専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

兵庫医科大学病院は、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

消化器内科(上部消化管)

分野

消化器・一般内科

特色

外来患者の半数以上は腹部症状を主訴として来院すると言われているが、これらの患者さんに対する系統的な診断治療法は確立されておらず、現在はただ漠然と診療が行われている。日常臨床で頻回に遭遇するこれら疾患に対して科学的にアプローチし、正しく効果的な治療を行い、さらには症状発現のメカニズム解明の研究を行うことが我々の診療・研究の大きな目標の一つである

★ヘリコバクター・ピロリ菌感染症や、近年増加している胃食道逆流症や機能性胃腸症などの良性疾患診療は、われわれの診療の柱となるものであるが、とくに胃食道逆流症と機能性胃腸症に関する研究は本教室の主たる課題の一つでもあり、日本をリードしている。さらに消化性潰瘍をはじめとするヘリコバクター・ピロリ菌感染症の診断と治療に対しては、この疾患にいち早く取り組み大きな成果をあげてきた

★もう一つの柱は食道癌や胃癌を中心とする悪性疾患診療である。悪性疾患に関しては、食道癌や胃癌の内視鏡診断と内視鏡治療、進行食道癌、進行胃癌の癌化学療法を積極的に行っている。特に癌化学療法に関しては、チームで積極的に取り組んでいる。進行消化器癌に対する化学療法は多くの施設で外科中心に行われているが、当院では当科のがん治療認定医師チームが多くの患者の診療に当たっている

★消化器内科は上部消化管科、下部消化管科と共同で運用されており、消化管の様々な疾患に対して幅広く対応している。下部消化管科は炎症性腸疾患の診断治療で特に有名で、炎症性腸疾患患者が専門的な治療を希望して来院することも多い。その他過敏性腸症候群、大腸ポリープ、大腸癌、腸閉塞などの一般的な大腸疾患にも対応している。また、本院では中央施設として内視鏡センターが独立しているが、消化管内視鏡診断と治療は、当消化器内科の医師が中心となって行っている。

症例数

下部消化管科と共同して外来診療と入院患者の診療を行っている。年間外来患者数約33,000人、年間入院患者数約1,800人である

★特に胃食道逆流症に対しては、24時間インピーダンス・pHモニタリングをはじめ食道内圧検査、食道シンチグラフィー検査、食道感受性試験、食道超音波内視鏡検査など多くの専門的検査を用いて、特に難治例の病態、治療に積極的に取り組んでいる。最近話題となっている機能性胃腸症に対しては、胃拡張能を検討できるバロスタット法、胃排出能や胃貯留能を検討できる胃シンチグラフィー検査、胃酸感受性試験など専門的な検査を行うと共に様々な薬剤の効果の検証を行っている。特に胃酸分泌抑制薬、消化管運動機能改善薬、漢方薬に関する経験は豊富である。この他、消化性潰瘍では、通常の1次、2次ヘリコバクター・ピロリ菌除菌療法不成功例に対する3次除菌にも臨床研究として対応しており、またNSAIDs潰瘍の予防や治療に関する臨床研究も積極的に行っている。消化性潰瘍以外のMALTリンパ腫などのピロリ菌関連疾患も、その除菌による治療や放射線治療、抗体療法を行っている。出血性潰瘍に対しても救急部と連携して積極的に対応しているが、当科での緊急内視鏡止血治療の実績は年間120人以上に及ぶ

★早期胃癌に対する内視鏡治療も年間120人以上を治療しており、従来の内視鏡的粘膜切除術(EMR)やポリペクトミーのみならず、最新の内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を用いて、内視鏡治療難治例にも対応可能である。アルゴンプラズマ凝固による消化管止血術や癌内視鏡治療も行っている。進行胃癌に対する癌化学療法も年間40人以上行っており、エビデンス(科学的根拠)に基づいた最新かつ適切な治療を実践するとともに、緩和医療も行っている。入院のみならず外来癌化学療法も月平均30人以上行っている。食道癌に対する癌放射線化学療法やステント留置などの内視鏡治療は、年間20人以上行っている。蛋白漏出性胃腸症や吸収不良症候群などの難治性小腸疾患の診断と治療は、年間10人程度行っている。超音波内視鏡を用いた早期癌や消化管粘膜下腫瘍の診断は、年間100人以上行っている

★上部消化管内視鏡検査は年間約5,500例以上行っており、診断困難例に対しても病理診断も含めて対応している。

医療設備

CT、MRI、PET、内視鏡、超音波、超音波内視鏡、各造影機器など。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

消化器内科(下部消化管)

分野

消化器・一般内科

特色

力を入れている分野は、炎症性腸疾患の診断と治療ならびに大腸癌や大腸ポリープの内視鏡診断と治療である

★厚労省の特定疾患(難病)に指定されている炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)では、近畿地区のセンター病院として他院からの重症例や難治例を受け入れ、治療にあたっている

★潰瘍性大腸炎では、当科で開発し保険適用となった白血球除去療法を、難治例や重症例への内科治療として積極的に行っている

★クローン病では、栄養療法のみならず抗サイトカイン療法などの免疫統御療法を積極的に導入している

★炎症性腸疾患は、若年者に発症し長期にわたる治療が必要なことから、それぞれの治療法のメリット、デメリットと各患者さんの希望や社会生活を考慮した治療指針を提案し、各患者さんが自主的に選択できるよう努力している。特に栄養療法と薬物療法の両者の特性を指導し、エビデンスと患者さんごとのニーズを考慮した治療指針を形成している。栄養療法においては、臨床栄養部やNSTの協力により、長期にわたる患者さんの治療維持体制を整えている。また、外科治療が必要な炎症性腸疾患例では、手術例数が多い当院第2外科(冨田尚裕教授・池内浩基教授)と連携して治療に当たっている。看護師や栄養士・社会福祉士との連携や患者会との連携の下に、患者さんの指導とQOLの向上を目指している

★内視鏡診断と治療は内視鏡センターとリンクして行っており、早期大腸癌への内視鏡治療に力を入れている。また、これまで検査が困難であった小腸疾患に対してもダブルバルーン法やカプセル内視鏡による小腸内視鏡を導入し、積極的に行っている。消化器内科は上部消化管科、下部消化管科と共同で運用されており、消化管のさまざまな疾患に対して幅広く対応している。上部消化管科は機能性胃腸症、胃食道逆流症、ヘリコバクター・ピロリ菌感染症の診断治療で特に有名である。また、本院では中央施設として内視鏡センターが独立しているが、消化管内視鏡診断と治療は、消化器内科の医師が中心となって行っている。http://www.hyo-med.ac.jp/department/gstr/

症例数

上部消化管科と共同して外来および入院患者に対する診療を行っている。年間外来患者数約34,000人、年間入院患者数約1,200人である

★外来では潰瘍性大腸炎・クローン病とも700~1,000人が通院しており、毎年それぞれ100人以上の新規患者の紹介がある

★病棟は50床、年間200例の潰瘍性大腸炎と250例のクローン病を入院治療している

★下部消化管内視鏡は3,000例、小腸内視鏡(ダブルバルーン法)約100例で内視鏡治療(ポリープや早期大腸癌の内視鏡治療300例、内視鏡下狭窄拡張術20例)

★白血球除去療法は毎週20例以上、抗サイトカイン療法100例以上の経験を持つ

★炎症性腸疾患では新たな治療法の開発にも積極的に取り組んでおり、白血球除去療法の改良や新たな治療適応の開発を行っている。また、新たな治療法開発の一環として新薬の治験も積極的に取り入れる(年間約10プロトコール)とともに、それぞれの治療法に関する正確な情報を患者さんに提供し、患者さんの自己決定が可能になるよう心がけている

★炎症性腸疾患では長期経過に伴う癌化の増加が問題となっており、新たな内視鏡(色素拡大内視鏡・NBIや蛍光内視鏡)を応用した正確で患者さんへの負担が少なく、正確な検査法の研究開発に力を入れている。また、造影下体外式超音波検査による腸管の炎症評価を超音波センターと共同で行っている。

医療設備

血球成分除去療法(白血球除去療法)、CT、MRI、PET、内視鏡、小腸内視鏡、カプセル内視鏡、超音波、超音波内視鏡、各造影機器など。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

下部消化管外科

分野

消化器・一般外科

特色

下部消化管外科疾患全般において、手術・放射線・化学療法を含めた最新の集学的治療システムを備えている。また大腸癌の化学療法でも、全国規模の治験・臨床試験の多くのプロトコールを準備し、対応している。

症例数

09年度の年間手術症例総数は565例であった

大腸癌=最近の年間手術症例数は180~200例、そのうち直腸癌は60~100例である。結腸癌に対しては適応を選んで積極的に腹腔鏡手術などの低侵襲手術を行っている。直腸癌においては、根治性を保ちつつ、永久人工肛門を避けることを第一の目標として、可能な限り低位前方切除術や、新術式の肛門括約筋切除・経肛門吻合術などの括約筋温存手術を行っている。また中・下部直腸癌に対しては、根治性と機能温存(排便機能・排尿機能・性機能)の両立を目指し、術前化学放射線療法の後に手術を行い、括約筋温存率は90%である。また、進行再発大腸癌の治療も積極的に行っており、肝転移症例に対しても転移数が4個以下のものは、肝切除の後に補助化学療法を行い、5年生存率は61%、5個以上のものに対しては、化学療法の後に肝切除を行い(50%が切除可能)、その5年生存率は48%であった。このような集学的治療により各Stageの5年生存率は、I:95%、II:94%、III:86%、IV:41%と良好な成績を得ている

★遺伝性大腸癌(家族性大腸腺腫症遺伝性非ポリポーシス大腸癌)に対しても、大腸全摘などの手術を行う他、術後サーベイランスや専門医による遺伝子診断・遺伝カウンセリングのシステムも整えている

直腸・肛門疾患=大きな直腸脱に対し、肛門操作のみで行うアルテマイヤー手術により、高齢者にも侵襲が少ない手術を行っている

潰瘍性大腸炎=重症・劇症例では消化器内科と共観の上、ステロイド、免疫調整剤、血球成分除去療法を行い、治療効果が見込めない症例では緊急手術を考慮している。手術件数は年間90~100例で、現在までの手術症例は1,200例を超え、本邦では最も多い。直腸粘膜を完全切除する大腸全摘J型回腸嚢肛門吻合術を第一選択としているが、一期的な手術が可能な症例もある。最近増加している高齢者の症例では、術後のQOL(生活の質)を考慮しながら、本人、家族と相談し術式を決定している

クローン病=当院消化器内科も炎症性腸疾患を専門としているため、術前・術後の管理は消化器内科で行っている。術前・術後の栄養療法やレミケード治療も、連続して受けることが可能である。今までの手術症例数は700例を超えており、年間の手術症例数は100例前後である。消化管病変に対しては狭窄形成術を積極的に導入し、短腸症候群の予防に努め、肛門病変に対しては、できるだけ人工肛門になる時期を遅らせるために、シートン法にレミケードを組み合わせた治療を行っている。最近問題となっているクローン病の発癌症例の治療経験も豊富である。

医療設備

MRI、CT、ヘリカルCT、DSA、超音波、腹腔鏡下手術装置、内視鏡、PET-CT等。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

内科・呼吸器RCU科

分野

呼吸器内科

特色

呼吸器疾患全般に対応できる診療体制を整えている。特に、胸膜中皮腫や肺癌などの胸部悪性腫瘍の診断と治療を専門的に行っている。胸部悪性腫瘍の診断は気管支鏡、胸腔鏡、CTガイド下生検などで確定し、胸腹部CT、脳MRI、FDG-PETを用いて病期を決定している。組織型、病期、合併症、全身状態を考慮して、個々の患者に最適な治療を選択している。各種クリニカルパスを導入することで計画的診療を行い、関連施設との連携によって稼働率向上と在院日数短縮を図っている。癌化学療法は原則的に、日常生活との両立を目指してがんセンター内の外来化学療法室で行っている。毎週月曜日に新入院患者カンファレンスを、火曜日には胸部腫瘍科・呼吸器外科・放射線科・病理との合同カンファレンスを行い、診断と治療方針を決定している。日本呼吸器学会、日本呼吸器内視鏡学会、日本臨床腫瘍学会認定施設。

症例数

09年度の年間外来患者数25,000人(新患1,400人)、入院患者数延べ15,036人(1日平均入院患者数39人)。症例の内訳は、腫瘍(中皮腫、肺癌、縦隔腫瘍)、塵肺症(石綿肺、珪肺)、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、感染症(肺炎、気管支炎、気管支拡張症、非結核性抗酸菌症、真菌症)、びまん性肺疾患(間質性肺炎、膠原病肺、過敏性肺臓炎、好酸球性肺炎、サルコイドーシス)、胸膜疾患(胸膜炎、膿胸、気胸)、肺血栓塞栓症などで呼吸器疾患全般を網羅している

★中皮腫(胸膜・腹膜)の09年度の新患患者数は80人で、年々増加傾向にある。切除可能胸膜中皮腫症例に対しては、導入化学療法+胸膜肺全摘術+術後放射線照射による集学的治療法の安全性を確認する多施設共同臨床試験を計画し実施している。切除不能例に対するファーストライン化学療法は、ペメトレキセド+シスプラチン併用療法で、治療成績は奏効率40%、病勢制御率95%、無増悪生存期間中央値7.3カ月である。セカンドライン化学療法としてイリノテカン+ゲムシタビン併用療法を行っており、治療成績は病勢制御率78%、無増悪生存期間中央値4.0ヵ月である。現在、ペメトレキセド+シスプラチン併用療法後の再増悪例を対象とした新規分子標的薬の臨床治験に参加している

★肺癌(非切除例)に対する治療法は化学療法、放射線療法およびこれらの併用療法である。治療適応は全身状態が比較的良好で、臓器機能が保たれた症例。合併症の少ない高齢者にも治療を行っている。09年度に化学療法を受けた患者数は201人。非小細胞肺癌に関しては、組織型および上皮成長因子受容体遺伝子変異を考慮した治療アルゴリズムを作成し治療法を選択している。非扁平上皮癌に対するファーストライン化学療法としては、ペメトレキセド+シスプラチンに血管新生阻害剤ベバシズマブを併用した外来化学療法レジメンを考案し、積極的に実施している。非小細胞癌に対するセカンドライン化学療法としてドセタキセル+TS-1併用療法を行っており、治療成績は奏効率12.1%、病勢制御率75.6%、無増悪生存期間中央値5.7カ月である

★塵肺症(アスベスト関連疾患)の09年度の中皮腫・アスベスト疾患センター受診者は、胸膜プラーク219人、肺線維症(石綿肺)27人、良性石綿胸膜炎1人、円形無気肺1人である

★肺炎、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関しては、日本呼吸器学会のガイドラインに準拠した治療・管理を行っている。外来治療が中心であるが、重症例は入院の上、呼吸管理を含めた集中治療を行っている。慢性呼吸不全に対する非侵襲的呼吸管理の導入、在宅酸素療法などの在宅医療、包括的呼吸リハビリテーションにも積極的に取り組んでいる

★間質性肺炎に対しては、気管支鏡もしくは胸腔鏡下肺生検病理組織所見に基づいて抗線維化薬、ステロイドや免疫抑制剤による治療の適応を検討している。

医療設備

CT、 MRI、 PETを含む核医学検査、気管支鏡、胸腔鏡、レーザー、リニアック、精密肺機能検査。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

呼吸器外科

分野

呼吸器外科

特色

①肺癌のオーダーメイド治療②胸腔鏡手術(内視鏡手術専用手術室、ハイビジョンモニター設備)③悪性胸膜中皮腫の集学的治療④大手術・ハイリスク症例の治療。多岐の診療科にわたる大手術や高度な術前・術後管理を要するハイリスク患者への対処は、全科にエキスパートが存在する大学病院の使命と考えている。http://www.hyo-med.ac.jp/department/tsrg/

症例数

09年呼吸器外科全麻手術数330例、うち胸腔鏡手術142例、原発性肺癌92例、悪性胸膜中皮腫29例(胸膜肺全摘術6例)、転移性肺癌42例、縦隔腫瘍15例、気胸・血胸34例、膿胸7例など。ハイリスク症例や拡大手術症例を中心に、近隣の呼吸器内科はもとより呼吸器外科からの紹介例も多い。開設以来6年の呼吸器外科手術計1,900例(10年7月現在)で手術死亡2例(0.1%)である

肺癌=縦隔リンパ節への転移の有無が重大な予後因子であるので、全例で術前に胸部CTとFDG-PETを行う。従来は縦隔リンパ節転移を疑う症例では、全身麻酔下に縦隔鏡を行うしか確認の方法がなかったが、当科では創設以来、超音波気管支鏡による縦隔リンパ節針生検を行っており(既に150例以上)、低侵襲かつ徹底的な縦隔リンパ節転移の評価を行っている。転移陽性例(IIIA期)では術前化学療法後に再度縦隔リンパ節転移を評価した後に手術を行っている。肺癌手術の基本は胸腔鏡手術である。以前なら肩甲骨から乳房下にわたるような大きな手術創であったものが、6~8cmの小切開創と胸腔鏡およびドレーンのための小孔だけで済むようになり、平均入院日数も約11日と短縮されている。一方、進行した肺癌(IIIB期)でも治癒の可能性がある限り、あきらめずに心臓・大血管合併切除、パンコースト腫瘍における椎体胸壁合併切除、筋皮弁による再建などの拡大手術も行っている。高齢者(80歳以上)やハイリスク患者の手術依頼も多く、術前評価のうえ可能な症例について対応している。一方、手術だけでは治りきらない患者さんもおられるので、個々の患者さんの腫瘍の特性にあわせたオーダーメイド治療の確立を目指した研究を行っている。現在、胸部悪性腫瘍の遺伝子背景を解析し、イレッサやタルセバといった上皮成長因子受容体を標的とした抗癌剤がよく効く患者さんとそうでない患者さんの予測を行い治療へ反映している。手術検体のみならず気管支鏡等の生検標本や胸水等の細胞診検体などの少量のサンプルからも遺伝子解析を行っている。さらに得られた遺伝子情報を保存し、現在検証中の治療法や今後解明される他の抗癌剤の効果予測の研究の準備も行っている

悪性胸膜中皮腫=国内でもトップクラスの症例数(開設後6年で胸膜肺全摘完遂33例)である。胸腔鏡検査による低侵襲かつ確実な診断をもとに、中皮腫専門講座(胸部腫瘍学講座)、呼吸器内科、放射線科、病理などとの合同チームによって、より高度な診断と集学的治療を行っている。兵庫医大は文科省科学振興調整費による日本全国中皮腫臨床治験(http://www.hyo-med.ac.jp/department/jmrc/)の中枢を担っており、現在症例集積中の集学的治療プロトコール作成責任者を長谷川が担当している。また、10年8月には国際中皮腫研究会(IMIG)が京都で開催(会長:中野孝司呼吸器内科教授)

縦隔腫瘍=良性腫瘍や多くの胸腺腫はできる限り胸腔鏡で切除している。大血管に浸潤する悪性縦隔腫瘍も人工心肺下に血管合併切除・再検を行う。単純切除が不可能な悪性縦隔腫瘍(胸腺癌や杯細胞性腫瘍など)では化学療法・放射線療法と手術を組み合わせた集学的治療を行う。難治性特定疾患である重症筋無力症に関しては、神経内科や集中治療室と協力体制をとりながら手術治療を行っており、人工呼吸中の患者さんも条件が整えば手術を行っている

膿胸=急性膿胸は胸腔鏡の最も良い適応疾患の1つで、ほぼ全例が一期的に治癒している。慢性膿胸は剥皮術・大網や筋弁の充填術・胸郭形成術など手術の術式を駆使してできるだけ機能を温存しながら治癒に持って行く方針である

気胸・血胸=大学病院であるが救命センターが充実している本学では気胸、血胸、胸部外傷も多く、24時間対処している。

医療設備

マルチディテクター(高分解能)CT、MRI、FDG-PET、定位放射線治療、ペインクリニック外来、超音波気管支鏡、内視鏡手術専用手術室。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

循環器内科

分野

循環器科

特色

循環器内科は、05年4月に内科再編により大学の講座は最終的に内科学冠疾患科と循環器内科に分かれたが、病院の診療科としては循環器内科として診療している。循環器内科で診察・治療する病気はさまざまであり、循環器内科は主に心臓の病気を診療する科であるが、当院では心臓以外の動脈、静脈、肺の血管の病気まで、多くの病気を診療の対象としている

★当科が扱っている主な疾患および治療を挙げると、冠動脈疾患(虚血性心疾患)に含まれる労作性狭心症、安静時狭心症、心筋梗塞。これらに対する治療としての冠動脈形成術。すなわちカテーテル(バルーン、ステント、ロータブレーター)による治療、および冠動脈形成術後(カテーテル治療後、冠動脈バイパス術後)の経過フォローを行っている。特に急性心筋梗塞、不安定狭心症を含む急性冠症候群患者の治療として急性期の極力早期に再灌流療法を行い、心筋の損傷を最小限にすることが重要である観点から、当院のCCUでは24時間体制で緊急冠動脈造影、緊急冠インターベンションを速やかに行えるような体制を整えている

★CCUとは不安定狭心症、急性心筋梗塞などの急性冠症候群の患者さんを主に収容する病棟であり、09年では年間166人の急性冠症候群患者の治療を行っている。従来では救命できなかった来院時心肺停止、重症心不全、ショック状態を治療するための経皮的補助循環装置(PCPS)、大動脈内バルーンパンピング(IABP)、DDD型一時的ペースメーカー等の機器を常備し、必要に応じていつでも使用している。また急性冠症候群以外の重症不整脈や重症心不全の患者さんも収容し、必要に応じて人工呼吸器管理を用いた集中治療も行っている。01年10月より救命救急センターの認定を受けているが、現在救命救急センターと連携し、従来以上に重症心疾患患者の受け入れができるような体制を整えており、夜間・時間外の緊急入院をいつでも迅速に受け入れることをモットーにベッドコントロールも確実に行っている。さらに当院の対象とする疾患として高血圧症、高血圧性心臓病、さまざまな原因による心不全がある

★特に心不全の集学的治療を精力的に行い、軽症例およびハイリスク例に対する予防的治療、中等症例に対するACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬・ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)に加え、β遮断薬の導入を行っており、予後の改善に積極的に取り組んでいる。難治性の心不全には、さらに両室ペーシング療法、外科的療法など多角的に改善策を図っている。当院では、最近特にクローズアップされている拡張不全に対する病態解明、および治療に対し臨床的なアプローチに加え、基礎レベルでの研究も行っている

★不整脈では、心房細動、心房粗動、心室頻拍、心室細動、上室性頻拍、房室ブロック、洞不全症候群、期外収縮(上室性、心室性)、ペースメーカー手術後、植え込み型除細動手術後、カテーテルアブレーション治療後の経過フォローも含め対応している。めまいや失神などを起こす徐脈性不整脈に対しては、ペースメーカー植え込み手術を行っており、動悸を起こす頻脈性不整脈に対する根本治療として、カテーテルアブレーション治療を積極的に行っている。さらに突然死の原因となる致死性の不整脈(心室粗動、心室細動)に対して、植え込み型徐細動器(ICD)の植え込みを行っており、難治性のうっ血性心不全に対して、適応を十分考慮した上で両室ペーシング治療を施行している

★これ以外の疾患として、弁膜症に含まれる大動脈弁狭窄症、閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁疾患、弁置換手術後の患者を扱っている。上下肢の動脈の特に動脈硬化性変化により狭窄、閉塞が生じることが原因による閉塞性動脈硬化症および本疾患に対する治療としての、狭窄ないし閉塞血管に対するカテーテルによる(バルーン・ステント)下肢血行再建術を行っている。06年より末梢血管外来を開設し、閉塞性動脈硬化症の診断についてはABI、超音波検査、CT・MRI検査にて十分なスクリーニングを行い、疾患を有する例について造影検査を行っている。重症例においては造影検査に引き続きカテーテルを用いた治療(percutaneous peripheral intervention:PPI)を施行し、多くの例で症状の軽減を得ている。さらに拡張型心筋症、肥大型心筋症、心筋炎後心筋症、アルコール性心筋症などの心筋症・心筋炎、心膜炎(急性、慢性収縮性)、先天性心臓病の中でも成人になって発見されることも多い心房中隔欠損症、心室中隔欠損症なども対象にしている。また大動脈の病気として大動脈瘤、大動脈解離、大動脈人工血管手術後、その他として肺血栓塞栓症、肺高血圧症、深部静脈血栓症、浮腫、失神発作、低血圧症、高脂血症(コレステロール、中性脂肪)、内臓肥満、メタボリック症候群、動脈硬化の早期診断を当院では対象疾患としている。これら以外にも睡眠時無呼吸症候群、すなわち眠っている間に繰り返し息が止まってしまうことを特徴とする本疾患は、日中傾眠を起こすだけでなく、高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞や糖尿病などさまざまな合併症を引き起こす危険な病気であることが分かってきており、早期発見、治療が大切であることから終夜睡眠ポリグラフィなどを行い、生活習慣の改善の必要性や経鼻的持続陽圧呼吸法(CPAP)の適用を検討している。また、心臓リハビリテーション療法として狭心症、心筋梗塞、心不全や冠動脈バイパス術後などには、独自の心臓リハビリテーション療法を行い、患者のQOLの向上を図っている。また、大学病院であるということより、独自の臨床研究を活発に行っている。私どもが中心になって日本全国に発信している、特に慢性心不全を有する患者さんの予後を改善させる治療法の検討として、長時間作用型利尿薬と短時間作用型利尿薬の予後改善効果を比較した前向き無作為オープン比較試験を行っている(JMELODIC)。私どもは、生存率改善効果は短時間作用型利尿薬に比べ長時間作用型利尿薬で優れている可能性を明らかにしてきており、これまで海外のエビデンスをもとに治療指針を作成してきた我が国から、海外に向けてエビデンスを発信することを目指している。

症例数

09年の年間症例数は、急性心筋梗塞87例、狭心症461例(異型狭心症13例)、心不全211例、ショック症例21例、不整脈218例、弁膜疾患26例、肥大型・拡張型心筋症を含めた心筋疾患25例、感染性心内膜炎6例、動脈疾患21例、閉塞性動脈硬化症などが原因による末梢動脈疾患216例、深部静脈血栓症、静脈瘤等の静脈、リンパ管疾患17例である

★09年の年間検査数は心臓カテーテル検査、治療として1,202例、内訳として診断カテーテル検査590例、待機的インターベンション224例、緊急インターベンション124例、閉塞性動脈硬化症等の末梢動脈狭窄、閉塞に対するインターベンションのPTAが237例である。不整脈の診断、治療を目的とした電気生理学検査は325例、このうちペースメーカー植え込みは56例、カテーテル治療であるアブレーション(電気焼灼術)は106例、ICD(植え込み型除細動器)23例、両心室ペーシング7例に施行している。24時間心電図記録であるホルター心電図も1,244例に行われている。心エコー検査では経胸壁エコーが10,117例、経食道エコーが152例である。心臓核医学検査である運動負荷心筋シンチグラフィは335例、薬剤負荷心筋シンチグラフィー45例に施行している。

医療設備

CCU8床、心臓カテーテル装置、心臓超音波ドプラ装置、心臓核医学検査装置、PET、不整脈解析治療のための3次元マッピングシステム、ホルター心電図、トレッドミル、CT、MRI、大動脈内バルーンパンピング(IABP)、経皮的人工心肺補助装置(PCPS)など

★外来での検査については、運動負荷検査(トレッドミル)、心臓核医学検査、心臓・下肢静脈超音波検査を当科医局員およびその指導の下、専門の検査技師が行っており、質の高い診断のもと一番適した治療方法を模索し、十分な説明をし、同意を得て治療を行っている。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

心臓血管外科

分野

心臓血管外科

特色

04年より新任教授として大阪大学より宮本教授が赴任し活発に診療を行っている。当院は阪神間の中核病院として30年以上の実績があり、心臓血管外科では関西でも有数の施設として知られている。このような歴史のおかげで、手術室、集中治療室(ICU)、CCU、病棟の設備は充実しており、円滑な運営ができる。また救急部があり、緊急症例の受け入れも容易である。成人の心臓血管外科を主な対象としており、冠動脈疾患、弁膜症、大動脈外科をバランスよく診療している。その中でも特に、大動脈の手術は、従来の人工血管置換術と低侵襲であるステントグラフト治療の両者を適切に選択し成績は極めて良好である。新しい手術手技に関しては欧米でも認められ、毎年いくつもの国際学会で発表している。また総合病院であることから、慢性透析患者、担癌患者、ステロイド投与中の患者など心臓血管以外の問題をかかえた重症患者でも十分な管理ができる。対象症例の高齢化が進み、最近は80歳代後半の患者でも認知症がなければ積極的に手術している。手術に対する基本的方針は、「世界の最高水準でそれぞれの患者に最適な手術方法を選択し、できるだけ低侵襲とする」である。そのためには術前検査を十分に行い個々の患者の状態を完全に把握し、手術方針を決定することが重要と考えている。

症例数

週4日の予定手術日に加えて緊急手術が多く、年間約300例の心臓血管手術を行っており、年々増加している。冠動脈疾患、心臓弁膜症、真性および解離性胸部大動脈瘤などに対する外科的治療が中心となるが、腹部大動脈瘤や四肢の閉塞性動脈硬化症に対する手術、ペースメーカー植え込み術なども行っている

冠動脈外科=冠動脈バイパス術では独自の低侵襲人工心肺装置を開発し、オフポンプでの手術と同等の低侵襲でオフポンプより確実な吻合を行うようにしている。オフポンプが適する症例にはそれを行うが、基本的にはオンポンプとしていることから吻合したバイパスの開存率は優れている。またポンプを使用したことによる合併症はこれまで経験していない。70歳以下ではほとんど動脈グラフトを使用し、平均グラフト本数は3.4本と完全血行再建を行っている。年間約40例の単独冠動脈バイパス術で死亡率は1%である。また、高度の心筋梗塞のために心臓が拡大し、心不全を繰り返すような症例に対する左室縮小形成術も行っており、虚血性僧帽弁閉鎖不全症はほとんど修復している

弁膜症外科=大動脈弁に対しては、長期耐久性のある新しいタイプの人工弁を使用しており、また、人工弁を使用せずに自己の大動脈弁を温存する大動脈基部再建術も行っている。僧帽弁に対しては修復術を原則としており、また弁膜症にしばしば合併する不整脈(心房細動)に対する根治術(メイズ手術)も同時に行い、良好な成績(正常調律復帰率80%)を挙げている。再手術症例や複雑な手技を要するため他院で手術不可能といわれた症例が多いことが特徴である。手術死亡は3~5%

大動脈外科=胸部大動脈瘤手術数は年間50~60例である。上行~弓部大動脈には人工血管置換術が基本であるが、下行大動脈に対しては低侵襲を目指したステントグラフト内挿術が第一選択である。急性大動脈解離では新しい吻合法を開発し、出血量が減少した。全弓部置換術では脳分離体外循環法を補助手段として用い、04年以降は脳合併症を発生しておらず待機手術の死亡率は2~3%と他施設より良好である。最も手術侵襲の大きい胸腹部大動脈瘤では、低侵襲を目指して手術をできるだけ二期に分け、またステントグラフトを併用するようにして、04年以降は対麻痺の発生はない。腹部大動脈瘤手術は年間約60例で緊急手術も多い。腹部大動脈瘤に対するステント治療は07年より開始し、現在では約60%の症例でステント治療を行っている

心不全外科=虚血性心筋症や拡張型心筋症に対する外科治療も積極的に行っている。劇症型心筋炎などを代表とする急性心不全では、PCPS(経皮的心肺補助装置)のみならず、補助人工心臓の植え込みを行い、長期の全身管理を行っている

手術適応=日本循環器学会や米国心臓病学会のガイドラインに準じて適応を決めている。手術方法は個々の患者の全身状態、年齢、生活様式などをすべて考慮して、できるだけ低侵襲で合併症の少ない効率の良い手術を行うように心がけている。

医療設備

ICU、CCU、救急部、シネアンギオ室、MRI、MD-CT、心臓核医学検査、心エコー、人工心肺、IABP、PCPS、自己血回収装置など。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

内科腎・透析科

分野

腎臓内科

特色

当科は腎臓内科としての業務と、人工透析室業務の両面を行っている。つまり、検診で検尿異常を指摘された症例の腎生検の要否判定から、腎生検施行、組織学的診断、腎炎の薬物治療、慢性腎不全の管理、透析用内シャント作成、透析療法(血液透析・腹膜透析)導入、さらには院内各科との協力による長期透析患者の合併症治療に至るまで、腎疾患患者のほとんどすべての問題に対応できる体制を作っている。また、透析療法だけでなく、免疫吸着療法、血漿交換療法、白血球除去療法、LDLアフェレーシスなど多様な血液浄化療法が施行可能である。腎疾患患者のより良い自己管理を目的として、腎臓病教室を開催している。

症例数

外来患者数900~1,000人/月、病床約30床、腎生検数約90件/年、年間新規透析導入患者数約60人、通院CAPD患者数約20人、腎臓病教室参加患者数約100人/年

腎生検=尿蛋白・血尿を有する患者に対して、超音波診断装置およびバイオプティガンを用いて安全・確実に腎生検を施行している。過去10年間に、腎生検後に外科的、放射線科的処置を要する重篤な合併症は生じていない。採取された組織は光学顕微鏡のみならず蛍光抗体法、電子顕微鏡を用いた検討を行い、種々の腎疾患の正確な診断を行っている

腎炎の治療=各種糸球体腎炎に対し、ステロイド・免疫抑制剤・アンジオテンシン変換酵素阻害剤などを用いた治療を積極的に行っている。IgA腎症は日本で最多の原発性腎炎であり、慢性腎不全の原因疾患として重要な地位を占めているが、本症に対しては扁桃腺摘出とステロイドパルス療法(短期間大量投与)が、新しい治療として注目を浴びている。当科でも適応のあるIgA腎症症例に対しては本治療法を積極的に取り入れ、良好な治療成績をあげている

慢性腎不全患者の食事療法=当科では、高度腎不全患者に対する低蛋白食による治療により、透析療法開始までの時間を延長することに成功している。入院中は栄養部の協力の下に、体重㎏あたり0.5gの低蛋白食を提供し、同時に家庭での食事療法を指導する患者教育も行っている

透析療法=血液透析・腹膜透析の選択にあたっては、患者の生活スタイルや合併症を考慮し、十分なインフォームド・コンセントのもとに、本人にとって最善の選択が行われるよう配慮している。また、当院泌尿器科では腎移植も実施しているため、院内で腎移植について専門家の意見を聞くことも容易である。また透析用内シャント作成・修復は当科で行っており、迅速な対応が可能である。透析困難症の症例では積極的に血液濾過透析(HDF)を施行しており、より安楽に透析が受けられるよう配慮している。血液透析導入後、状態が安定すれば通院しやすい近隣透析施設を紹介している

透析患者の合併症治療=透析患者は動脈硬化病変が進行しやすく、心血管障害・脳血管障害などの合併が多く見られる。当科は循環器内科、心臓外科、神経内科などと協力することによって、これらの合併症に迅速に対応する体制をとっている。また二次性副甲状腺機能亢進症、透析アミロイドーシスなど、長期透析患者に特有の合併症に対しても、外科・整形外科などと協力して積極的に治療を行っている

各種血液浄化療法=当科は透析療法のみならず、院内各科と協力し、膠原病・肝不全・神経疾患、血液疾患などに対する免疫吸着療法や血漿交換療法、関節リウマチに対する白血球除去療法、巣状糸球体硬化症に対するLDLアフェレーシスなど、幅広い領域での血液浄化療法を行っている

腎臓病教室=看護師・薬剤師・臨床検査技師・ソーシャルワーカー・移植コーディネーターなど他職種と合同で月に1回、1週間単位の腎臓病教室を開催しており、当院の患者のみならず、近隣施設からの参加も増えている。

医療設備

個人用透析装置19台、血漿交換装置3台、LDLアフェレーシス専用装置など。

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小児科

分野

小児医療

特色

当院は国より高次特定機能病院に指定されており、かつ阪神間地域の3次救急指定病院として、1次・2次救急病院からの重症患者の受け入れ、急性期治療に専念する立場にある。専門グループのある小児腎臓病(ネフローゼ、IgA腎症、腎不全、腎移植等)、小児血液疾患および腫瘍(白血病、再生不良性貧血、固形腫瘍、末梢血幹細胞移植、骨髄移植等)、新生児(NICU)(超未熟児、ハイリスク児等)領域での紹介はもちろん、それ以外でも小児内分泌(低身長、甲状腺疾患等)、小児神経発達(てんかん、行動異常、発達遅延等)、小児アレルギー(喘息、アトピー)等、幅広く小児疾患全般について診療を行っている。また、ハイリスク出産の多い院内出生児の乳児健診や、基礎疾患があり一般診療所では受診しにくい児の予防接種も行っている。新研修医制度のもと、院内で40~50人、当科では常時3~6人の研修医が研修中であり、また教育機関の特色として、医学生の臨床実習があるなど、患者様方にご理解、ご協力いただきながら医師の育成にも努めている。また、地域医療への貢献の一つとして、所在地である西宮市の予防接種事業の応援、学校検尿事業への2次、3次検診の統括的取り組み、喘息キャンプ支援なども行っている。

症例数

平均外来患者数は1,400~1,500人/月。小児科病床数は小児病棟内に26床であり、年間600人前後の入院患者がある

★腎臓グループでは、急性疾患から慢性疾患、末期腎不全の透析導入から、腎移植まで含めたトータルケアにかかわっている。特に慢性腎不全においては、小児腎移植の実績ある当院泌尿器科と協力ができることもあり、透析導入、移植などの長期的な見通しをもって、より細やかな管理が可能となっている。急性腎不全についても腎・透析科やICUとも協力の上、緊急の血液浄化の対応が可能であり、10年は溶血性尿毒症症候群1例の治療にあたった。西宮市の学校検尿事業に協力し、2次検診から統括的な参加をしているが、近隣で慢性腎炎の疑いでピックアップされた症例に対しても、夏休みなどを利用して1週間の入院をしていただき、診断に必要な腎生検を行っており年間で約50例に及ぶ

★新生児集中治療室(NICU)は88年5月、13床(ICU 3床)で開設となり兵庫県母体救急医療システム、兵庫県新生児救急医療システムの阪神地域の基幹病院として機能している。産婦人科と協力の上、随時ハイリスク妊娠、分娩症例が受け入れ可能であり、新生児外科疾患を含め20診療科以上の協力体制のもと兵庫県東部唯一、各母児合併症への対応が可能な施設であり、05年度より新生児専門医研修施設となっている。年間入院数は約180人から190人であるが、人工呼吸器症例は50例以上、1,500g未満の低出生体重児は年間約30例以上であり、開設以来、周辺地域のニーズとともに増床し、現在24床(NICU 12床、GCU 12床)である

★血液、腫瘍グループでは、年間5~6例の新規の急性白血病や固形腫瘍症例の治療などのほか、血液幹細胞移植については過去10年で47症例、50回行っており、ほかにも臍帯血幹細胞移植やHLA不一致移植など行っている。

医療設備

MRI、CT、各種超音波検査、PET、SPECTなどの核医学検査など先進機器を備えている。

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外科(小児外科)

分野

小児外科

特色

★診療内容・専門分野=新生児から15歳までの頭・頚部、胸部、腹部の外科疾患を対象としている。主な疾患としては、鼠径ヘルニア・臍ヘルニアといった腹壁疾患をはじめとして、裂肛・痔瘻・肛門周囲膿瘍などの肛門疾患、嘔吐・便秘などの日常よくみられる疾患の診療を行っている。また、急性虫垂炎、腸重積症、鼠径ヘルニア嵌頓、異物誤飲といった小児救急疾患に対する診療も行っている

★新生児外科=新生児集中治療室(NICU)と連携して、周産期医療にも積極的に取り組んでいる。新生児外科においては、緊急性の高い鎖肛、食道閉鎖症、腸閉鎖症、腹壁破裂、穿孔性腹膜炎などの疾患に即座に対応できる体制をとっている。また、出生前診断例においては産科と連携して、母体搬送による出生直後からの外科的治療も行っている。特に先天性横隔膜ヘルニアをはじめとした出生直後より呼吸不全を呈する疾患においては、高頻度振動換気法や一酸化窒素吸入療法を含めた最新の呼吸管理、全身管理を行っている

★乳幼児外科=先天性胆道疾患(胆道閉鎖症、胆道拡張症)、ヒルシュスプルング病、小児呼吸器疾患、小児がん(神経芽腫、腎芽腫、肝芽腫、奇形腫)などの専門性の高い疾患に対しても、小児科をはじめとした関連各科との綿密な連携のもとで診療を行っている

★内視鏡外科手術=からだへの負担を減らし、大きな傷跡に悩むことのないように、安全性に重点をおいた内視鏡外科手術を行っている。当科で行っている主な内視鏡外科手術は、鼠径ヘルニア根治術、虫垂切除術、腸重積症手術、胃瘻造設術、漏斗胸手術、肺切除、メッケル憩室切除、ヒルシュスプルング病根治術などである

★日帰り手術について=09年2月より、鼠径ヘルニアや臍ヘルニアなどの小手術を対象として、日帰り手術を行っている。

症例数

年間(09年1月~12月)手術件数350件。内視鏡外科手術90件、新生児手術15件、鼠径ヘルニア手術100件。

医療設備

NICU、ICU、クリーンルーム、高頻度振動換気、一酸化窒素吸入、MRI、CT、RI、超音波、内視鏡外科手術室。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

眼科

分野

眼科

特色

ほとんどすべての最新鋭の眼科診断機器を備え、各専門分野のスタッフで阪神地区の眼科診療に関する中心的役割を担うだけでなく、西日本全体の重症患者や他の施設で治療困難と診断された難治患者の治療にも重点を置いている。特に先進的な治療に関しては、学内倫理委員会で審議のうえ積極的に導入している(以下先進)。さらに十分なインフォームド・コンセントを行い、医療側ではなく、患者側からみた満足度の高い治療を目指している。

症例数

09年度の新患者数4,892人(紹介率65%)、再診患者数47,499人。眼科病床数は44床。09年年間手術件数2,805件

白内障=白内障手術は施設の性格上、全身および眼の合併症が多いものが中心で986件、またこれとは別に硝子体手術、緑内障手術との併施が213件行われている

網膜硝子体疾患=硝子体手術件数は297件。最新の診断機器を使用し、個々の患者の病態を十分検討した上で、治療法を選択している。薬物療法やレーザー光凝固術では治療できない増殖糖尿病網膜症、網膜上膜、黄斑円孔、黄斑浮腫などの症例には積極的に網膜硝子体手術を行っている。また加齢黄斑変性に対する光線力学療法(PDT)や、さらに(先進)トリアムシノロンやベバシズマブの硝子体内投与も積極的に行っている

斜視=年間444例の手術を行っているが、ここ数年は小児の手術が減少し、09年は6割以上が成人の斜視、特に麻痺性斜視の手術になっている。このような麻痺性斜視は神経麻痺後だけでなく、甲状腺眼症、重症筋無力症の安定期にも行われ、複視を訴えた患者の92%で正面視での複視の消失に成功している。また眼振手術件数も22眼、共同偏視に対する外眼筋手術も行い、全例で症状の改善をみている。(先進)臨界期を過ぎた弱視患者に対するドーパミン内服治療

緑内障=手術件数は88件。学内だけでなく、近隣の緑内障専門医と合同で週1回のカンファレンスを行い、個々の患者の病態と経過に応じたテーラーメイドの治療方針を決定している

角膜=全層角膜移植はアイバンク眼だけでなく、輸入角膜移植や(先進)羊膜移植、角膜内皮移植も行っている

眼瞼=出血がほとんどなく術後瘢痕形成の少ない炭酸ガスレーザーによる眼瞼下垂手術を中心に100件170眼の手術を行っている。また眼瞼けいれん、片側顔面けいれんでは、全国2位の1,396例の患者に延べ11,367回のボツリヌスA型毒素注射を行っており、北海道、九州、四国などの遠隔地を含め全国各地から患者が来院している。眼瞼けいれんの患者の満足度は77%、片側顔面けいれんの患者では86%である。(先進)バセドウ病患者の上眼瞼後退(瞼裂開大)に対するボツリヌスA型毒素注射

神経眼科=開院以来伝統的に視神経疾患と眼球運動異常の診療を専門に行っており、これらに対してMRI、CTなどの画像診断、遺伝子診断、電気生理学的検査などで原因の徹底的な検索を行っている。治療面では脱髄性視神経炎、甲状腺眼症、重症筋無力症などに副腎皮質ステロイド薬のパルス療法やビタミンC大量点滴療法、免疫吸着療法などを行い、さらに(先進)虚血性視神経症、外傷性視神経症をはじめとする難治性視神経疾患に対する経角膜視神経電気刺激も行っている

ロービジョンクリニック=8人の視能訓練士とともに患者の現状と行動上の問題点を検討し、その患者に最適な視覚補助具の選定を行うとともに、家族も交えて装用訓練を行っている。

医療設備

レーザー網膜血流計(HRA-2)、光干渉断層計(スペクトラドメインOCT)、レーザー走査検眼鏡(SLO)、超音波生体顕微鏡(UBM)、多局所網膜電図、視神経乳頭形状解析装置(HRT-2)、光線力学療法用レーザー光凝固装置など各種レーザー光凝固装置、ヤグレーザー、電子瞳孔計、両眼調節輻湊同時解析装置、赤外線オプトメーター、視覚誘発電位測定装置、超音波断層診断装置、IOLマスター、外眼筋筋電図計など。

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耳鼻咽喉科

分野

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

特色

耳鼻咽喉科全般の診療を行っているが、感覚器(聴覚・平衡覚・嗅覚・味覚)疾患と頭頸部疾患の診断、治療、研究に重点を置いている。耳手術数約350例(09年、以下全て同年)で全国の大学病院のトップであり、世界標準レベルの治療を目指している。鼻手術は年間200例を超え、頭頸部患者も200例以上の集学的治療を行っており、全国標準を超える診断・治療を実践している。

症例数

年間手術件数は約750件。診断・治療は各グループ別に行っている。慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎に対する鼓室形成術約250例、アブミ骨手術約20 例、人工内耳10例など350例余の耳手術を行った。入院期間は約1週間であるが、より短期で対応することもある。また、内視鏡、ナビゲーションシステムを積極的に導入し安全な手術を目指している。慢性中耳炎では、鼓膜閉鎖率95%以上、聴力改善成功率90%以上である

★突発性難聴などの急性感音難聴には、早期に大量ステロイド療法、顔面神経麻痺には早期よりステロイド、抗ウイルス剤投与を行い、予後不良例には積極的に手術療法を行っている。老人性難聴などの治療困難な感音難聴には補聴器の適合検査を行いQOLの改善に努めている。乳幼児難聴外来では、乳幼児聴力検査・ABR・ASSR・OAEにより難聴児を早期発見し、補聴器装用や人工内耳埋め込みを行い、言語聴覚士と共同で乳幼児の言語発達を促進している

★慢性副鼻腔炎には、デブリッダーなどの手術支援機器を用いて内視鏡手術(5~7日の入院)を積極的に行い、その他の鼻副鼻腔疾患と合わせて年間約200例の手術を行っている。特にアスピリン喘息などの喘息を合併する難治性副鼻腔炎に対して豊富な経験を有する。副鼻腔炎の再発による再手術率は4.8%、嗅覚改善率は75%である。蝶型骨洞や前頭蓋の手術にはナビゲーションを積極的に併用している。重症の鼻アレルギーには外来日帰りでの下甲介手術(年間150例)を施行している

★頭頸部腫瘍に対しては、放射線科とカンファレンスで検討し、症例ごとに最適な治療を選択している。手術・放射線・化学療法(超選択的動注化学療法)による集学的治療を年間120例実施し、手術後の機能・整容面を形成外科とともに回復を図っている。喉頭摘出後の代用音声に欧米で普及しているプロテーゼを用い良好な成績を得ている

★めまい(年間約300例)に対しては、その原因を電気眼振検査(ENG)、赤外線眼球運動検査、調整前庭誘発筋電図(VEMP)、蝸電図(ECoG)などを用いて病態を把握している。良性発作性頭位めまい(BPPV)にはEpley法を、難治性メニエール病には 内リンパ嚢開放術を積極的に行っている

★嗅覚障害(年間100例)に対しては、当科で開発したステロイド局所注入療法を行い従来のステロイド点鼻療法を上回る成績を上げている

★味覚障害(年間100例)に対しては、硫酸亜鉛やポラプレジンク内服(亜鉛補充療法)により70%の回復率を得ている。また、口腔乾燥症に対して、副作用のない胃薬(ニサチジン)の内服、食事前の酢の摂取を勧めている

★睡眠時無呼吸症候群・いびき症に対しては、1日の入院で睡眠中の呼吸状態を把握し、共にCPAP療法、マウスピース療法、手術療法を行っている

★その他、声帯ポリープや返答疾患・アデノイド増殖症に対して年間130例の手術療法を行っている。

医療設備

MRI、CT、PET他核医学、超音波、電子内視鏡、耳鼻咽喉科ナビゲーションシステム、ハーモニック・スカルペル、アルゴンプラズマ凝固装置、マイクロデブリッダー、赤外線眼球運動検査装置、ABR、ASSR、DPOAE、補聴器適合検査装置。

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歯科口腔外科

分野

歯科口腔外科

特色

当科では、歯科外来、口腔外科外来および病棟にそれぞれ専属の常勤医師を配属し、総合的な歯科口腔外科診療を行っている。歯科では、大学病院として基礎疾患を有する医科あるいは開業歯科からの紹介患者を主体にした一般歯科の他、顎顔面補綴、顎関節症、小児歯科、歯周病の専門外来を設けている。口腔外科では、口腔癌、顎顔面骨骨折、嚢胞性疾患、炎症性疾患を主体に、顎変形症、唇顎口蓋裂、口腔粘膜疾患などすべての顎口腔領域疾患を取り扱っており、腫瘍、顎変形症、口腔インプラントについては専門外来を設けている。医学部他科との連携も円滑で、特定機能病院、エイズ拠点病院、災害拠点病院として、阪神地区の基幹病院となっている。

症例数

年間外来初診患者数3,800人、再診患者数28,000人、入院患者数160人、埋伏智歯、嚢胞摘出術などの外来手術1,500例、入院手術120例(09年度は悪性腫瘍34例、外傷・顎顔面骨骨折21例、嚢胞20例、顎変形症10例を含む)

★口腔癌の初診患者は年平均30例で、外科療法を主体に行っているが、最近は放射線科との共同で、セルジンガー法による超選択的動注化学療法と放射線治療の併用により、3年生存率81%の好成績が得られている。広範切除症例に対しては、術後の形態改善や機能回復のために形成外科と連携し、マイクロサージャリーを用いた筋皮弁や骨移植による再建術を行っている。顎顔面欠損に対しては、専門外来で顎顔面補綴、顔面エピテーゼを作成し、症例によっては、ブローネマルクインプラントシステムによる口腔インプラントを併用し、QOL(生活の質)の改善を図っている。過去10年間(160例)の5年生存率は、StageI:100%、II:94.1%、III:65.4%、IV:59.9%で、平均80.4%である

★顎顔面骨骨折は年平均30例で、多くは本院救命救急センターあるいは市中病院からの紹介である。緊急手術にも対応可能で、チタンミニプレート、吸収性プレートによる観血的整復固定術を行っている。顎間固定期間中は、原則として入院下に口腔管理を行っている

★顎変形症は、矯正歯科開業医と連携のうえ術前矯正を施し、下顎枝矢状分割骨切り術、下顎枝垂直骨切り術、歯槽部骨切り術、上下顎同時移動術などにより外科矯正を行っている。輸血を要すると思われる症例には、術前に自己血貯血を行い、輸血によるリスク軽減に努めている

★顎関節症は年平均200例あり、薬物療法、スプリント療法、関節洗浄とパンピング法を主体に、補綴治療による咬合の改善も併せて行っている。CT、MRI検査により、適宜パンピングマニピュレーション、顎関節腔内洗浄療法、顎関節内鏡視下剥離授動術などを行い、満足できる結果を得ている

★口腔インプラントは高度先進医療として認可され、年平均40例行っている。顎堤の乏しい症例には骨移植、上顎の場合、必要に応じて上顎洞底挙上術を併用している。インプラント生着率は98%以上である

★歯周病外来は、医学部附属病院の特殊性として、各種基礎疾患を有する患者の口腔管理を行う目的で、中等度~重度の歯周病を有する患者に対して、スケーリング、SRP、フラップ手術を施し、歯科衛生士とともに歯周管理を行っている。特に、白血病、血友病、再生不良性貧血などの血液疾患患者、生体腎移植患者、ステロイド大量療法予定患者に対しては、必ず当科で治療前口腔内診査を行うシステムをとっている

口腔ケア=救命救急センター、ICUなどで気管内挿管された患者に対する肺炎予防、食道癌患者などの術後感染を軽減させる目的で、積極的に周術期口腔ケアを行っている。

医療設備

CT、3D-CT、MRI、アンギオスコープ(血管造影)、リニアック、電子線照射装置、PETを含む核医学検査設備、各種レーザー、超音波診断器、クライオサージャリー、顎関節鏡など。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

皮膚科

分野

皮膚科

特色

特定機能病院の皮膚科として入院診療に重点を置き、皮膚癌・重症皮膚疾患・皮膚難病の急性期の診療を行っている。また、皮膚外科、乾癬、皮膚アレルギー、ストレス・ケア外来を設け、より高度で専門的な皮膚科診療の提供に努めている。

症例数

1日平均外来患者数約100人、入院患者数11~13人、年間の手術件数は約400例。2009年の実績:アトピー性皮膚炎約150例、下肢静脈瘤約100例、乾癬約50例。皮膚癌切除術約40例

アトピー性皮膚炎=ガイドラインに従って科学的な根拠に基づいた診療を心がけている。症状に応じて漢方薬を併用したり、重症の場合にはステロイド以外の免疫抑制剤による全身療法を行っている。難治化に心理社会的なストレスが関与する場合には、入院やストレス・ケア外来で心身医学的な治療を組み合わせてQOL(生活の質)改善を図っている

乾癬=ビタミンD外用剤、ステロイド剤、免疫抑制剤、TNF-α阻害薬など、重症度に応じた治療法を選び、QOLの改善と最適なコントロールを行っている。また、尋常性乾癬、膿疱性乾癬を対象として新しい診断マーカーの開発にも取り組んでいる

角化症・水疱症=魚鱗癬などの遺伝性角化症については倫理委員会の承認の下に遺伝子解析を含めた診断を実施し、病態に応じた適切な治療を実施している。天疱瘡などの自己免疫性水疱症については、患者の病状に応じて、ステロイド剤、血漿交換療法、大量免疫グロブリン療法を実施している

皮膚疾患の漢方療法=個々の患者の症状や体質に応じて、適切な漢方薬を選択して処方している。冷え症体質の検査としては、冷水負荷サーモグラフィーを用いて漢方治療の効果を客観的に評価している

下肢静脈瘤=同一人の下肢の左右でも、部位・瘤の形、重症度の異なることが多いので、空気脈波検査(APG)、MR静脈撮影、ドプラ聴診などにより重症度評価を行い、それに応じて、血紮療法、瘤除去術、静脈抜去術を施行している。硬化療法のみの治療は行っていない

難治性皮膚潰瘍=潰瘍の原因を調べ、動脈の閉塞によるものでは血管外科、循環器内科、ペインクリニックとの連携で治療している。下肢静脈うっ滞による皮膚潰瘍の場合は、1次性静脈瘤では下肢静脈瘤の治療を、深部静脈血栓後遺症によるものでは、状態に応じた保存的治療、生活指導、手術療法(皮膚移植など)を併用して治療している。また、再発を繰り返す難治性皮膚潰瘍に対して、患者自身の骨髄細胞を人工真皮に浸し潰瘍面に移植する新鮮自家骨髄移植による治療を行っている。これにより植皮(移植皮膚)の生着を良好にし、潰瘍の再発を防ぐ効果が期待できる

皮膚悪性腫瘍=ダーモスコピーや病理組織検査により診断を行い、腫瘍摘出・再建・リンパ節転移の手術(リンパ節郭清)を含め、皮膚癌手術のすべてを行っている。皮膚癌の種類によっては、センチネルリンパ節生検(リンパ管造影CT、色素法)で治療方針を決めている。皮膚癌摘出後の皮膚欠損は、皮膚移植、皮弁術など局所に最適な方法を検討して修復を行っている。病状に応じて放射線療法、化学療法を併用し、QOLに配慮した治療法を選択している。

医療設備

PET-CT、MRI、CT、サーモグラフィー、UVA1全身照射装置、APG、超音波断層装置など。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

内分泌代謝科

分野

糖尿病内分泌内科

特色

内分泌代謝疾患と一口に言っても、含まれる疾患は一般によく見られる痛風、高脂血症や甲状腺疾患から、頻度の少ない内分泌疾患、先天性の代謝疾患まで多岐にわたっている。当科ではすべての疾患の診療を行っているが、社会生活環境の変化に伴い、生活習慣病の患者さんが増加している。当科では、高尿酸血症・痛風、高脂血症の比率が高くなっている

★我々は以前より高尿酸血症・痛風に注目し、臨床と基礎の両面から研究をすすめてきた。その研究の成果は我々が作成に参加した高尿酸血症・痛風のガイドラインにも生かされている。ガイドラインに従って治療すれば、ほとんどの高尿酸血症・痛風は改善することができる。高尿酸血症は尿酸降下薬でほぼ100%コントロールされるし、また痛風発作も同様にコントロールすることができる

★基礎的な研究では、尿酸のできるもとであるプリン体の代謝の研究を行ってきたが、最近は痛風発作に再注目し、痛風発作の機構の解明にも努力している。特に本学で発見されたIL-18と名付けられたサイトカインと痛風発作の関連を明らかにしてきた。またアルコールが痛風発作にどのように関連しているかを遺伝子レベルから検討中で、他施設との共同研究では動脈硬化にプリン体や尿酸がどのようにかかわっているのかを動物実験のレベルだが明らかにしてきた。また、研究の技術を用いて、プリン代謝の異常による病気の酵素活性の測定や遺伝子解析等で、他の医療機関とも共同研究を盛んに行っている

★臨床研究では、生活習慣と尿酸代謝の関連については以前から研究してきた。また治療に抵抗する高尿酸血症や痛風の患者さんの中に、世界で最初の報告となる症例を発見した。この症例は遺伝子異常が複雑に絡み合った症例であったが、病態が解明できた結果、治療が奏効し、痛風発作もほとんど起こしていない。また、その他の代謝疾患や内分泌疾患の臨床研究も行っている。他院から紹介された内分泌代謝疾患の中では遺伝子異常により、病気が出現している症例もあり、これらの遺伝子異常を明らかにし、患者様にその結果と治療法を説明し、喜ばれている

★当科の具体的な実績をあげると、メタボリックシンドロームと高尿酸血症の関連では痛風研究会鳥居賞や兵庫県医師会研究賞を受賞し、また生活習慣の中でも重要な位置を占めている飲酒による高尿酸血症の研究では日本痛風核酸代謝学会から学会賞を受賞しており、06年もこの関連で痛風研究会から鳥居賞を受賞した。05年にはアルコールと尿酸代謝に関する総説を外国雑誌(Clinica Chimica Acta)の依頼で執筆し、09年はビールに関連した本(Encyclopaedic Handbook of Beer in Health and Disease Prevention)がイギリスで出版されたが、その中でビールと尿酸の章を担当した。このように我々は尿酸代謝を中心に幅広い研究を行っている。これらの研究を、臨床的かつ基礎的な面から行っている研究施設は西日本ではほとんどなく、当科はまさに西日本での拠点病院としての役割を担っている。今後も多くの患者様の役に立てるよう、診療、研究を積極的にすすめていこうと思っている。

症例数

内分泌・代謝疾患を中心に診療をしている。治療中の代謝疾患および内分泌疾患の内訳:高尿酸血症・痛風325、高脂血症359、その他の代謝疾患158、甲状腺疾患690、下垂体疾患38、副腎疾患57、副甲状腺疾患22である。これらの症例の中で、特に内分泌疾患の腫瘍に関しては、内分泌部門の外科や泌尿器科と協力して診療を行っている。代謝疾患(痛風、高尿酸血症、高脂血症、肥満)の治療に関しては、基本的にはガイドラインに従って行っている。しかし、特に痛風、高尿酸血症については治療に抵抗する患者さんが多く紹介されてきており、当科の臨床研究に基づいた病態の解明およびオーダーメイド治療の提案を行い、成果をあげている。

医療設備

病院は特定機能病院として、最先端医療設備を具備している。CT、MRI、PET等。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

血液内科

分野

血液内科

特色

白血病、骨髄異形成症候群や悪性リンパ腫といった悪性血液疾患に対する治癒指向型治療を追求しており、なかでも同種造血幹細胞移植に力を入れている。標準的治療である、HLA適合血縁移植、非血縁移植に加えて、ドナーがタイムリーに得られない患者に対して、HLAハプロ移植(移植片からT細胞を除かずに行う、HLA半合致移植)や臍帯血移植(複数を含めて)を、臨床研究として進めている。さらに、正常血液細胞1万個~10万個に1個の感度で、白血病細胞を検出可能なWT1アッセイ(私共のグループで開発)を用いて、微少残存白血病細胞量をモニタリングしながら治療を行っているので、ほとんどすべての症例で再発の早期診断が可能である。その他、血栓止血領域、HIV感染症の診療にも力を入れている。

症例数

白血病を含む血液疾患新患者数は年間860人で、月間延べ患者数は1,350人である。その内訳は、急性骨髄性白血病16%、急性リンパ性白血病14%、骨髄異形成症候群22%、悪性リンパ腫22%、血友病5.3%、HIV感染症5.9%である

★急性白血病は、日本成人白血病研究グループ(JALSG)に参加しており、そのプロトコールを用いている。完全寛解導入率は80%である。予後因子に基づき、中間リスク群と高度リスク群に対しては、第一寛解期に可能な限り、同種造血幹細胞移植を行うようにしている。さらに、寛解であっても、WT1高値の症例に対しては、早期に移植を考慮するようにしている

★骨髄異形成症候群に対しては、国際予後判定基準に基づき、INT-II以上の高リスク群に対しては、できるだけ早期に同種移植を行うようにしている

★悪性リンパ腫に関しては、大阪リンパ腫研究会(リンパ腫診断の専門機構)の診断に基づき、CHOP(B細胞性ではリツキサンCHOP)を初回治療として行っている。国際予後指数(IPI)で、high intermediateまたはhighに対して、自家移植を併用した大量化学療法を行っている。また、予後不良リンパ腫か再発例に対しては、可能な限り、同種移植を行うようにしている

★慢性骨髄性白血病に対しては、グリベックを第一選択薬としている。グリベック抵抗症例に対しては移植を考慮する。移行期、急性転化期の患者に対しては、同種移植を積極的に行っている

同種移植の治療戦略=09年末までの同種移植総数は719例である(09年の同種造血幹細胞移植の実績は87人)。多種多様な移植が可能であり、患者の年齢、病期に応じて、最適の移植方法を選択する。再発高リスクの第一寛解期、第二寛解期以降の寛解期例に対しては、血縁者間HLA適合移植、非血縁者骨髄移植、臍帯血移植、HLAハプロ移植の順に移植選択をしている。50歳までの患者には、通常のフル移植を行い、50~70歳の患者、または若くても臓器障害のため、通常の前処置を投与できない患者には、前処置の強度を軽減したミニ移植を行う。非寛解期例に対しては、抗腫瘍効果の高いHLAハプロ移植を優先して用いるようにしている。ハプロ移植の場合、40歳以下の患者に対してはフル移植を、40~65歳の患者、再移植患者、臓器障害を有する患者に対してはミニ移植を行う。HLAハプロ移植を受けた患者の総症例数は300例を超えている。寛解期例に対するHLA適合血縁/非血縁移植の成績は5年生存率80%に達している。一方、非寛解期例にHLAハプロ移植の長期無病生存率は40~50%である

★血友病は160例を超える症例登録があり、家庭内治療導入のための在宅自己注射教育やインヒビター発症例に対する、種々のバイパス療法による止血管理、免疫寛容療法などを行っている。血友病以外の先天性凝固異常症についても、出血の治療から手術時の止血管理まで様々な治療を行っている

★HIV感染症は、厚生労働省の研究班と協力し、薬剤耐性検査や薬物血中濃度の測定を行い、より確実な抗ウイルス療法を目指している。最近では、無症候性キャリアから適切に治療をしている症例がAIDSを発病することはほとんどなくなった。

医療設備

無菌病室を17床、一般病室を26床有している。また、CT、MRI、PETなど、先進的医療を展開するための設備を備えている。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

リウマチ・膠原病科

分野

リウマチ・膠原病内科

特色

日本リウマチ学会・日本アレルギー学会教育認定施設。リウマチ・膠原病疾患〔関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性強皮症、多発性・皮膚筋炎、混合性結合組織病、血管炎症候群、シェーグレン症候群、抗リン脂質症候群、ベーチェット病、サルコイドーシス、成人発症スティル病など〕やアレルギー疾患(気管支喘息、じんま疹、花粉症、各種アレルギー、アナフィラキシーなど)を診断・治療開始から日常生活動作(ADL)の改善まで、一貫した治療を目指した集学的治療を必要に応じ各専門科と連携して行っている。

症例数

リウマチ・膠原病科外来患者数は1カ月約2,000人、新患者数は同約100人、年間入院患者数約250人。主な疾患の内訳は関節リウマチ700人、全身性エリテマトーデス250人、全身性強皮症120人、多発性・皮膚筋炎60人、混合性結合組織病40人、血管炎症候群60人、シェーグレン症候群300人。外来新患者は、阪神地区各市(西宮市、芦屋市、尼崎市、川西市、宝塚市、神戸市、大阪市)、兵庫県内、兵庫県外からの紹介患者が大部分で、リウマチ・膠原病疾患、膠原病類縁疾患の他、多関節痛、自己抗体陽性、アレルギーの原因精査で受診される方も多い

★関節リウマチについては、早期診断をし、各患者さんと相談しながら病状に合った最適な治療を選択・提示した上で積極的に抗リウマチ薬や生物学的製剤を用いることにより、関節リウマチの寛解状態を治療の目標としている。特に近年用いられる生物学的製剤については効果的である反面、患者の全身状態を十分把握しないと思わぬ合併症を引き起こす恐れがあることから、熟練したリウマチ専門医が担当し、十分な説明と同意の下に安全性を重視した治療を行っている。また自己注射可能な生物学的製剤に関しては専任看護師が自己注射指導に当たり、ほぼ100%の自己注射導入に成功しており、患者さんの近隣の医療機関で治療継続ができる体制を整えている

★SLEについては臓器障害、病勢に応じたステロイドによる治療が基本であるが、ステロイド抵抗性の難治性SLEに対しては積極的な免疫抑制剤の併用によりステロイド減量を試みている

★全身性強皮症は皮膚だけでなく肺、消化管、腎、心などにも障害が及ぶことがあり、長期的な病状の変化を予測して積極的な治療を行っている

★多発性・皮膚筋炎に合併する難治性の急性間質性肺炎に対してステロイドと免疫抑制剤を中心とした多剤併用療法を行い、高い救命率を誇っている

★シェーグレン症候群は、乾燥症状や臓器障害だけでなく、最も訴えの多い疲労感に対して積極的な治療を行っている

★以上紹介したものは当科で行っている一部であるが、難治性のリウマチ・膠原病に対しては患者さん自身が十分病気について理解し、医療スタッフと協力して治療に当たることが最も重要と考えている。県内外のリウマチ・膠原病友の会と協力して、当科のスタッフがリウマチ・膠原病教室の講師を務め、その後の個別相談会にも積極的に参加している

★気管支喘息については、ピークフローと喘息日誌の活用を積極的に導入し、発作を起こさない自己管理を目標として治療を行っている

★リウマチ・膠原病疾患やアレルギー疾患に対する先端医療や治験についても積極的に行っている

★入院患者さんに対しては、入院治療終了後に速やかに自宅や居住地域に戻れるように、地域医療総合相談センターなど通じて退院準備を行っている。

医療設備

PET、CT、MRI、骨密度測定装置、サーモグラフィー、各種内視鏡検査、超音波検査、無菌室、ICU、CCU、透析、血漿交換装置、リハビリテーション室、救命救急センター、地域医療総合相談センターなど。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

内科(神経・脳卒中科)

分野

神経内科

特色

本院は特定機能病院であり、阪神間の基幹病院として地域医療に携わる一方、高度先端医療にも取り組んでいる。当科は02年7月に総合内科(神経・SCU科)として独立し、06年12月には内科(神経・脳卒中科)に科名変更。先端的基礎研究として「脳卒中に対する血管内皮細胞前駆細胞移植による血管再生療法」を国立循環器病センターと共同で進めている。遺伝性神経疾患に対しては臨床遺伝部で遺伝カウセリングを行っているが、遺伝子検索は院内倫理委員会で許可を受けた脊髄小脳変性症・片頭痛・筋疾患・Charcot-Marie-Tooth病(CMT病)・プリオン病などの疾患のみに実施している。付属病院である「ささやま医療センター」にも神経内科外来を設け(月曜の午前のみ、担当は芳川、渡邊隔週)、地域医療に貢献している。

症例数

外来患者数は1日平均62人(新患7人)、入院患者数は平均23人、平均在院日数は27日(10年5月現在)。過去1年間(08年1月~12月)の入院患者の病名内訳は、脳血管障害58人、パーキンソン病23人、多発性硬化症28人、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)(多巣性運動性ニューロパチーを含む)20人、進行性核上性麻痺3人、大脳皮質基底核変性症2人、脊髄小脳変性症6人、筋萎縮性側索硬化症12人、重症筋無力症9人など。兵庫県神経難病医療ネットワーク支援協議会の協力病院であり、クロイツフェルト・ヤコブ病サーベイランス兵庫県担当専門医を芳川が務めている

★脳血管障害では、病型に合わせた急性期治療、早期リハビリテーション、抗血小板療法や抗凝固療法による再発防止、生活習慣病の是正を指導している。t‐PAの適応患者には脳神経外科とともに迅速に対応している

★パーキンソン病およびパーキンソン症候群を呈する疾患には、両者を鑑別し、年齢・病期・社会活動度を参考に、長期的予後を考慮した薬物治療を行っている

★認知症疾患は神経心理検査や画像診断・脳誘発電位を用いて病態を把握し、鑑別診断し、治療可能な疾患については漢方薬を含めて積極的に薬物治療を試みている

★多発性硬化症・脊髄小脳変性症・重症筋無力症・筋萎縮性側索硬化症などの神経難病は診断の確定とともに、全国規模で行われている新規治療法の開発のための治験にも参加している。高齢者の重症筋無力症に対しても、胸部外科と連携して、胸腺摘出術を積極的に実施している

★末梢神経疾患は教授の専門分野であり、特にCMT病などの遺伝性神経疾患の診断やCIDPなどの神経免疫疾患の機能予後について相談に応じている。ギラン・バレー症候群の治療には免疫グロブリン大量投与(IVIg)を第一選択としている

★筋疾患については、必要に応じて筋生検を施行し、原因の検索と治療法の決定を行っている

★痙性斜頚・眼瞼けいれん・片側顔面けいれんに対しては、ボツリヌス毒素による治療を外来診療(隔週水曜午後:担当は芳川、木曜午後:担当は笠間)で施行している

★その他、頭痛・てんかん・めまい・意識障害(失神)・しびれ・嚥下障害などの症状を呈する患者さんに対するプライマリケアには常時対応している

★在宅療養支援を看護部と協力して行っている

★Churg-Strauss(チャーグ・ストラウス)症候群に対するIVIg治療、多発性硬化症に対するFTY720、脳卒中再発予防などの治験を現在進行中である。

医療設備

 MRI3台、CT3台、血管撮影装置、血漿交換、脳血流SPECT、心エコー・頚動脈血流ドプラ、脳波、誘発電位、事象関連電位、末梢神経伝導速度、筋電図、磁気刺激誘発電位など。緊急症例での頭部CT撮影には即日対応できる。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

放射線科

分野

放射線科

特色

★画像診断=各分野に専門医を配している。MRIでは最先端機器として3テスラMRIが導入され、これまでの形態画像に加え機能画像(ファンクショナルイメージ)の撮像が極めて良質となり、さらに脳内神経線維の走行でも3次元画像として描出されるため、脳神経外科、神経内科領域に大きく寄与している。MRS(スペクトロスコピー)では脳内局所の代謝状態が表示され、脳腫瘍の治療効果判定にも応用可能となった。CTでは、128列マルチスライスCT(MD-CT)が導入され、3Dのみならず4D撮影可能となった。冠動脈の画像も精細で高い診断能を有する。乳癌の診断では臥位にて組織検査可能な臓器が導入され、精度の高いマンモグラフィによる診断を行っている。画像診断のみを目的とした検査依頼も歓迎

★IVR治療=当科は日本で最初にIVR治療を始めた施設であり、心臓領域を除く各種IVR治療を行う。特に肝癌、胆、膵および血管系領域の疾患が多い。肝癌では、化学塞栓療法にRF治療を組み合わせたハイブリッド治療を行っている。胃静脈瘤のB-RTO治療、肺動静脈奇形、内臓動脈瘤のIVR治療では、日本最多の症例数を治療している。また当科が世界で初めて開発したコーンビームCT・血管造影装置は、IVR治療時間の短縮と放射線被曝線量を低減させているのが特徴である。12年の日本IVR学会会長、アジア太平洋IVR学会会長を廣田教授が務める予定

★放射線治療=最新鋭のIGRTと呼ばれる高エネルギー放射線治療器(エレクタ社)を導入し、最高レベルの放射線治療を行っている。当院での特徴として放射線治療専門医に加え、放射線治療認定技師、放射線治療品質管理士、物理士を配し、放射線治療学会認定の放射線治療認定施設として安全で確実な高精度3次元放射線治療を行うと共に、いずれの疾患の治療も関連各科との集学的治療を積極的に行い、治療成績を向上させている。

症例数

★年間の画像診断症例数はCT 24,000件、MRI 12,000件、消化管透視診断500件、血管造影・IVR治療800件などである

★IVR治療は、肝癌化学動脈塞栓療法年間260件で、Stage Iの3年生存率は83.3%、5年68.3%、10年42.5%、Stage IIでは3年48.3%、5年24.1%、Stage IIIでは1年72.7%、3年16.2%、Stage IVでは1年30.0%、3年9.5%である。RF治療も積極的に併用し局所の制御率の向上を目指している。バルーンカテーテルを用いた胃静脈瘤の硬化塞栓治療(B-RTO)は合計200例で本症例数は全国最多、胃静脈瘤消失治癒率は94%、肝性脳症改善率90%である。頭頚部癌に対する動注化学療法に放射線治療を併用する症例は年間20例、転移性肝癌に対するリザーバー動注化学療法年間10例、内臓動脈瘤合計23例や肺血管奇形合計32例の塞栓治療のほか、高度先進治療として子宮筋腫に対する動脈塞栓治療や腰痛症に対する骨硬化剤穿刺注入による椎体形成術なども行っている

放射線治療=患者数は年間570人、1日平均58人、全国最多レベルである。特徴的なものとして、肛門を残した手術を可能とする直腸癌に対する手術前放射線治療は20年余の経験があり、400例以上に行い肛門温存手術率は全国トップである。Stage分類では進行癌(Dackes B、C)で5年生存率69%、局所再発率は5年10%以下である。食道癌放射線治療は350例以上に施行。特に早期食道癌に対しては高線量率腔内照射(HDRIBT)を年間30例以上に行い、手術治療と同等の治療成績(5年生存率71%)であり、特に高齢者には手術に代わる治療とされている。乳癌に対する乳房温存療法は1,000例以上に術前照射。前立腺癌では、根治的3次元放射線治療と密封小線源治療に加え、兵庫県立粒子線医療センターとの連携による重粒子線治療も可能である。白血病などの造血器悪性腫瘍に対する全身照射療法(TBI)を他院に先駆けて実施、現在までに200例以上。

医療設備

CT 3台、MRI 4台、血管造影装置4台、CT-血管造影装置、コーンビームCTアンギオ装置、TV透視装置5台、X線撮影装置は全てデジタルラジオグラフィー、PACSシステムで保存、伝送を行う。リニアック装置2台、治療位置決め専用CT装置、3次元治療計画システム一式、腔内照射用RALS、前立腺癌専用小線源刺入治療装置など。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

ペインクリニック部

分野

ペインクリニック

特色

従来は、麻酔科ペインクリニックとして診療を行ってきたが、05年4月からは独立した診療部門であるペインクリニック部として運営している。欧米では、こうした痛みの治療を専門に行う診療部門が独立して運営されているが、本邦ではまだ非常に少ないのが現状である。診療は日本ペインクリニック学会の認定を受けた専門医が中心となり、身体のあらゆる部位の痛みに対する診断と治療を系統的に行っている。痛みを訴えて来院される患者の多くは、痛みの原因となっている臓器を専門とする診療科を受診するが、痛みの中には明確な原因が分からないものや原因が分かっても直ちに痛みが除去できない場合もある。ところが、痛みは放置しておくと次第に増強し、難治性の慢性痛に移行することもある。また、癌に伴う痛みも社会的には大きな問題となっている。しかし、痛みも早期から適切な治療を行えば、多くは取り除くことができることから、痛みの原因を多角的に調べながら、様々な方法を用いて、早期に痛みの軽減を図っている

★治療法としては、神経ブロック療法を中心に行っているが、必要に応じて各種の薬物療法も併用しており、脊髄刺激療法やエピドラスコピーなどの専門的な治療も行っている。神経ブロック療法においては、特殊な手技を必要とする場合にはX線透視装置を用いて安全で的確な治療に努めている。また、用いる薬剤の神経破壊薬に代わる高周波熱凝固法などを応用して、より安全で快適な治療効果が得られるように努めている。神経ブロック療法は、確実な技術を持った専門医が行えば強力な鎮痛効果を得られるが、病態によっては効果が長続きしなかったり、脊椎手術後にようにブロック療法が困難なことがある。このような症例に対して脊髄に電気刺激を加えることで鎮痛効果をもたらす脊髄刺激療法が有効である場合がある。当科では、1週間程度のテスト刺激で痛みの改善が得られた症例に対して脊髄刺激装置の埋め込みを行い、効果をあげている

★癌疼痛などの治療を中心に行う専従の緩和ケアチームもペインクリニック部に属しており、様々な分野の専門家と一体となって、患者のQuality of Life(QOL:生活の質)の向上を図っている

★外来は月曜日から土曜日まで(第2・4土曜日は休診)連日の診療を行っているので、外来患者の担当も主治医制となっており、外来でも継続的な診療が行える体制となっている。また、痛みが激しい場合や難しい痛みの場合には、外来治療のみでは効果に限界があることから、集中的に治療するために入院治療も行っており、ペインクリニック部の専用病床があることから、外来と入院で一貫した主治医体制で継続的な治療が行われている。

症例数

年間延べ2万例近くの診療を行っており、初診患者数は800人余りである。疾患で多いのは種々の疼痛性疾患で、その中でも帯状疱疹ならびに帯状疱疹後神経痛、癌疼痛、神経障害性疼痛、腰下肢痛(椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、変形性腰椎症など)、頸肩腕痛(変形性頸椎症、頸肩腕症候群、五十肩など)、頭痛(片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛など)、顔面痛(三叉神経痛、顎関節症、非定型顔面痛など)、末梢血管障害(閉塞性動脈硬化症、バージャー病、レイノー病など)、その他に対して、最先端の専門的な疼痛治療を行っている。また、非疼痛性疾患(顔面けいれん、顔面神経麻痺、突発性難聴、アレルギー性鼻炎、網膜色素変性症、網膜血管閉塞症、虚血性視神経炎など)に対しても、当該科の協力の下に神経ブロック療法を積極的に行っている。癌の痛みについては、モルヒネをはじめ種々の薬物療法を中心としながらも、神経破壊薬を用いた神経ブロック療法なども有効に組み合わせて、鎮痛薬に抵抗性である難治性の疼痛例も含めて、効果的な疼痛治療により90%以上の除痛率をあげている。また、難治性の慢性痛に対しては、神経ブロック療法をはじめ、脊髄電気刺激療法も応用して疼痛の軽減を図っており、年間の脊髄刺激装置植え込み手術件数は、本邦では最多となっている。このように、種々の方法を系統的に用いることによって、様々な原因による疼痛や種々の治療法に抵抗している難治性疼痛に対して、効果的な治療を行っている。

医療設備

MRI、CT、X線透視装置、高周波熱凝固装置、神経刺激装置、ニューロメーターなどを備えている。

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月)

脳神経外科

分野

脳神経外科

特色

2013年9月より、主任教授として吉村紳一が赴任し、その専門分野である血管障害の診療においては症例数、治療成績ともに日本を代表する施設となった

★当院には、脳血管内治療指導医1人、専門医5人が在籍しており、ほぼ全ての治療が可能である。最新のハイブリッド手術室(Zeego)にて複雑な脳血管障害の手術も可能である。また、頚動脈狭窄症などにおいては術前の高精度画像診断によって適切な治療選択を行っており、治療成績は極めて良好である。一方、急性期脳梗塞に対する再開通療法に関しては国内トップレベルの経験を有しており、新たな情報を国内外に発信している

★当科では、脳神経外科疾患全般の診療が可能である。具体的には、脳血管障害(くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞、未破裂脳動脈瘤、頚動脈狭窄症、もやもや病、脳動静脈奇形、硬膜動静脈瘻など)や脳腫瘍(髄膜腫・神経膠腫・転移性脳腫瘍・聴神経腫瘍)の治療や神経内視鏡を用いた下垂体腫瘍手術が多い。また、脊髄脊椎疾患(変形性脊椎症・椎間板ヘルニア・脊髄腫瘍・脊髄動静脈奇形など)の治療や神経外傷(重症頭部外傷・急性硬膜外血腫・急性硬膜下血腫・外傷性脳内出血など)、顔面けいれん・三叉神経痛・パーキンソン病などの機能的疾患も治療可能である。

症例数

吉村の就任以降、手術件数の伸びは極めて顕著であり、2015年の手術件数は610件となった。この1年間の手術の内訳は脳血管障害303件(血管内治療217件を含む)、脳腫瘍92件、頭部外傷94件、脊椎脊髄疾患53件、機能的疾患13件、その他37件であった

脳血管障害(303件)=当科では外科的手術及び血管内治療の両方を行っており、それぞれの患者さんに適した治療を選んでいる。外科的手術としては脳動脈瘤47件、脳血管バイパス術を17件に行い、血管内治療としては動脈瘤塞栓術を62件、閉塞性血管障害の治療を124件に行った。このうち急性期脳梗塞に対する再開通療法は51件と、全国トップクラスの件数であった。また急患の受け入れは、24時間365日体制で行っている

脳腫瘍(92件)=開頭腫瘍摘出術54件、経蝶形骨洞腫瘍摘出術38件であった。下垂体腫瘍摘出術は内視鏡単独で行っており、周辺施設からの紹介患者が増加している。脳腫瘍においては術前の詳細な検査(MRIトラクトグラフィーなど)の上、高性能な術中神経モニタリングやナビゲーションシステムなどのハイテク機器を用いて良好な治療成績を得ている

脊椎脊髄疾患(53件)=経験豊かな術者が術前検査と安全かつ確実な手術を行っている。低侵襲な手術を心がけており、脊髄動静脈瘻や脊髄腫瘍の治療も多い

機能的疾患(13件)=顔面けいれんや三叉神経痛に対して小さな切開・開頭で精度の高い手術を行っており、治療成績は非常に良好である。兵庫医科大学病院 脳神経外科ページ(http://www.hosp.hyo-med.ac.jp/clinic/department/neurosurgery.html)、兵庫医科大学脳神経外科 医局ホームページ(http://www.hyo-med.ac.jp/department/nsrg/index.html)

医療設備

CT、MRI、DSA、SPECT、PET、超音波診断装置、脳血管内治療機器、放射線治療装置(IMRTを含む)、OCTなどを有し、手術機器として、ハイブリッド手術室(Zeego)、手術顕微鏡、超音波吸引器、術中ナビゲーション、神経内視鏡、CUSA、定位脳手術装置、各種神経モニタリング装置などを有する。
  • セカンドオピニオン受入 ○
  • 初診予約 ○
  • 主治医指名 ○
  • 執刀医指名 ○

○=可能 △=条件付きで可 ×=不可 /=未回答

「医者がすすめる専門病院 兵庫・京都・滋賀」(ライフ企画 2011年5月初出、2016年1月内容更新)

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