門疾患グループ、肝臓グループ、膵臓グループ、横割りとしての内視鏡外科グループ、外科総論グループで活動・診療を行っている。指導医・専門医については日本外科学会18人、日本消化器外科学会10人、日本消化器内視鏡学会7人、日本内視鏡外科学会4人、日本大腸肛門病学会3人、日本肝臓学会2人、日本がん治療認定医8人など多くの資格を有し、日本肝胆膵外科学会高度技術認定医修練A施設である。

症例数

2008年度の消化器・一般外科の全身麻酔手術症例数は800例を超える症例数であった。最近の傾向として大腸癌の増加が目立っている。内視鏡外科手術を積極的に行っているため、他病院からの内視鏡手術治療を目的とした紹介が多い

食道癌=手術33例。手術をはじめ、ステント挿入や放射線化学療法を積極的に行っている

胃癌=手術123例。早期胃癌で内科医が行う内視鏡的治療ができない症例には、内視鏡外科手術(腹腔鏡下胃切除術、腹腔鏡下胃内手術など)を行い、進行胃癌には標準的胃切除術を行うほか、他臓器合併切除を含む拡大手術を積極的に行っている。2008年、腹腔鏡手術を施行した胃癌症例は42例あり、幽門側胃切除術に関しては開腹手術と腹腔鏡手術の例数が同じであった。また、当院で内視鏡治療(ESD)も行っており、2008年は66例の内視鏡治療を行った

大腸癌=手術185例。2007年度全国40位、九州1位の手術例数であった。結腸癌103例、直腸癌80例。腹腔鏡下大腸切除術は十分なインフォームド・コンセントのもとに主に早期大腸癌症例にのみ行い、2008年は38例に施行した。進行大腸癌症例には開腹による標準手術を行い、腹腔鏡手術を特に希望される方のみに行っている。腹腔鏡下大腸切除術の比率は全体の約20%である。早期直腸癌に対して経肛門的内視鏡下マイクロサージャリー(TEM)や内視鏡下胃粘膜切開剥離(ESD)を積極的に導入し、人工肛門を作らない手術に努めている。また、肛門疾患に対しては、日本大腸肛門病学会専門医(肛門IIB)の資格を持つ女性医師がおり、肛門疾患で悩む女性患者にも気軽に受診してもらえる体制である

肝臓癌=28例。当院においては、消化器内科が肝臓を専門とし、放射線科が肝臓癌に対する経動脈的塞栓術を専門としているために内科系と外科の総合的な治療レベルは極めて高く、高水準の治療が受けられる。外科で行う肝臓癌の手術症例は、内科と放射線科で外科手術が最適な治療法と考えられた症例についてのみ手術を行っている。また、外科入院中においても、内科的治療が必要と思われる場合には直ちに治療を行っている。肝臓癌に対しても内視鏡外科手術を積極的に取り入れ、新しい術式の工夫を行うことで手術侵襲を軽減している。また、当科では、生体肝移植を手掛けており、肝臓癌を含めた肝疾患患者の窓口の一つとなっている

胆道癌=35例。積極的に肝切除や胆管切除を行い、切除率を高めている

膵腫瘍=57例。2008年、ERCPは年間300例を超え、EST 59例、ステント・ドレナージ 72例、EML 7例など高い専門性を要求される領域に熟練した外科医が治療を行っている

胆石症=90例。教授の山下は、本邦における腹腔鏡下胆嚢摘出術の導入にかかわった1人で、1,500例を超える手術経験があり、1例の合併症も認めていない。入院期間は本人の希望を重視し、3日から7日間のあいだで選んでもらっている

★主な診療分野は癌を中心としたものであるが、ヘルニアや難治性の痔核、痔瘻の紹介が多く、多数の専門医を擁しているため的確な治療が行える。肝胆膵疾患に対しては、日本肝胆膵外科学会高度技術認定医修練A施設であり、質の高い医療を提供している。癌に対する術前術後の抗癌剤化学療法は多くの臨床試験を行う一方、腫瘍内科や放射線科など他科とのカンファレンスを行い、治療方針を検討している

★手術や検査においては、患者さんに十分なインフォームド・コンセント(説明と同意)を行い、カルテ開示を含めた情報公開に積極的に取り組んでいる。

医療設備

PET-CT、MRI、CT、DSA、内視鏡装置、レーザー装置、マイクロ波・ラジオ波焼灼装置。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

呼吸器・乳腺内分泌・小児外科グループ

分野

呼吸器外科

特色

福岡大学呼吸器・乳腺内分泌・小児外科は旧第二外科の流れをくみ、呼吸器外科(指導者:岩﨑昭憲教授)、肺移植外科(白石武史准教授)、小児外科(指導者:増本准教授)、乳腺・甲状腺(吉永康照講師)等、多数の専門グループから構成される。ベッド数は38床(病院全体が845床)と限られているが、年間540例の手術が実施される。そのうち呼吸器外科グループとしての手術症例は年間300~350例(ベッド数25床程度)であり、肺癌、縦隔腫瘍、気胸、胸部外傷、小児呼吸器外科等、すべての手術対象となる呼吸器外科疾患が紹介されている。また肺移植では全国7つの国の認定施設のうちの1つで、九州では最初に移植手術を成功させ、数も九州では最も多い施設である。特に内視鏡手術では悪性、良性を問わず一番早くから手がけており、その手術数は全国でも有数で九州では最も多い。肺癌に対する胸腔鏡手術では定評があり多くの患者さんが広く九州・山口地区から来院されている。

症例数

肺癌=原発性肺癌は年間120例余程度、転移性肺癌は年間20例程度である。肺癌の症例数は九州でもトップに位置づけられている。肺癌I期症例に対しては胸腔鏡手術が実施されることが多く、教室の原発性肺癌手術の約60%に胸腔鏡手術が用いられている。III期進行肺癌は術前の導入化学療法を行って手術とすることが多い。現時点での原発性肺癌全体についての5年生存率は40%前後である。化学療法は、原則として密に連携をとっている呼吸器内科または腫瘍内科が分担する形で専門領域が整備されている。転移性肺癌はほとんどが胸腔鏡手術を選択する方針である

縦隔疾患=縦隔腫瘍は年間20例前後である。良性・悪性とも多彩であるが胸腺腫瘍が多い。進行した胸腺腫や癌には大血管切除を含めた手術を実施している。重症筋無力症は年間数例程度で、患者の希望に応じて胸腔鏡下拡大胸腺摘出または胸骨縦切開下拡大胸腺摘出が行われる

自然気胸=年間50~60例程度。基本的には胸腔鏡手術が第一選択である。入院日数は全部で3~4日間、再発率は5~7%程度である

その他=炎症性肺疾患、良性肺腫瘍、胸部外傷、小児呼吸器外科等も多く、福岡県のみならず九州各地域から難度の高い手術症例の依頼が多い。また、進行肺癌等による気道狭窄への治療依頼が多いのも特色のひとつである。年間20例程度の良悪性気道狭窄に対してステント挿入が行われる。レーザー照射の併用が多い。救命救急センターには各種の胸部外傷が搬入され、教室から治療応援を行っている。小児呼吸器外科はNICUが開設されていることから、CCAMをはじめ先天性の呼吸器外科疾患の手術を行っている。呼吸器外科分野は福岡市のあらゆる地域の病院から患者が紹介される状況である

各種疾患群の平均全入院期間=原発性肺癌:14~21日、転移性肺腫瘍:10日、縦隔腫瘍(良性):7~10日、自然気胸:3日。外来診療は月から土曜日まで毎日行われ、月・水・金は呼吸器外科、火・木は乳腺内分泌外科や小児外科の手術日になっている。

医療設備

特定先進機能病院としてPET-CT, 高精度放射線治療(IGRT)、MDCT、MRI、各種レーザー、内視鏡手術器具関係を含め重要な最新医療機器のすべてが設備されている。ICUはsurgical ICUが4床である。教室には診断精度向上のためのvirtual bronchosopy(Bf-Navi)や、教育用の胸腔鏡手術訓練装置が設置され、院内、院外医師の手術教育に力を注いでいる。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

循環器内科

分野

循環器科

特色

循環器内科は循環器・高血圧・脂質異常症、動脈硬化性疾患の臨床、教育、研究を担当している。「循環器疾患の予防から治療まで」をテーマにし、予防では脂質異常症・高血圧・循環器疾患のリスク因子に関する臨床と研究を行っている。また、循環器疾患の新しい診断法や治療法について最先端の医療技術を駆使した臨床と研究を行っている。急性心筋梗塞、急性心不全、致死性不整脈などの急患には近隣の医療機関からの紹介はもとより、紹介のない患者さんにも24時間体制で診療にあたる。心臓血管外科との連携も良く、救命センターにも人員の配置がある。2011年からは、循環器内科・心臓血管外科合同のハートセンターが新病棟6階フロア全床に設置される。大学病院であるため、若手医師の教育に力を入れているが、指導医が多く存在し、グループ全体で患者さんの診療、検査、治療にあたっている。スタッフの多くが、内科学会認定内科専門医・循環器学会認定循環器専門医である。日本内科学会指定研修施設、日本循環器学会指定研修施設。

症例数

年間平均入院患者数は約1,200人。年間検査数は、診断的心臓カテーテル検査約1,000件、心エコー図約4,000件、運動負荷心電図約500件、24時間ホルター心電図約1,400件、臨床心臓電気生理学的検査役150件などである。当施設の特徴として不整脈の症例の割合が高い

★虚血性心疾患の治療は薬物療法を基礎とし、カテーテルによる治療(インターベンション)を積極的に行っている。この数年のカテーテル・インターベンション件数は300例。必要に応じて薬剤溶出性ステントやロータブレーターなどを駆使した最先端治療を行っている。またこれらを生かして、冠動脈インターベンションに関するさまざまな臨床研究を進めている。現在行っている冠動脈の解析方法としては定量的冠動脈造影、血管内超音波、冠動脈CTなどがある。これらの解析により冠動脈の状態を詳細に把握することができ、冠動脈インターベンションによる治療成績の比較、薬剤が冠動脈におよぼす効果、新たなデバイスの評価などを海外の施設や福岡大学の関連病院とともに行っている。カテーテルのライブ活動もしている

★急性心筋梗塞・不安定狭心症などの急性冠症候群の収容数は年々増加している。急性冠症候群の収容数は年間約100例。大学病院ではあるが臨床放射線技師、看護師などの協力もあり、緊急の症例はすべて受け入れることになっている

★不整脈:ペースメーカー植え込みやカテーテルによる心筋焼灼術(カテーテル・アブレーション)。ペースメーカー植え込みは年間約90例であった。カテーテル・アブレーションは、当科は1991年から他の施設に先駆けて行っている。通常型心房粗動、上室性頻拍症(WPW症候群や房室結節回帰頻拍、心房頻拍)、特発性心室頻拍に対するその成功率はほぼ100%であり、近年は従来カテーテル・アブレーションで治療できなかった非通常型心房粗動や心房細動に対するカテーテル・アブレーションにも積極的に取り組んでいる。また持続性心室頻拍、心室細動などの致死的不整脈に対する植え込み型除細動器(ICD)の施行施設にも認定され年間約40例の実績がある

★平均在院日数の削減にも大学病院ながら力を入れ、特に診断カテーテル検査は1泊2日の入院で、また安定狭心症に対するカテーテル・インターベンションも短期入院が可能である。

医療設備

CCU(4床)、心臓カテーテル装置4台、心臓電気生理学検査用解析システム、心臓超音波エコードプラ装置6台、トレッドミル、ホルター心電図、CT、MRI、心筋シンチグラム、IABP、PCPS(経皮的人工心肺補助装置)など。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

心臓血管外科

分野

心臓血管外科

特色

冠動脈バイパス術を中心に、大血管、弁膜症、末梢血管、静脈疾患などに対して幅広く対応している。特に田代教授は低侵襲である人工心肺を用いないオフポンプによる冠動脈バイパス術の第一人者であり、約98%をオフポンプで施行している。また、使用する血管は遠隔開存率のよい動脈グラフトを多用し、血管採取の際も、創がほとんど目立たないように内視鏡を全例に用いているのも特徴である。また、僧帽弁閉鎖不全症に対しても、出来る限り人工弁を使用せず、自己弁を用いた形成術を第一選択に行っている。

症例数

年間約240例の手術件数をこなしている。その中でも冠動脈バイパス手術(CABG)が約100例と多いのが特徴でCABGの約98%をオフポンプで行っている(1992年から2008年まででオフポンプによる冠動脈バイパス術は735症例)。他の疾患の2008年の症例数は、弁疾患25例、大動脈疾患45例、末梢動脈疾患32例、静脈疾患15例(外来硬化療法60例)、ペースメーカー3例。

医療設備

CT、MRI、IABP(大動脈内バルーンパンピング)、PCPS(経皮的人工心肺補助装置)など、心臓血管全般についての設備が整備されている。また、2010年にはハートセンターが設立され、循環器科とともにますます充実する予定である。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

腎臓・膠原病内科・血液浄化療法センター

分野

腎臓内科

特色

腎炎・ネフローゼ、保存期腎不全、透析など、腎疾患全般にわたり総合的な診療を行っているほか、泌尿器科との連携により腎移植にも積極的に対処している。腎炎・ネフローゼに関しては腎生検による病理診断を病理との連携のもとに光学顕微鏡、蛍光抗体法、電子顕微鏡により行い、綿密な治療方針を立てている。また、全身性エリテマトーデス、リウマチなど膠原病の診療も専門の一つである。血液浄化療法センターでは血液透析、CAPDなど透析療法の他に、腎疾患、膠原病、神経疾患、高脂血症などに対する各種アフェレーシス療法を院内各科との連携のもとに行っている。これらの診療に当たっては、疾患や治療方針について、患者や家族の方に十分説明し、納得いただくことを前提としている。

症例数

外来には月に約800人が受診し、病床定員数を超過する約25人が常時入院している。疾患別割合としては、腎炎・ネフローゼ、膠原病、透析関係がそれぞれ1/3ずつを占めている。また、血液浄化療法センターでは血液透析やアフェレーシスのベッド数は25台であり、常に約60人が治療を受けており、そのうち12人が外来夜間透析患者である

★腎炎・ネフローゼの治療に当たっては、一般的な腎精密検査の上必要に応じて腎生検を行い、治療方針を決定する。腎生検実施数は年間約50例である。これらの疾患の多くは免疫学的機序によるといわれており、その治療は免疫抑制療法が中心となる。特に、慢性腎炎の大半を占めるIgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、難治性ネフローゼ症候群などは、斉藤教授が分担研究者となっている厚生労働省進行性腎障害に関する調査研究班で検討されている疾患であり、その診療指針に従い、免疫抑制療法を主体とした治療を行い効果をあげている

★膠原病については、それぞれの疾患で様々な異なる病態を呈するが、中島准教授、三宅講師が中心となり、病態に即した適切な治療法を行うことを心掛けている。特に、主要な膠原病では腎障害が危険因子となることが少なくないため、腎臓と膠原病それぞれの専門からその治療には特に注意を払い、必要に応じて各種アフェレーシス療法などを取り入れ、病状の改善を図っている

★腎機能低下や保存期腎不全の患者に対しては、一般的にいわれている食事療法が大切であるが、高血圧など循環器異常の併発により全身状態や腎機能の悪化が考えられ、腎障害をさらに進行させるおそれがあるため、特に降圧療法に力を注いでいる。このなかでも腎不全の原因として最も頻度が高い糖尿病性腎症では、降圧だけではなく腎保護作用もあるといわれているACE阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬を用いた治療にも積極的に取り組んでいる

★高脂血症はネフローゼ症候群や腎不全ではその増悪因子として注目されているが、斉藤教授は腎と脂質研究会等でその治療法の開発のために中心的な役割を担っている

★血液透析などの血液浄化療法については、緊急時の患者の受け入れは救命救急センターとの連携のもとに行われる。このような緊急透析や計画的な透析などそれぞれの透析導入の方針は、シャントの作製などを含め村田講師を中心に方針が定められる。さらに維持透析においても、周囲の関連病院や院内各科と連携しながら、循環器障害、骨代謝障害、透析アミロイドーシス、悪性腫瘍、各種シャントトラブルなど、内科だけでなく外科的処置が必要な合併症の治療に対応し、全国平均より良い予後成績を得ている

★移植を行う上で欠くことのできないHLA検査について、当科は九州における中心的な施設の一つである。腎移植についても、小河原講師が中心となり泌尿器科との連携のもとに、移植前から移植後に至る一連の管理を行う体制を作っている。また、その際重要な免疫抑制療法については、薬剤の血中濃度の測定などを薬学部片岡教授の協力で行い、万全を期している。

医療設備

超音波診断装置、各種放射線画像診断装置(シンチグラフィ、CT、MRIなど)、経皮的腎生検およびその病理診断に必要な各種設備、血液透析および血液濾過透析装置、各種アフェレーシス療法用装置(血漿交換、LDLアフェレーシスなど)。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

泌尿器科

分野

泌尿器科

特色

尿路・性器の悪性腫瘍に対する外科的治療をはじめとする集学的治療に力を入れている。特に複数の泌尿器腹腔鏡手術技術認定医を中心に外科的治療の多くに腹腔鏡手術を導入し、また前立腺癌に対する放射線治療にはIMRTが稼働するなど充実している。もう一つの特色としては、本邦で数少ない小児泌尿器科の専門的診療を行っている点である。先天性の腎尿路・性器疾患への外科治療が中心であるが、これに対してもより低侵襲の手術や腹腔鏡手術を導入している。さらに腎臓移植(生体腎および献腎)も当科診療の柱の一つと位置づけており、これにも生体腎摘出には腹腔鏡手術を導入している。また、副腎や上皮小体などの内分泌疾患の外科的治療も当科の得意とするところである。性感染症については調査・研究を基盤として情報が充実しており、予防治療に努力している。

症例数

2008年度の入院患者延べ数は481人、男性371人、女性110人で、小児は124人(24.9%)を占める。疾患別では、腫瘍性疾患が最多で、次に小児泌尿器科が取り扱う先天異常、以下、結石症、炎症性疾患、その他と続いている。再入院には悪性腫瘍患者の術後の補助療法や非観血療法のため、また小児の先天異常での発育に関連した検査・フォローが多い。手術件数は262件(そのうち小児64件)であった。悪性腫瘍の入院は、前立腺癌(疑いを含む)、膀胱癌、腎細胞癌、腎盂尿管癌など、小児泌尿器科疾患では、膀胱尿管逆流(逆流性腎症を含む)、水腎症、尿道下裂、停留精巣などが主なものである

★前立腺癌:原則的に75歳以下で限局癌の場合は手術を第一選択とするが、年齢・合併症・患者の希望などを考慮し、十分なインフォームド・コンセントのもとに、放射線治療、内分泌療法など患者に合う治療法を選択している。当院では前立腺全摘除術には腹腔鏡手術を積極的に行っており、高度先進医療の取り組みから開始し、今では当科の標準術式となっている。放射線治療においては最新型IMRTを導入したため、前立腺に対するより正確な照射が可能で、74〜76Gyに達する高線量の治癒的照射が可能となり治療成績の向上が期待される

★膀胱癌:尿路変向は標準的な回腸導管だけでなく、ストーマがない自排尿型新膀胱、身体への負担が少ない尿管皮膚瘻も症例毎に選択している。年齢・合併症の存在・患者希望などに応じて膀胱温存療法も選択可能である。この場合,適切な経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)の後、放射線治療+抗癌剤投与の組み合わせで治療を行う

★小児泌尿器科領域では県外からの紹介も多い。手術を年間60~80例に施行しているが、主なものは膀胱尿管逆流症に対する逆流防止手術、先天性水腎症に対する腎盂形成術、尿道下裂に対する尿道形成術、停留精巣に対する腹腔鏡検査・手術および精巣固定術である。その他、陰嚢水瘤根治手術、下部尿路の内視鏡手術などが続く。中でも、膀胱尿管逆流症に関連する逆流性腎症では、腎生検による組織検査などの精密検査をもとに、腎機能の長期観察と患者のケアを続けている。また腎盂形成術などの腹部手術では小切開手術法で侵襲を軽減し、逆流防止手術に対しては腹腔鏡手術を導入して患者侵襲の軽減と入院期間の短縮を図っている

★腎移植は、これまでの150例以上の経験を基に1ヵ月1例程度のペースで行い、個々の症例を大切にする心のこもった腎移植を目指している。腎臓内科、小児科、外科、病理部、放射線部、検査部や看護部などの多部門と連携し緊急対応力に優れている。身内の方の腎臓提供による生体腎移植に加えて、亡くなった方からの腎臓を提供して頂く献腎移植、血液型不適合移植、小児腎移植などを最先端の技術(鏡視下ドナー腎摘出、献腎ドナーからの腎臓摘出対応など)と知識(海外を含めた多くの移植病院との連携など)で行っており、良好な成績を収めている。移植後の患者への日常生活指導や定期健康診断にも力を入れている

★各種の副腎腫瘍、上皮小体機能亢進症も当科で得意としている分野であり、副腎腫瘍は原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫、副腎悪性腫瘍など合計16例、すべて腹腔鏡を用い安全に手術を施行できた。上皮小体摘除術は12例で、原発性上皮小体機能亢進症が3例、続発性は9例であった

★腎尿管結石症は40例で体外衝撃波破砕術(ESWL)が中心であるが、難治性の場合には経皮的腎尿管結石砕石術(PNL)、または経尿道的尿管結石砕石術(TUL)を行い、結石除去に成功している

★レーザー治療装置:2008年よりホルミウムレーザー治療装置を導入し,前立腺肥大症に対する前立腺核出術や尿路結石治療に使用している。従来の治療に比し低侵襲で確実な治療が可能となっている。

医療設備

超音波検査装置(パワードプラ含む)、前立腺針生検装置、三次元CT、MRI、血管造影装置、腎・骨シンチグラフィ、骨塩量測定装置、尿路生理機能検査装置、IMRT(強度変調放射線療法)可能な放射線治療装置、各種内視鏡(乳児・小児・成人用)、腹腔鏡手術システム(小児および成人用)、体外衝撃波砕石装置(シーメンス社製)、ホルミウムレーザー。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

整形外科

分野

整形外科

特色

当科は脊椎を含む運動器の障害を的確かつ迅速に復旧させることを目的に活動している。局所ばかりでなく運動器全体を見据え、個々の症例に合致したオーダーメイドの治療が特徴である。このため正確な診断とともに患者のインフォームド・コンセント/チョイスを重視した診療を行っている。当科のモットーは国際的視野に立った最高水準の治療であり、そのための研究を継続しており、国際学会や留学などの海外研修も盛んに行っている。

症例数

08年度の整形外科外来患者総数は25,439人、うち新患数は2,903人である。入院手術総数は1,330例で毎年増加しており、07年度は811,000例に達した。担当病床数は62床、常時満床であり、術後の早期社会復帰に努めている

★脊椎診療班では、頸椎から腰椎までの変性疾患、腫瘍性疾患、炎症性疾患、外傷など、あらゆる疾患に対応している。疾患としては、頸髄症、椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症が多い。脊椎腫瘍などの特殊で難治性の疾患も少なくない。手術適応は厳密に決定しており、それぞれの患者に最も適した方法で治療を行っている。特に、診断治療が困難な症例に対しては各科の垣根を越えて、複数の脊椎外科医ならびに内科医、放射線科医、脳外科医と合同で高度先進医療を行っている。また、当院救命救急センターと連携し、頸椎損傷、胸腰椎脱臼骨折などの脊椎脊髄損傷患者にも24時間対応し、治療に当たっている。手術法は従来からのオーソドックスな手術方法から、脊椎インスツルメンテーション、鏡視下低侵襲手術など最新の技術まで駆使し手術を行っている。難度の極めて高い手術も多く行っており、必要に応じて術中に脊髄の誘発電位をモニターしている。年間の脊椎手術例数は約170例である

★肩関節診療班では、五十肩から最先端のスポーツ障害まで、症状・病態に応じて、薬物療法、理学療法、手術療法を行っている。独自のコンピューター制御プログラムを考案してMRIと関節造影を組み合わせ、通常の画像解析では解り難かった詳細な病態解明が可能となっている。肩関節疾患に対する手術療法は、直視下手術と関節鏡視下手術の二つに大きく分かれる。骨折、腱板断裂、人工関節置換術は直接患部を切開する直視下手術で対応し、スポーツ障害を代表とするインピンジメント症候群、関節唇損傷、肩関節不安定症に対しては、長さ5mm程度の小切開で手術可能な関節鏡視下手術を行っている。直視下手術と異なり、非常に小さな切開で手術が可能である。このため術後の疼痛が軽いばかりでなく、侵襲も少なく術後の筋力低下が生じないというメリットがある。こうした技術革新や最先端医療を取り入れることにより、運動選手の早期スポーツ復帰を可能にしている。福岡市内のプロ野球球団のメディカルチェックも行っており、必要があれば手術的治療を行っている。全国的にトップレベルの肩関節手術例数を有し、年間の肩関節手術例数は約150例である

★手の外科診療班では絞扼性神経炎、特に手根管症候群に対して最小侵襲の鏡視下手術を多く行っており、透析後の発症例を含め、多くの患者の福音となっている。また、難治性舟状骨偽関節に対する遠位舟状骨摘出関節形成術、キーンベック病に対する橈骨楔状骨切り術、TFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)に対する手関節鏡視下手術、母指CM関節症(手根中手関節症)に対する関節形成術などで優れた臨床成績を得ており、国内外に広く成果を発信している。地元プロ野球球団のチームドクターとして上肢障害の治療を担当し、高度な医療技術を備えている。外来手術も含め、年間の手の外科手術例数は約200例である

★下肢の障害では、筋電図、歩行分析、加速度測定装置、三次元位置分析装置を用いた動的な病態把握を行い、より本質的な治療に役立てている

★股関節診療班では、40歳未満の変形性股関節症には原則として骨切り術による関節温存手術を行っている。特に、変形性股関節症の原因となる股関節臼蓋形成不全に対しては、皮切を小さくした独自の寛骨臼回転骨切り術を200例以上に行い、優れた成績を得ている。臼蓋形成不全は若い女性に多く、手術瘢痕が約1215cmで、下着に隠れるため喜ばれている。高齢者の末期変形性股関節症には、全人工股関節置換術を施行している。術後の脱臼防止のため、様々な工夫を考案している。後方への脱臼を防止するための側方からの手術侵入法や、後方侵入の場合の筋・腱の再建に工夫を加え、独自の測定器具により正確に人工関節を設置している。通常、術後数日以内に立位訓練を開始しており、痛みの消失とともに術後早期に歩き、入院期間は1カ月未満である。年間の股関節手術例数は約200例である

★膝関節診療班では、スポーツ外傷と変性疾患を2本柱とした膝関節疾患全般を対象としている。近年増加傾向にあるスポーツ外傷では、可能な限り自家組織での修復を原則としている。鏡視下の前・後十字靭帯の再建術では、術前に筋電図検査などで症例に適した採取する筋や靱帯を決定し、術中には再建する靱帯の至適部位や緊張を定量的に測定し、術後の好成績の獲得に役立てている。骨軟骨損傷にも鏡視下での移植術を行っている。半月板損傷では修復可能な症例には鏡視下半月板縫合術を行い、修復困難な場合でもできるだけ辺縁を温存する鏡視下半月板切除術で対応している。変形性膝関節症に対する高位脛骨骨切り術では、独自に工夫を加えた方法で優れた臨床成績を収めている。高齢者の変形性膝関節症には、残存する膝関節機能を生かした単顆人工関節置換術や全人工関節置換術を行っている。術後のリハビリにも様々な工夫を加えており、スポーツ復帰時期の決定には表面筋電図や筋力を測定して客観的な評価を行っている。変形性膝関節症や人工膝関節後のリハビリにも独自のプログラムを作成し、サテライト病院と協力しながら早期の機能回復に努めている。年間の膝関節手術例数は300例である

★小児整形・足診療班では、先天性筋性斜頸、先天性内反足とともに先天性股関節脱臼、ペルテス病・大腿骨頭すべり症などの股関節疾患では、基本に忠実な治療を行っている。骨折、化膿性関節炎、骨髄炎などには迅速に対応し、積極的に治療している。他科と密接に連携した治療が特徴であり、脳性麻痺、血友病、骨系統疾患では小児科と共同、二分脊椎では小児科と脳外科と泌尿器科との4科で共同して治療している。手指・足趾の先天奇形に対する治療や骨延長術も行っている。年間の小児整形・足の手術例数は約200例である

★腫瘍診療班では、小児から高齢者にわたる転移性を含めた骨軟部腫瘍全般を対象に治療を行っている。本学においては、欧米と同じく小児科および腫瘍内科との連携で悪性骨軟部腫瘍の抗癌剤による治療を行い、治療成績の向上を図っている。骨肉腫などの悪性骨軟部腫瘍の手術では、広範切除による患肢温存を基本に行い、患肢温存率90%で局所再発率2.8%と、優れた成績を得ている。また脊椎、骨盤など極めて困難な部位の悪性腫瘍に対する独自の手術法を開発している。良性腫瘍では、様々な工夫による手術法を開発し、簡便な手術と早期退院を目指している。年間の腫瘍手術例数は約50例である

★関節リウマチ診療班の年間登録患者数は約700人と豊富な経験が蓄積されてきている。リウマチのみならず、全身性エリテマトーデスなどの周辺疾患による全身の運動器障害も治療している。近年の抗リウマチ薬や生物製剤の開発により、保存的治療が着実に進歩している。保存的治療で寛解しない症例には、できるだけ侵襲を少なくして回復が得られる方法を採用している。肩関節、股関節、膝関節から手指、足指にいたるまで、人工関節置換術や鏡視下滑膜切除術を行っている。また脊椎病変についても、最新の技術を取り入れた手術が施行されており、関節手術と同様に患者満足度の高い優れた臨床成績を得ている。年間の関節リウマチ手術例数は約50例である

★骨粗鬆症診療班は、汗がでる程度の運動やカルシウム摂取など、骨折を未然に防ぐための生活習慣の指導を重視した診療を行っている。必要に応じて骨塩定量を行い、骨吸収抑制剤や活性型ビタミンDを投与している。原則として脊椎圧迫骨折には保存的治療、大腿骨頸部骨折には手術を行っている。年間の骨粗鬆症関連骨折の手術例数は約50例である。

医療設備

人工関節用無菌手術室、脊椎・神経手術用誘発電位測定器具、レーザー血流量測定装置、組織内圧測定器、骨塩測定装置(DEXA)、MRI、CT、筋電図、歩行分析、加速度測定装置、三次元位置分析装置、サーモグラフィ、リハビリテーション施設。

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リハビリテーション部

分野

リハビリテーション科

特色

リハビリテーション医学の対象全域にわたり診療している。入院患者は当院の救命救急センターや臨床各科からの急性期の患者が主体で、外来は慢性期の患者が多い。当院には救命救急センターがあるため、急性重症疾患が多く搬送されている。これらの患者さんのリハビリテーションを毎日ベッドサイドで行っている。また総合周産期母子医療センターに入院中の未熟児や脳性麻痺の患者さんに対しても、ベッドサイドリハビリテーションを行っている。当院は高度先進医療病院であるため包括医療が導入され、患者さんの入院期間が非常に短くなっている。そのため入院患者さんのリハビリは急性期リハビリが中心となっている。

症例数

初診患者の大多数は院内に入院し、治療中の患者さんである。整形外科と神経内科からのリハビリ依頼が特に多い。疾患としては、股・肩・膝・脊椎・手・関節リウマチなどの術前術後や、スポーツ外傷などの患者さんが多い。野球肩など、外来通院による保存的治療で軽快する例もある。骨粗鬆症に対しては、日常生活の指導や骨粗鬆症体操の実践が効果をあげている。胸郭出口症候群、腰痛、リウマチなど、各種の疾患に応じて、患者さんが自分で行える治療体操を指導している。疼痛性疾患に対して、現在有効とされている各種の治療手技の他に、当科独自に考案した手技も取り入れている。脳卒中に対しては、一般的なリハビリや高次脳機能障害の評価を行い、加齢による老人の体力低下に対しては、日常生活の指導に力を入れている。鍼や耳鍼治療も施行している。

医療設備

大学病院であるため高度先進医療で使用するものは、ほぼ常備されている。

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小児科

分野

小児医療

特色

小児医療のそれぞれの分野の専門医を揃え、高度な医療を提供することはもちろんであるが、子どもをまず全体として捉え、患児・家族の立場を尊重する包括的小児医療を目指している。それぞれの専門分野の臨床および研究の質の向上は、包括的小児医療のレベルアップにつながり、包括的小児医療はそれぞれの専門を生かす場でもあるという基本的な考えに従い、診療・教育・研究を行っているのが当大学病院小児科の特色である。病棟には2名の保育士と臨床心理士がそれぞれ1人常勤し、入院患児の持つ心理的な様々な問題点の検討を主治医と一緒に検討し、適切なアドバイスを行っている。福岡大学ハイテクリサーチセンターと連携しててんかんの原因遺伝子などの国際レベルの基礎研究も行っている。教室全体では毎週症例検討会を実施し、各種カンファレンスを行い臨床・研究面での活性化を図っている。また各専門グループ毎に院内・外でのカンファレンスや医療相談会、検診などを行っている。さらに、毎月1回地域の小児科の先生方を交えてクリニカルカンファレンスを実施し地域医療への連携を深めている。専門的かつ高度な医療はもちろんのこと、福大病院救命救急センターと連携した二次、三次小児救急、周産期母子センターでは、母体搬送からの周産期管理を担っている。各専門分野においても、外来、入院ともきめ細やかな先進医療を提供すべく努力を続けている。その他現在問題となっている児童虐待や発達障害の子どもたちへの福祉や教育現場との連携も積極的に行っている。

症例数

2008年度の外来患者数は16,678人で、初診1,316人、再診15,362人で、うち紹介患者率は70%であった。小児科入院患者数は1,095人、NICU入院患者数219人であった。入院患者は慢性の疾患だけでなく、急性疾患、救命疾患も受け入れており、福岡市の救急診療の後方施設として入院患者を引き受けている。外来、入院とも、対象年齢は新生児期から40歳代の成人まで広く分布している

神経=てんかん、発達障害、筋、末梢神経障害などを中心に神経に関する疾患を幅広く診療している。デジタル脳波、ビデオ・脳波同時記録、誘発電位(SEP、ABR、VEPなど)、神経伝導検査など神経生理学的検査を駆使し、診断と治療に役立てている。てんかんの遺伝子診断も活発に研究しており、全国共同研究チームの中核研究機関として、当科はもちろん全国からの検査依頼に応じ、てんかんの分子遺伝学的診断に寄与している。また脳炎・脳症など急性の中枢神経疾患の入院も多く、その治療に全力を注いでいる。小児神経学会専門医、てんかん学会認定医の資格を持つスタッフが高度の神経疾患の診断治療にあたっている

循環器=川崎病、不整脈を中心に症例が多い。特に川崎病は年間平均30例を超す患者が入院している

代謝・内分泌=小人症、糖尿病などの内分泌疾患、有機酸代謝障害、アンモニア代謝障害、ミトコンドリア代謝障害、先天性アミノ酸代謝障害など幅広い代謝障害を診療し、その遺伝子異常の解析に力を注いでいる

=多くの腎疾患を取り扱っている。また尿路奇形の患者も多く、当院小児泌尿器科に手術を依頼している

感染免疫=肺炎、髄膜炎など細菌性感染症を中心に、抗菌薬に対する感受性を詳細に検討し、合理的な抗菌療法の確立を目指している

血液・腫瘍=悪性腫瘍の疾患の治療には様々の合併症や副作用に十分配慮する必要があるが、当科では神経グループ、感染・免疫グループなどとチーム医療を徹底させている。また脳腫瘍など固形腫瘍では術前、術後の管理は小児科で行い、化学療法、放射線療法も小児科医が主体になって実施しており、診療科を越えたチーム医療も特色の一つである

呼吸・アレルギー=気管支喘息の入院が多く、発作時の治療に力をそそいでいる

児童精神=不登校など、心理的問題を抱えた子ども達や虐待を取り扱っている

新生児(NICU)=福岡県の総合母子医療センターに指定され、ハイリスクの新生児医療に全力をあげている。また県内各施設へ新生児医療の情報を発信している。

医療設備

小児科病棟33床、NICU 9床、GCU20床。小学校と中学校の院内学級を併設し勉学面でも配慮できるようにしている。2011年1月、福岡大学病院は新診療棟がオープンする。小児科病棟、小児科外来、周産期センターとも、新診療棟に新設移転予定である。新病棟計画の中では、先進医療を行える設備、医療機器ともに、発達過程にある小児の心身両面に配慮した小児の療養環境を提供できるようハード、ソフト両面での質の高い小児医療センターの完成が期待される。大学病院に求められる高度な小児専門医療と共に質の高いホスピタリティーを兼ね備えた小児医療を提供して行く事を目指している。

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眼科

分野

眼科

特色

角膜疾患、ぶどう膜炎、アレルギー疾患などの主として前眼部炎症疾患と網膜硝子体疾患の手術及び薬物治療のいずれにも専門的な治療を行えるバランスの取れた診療体制をとっている。

症例数

最近増加しているコンタクトレンズ関連の角膜重症感染症については、当科は多数例の治療実績があり、アカントアメーバ角膜炎や角膜真菌症などについても、薬物治療から治療的深部表層角膜移植までの治療を行っている。ぶどう膜炎については、インフリキシマブ治療を導入しており、ベーチェット病、原田病、サルコイドーシスなど難治性の症例について良好な治療成績を得ている。アレルギー疾患では、軽症のアレルギー性結膜炎から、アトピー性角結膜炎、春季カタルまでさまざまな重症度の症例についての治療を行っている。特に春季カタルは免疫抑制点眼薬を中心に、トリアムシノロン局所注射など先端的で、副作用が少なく、即効性を期待できる治療を多数例に施行し、小児例については長期的な管理も行っている。これらの炎症性疾患は眼炎症専門外来(内尾主任教授担当、毎週木曜午後)が窓口となっている。角膜移植手術は年間約40例を行っており、アイバンク国内角膜及び海外ドナー角膜のいずれも対応できている。硝子体手術は年間約300例を行っている。増殖糖尿病網膜症、網膜血管閉塞疾患、網膜剥離のほか当科の伝統である未熟児網膜症に対する手術治療もレーザー治療とあわせて多数例に行っている。緑内障は専門外来(尾崎講師担当、毎週火曜午後)を中心に診療を行い、手術治療も入院で積極的に行っている。増殖網膜硝子体疾患と関連した血管新生緑内障などの重症例が多いのも当科の特徴である。白内障は最新の手術装置を利用した小切開手術で、年間約400例の治療を原則的に入院で行っている。斜視弱視・小児眼科も専門外来を設置している(林教授担当、毎週水曜午後)。手術症例や神経疾患、遺伝性疾患などを幅広く対象として診療に当たっている。

医療設備

各種眼底・前眼部画像解析装置(OCT、 ICGなど)、手術機器、光線力学療法を含むレーザー治療装置。

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耳鼻咽喉科

分野

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

特色

耳鼻咽喉科一般の疾患をはじめ、頭頸部悪性腫瘍、真珠腫性中耳炎に代表される中耳疾患、人工内耳、嚥下・音声言語など耳鼻咽喉科領域のほとんどの治療を行っている。耳疾患に関しては特に積極的に取り組んでいる。特殊外来として、難聴・耳鳴外来、めまい外来、アレルギー外来、腫瘍外来・音声外来などがある。

症例数

最近1年間の外来患者数は新患約2,500人、再来患者約15,000人である。検査では難聴・耳鳴りを主とした聴覚検査は約3,500件、聴性誘発反応検査が約150件、平衡機能検査約400件である。その他、アレルギー検査、内視鏡検査、嗅覚検査、味覚検査、画像検査など耳鼻咽喉科に必要な検査はすべて施行している。入院ベッド数は現在37床で、年間延べ手術数は450例を超えている。口蓋扁桃摘出術が80例。内視鏡下副鼻腔手術は60例と多く、鼓室形成術は90例を超えている。そのほか、頚部郭清術を含む頭頚部悪性腫瘍根治術は約120例。甲状腺腫瘍手術20例。唾液線腫瘍手術25例である

★悪性腫瘍の治療は根治を目的としており、インフォームド・コンセント(十分な説明と同意)のうえ手術療法・放射線療法・化学療法を組み合わせた集学的治療を施行している。進行例も多いがすべてを含めた5年生存率は60%を超えている。悪性腫瘍症例において治療後の経過観察は非常に重要なため、毎週火曜日に末田講師を中心とした腫瘍外来を予約制にて行っている。また、頭頸部癌の治療において重要な位置を占める放射線療法について、放射線治療部とカンファレンスを行い連携をとっている

★他覚的聴覚検査は1972年の開設以来、誘発反応に関する研究を主として行っている。聴性脳幹反応などの研究の成果を踏まえ、聴覚学的診断および神経学的診断と臨床に盛んに応用している。これらの検査法により新生児の聴覚スクリーニングの精密検査に十分な対応が可能である

★難聴:幼小児から高齢者まで治療により改善できない難聴に対しては、積極的に補聴器装用を勧めている。その場合、補聴器のフィッティングのみならず、聴能訓練等も行っており、また幼小児に関しては地域の療育施設と十分連携に努めている。補聴器を装用しても聴覚補償が困難な症例に対しては人工内耳を施行しており、中川教授就任後3年間で41例が施行され満足な結果が得られている

★中耳疾患においては、中川教授を中心に、慢性中耳炎における鼓室形成術はもとより、真珠腫性中耳炎、癒着性中耳炎、耳硬化症、耳小骨連鎖異常等種々の疾患に対し、積極的な手術療法を施行し、良好な結果を得ている

★末梢性顔面神経麻痺に対しては、難治症例には入院治療を行っている。病態に合わせ、ステロイドを中心とした薬物療法を施行し、良好な結果が得られている。また、回復不良な例については、顔面神経減荷術を行い、予後の改善に努めている

★鼻副鼻腔疾患においては、内視鏡的鼻副鼻腔手術を積極的に行っている。レーザーなどの最新機器を用い、より侵襲の少ない治療

医療設備

CT、IMR、内視鏡、電子内視鏡、超音波検査装置、放射線治療装置など、ほとんどの設備は整っている。

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歯科口腔外科

分野

歯科口腔外科

特色

当科は地域で開業されている診療所病院で治療困難な口腔疾患の診療に重点を置いている。いわゆる病診連携、病病連携を主に診療している歯科口腔外科である。口腔外科疾患、基礎疾患のために通常の歯科治療が困難な患者さんを主に治療している。口腔疾患の悩みは多岐にわたっている。強い痛み、腫れ、しこり、咬み合わせの不都合などで悩まれている患者さんを不安なく、安寧に治療することを基本理念に全人的医療を医局員一同心がけて診療に努めている。当科の診療の特色として、歯科治療を行う上で問題となる循環器系疾患を代表とする様々な全身的疾患を有する患者さんの抜歯や高度な医療技術を要する口腔外科的疾患、歯性の蜂窩織炎や顎骨骨折などの救急治療など、広く口腔疾患全般を診療対象にしている。院内各科とカンファレンスを行い、横の連携を密にとり、個々の患者さんの治療をベストに行えるようにしている。「病める人」としての患者さんの尊厳を重視し、周術期管理や偶発症への迅速な対応など、より安全で安心な口腔外科診療を実践している。

症例数

年間の新患者数は約1,900名、再来患者数は延べ18,000名。当科の専門医療内容については、個人単位でなく組織的に対応しているので、ここで新患日に当科が対応している疾患の相談・診察の窓口を紹介している

★相談・診察窓口:歯の並び方、骨内に歯が埋まっている位置異常の場合、全身疾患のために歯科治療が困難な場合の対応、歯・口腔・顎顔面の外傷、歯が原因のひどい化膿性の炎症、上下の顎の位置異常の悩み、強い歯や顎の痛み、開閉口障害、歯科治療が怖くて足が病院に向かない方の相談、口内炎や口腔粘膜潰瘍、粘膜や顎骨内にできるふくろ(嚢胞)などについての相談・診療を行っている

★各疾患の内訳は、基礎疾患を有する患者の歯牙・歯周疾患や義歯などが40%、口腔・顎・顔面外傷、嚢胞、顎炎、顎変形症や埋伏歯などの口腔外科的疾患が50%、口腔粘膜の疾患、神経性疾患などが10%となっている。外来手術室を完備しているので、笑気ガスや鎮静薬の点滴などをモニター下で行う安全で不安のない口腔外科手術を行っている。また、外来患者さんでもレーザーを用いる場合には、中央手術室を用いて日帰りで行う手術も可能

★外来手術は年間600例で、困難な抜歯や水平埋伏の智歯の抜歯、ふくろ(嚢胞)の摘出、腫瘍切除、インプラントなどの小手術を行っている。また、ハイリスクの有病者の歯科治療については、術前に担当の他科の医師と検討して対応している。ステロイド薬や抗血栓薬などを使用されている患者の循環動態の管理、出血への対応、感染予防といった問題に対応している

★口腔粘膜疾患の治療は、局所のみならず全身疾患と関係する場合が多いため、免疫能の状態や血液、ウイルス系疾患を確実に検査、診断して治療にあたっている。最近ではHIVやHBV、HCVを保有する患者に対する歯科治療のニーズにも対応している。各種感染症に対してのスタッフ教育や治療機材の感染対策にも万難を配している

★年間入院患者数は150から180例で、顎・顔面骨の骨折、大きな顎嚢胞や顎変形症などの咬合や顎骨に関連する疾患が70%、口腔外切開術を要する重篤な歯性感染症などが20%、口腔粘膜の潰瘍性疾患や口腔悪性腫瘍が10%である。最近は高齢有病者の増加に伴い、一泊入院で行う全身管理下での抜歯などが増加している

★交通事故や転落などによる多臓器損傷を伴う顎顔面骨骨折症例は当院救命救急センターにおいて、専門各科とチームを組み最良の治療を選択し、好成績をあげている。自力で口腔清掃ができない入院患者の口腔ケアや口腔衛生管理の依頼にも積極的に応じている

★パーキンソン病などの神経内科疾患で咀嚼、嚥下障害のレベルをバリウムの咀嚼嚥下をX線画像でビデオ検査を行い、誤嚥の可能性や食事の形態の指導などを行っている

★歯科口腔外科の処置は歯、歯肉や顎骨へ侵襲を加える手術が多く、その際の痛みや出血に対する患者の恐怖心も強いことが多いと考えている。循環器系の基礎疾患がある場合などは、その強い不安・恐怖のために血圧や脈拍が速くなり、それが問題となる場合がある。当科ではそのような患者の心身両面に配慮し、不安の少ない、手術時に楽な気分で処置を行う方法(抗不安薬の内服や点滴をしながらの鎮静法)などを多用している。

医療設備

外来手術室:1室(酸素、笑気、吸引、モニター2台、サイコリッチ、薬剤注入電動ポンプ、救急カート)、口腔外バキューム装置付き治療台:8台、CO2レーザー、半導体レーザー、CCDカメラ付きヘッドランプ2台、CT、MRIなど。

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皮膚科

分野

皮膚科

特色

地域住民への医療貢献をモットーとした皮膚科診療を行っている。皮膚悪性腫瘍、重症乾癬、神経線維腫症などの難治性疾患を中心に皮膚疾患全体の診断・治療を展開している。また、月曜日から土曜日まで毎日午前中、外来初診を受け付けており、地域の医療機関からの難治性アレルギー皮膚疾患、薬疹、膠原病等の紹介受診も多い。神経線維腫症の新しい治療法開発や、レーザー治療、ケミカルピーリングを主体とする美容皮膚科診療にも力を入れている。

症例数

08年の初診患者数3,500人、延べ患者数は外来22,000人、病棟170人、中央手術件数60例、外来小手術件数240例。ベッド数は10床であるが入院患者の需要が多く、混合病棟のため満床率は常に90%を上回る

乾癬=九州全域から難治症例の来院があり、中山教授を中心に数多くの外来、入院症例を治療している。難治例、汎発例には4種類のビタミンD3軟膏外用とPUVA療法、シクロスポリン内服を組み合わせ良好な結果を得ている

接触性皮膚炎・薬疹=今福准教授が中心となり外来、入院治療を行っている。積極的に貼付試験、光貼付試験などのアレルギー検査、病理組織学的検査を行い原因物質の検索をするとともに、減感作療法も含めた様々な抗アレルギー療法を試みている

アトピー性皮膚炎=外来での外用療法、抗アレルギー剤内服を中心に、難治例は入院加療で光線療法も組み合わせた治療と増悪因子究明、生活指導、スキンケアも実施している

膠原病=今福准教授が中心となって診療を行っている。皮膚病変の診断を行い、病理組織検査、蛍光抗体法も積極的に施行し、内科等とも協力して診断治療を進めている

皮膚真菌症=爪白癬の抗真菌剤内服治療などの臨床研究を行い、白癬治療について地域での啓蒙活動も行っている

円形脱毛症=外来でのSADBE局所免疫療法、全頭・汎発型にはPUVA療法を柱とする入院治療が可能である

尋常性白斑=一般的な外用・内服療法を行うとともに、分節型・限局型の白斑に対して、サクションブリスターを用いた表皮移植を行っている

皮膚腫瘍・皮膚外科=高橋講師が担当。ホクロなど皮膚小腫瘍から皮膚悪性腫瘍、皮膚潰瘍などの多数の疾患を診療している。外来での小手術だけではなく、週2回中央手術室での悪性腫瘍の手術も積極的に行っている。また、抗腫瘍療法として化学療法や放射線療法を併用し、末期癌患者に対する新しい免疫賦活療法の試みなど、患者のQOL(Quality of Life:生活の質)を考慮した術後患者の長期ケアにも取り組んでいる

母斑症=中山教授を中心として治療に当たる。特に、神経線維腫症における多発性皮膚神経線維腫、カフェオレ色素斑の病態解明のための基礎研究と、新しい治療法開発に取り組んでいる。カフェオレ斑に対しては、試験的ビタミンD3外用やレーザー治療で効果をあげている

レーザー外来、美容皮膚科=太田母斑、血管腫に対してルビー(Qスイッチ付)レーザー、ダイレーザーによる治療を行っている。03年4月に美容皮膚科外来(自由診療)を開設し、ケミカルピーリングと上記レーザーに加えて、最新のレーザー治療機器(ウルトラパルス炭酸ガスレーザー、フォトフェイシャル、光ラジオ波脱毛装置など)を順次導入し、シミや小じわに対する治療を充実させている。医家向けに開発された美容・スキンケア用品を用いたケアも行い、皮膚科専門医の学問的知識に基づいた美容皮膚科診療を目指す。

医療設備

全身用デルマレイ(UV照射装置)、手足照射用デルマレイ、Qスイッチルビーレーザー、ダイレーザー、ウルトラパルス炭酸ガスレーザーなど。

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内分泌・糖尿病内科

分野

糖尿病内分泌内科

特色

日本内分泌学会及び日本糖尿病学会の認定教育施設として3人の内分泌専門医、同指導医、5人の糖尿病専門医(うち3人指導医)を擁し、専門診療及び専門医の育成を行っている。内分泌代謝領域では、間脳・下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、性腺における各種古典的疾患の専門的診療にあたると同時に肥満、高脂血症、骨粗鬆症といった生活習慣病診療にも力を注いでいる。糖尿病診療では合併症の評価と同時に、厳格な血糖コントロールによる合併症の進展予防にも力を注いでいる。特に手術前後の血糖管理については、外科系の主治医と協力しながら、積極的に介入して治療にあたっている。また足壊疽予防としてのフットケア診療にも力を入れている。大学病院の特色を生かし、各関連科との密接な連携のもと、総合的に対応できることが特色である。外来では「待ち時間を少なく」を合言葉に、時間予約制を取り入れている。入院患者の疾患多様性は極めて高く、内分泌疾患と糖尿病の割合はほぼ1:1~1.5とバランスがとれており、専門医教育には極めて適した施設と言える。

症例数

月平均の外来患者は約1,300人、入院患者20~25人の診療に従事している。外来診療については、患者により深く対応できるよう主治医制にして治療にあたっている。内分泌疾患の中でも特に多い甲状腺疾患では毎週、火曜、金曜の午後に甲状腺のエコー検査と細胞診を行っている。また全国に6カ所しかない膵島移植治療可能施設として、I型糖尿病患者の相談にも応じている。糖尿病教室は全コース6回(週3回、2週)であり、管理栄養士による食事指導を中心に医師、看護師、薬剤師、検査技師がそれぞれの立場から糖尿病を解説し、好評である。外来診療室に隣接して栄養指導室があり、カロリー表示した食品モデルを常時展示し、食事療法の勉強にあてている。

医療設備

特定機能病院であり、診断・治療に関する設備が完備している。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

腫瘍・血液・感染症内科

分野

血液内科

特色

診療に際して、症状、治療法や予後について十分に話し合い、患者さんの意思を尊重したうえで治療方針を決定する。そして、患者さんを中心に医師ばかりでなく看護師、薬剤師とチームを組み、他科(外科、放射線科など)とも協力して標準的な治療、すなわち現在わが国で実施可能なもっとも成績の優れている治療を実施している。当科は悪性リンパ腫、白血病、骨髄腫といった血液の悪性疾患だけではなく、乳癌、肺癌、肉腫などの塊をつくる固形腫瘍の治療も数多く行っている。さらに感染症も当科の守備範囲であり、悪性腫瘍に頻発する感染症を、感染症専門医と共同で診療している。日本血液学会、臨床腫瘍学会、癌治療学会、感染症学会研修指定病院。エイズ拠点病院担当科。

症例数

病床数は27床。1日平均入院患者数は30人。病棟に無菌室1床、準無菌室1床。不明熱、重症患者など他院・他科で診断がつかない紹介患者にも対応。年間入院患者数(08年)血液疾患258人、固形腫瘍252人、その内訳は悪性リンパ腫(成人T細胞性白血病を含む)155人、白血病・骨髄異形成症候群52人、骨髄腫28人、骨髄増殖性疾患(慢性骨髄性白血病を含む)5人、その他の血液疾患18人、肺癌67人、乳癌27人、消化器癌100人(大腸癌44人、胃癌31人、食道癌22人、その他3人)、原発不明癌4人、卵巣癌17人、肉腫9人、胚細胞腫9人、その他固形腫瘍19人。自家末梢血幹細胞移植4例

★長期生存(5年):急性白血病34%、同種造血幹細胞移植(白血病)54%、悪性リンパ腫40%、固形癌は再発例が多く数カ月から5年を超える長期生存までまちまちである。緩和ケア、がんリハビリを実施し、患者の苦痛軽減に努力をしている。

医療設備

特定機能病院であり、教育・研修設備、保険診療で実施できるPET装置を含む診断と治療に関する設備は整っている。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

精神神経科

分野

精神科

特色

当院は1973年創立。全病床数849床で精神科病床は60床。当科は生物心理社会モデルに立ち、しかも地域精神医療に根ざした患者中心の徹底した臨床精神医療を行っており、伝統的に精神分析(もしくは精神分析的精神療法)、薬物療法、デイケアによる社会復帰活動が充実している。当科デイケアについては全国で初めて認可された大学病院デイケアである。コメディカルスタッフも多く、作業療法、社会技能訓練、体育療法にも力を入れている。また総合病院であるため、身体合併症をもつ患者さんの治療の受け入れも可能である。

症例数

外来部門=一般外来診察室、集団療法室、遊戯療法室のほか個人精神療法室4部屋があり、年間の初診患者数は約700人である。疾患別では神経症圏が最も多く約40%であり、続いて気分障害圏約25%、統合失調症圏約15%、認知症などの器質性精神障害圏約10%となっている

病棟部門=全開放の一般病床42床、閉鎖空間の精神科集中治療棟(PICU)18床の計60床であり、年間の新入院患者数は約200人である。疾患別では神経症圏がもっとも多く約40%であり、続いて統合失調症圏約30%、気分障害圏約20%、認知症などの器質性精神障害圏約5%となっている

デイケア部門=デイケアセンターと農園を有し、登録者数は約60人である。疾患については、乳幼児期精神障害、児童・思春期精神障害、成人期の統合失調症や気分障害、初老期・老年期の心気・抑うつ障害などのようにライフサイクルに対応したものととらえてアプローチしている。治療は一般精神医学に加えて、精神分析的ないし力動的精神医学的治療理論を実践しており、それぞれの患者さんの疾患や状態に合わせて個人・集団精神療法、集団療法、薬物療法を行っている。外来、病棟、デイケアのいずれにおいても治療スタッフと患者さんとの望ましい治療的関わりを通じて個人療法、集団療法が行われ大きな治療効果をあげている。精神科以外の一般科で精神症状や精神的問題を呈した患者さんに対してはリエゾン・コンサルテーションサービスを行っており、ことに術後せん妄の治療、臨死患者のQOL向上、産前産後の妊褥産婦の心理的問題への対応などに成果をあげている。また薬物療法については最新の知識に基づき、その患者さんに最適な薬物選択を試みるほか、開発中の新しい薬物についても十分なインフォームド・コンセントのもと、治験を随時行っている。

医療設備

MRI、CT、脳血流シンチ(SPECT)、脳波、誘発電位・筋電図検査、その他。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

放射線科

分野

放射線科

特色

当科の診療内容は大きく次の3つに分かれます。①病院全体のCT/MR/核医学(PETを含む)などの画像診断の管理および読影②カテーテルなどを用いた経血管的治療を主とするインターベンショナルラジオロジー(IVR)③放射線治療です。もちろん通常の外来や入院を通して直接患者様の主治医として診療する面もありますが、むしろ依頼を受けて他科の外来や入院中の患者様の診断・治療に関わることの方が多く、当科の特色ともいえます。また、2002年からはPACS (picture archiving and communication systems)が導入され、様々な画像検査データのデジタル保管と、専用の高精細画像モニターを用いたリアルタイムの読影が可能になっています。2009年から電子カルテ化されたため、作成された画像診断読影レポートは院内ネットワークで配信され、配信された画像とともに、院内のすべての電子カルテ端末から即時の閲覧が可能となっています。

症例数

診断断グループ=現在福岡大学病院は 3台のMDCT、2台の高磁場MRIを有しています。CTは3台すべてが多列検出器装置(MDCT)です。MDCT3台のうち1台は64列の最新鋭のMDCTであり、年間20,000例以上撮影しています。その機能を生かして立体表示(CT angiography, volume rendering, surface rendering, virtual endoscopy)や多断面再構成(multiplanar reformatting; MPR)などの三次元画像処理を行っています。MRIは、高磁場のMR装置が2台導入されており、年間10,000例以上撮像しています。拡散強調画像(diffusion-weighted imaging; DWI)、拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging, DTI)、脳機能画像(functional MRI; fMRI)、潅流画像(perfusion imaging)、MRスペクトロスコピー(MR spectroscopy; MRS)などの最先端の検査が可能です。CT、MRI検査は概ね全てを放射線科医が担当して行っており、対象疾患に合わせた最適と思われるプロトコールを、最新の知見と検査のスループットを勘案して独自に作成し、質の高い画像が得られています。ほぼ全てのCT・MRI画像を放射線科医が読影し、画像診断報告書を作成しています。当科では乳腺領域にも力を入れています。近年、乳癌検診にマンモグラフィ(以下MMG)が導入され、放射線科医が乳癌検診に関与する機会が増えてきています。当院においても乳癌検診が行われており、同時に当科に乳腺外来を設け、精密検査も行っています。当科では乳腺疾患の診断(精密MMG、超音波検査、乳腺MRI、細胞診、組織生検)を中心に行っています。特に、検診MMGにて発見される病変は、触診で分からない小さな病変で、かつ良悪性の診断に難渋することが多く有ります。このような場合は組織診断で良悪性の診断を付けることになりますが、超音波ガイド下、ステレオガイド下(MMGの機械を使用)太針生検を積極的に行っています。診断が確定した後は、乳腺外科、腫瘍内科、病理と連携しつつ患者さん1人1人に合った治療を行うようにしています。核医学部門には現在、PET-CT装置1台、3検出器型SPECT装置1台、ガンマカメラ1台が設置されており、年間約3,000例の検査を施行しています。診療内容は癌の診断には欠かせないPET-CTを用いた腫瘍の診断、脳血流SPECTを用いた脳血管障害や認知症の診断、心筋SPECTによる虚血性心疾患の診断、腎シンチグラフィによる先天性泌尿器疾患の診断などが主なものです。また、バセドウ病に対する放射性ヨード治療や89Srを用いた疼痛緩和治療も行っています

IVRグループ=IVRとはInterventional Radiologyの略で、海外ではIRと略されます。CTやX線装置を始めとした機械の補助下にカテーテルや穿刺針を使って、外科的手術よりも低侵襲に行う治療を総称しています。本邦でも屈指の歴史をもつIVRグループは開設以来28年が経過し、主に肝細胞癌や肝硬変の経血管的治療、救急医療における止血等を数多く行い、診療実績を誇っています。肝細胞癌に対する肝動脈科学塞栓療法は開設以来8,000症例を超え、リザーバー留置術も1,000症例以上、胃静脈瘤や門脈大循環短絡症例に対するバルーン閉塞下逆行性静脈閉塞術(B-RTO)は120例以上行い、良好な成績を収めています。救急疾患においては腹腔内出血、骨盤骨折による出血をはじめ、喀血や産科出血、四肢の出血など様々な出血に対して血管内から止血し、救命しています。また、最近では骨粗鬆症による椎体の圧迫骨折で痛みを伴うもの、椎体の腫瘍(癌の転移など)による痛みを伴う症例に対して経皮的椎体形成術も行っております

治療グループ=当部門は日本放射線腫瘍学会の認定施設であり、放射線治療医3名(常勤放射線腫瘍認定医1名、非常勤認定医1名)、放射線治療品質管理士、放射線治療専任技師、医学物理士で構成されています。放射線治療機器は外照射用が2台、内照射用が1台で、年間500例の新規患者の放射線治療を行っています。外照射機器は2009年4月更新にて最新治療機器 (Varian Clinac 21-EX)が導入され稼働しています。当部門の特徴は、①全症例に三次元治療計画を行い、②体幹部定位照射、特に肺腫瘍においては呼吸同期照射、画像誘導放射線治療 (IGRT)で高精度放射線治療を実施しています。③画像誘導システムを活用し、2010年からは強度変調放射線治療 (IMRT)の本格稼働の予定です。④子宮癌、食道癌、胆管癌等に対しては腔内照射、⑤肝臓癌に対しては血管内治療と集学的に放射線治療を併用しています。当システムによりほぼ全部位に放射線治療が可能ですが、放射線治療医が診察を行い適応を判断した上で治療実施となります。治療効果の向上および副作用の軽減を考慮した安全かつ高精度な治療を行い、癌治療への貢献を責務と考えています。

医療設備

MDCT3台、MRI 2台、マンモグラフィ、PET、SPECT、ガンマカメラ、放射線治療機器(外照射用2台、内照射用1台)など。

「医者がすすめる専門病院 福岡」(ライフ企画 2009年8月)

麻酔科(ペインクリニック)

分野

ペインクリニック

特色

痛みは我慢をする必要がない病気であることを基本に、患者さん一人ひとりに適切と思われる神経ブロック、内服薬あるいは神経ブロックと内服薬の併用による痛みの治療を行っている。また、麻酔科だけでの治療ではなく、関連各科との連携を緊密に行い、総合的な治療を行うよう努めている。治療の内容、効果だけではなく、副作用についても必ず説明を行い、患者さんが疑問に思ったことはいつでも耳を傾け、質問に答えている。緩和ケアとの強い連携がある。

症例数

最近特に問題となっている急性帯状疱疹痛ならびに帯状疱疹後神経痛、癌による痛み、腰痛症、頭痛、外傷後の痛みをはじめとして、各種の痛みの治療を行っている。痛み以外の病気では顔面神経麻痺の治療も行っている。急性帯状疱疹痛の治療では、星状神経節ブロック、硬膜外ブロックを行い、痛みが激しい場合には入院をしていただき治療をしている。急性帯状疱疹痛に対する当施設での神経ブロックによる治療成績が、世界の急性帯状疱疹痛の治療指針の根拠として採用されている。帯状疱疹後神経痛の治療は内服療法を行っており、痛みが激しい時には、神経ブロックを併用している。癌による痛みは、各施設との連携により可能な限り入院をすることなく治療を行っている。年間に延べほぼ6,000例の治療を行っている。

医療設備

病院全体の設備として一般的な検査、MRI、CTによる検査が可能である。麻酔科で行える検査にはサーモグラフィ、皮膚感覚テストがある。

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