関西医科大学総合医療センター

専門医より推薦を受けた診療科目・診療領域

関西医科大学総合医療センターは、複数の有名専門医(※)の間で「自分や家族がかかりたい」と推薦されています。
このページでは、専門医より推薦を受けた分野(科目、領域)の特色や症例数、所属している医師について取材・調査回答書より記載しています。 ※推薦、選定して頂いた有名専門医の一覧表

消化器肝臓内科

分野

消化器・一般内科

特色

当科は上部・下部消化管、肝臓、胆道、膵臓のすべての領域をカバーする最先端の医療を実施するとともに、これらの領域における教育・研究を行っている。具体的には、上部消化管ではヘリコバクター・ピロリ感染と消化性潰瘍、胃癌、悪性リンパ腫を、下部消化管では大腸癌や炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)を、肝臓疾患では自己免疫性肝疾患、ウイルス性肝疾患、肝臓癌を、胆膵疾患では重症急性膵炎、慢性膵炎、自己免疫性膵炎、膵腫瘍、胆石・胆管炎、胆道癌などを主な対象としている。いずれの病院も日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本肝臓学会、日本超音波学会などの認定指導施設として、消化器内科専門医療をする体制を敷いている。附属枚方病院は京都府南部~北河内地区北部を中心に、また附属滝井病院は北河内地区南部を中心に地域医療に貢献するとともに、双方の病院がそれぞれ異なった高度先進医療に取り組んでいる

★附属枚方病院では、消化管・膵・胆疾患の内視鏡的治療、ダブルバルーン小腸内視鏡、肝癌治療、肝移植適応患者の管理など高度先進的医療を行っている。厚生労働省難治性疾患の各研究班(難治性膵疾患調査研究班・難治性腸疾患調査研究班・難治性肝疾患調査研究班・難治性腸疾患の画期的治療研究班)に属しており、重症膵炎、劇症肝炎、自己免疫性肝疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病等の難治性疾患に対し、病態の解明や新しい治療法を積極的に開発・実践している

★附属滝井病院では、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変(食道・胃静脈瘤)、肝腫瘍などを中心に、一般消化器・肝臓疾患の診療に取り組んでいる。慢性肝炎に対しては、インターフェロンをはじめ最新の抗ウイルス治療を、肝腫瘍(肝癌・転移性肝癌)に対しては、放射線科の協力下に医療工学機器を用いた最先端癌局所治療(マイクロ波・ラジオ波)を行うとともに、新たな癌局所治療の開発に取り組んでいる。また上部・下部消化管疾患を中心とした一般消化管疾患の内視鏡診療も実践している。

症例数

消化器内視鏡診療=年間の内視鏡施行約15,000件のうち、内視鏡的治療数は1,500例余り。食道胃静脈瘤硬化療法(年間150例)、早期食道癌・胃癌(年間100例)や大腸腺腫・早期大腸癌(年間1,000例)の粘膜切除、胆道膵疾患でのERCP関連処置(年間700例)を中心に、食道ステント術や内視鏡的胃瘻造設術なども施行している。消化管出血に対する緊急内視鏡は24時間体制で臨んでおり、年間700件近くにのぼる。その他、原因不明の消化管出血や小腸疾患に対してダブルバルーン小腸内視鏡も行っている。最近は胃切除後の胆膵疾患の検査・治療に関して、通常の内視鏡では不可能な症例に対してもダブルバルーン内視鏡を駆使して良好な成績をあげている

★消化性潰瘍、胃癌再発予防や胃MALTリンパ腫に対してヘリコバクター・ピロリの除菌療法を積極的に施行している

★重症・中等症の潰瘍性大腸炎に対して、白血球除去療法や副作用の少ない新しいドラッグデリバリシステムの臨床応用に取り組んでいる

★劇症肝炎など急性肝不全や重症急性膵炎に対し、血液浄化療法を中心に集学的治療を行い、救命率向上に努めている

★慢性ウイルス性肝炎に対しては、肝生検を試行施行し、インターフェロンをはじめ最新の抗ウイルス療法(年間150例余)を行っている

★肝癌に対しては、マイクロ波、ラジオ波など医療工学機器を用いた最先端治療と肝動脈塞栓療法(TAE)を用いた集学的治療(年間500例)を行っている

★肝移植に対しては、外科との連携の基に積極的に取り組んでいる

★膵癌の早期発見に努めるとともに、慢性膵炎、自己免疫性膵炎の診断と治療に取り組んでいる。

医療設備

PET、MRI、ヘリカル3D-CT、電子内視鏡(上部消化管、小腸、下部消化管)、超音波内視鏡、超音波カラードプラ診断装置。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

形成外科

分野

形成外科

特色

当科は1987年3月に小川豊前教授が開講し、2006年1月に関西医科大学附属枚方病院形成外科が分離開設されるまで関西医科大学内唯一の形成外科として存続していた。分離後は枚方病院本院とは違った特色を出した形成外科を目指して地域診療に貢献している。スタッフとして日本形成外科学会専門医5名を擁しており、ほぼ全員がマイクロサージャリー手術の技術を習得している。さらに日本がん治療認定医機構教育暫定医、日本レーザー学会専門医、日本フットケア学会フットケア指導士、日本皮膚外科学会専門医といった多彩な専門医としても診療に当たっている。また当院は大阪府下でも数少ない高次救命救急センターを有しているため、広範囲熱傷、顔面骨骨折、切断指再接着といった重症度の高い疾患を治療しているのが特色である。大学病院としては珍しい完全自由診療であるスキンケアー外来や難治性皮膚潰瘍、褥瘡外来、血管腫あざ外来といった特殊外来にも重点をおいている。

症例数

09年の手術件数は中央手術室での手術は671件、レーザー手術を加えると863件であった。共に年々増加傾向である

★新鮮熱傷は、日本熱傷学会認定医研修施設としての認定をうけており、高度熱傷センターとして培養表皮移植を保険診療として施行できる数少ない施設である。また多血小板血漿療法(Platelet rich plasma:PRP、血小板には、組織再生に役立つ細胞伝達物質が存在する。その物質を大量に放出させ創傷治癒を促進させる治療)を使用した植皮手術等先進の医療技術をもって治療を行っている

★顔面骨骨折では、救命救急センターとの関連からか地域機関からの紹介も多く、鼻骨骨折から頬骨骨折、眼窩吹き抜け骨折、上・下顎骨骨折、顔面多発骨骨折、軟部組織損傷やその瘢痕(きずあと)までを3次元CT等の最新医療機器を使用して総合的な治療を行っている。また骨折接合器材として自然に吸収される吸収性プレートを積極的に使用しており、良好な経過を示している。陳旧性顔面骨骨折においては、骨切手術による整復や人工骨充填術による骨格の再建を行っている

★難治性潰瘍、褥瘡では当院血管外科、放射線科の協力で血管治療を行った後、皮弁移植術、植皮術、多血小板血漿療法等の総合的な治療を行い四肢を切断せずに救肢している

★切断指では、当科では24時間365日受け入れ態勢を敷いており、北河内地域のみでなく北摂、中河内地域からも広範囲に救急搬入されている(09年度は54例)。再接着率は90%まで上昇し、接着後も専門のリハビリテーション科にて運動療法を行い良好な機能回復を獲得している

★母斑・血管腫では、Qスイッチルビーレーザー、色素レーザー照射による治療、また腫瘍性血管腫に対して血管腫内硬化療法や血管内腫瘍塞栓術、切除術の適応を決めて総合的治療を進めている

★眼瞼・眼窩、義眼床再建では、当科開設以来のライフワークとして年間100例を超える手術を施行している。最近では異物性の少ないゴアテックス糸を用いてより低侵襲の眼瞼下垂症手術も行っている

★スキンケアでは完全自由診療として開設しており、十分な時間をとった丁寧なスキンケア指導やケミカルピーリング、イオン導入、各種レーザー、外用剤(ビタミンCローション、ハイドロキノン、トレチノイン)を使ったしみ、ほくろの治療を行っている

★瘢痕・ケロイドでは、切除、圧迫、各種薬剤による治療と特にケロイドには切除術に加え放射線科による皮膚放射線照射により再発の低い治療を進めている

★各種再建術では皮膚腫瘍、瘢痕等の切除後に対して局所皮弁、植皮手術で再建を行う以外に、広範囲の組織欠損にはマイクロサージャリーを使用して遊離組織移植手術を積極的に行っている。また、最近では穿通枝皮弁といったより侵襲の少ない術式を選択することで良好な成績を残している。この術式は年間増加傾向にある

★陳旧性顔面神経麻痺では従来の静的再建手術のみでなく、遊離神経筋肉移植を用いた動的再建手術も行っている

★皮膚腫瘍では各種画像やダーマスコープによる診断を行い、確実な切除と同時にきれいな仕上がりを目指した再建を行っている

★言語療法では、当科所属の言語療法士による唇裂口蓋裂に対する軟口蓋挙上装置(PLP)、チューブ発声による言語指導、小児科からの自閉症の言語障害評価指導等を行っている。

医療設備

Qスイッチルビーレーザー、色素レーザー、炭酸ガスレーザー、ケミカルピーリング、ダーモスコピー、内視鏡手術治療システム、MRI、CT・3次元CT、DSA、超音波等。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

小児科

分野

小児医療

特色

滝井病院小児科では、免疫・アレルギー、内分泌、代謝、神経、消化器、神経、心身症軽度発達障害などの慢性疾患を主として診療、小児の慢性疾患の成育医療と療育を目指す。基礎疾患のあるこどもを身体面だけではなく、神経発達面、心身面からみた全人的な医療と教育をしながら、じっくり成人になるまで関わっていきたいと考えている

★入院での特色=小児病棟は小児科以外の科の15歳未満の子どもを含めて収容できる病床は20病床である。関西医科大学滝井病院でもっとも新しい北館の2階に位置する。急性期感染症などの日常ありふれた疾患ももちろん受け入れる。紹介状があれば、火曜日、木曜日、土曜日は24時間対応、他の日は20時まで入院が可能である。特に得意とする分野は免疫・アレルギー(経口食物減感作療法、食物負荷試験、重症アトピー性皮膚炎の治療、院内学級を必要とする重症の喘息)、内分泌・代謝(肥満の治療、糖尿病の血糖コントロール)、神経・筋疾患(てんかんのコントロール、在宅ケアーにむけての指導、筋生検)、心身症(神経性食思不振症、不登校不定愁訴・心身症状の検査や観察)である。小児病棟には院内学級が併設され、長期間(2週間以上)の入院でも普通学校と同様に学習することができる。病棟カンファレンスは看護師も含め、週3回施行しており、それぞれの専門分野のスタッフが違った角度から意見を交わし、全人的な小児医療を心がけている

★外来面での特色=慢性疾患をじっくり見ることを目標としているので、予約が原則となる。小児科外来はこども館として、一般成人とは別棟に位置している。こどもが笑顔で集い、親しみがもてるような壁画やプレイルームを併設し、ドクターは白衣を脱いで、こどもが楽しくいられるようにアメニティーの充実を図っている。患者はすべての急性期疾患、慢性疾患に対応できるように診療しているが、とくに得意な分野は免疫・アレルギー(食物アレルギー、気管支喘息、薬物アレルギー、アトピ-性皮膚炎、免疫不全、好中球機能不全、好中球減少症)、内分泌・代謝(糖尿病、肥満、低身長、甲状腺疾患)、神経・筋疾患(てんかん、脳性麻痺、筋疾患、)、発達障害(ADHD、広汎性発達障害など)、心身症(起立性調節障害、チック症、過敏性腸症候群)、消化器(先天性幽門狭窄、胆道閉鎖症、ヒルシュスプルング病、新生児肝炎、急性肝炎)、腎疾患(腎炎、ネフローゼ疾患、尿路感染症)である

★特殊な検査=慢性肉腫症の診断に必要な好中球機能、自己免疫性好中球の診断に必要な抗好中球抗体を随時行っていまる。また発達障害の子どもの発達の特性や心理社会面の評価を自費診療(予約制)で施行している

★専門医の習得=スタッフは教授以下6名でそれぞれの専門分野の医師が後期研修医や、初期研修医の指導に当たっている。当施設で習得できる専門医は日本小児科学会認定医はもちろん、日本アレルギー学会専門医、日本心身症医学会認定医、日本てんかん学会認定医、日本神経学会専門医で多岐にわたっている。学会によっても異なるが、後期研修3年から5年でそれぞれの専門医の資格が習得できる。

症例数

09年上半期の初診患者数742人、再診患者延べ数6,408人、退院患者数198人、平均在院日数11.3日、平均病床稼働病床12.8人、平均1日外来数54.8人

免疫・アレルギー=主な診療分野は気管支喘息・アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・原発性免疫不全・好中球減少症などである。気管支喘息はDSCGの吸入や吸入ステロイド剤の治療に加え、抗LT拮抗剤を積極的に使用している。また喘息日誌やピークフローメーター、呼吸機能などでモニターリングしながらきめ細かく患者の観察に努めている。アトピー性皮膚炎、特に乳児では食物除去療法を主体にスキンケア、漢方療法、プロバイオテックスなど積極的に患者にあったものを選択し、よりよい治療効果をあげている。食物アレルギーでは積極的に食物負荷試験を施行し、できるだけ食べる種類を少なくするようにし、栄養面や心理面でのケアに努めている。食物負荷試験は卵・牛乳・小麦・大豆・魚・フルーツなど原因と疑われるものはすべてチャレンジしている。また食物アレルギー患者において減感作療法も積極的に勧めており、重症の食物アレルギーで卵、牛乳、小麦が摂取可能となっている。原発性免疫不全症特に慢性肉芽症の診断・治療には力を入れている。日本でこの疾患を診断できる施設は数施設しかなく、近畿・東海・四国では我々の施設のみである。またこの疾患の予後をみるための7D5を用い、病型分類も行っている。治療ではST合剤の予防内服、インターフェロンγの投与など積極的に患者の感染への機会を減らす努力をしている

内分泌・代謝=先天性代謝異常マススクリーニングの陽性者の精検を行い、クレチン症、副腎皮質過形成の患児を診断、長期にフォローしている。バセドウ病や慢性甲状腺炎の患者にはきめ細かく甲状腺機能のコントロール を指導している。1型糖尿病患児は、定期の外来診察とともに、夏休みには糖尿病キャンプの参加を呼びかけている。近年、小児でも増加している肥満や2型糖尿病の患児には、小児心身医療のスタッフ、健康科学センター、地域の行政や教育機関とともに協力して治療効果をあげている。「メタボリックシンドロームの予防は小児から」をモットーに小児の生活習慣・食育の指導を心がけている

神経・発達=主な診療分野は、小児の脳、神経、筋肉に関する疾患である。日本小児神経学会専門医、日本てんかん学会専門医、脳波学会専門医が診療に当たる。脳に関するものとして、発達の遅れ、熱性けいれん、てんかん、脳性麻痺、脳炎・脳症、自閉症、ADHD、先天代謝異常症(ウイルソン病など)がある。神経に関するものは、顔面神経麻痺やギランバレー症候群が代表的で、筋肉の異常では、筋ジストロフィー、ミトコンドリア脳筋症、重症筋無力症、先天性ミオパチーなどがある。それぞれの病気に合わせて、脳波、CT、MRI、発達検査、誘発脳波、筋生検、遺伝子検査を適宜行う。脳波などは、なるべく検査当日に結果を説明できるように工夫している。障害児・者の全人的な医療をこころがけており、小児期から成人になっても小児科の神経外来に通い続ける方が多い。ダウン症候群の定期検診や療育相談、養護学校における医療的ケアの指導も積極的に行っている

心身症・発達障害=対応疾患は、起立性調節障害、軽度発達障害、チック症、過敏性腸症候群、摂食障害ならびに慢性疾患の心理社会的ケアなど多岐にわたる。心身症外来(予約制)での外来診療が中心であるが、検査や観察のための入院や、摂食障害の身体的危機に対する入院治療も行う。起立性調節障害児に対してはHead-up-tilt試験を行い循環動態に応じた治療や指導を行っている。発達障害児に対しては、保険診療ではカバーできないが子どもの発達のアウトラインを知るために必要な検査を自費診療(予約制)で行い、よりより理解に努めている

予防接種=基礎疾患のある患者に対して行っている。たとえば卵アレルギーのある患者や過去に予防接種を接種してショックを呈した患者、あるいは痙攣を持つ患者、免疫不全症の患者、心疾患を持つ患者など危険性の高い患者を中心に行っている

腎臓=腎炎、ネフローゼ、腎不全、膀胱尿管逆流症、水腎症、尿路結石、尿路感染症、夜尿症学校検尿異常者の精査など小児腎疾患、泌尿器疾患の全般にわたり幅広く診療を行っている

外来診診療=月~土(ただし第2・4土は休診)。専門外来:免疫アレルギー=月午前・水午前・木午後・土午前(1・3・5土)、内分泌・代謝=月午後、神経・発達=火午前・木午前、心身症=木午前・金午前・午後、循環器=月午後、腎臓=火午後・水午後、血液・腫瘍=金午後、予防接種=水午前、発達障害児の自費診療については、まずお電話で確認を。

医療設備

小児病床数20病床。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

眼科

分野

眼科

特色

難治性網膜硝子体疾患の手術治療を専門にしている。特に網膜剥離、加齢黄斑変性をはじめとした黄斑疾患、糖尿病網膜症の症例が多いが、それ以外の疾患においても最先端の医療を提供できるよう、それぞれの分野の専門医を揃えている。常に最新の設備や技術を取り入れ、患者さんに満足していただけるような診療を心がけている。

症例数

08年の外来患者数は延べ約7万人(初診約8,000人)、総手術件数は約2,000件であった

★網膜・硝子体疾患は、西村教授を中心に網膜剥離、糖尿病網膜症、黄斑疾患などに対して主に硝子体手術による治療を行っている。08年の硝子体手術件数は496件にのぼり、うち糖尿病網膜症は102件、黄斑疾患は150件であった。糖尿病網膜症の手術成功率は98%、黄斑円孔の閉鎖率はほぼ100%であった。網膜剥離の手術件数は172件で、症例によって強膜バックリング法または硝子体手術を選択しているが、約80%の症例に硝子体手術を行っており、疼痛や合併症が少なく術後早期の視力回復が得られている。網膜剥離全体の治癒率(増殖性硝子体網膜症を含む)は98%と良好であった。最近では25Gシステムによる小切開無縫合硝子体手術を積極的に取り入れ、手術時間の短縮、手術侵襲の軽減、早期の視力回復を図っている。血管新生緑内障を併発した重症の増殖糖尿病網膜症には、新しく開発された抗新生血管薬を術前に硝子体内注入し、良好な結果を得ている

★白内障の手術件数は1,034件で、小切開無縫合白内障手術により早期の視力回復が得られている。水晶体脱臼などの難症例にも対応しており、眼内レンズ脱臼例には、大きい切開が不要な眼内縫着法を行っている

★加齢黄斑変性に対しては、蛍光眼底造影、光干渉断層計(OCT)検査を行って脈絡膜新生血管の状態を詳細に検討し、適応のある症例には光線力学療法を行っている。年間に約159件と多数例に光線力学療法を行い、80%の症例で視力の改善または維持が得られている。最近では抗新生血管薬の硝子体内注入も行い、良好な結果を得ている。視力が不良の場合には残存視力を最大限に活用すべく、ロービジョン対策も行っている

★緑内障の手術件数は年間143件で、術前に緑内障の病型を詳細に検討し、トラベクロトミー、トラベクレクトミー、隅角癒着解離術など、その症例に最も適した術式を選択し、良好な眼圧下降効果を得ている。トラベクレクトミーには代謝拮抗剤を併用し、術後綿密な経過観察により濾過胞を維持し、手術の成功率を高めている。難治性の血管新生緑内障には抗新生血管薬を用いて、治癒率が飛躍的に向上している。また、外来でのレーザー治療である、選択的線維柱帯形成術(SLT)も行っている

★網膜循環障害は、網膜静脈閉塞症による黄斑浮腫の治療が主な対象であるが、蛍光眼底造影、OCTにて黄斑部の状態を精査し、抗凝固療法、ステロイド薬、レーザー光凝固、硝子体手術などを選択している。最近では血栓溶解薬を眼内に注入して治療効果を上げている

★ブドウ膜炎:原田病は原則として、入院の上ステロイドパルス療法を行い、ベーチェット病は抗TNFα抗体点滴治療、サルコイドージスにはステロイド点眼、内服、テノン嚢注、硝子体手術など、最も適切な方法を選択して治療している。重症のブドウ膜炎で原因不明の場合には、前房水採取、硝子体生検、虹彩生検などを行って診断を確定し、治療を行っている。

医療設備

静的自動視野計、HRT、超音波生体顕微鏡(UBM)、光干渉断層計(OCT)、レーザー走査検眼鏡、多局所網膜電図測定装置(VERIS)、各種レーザー光凝固装置(光線力学療法、マルチカラー、ヤグ、グリーン、半導体、SLT)、多機能型前眼部3D解析測定装置(ペンタカム)、白内障・硝子体手術機器、手術用顕微鏡visu 200、内視鏡、Photon眼内照明装置。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

耳鼻咽喉科

分野

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

特色

耳鼻咽喉科疾患全領域を対象としているが、特に頭頸部腫瘍、中耳・耳管、神経耳科領域、鼻アレルギー、頭頸部腫瘍の治療と研究に力を入れている。頭頸部癌については集学的治療を行い、QOL(生活の質)の向上をめざしている。鼻アレルギーに対しては炭酸ガスレーザー治療を日帰りで行い、慢性副鼻腔炎に対しては内視鏡下副鼻腔手術に重点をおき良好な成績をあげている。高齢化社会によるニーズに応えるため補聴器適合検査を週1回の補聴器外来で行っている。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医研修施設。

症例数

中耳・耳管疾患=客観的な耳管機能検査法である耳管鼓室気流動態法を開発し、これを用いることにより滲出性中耳炎、耳管狭窄症、耳管開放症などの各種耳管機能疾患の診断・治療および、中耳手術の適応決定と術後成績に良好な結果を与えている。真珠腫性中耳炎は完全除去が必要であり、耳管機能の不良例も多く、このため計画的な段階手術と乳突腔の充填術を積極的に施行している。単純な鼓膜穿孔には日帰り手術による鼓膜形成術を積極的に行っている

★頭頸部腫瘍では、耳下腺腫瘍、甲状腺腫瘍の手術が数多い。内科からの紹介でバセドウ病や、副甲状腺機能亢進症に対する手術も増加している。頭頸部癌の治療は症例ごとに治療法の選択が必要であるが、手術療法と同時に、最新の放射線化学寮法を取り入れている。治療方針の決定にはCT、MRI、RI シンチおよびエコーなどの画像診断を必要に応じて行っている。喉頭癌のため喉頭を摘出された患者の音声再獲得には、食道発声だけでなく、気管食道瘻作製によるシャント発声を積極的に行っている。音声のリハビリテーショングループも作って高い音声獲得率を得ている

★めまいに関しては、軽症のものは外来で、症状の強いものは入院加療として、重心動揺計検査、ENG検査、カロリック検査等を行い、またMRI検査により中枢疾患との鑑別診断もしている

★突発性難聴は高度難聴例、めまいを伴う例など症状に応じて、希望されれば入院の上ステロイド、ビタミン剤などの点滴治療を基本に行っている。ステロイド無効例に対しては引き続きプロスタグランディンE1を点滴投与している

★顔面神経麻痺は原則入院治療を勧めている。ステロイドの点滴投与による保存的治療が中心であるが、治療に抵抗する例では経過をみて顔面神経減荷術を行う場合もある

★最近増加の鼻アレルギーには、下甲介粘膜表面を炭酸ガスレーザーで蒸散させる治療を20年前から行っている。この治療法は週1回から数回の外来通院で可能で、70%強の患者に2年間以上の長期にわたる症状の軽快がみられている。薬物治療、レーザー治療に抵抗する例では、症状に応じて粘膜下下鼻甲介骨切除術、鼻中隔矯正術などを行っている

★鼻茸、慢性副鼻腔炎の手術は内視鏡、マイクロデブリッダーを用いるようになって、より安全で無痛的になり、術後の成績も向上している

★いびきや睡眠時無呼吸症候群に対しては、その診断とともにC-PAPによる治療、ならびに口蓋扁桃摘出術等の外科的治療が有効と判断される症例には手術を積極的に行っている

特殊外来は予約制。水=頭頸部外来(1・3・4週の午後)、いびき外来(2・4週の午後)、嚥下外来(3週の午後)、木=補聴器外来(午後)。

医療設備

MRI、CT、リニアック、超音波、CO2レーザー、電子内視鏡、マイクロデブリッダー、平衡機能検査機器、電気味覚計、ABRなど。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

循環器腎内分泌代謝内科

分野

糖尿病内分泌内科

特色

当診療部は循環器腎内分泌代謝内科として運営されている。そのため、糖尿病・内分泌代謝疾患に伴う、循環器・血管障害、腎障害などの幅広い病態・合併症に総合的な対応が可能である。内科・内分泌・糖尿病・甲状腺・透析・老年の各学会の専門・認定・指導医を擁す。当科で特に患者数の多いのは糖尿病と甲状腺疾患である。糖尿病は、糖尿病発症の早期から、経口薬剤ならびにインスリンによる治療、および糖尿病性腎症をはじめとする各種合併症の治療まで幅広く診療している。血管合併症に対する再生治療も行っている。患者さんへの教育入院を含めた生活習慣の指導も行っている。甲状腺疾患はバセドウ病、橋本病などの診断・治療と共に、これらの疾患の病態生理解明にも力を入れている。

症例数

糖尿病では、患者教育にも力を入れ、糖尿病教育入院での管理システムを採用している。生活習慣の是正も指導する。病診連携を心がけ、地域医療と連携している。糖尿病で重要なのは各種の糖尿病性合併症である。これは糖尿病患者さんの生活の質(Quality of Life: QOL)や生命予後を規定する。特に、糖尿病性腎症による腎不全のために血液透析が必要になる患者さんが最近増加している。当科では、腎臓グループや血液浄化部門と一体化して、糖尿病性腎症の発症予防から、進行した末期腎不全までにわたり糖尿病性腎症をきめ細かく管理・治療している

★糖尿病性腎不全に対する血液透析は計画導入を心がけている。症例に応じて、血液透析(HD)と共に持続性自己管理腹膜透析(CAPD)も行っている。また、院内各科との連携のもと、維持透析患者の種々合併症の治療も行っている

★糖尿病では、動脈硬化の進展・増悪が重要である。狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患は生命予後に直結する。当科で内分泌・代謝専門医と心臓血管病センターの循環器専門医グループが共同で診療しているのは大きな特徴である。そのため、虚血性心疾患、高血圧などの心循環器疾患の治療に優れ、緊急時の対応は迅速である。また、糖尿病に伴う動脈硬化、高脂血症、血管合併症や閉塞性動脈硬化症などの血管病変にも、血管再生を含めて、対応している

★甲状腺疾患では、バセドウ病・橋本病による甲状腺機能亢進症・低下症や、甲状腺腫瘍(腺腫・癌)、腺腫様甲状腺腫などを診療している。甲状腺疾患の診断には、問診、診察のほか、血清学的検査、甲状腺エコー、細胞診、甲状腺シンチグラムなどを用いている

★バセドウ病では内科的治療を中心に施行しているが、外科的治療や放射線治療が選択される症例もある。アイソトープ治療は本学枚方病院と協力して対応している。また、甲状腺腫瘍など外科的治療が必要な場合は、本院耳鼻咽喉科などと密接に連携して治療にあたっている

★甲状腺疾患の患者さんは男性よりも女性が多い。甲状腺疾患があると、妊娠しにくくなるなどの影響がある一方、妊娠・出産すると、甲状腺機能異常が出現したり、甲状腺自体にも影響があることがあるので注意が必要である

★副腎疾患では、クッシング症候群、アルドステロン症、褐色細胞腫、アジソン病などを診療している。非機能性副腎偶発腫の症例も増加している。副腎疾患は高血圧をきっかけに診断されることがある。副腎腫瘍の多くは当院泌尿器科との協力で腹腔鏡下手術を施行している

★カルシウム代謝異常では、副甲状腺機能亢進症・低下症がある。骨粗鬆症に対しては、骨塩量測定と一次性・二次性の鑑別を行い、適切な治療を行う。長期血液透析患者では二次性副甲状腺機能亢進症がみられるので、透析医との連携が重要である

★下垂体疾患では、クッシング病、先端巨大症、プロラクチン産生腫瘍、下垂体機能低下症、尿崩症などがある。内科的治療に加え、下垂体、脳の手術が必要な症例は当院脳神経外科で治療している。また、放射線科でリニアックなどの照射を行うこともある。

医療設備

エコー、CT、シンチグラム、細胞診、MRI、リニアック、冠動脈造影、血液透析、CAPD、骨塩量測定など。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

神経内科

分野

神経内科

特色

精神疾患を除くすべての中枢神経疾患、末梢神経疾患、筋疾患を診療対象とし、正確な診断と迅速かつ最新の治療を行い、治療困難な神経疾患に対してもでき得る限りの診療を行うことを基本姿勢にしている。研修医の初期研修・後期研修病院であり、指導医資格を有する専門医の層の厚さが特色である。また、大学院講座を有するため、認定内科医・神経内科専門医の資格を有する大学院生・研究医員も在籍しており、国内・外を問わず最新の診療情報に即座に対応できる。病診連携に積極的に取り組んでおり、地域の難病ネットワーク基幹病院として実績をあげている。

症例数

神経内科学講座は97年に本学に新設された独立講座であり、入院患者数・外来患者数ともに年々増加の一途をたどっている。09年外来患者数は14,402人、入院患者数は341人で、97年のそれぞれ2倍、5倍となっている

★診断には、詳細な病歴聴取と綿密な神経学的診察所見を最も重視し、画像検索、電気生理検査などの補助的検査を追加して診断に当たっている。また必要であれば十分なインフォームド・コンセントのもとに遺伝子診断や、神経生検・筋生検を施行して組織学的に診断を確定している

★入院での診療は、原則として研修医・上級医・指導医の3人主治医制であり、毎朝開かれる新患カンファレンスで前日入院患者の検討をスタッフ全員で行い、直後に教授診察を行って診断・治療方針を決定している

★治療に当たっては、急速に発展する神経治療学の新知見を遅滞なく取り入れ、従来の治療法から最新の治療法までをすべて患者・家族に提示し、合意の下に生活の質を重視した最善の治療方針を選択している

★筋萎縮性側索硬化症は病初期には時として診断が困難であり、診断確定には慎重を期している。治療はリルゾールやリハビリが中心となるが、抗酸化ストレス治療なども検討する一方、研究室において神経病理研究やモデルマウスを用いて再生医療などの新たな治療法を模索している。病状の進行に対しては、患者ごとにネットワークの整備に努め、適切な時期に胃瘻造設や陽圧呼吸器導入、気管切開施行を話し合いのもとに検討している

★パーキンソン病は、綿密な鑑別診断を行った後、長期治療となることを念頭において、患者ごとに慎重に薬剤の選択を行うオーダーメイド治療を実践している。幻覚や症状の日内変動などが生じてきた場合は、入院して薬剤の調節を行っている

★脳血管障害は緊急の治療を要するため、救命救急センターや他科の協力を得て入院ベッドを確保して即日入院を原則とし、diffusion MRI・MRA、頸動脈エコー、心エコーなどを迅速に行い、個々の患者に応じた急性期治療を選択している

★認知症に対しては、MRI・SPECT・脳波・髄液検査・遺伝子検査などを用いて詳細に鑑別診断を行い、治療可能な認知症の発見に努めている

★筋疾患に対しては必要であれば筋生検を行い、光学顕微鏡・電子顕微鏡による組織診断にて診断を確定し、速やかに治療を導入している

★神経免疫疾患に関しては、多発性硬化症に対するインターフェロン療法、ギラン・バレー症候群・慢性炎症性脱髄性多発神経根炎・多巣性運動ニューロパチーに対する大量ガンマグロブリン療法、重症筋無力症に対する免疫抑制療法など、新たな治療法が次々に確立されてきている。これらの治療法と従来のステロイド治療・血漿交換療法などを組み合わせてベストな治療法を選択している

★ボツリヌス毒素による眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頸の治療については、特別外来を開設して他施設とも連携をとりながら良好な治療成績を得ている。

医療設備

CT、MRI、MRA、SPECT、血管エコー、脳波、電気生理機器、サーモグラフィ、アプノモニター、定位脳手術機器など。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

精神神経科

分野

精神科

特色

精神疾患全般の外来・入院治療や、身体合併症の入院治療も行っている。特に専門外来は充実しており、大学病院としての役割を果たすと共に、身近で親しみやすい開放的な精神医療を心がけている。また、複雑化する精神疾患に対処するため精神医療総合センターに精神科作業療法、精神科デイケアを設置し、柔軟で幅広い治療を提供している。

症例数

2009年の年間症例数は初診が1,356人(1日平均5.7人)、再診41,891人(1日平均約175人)であり、初診・再診とも予約制を導入している。年間入院患者数は149人、平均在院日数は73.4日で、病床数は39床(開放病棟15床、閉鎖病24床)と少ないため入院待ちの場合がある。精神科デイケア部門は、登録者79人、1日平均通所者数20.4人(10年2月現在)で統合失調症が約8割を占めている。心理臨床部門では、心理検査が月平均135件、心理面接が月平均39件である

★治療は薬物療法、精神療法、心理療法、精神科リハビリテーションなどを個別の治療目標により組み合わせ、可能な限り外来治療で、地域と連携をとりながらその人の生活環境の中で行っている。入院治療は、なるべく早期の退院を目指して入院初期より精神科リハビリテーションの導入を行い効果をあげている。また認知症性疾患の鑑別を行う短期入院や、身体合併症の治療も行っている。身体合併症は他科とのスムーズな連携により滞りなく行われている

★精神医療総合センターを併設しており、これには精神科デイケア部門、精神科作業療法部門、心理臨床部門、大阪府委託の老人性認知症疾患センターが属している。精神科デイケアは訓練型に位置づけられ、通所期間中にSSTや心理教育、家族教室などを積極的に行い、地域での社会復帰に繋げている。スタッフは医師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理士など多職種で構成し、多角的に治療目標や効果の検討を行っている。作業療法は、入院患者を中心に行っている。心理臨床部門では常勤臨床心理士2人、非常勤4人が所属し、心理療法、心理検査、箱庭療法などを用いて、多様化する精神疾患や人格構造の問題などに対して心理面のサポートをしている

★老人性認知症疾患センターでは、鑑別診断から治療方針の検討、介護相談まで幅広く行っている。統合失調症の治療については、薬物療法と共に生活障害を評価した上でデイケアを利用し、早期の社会復帰を目指している。認知症性疾患は地域と連携をとり、もの忘れ外来で診断、治療を行い、必要なら鑑別診断のため短期入院を行い、その後は治療や効果検討、認知症性疾患センターでの介護相談など専門性を発揮している

★気分障害は、薬物および精神療法を中心とした治療を実施している。他科入院中の精神症状を有する患者では、以前から精神科加療を受けている時はもちろんであるが、入院や身体疾患から何らかの精神科対応が必要な場合には積極的に往診を行っている。また救命救急センターへ精神科医(常勤)を派遣してコンサルテーション・リエゾン精神医学にも力を注いでいる。ジストニア外来では、東洋医学の鍼治療を用いて薬物誘発性ジストニアの治療を関西鍼灸短期大学神経病研究センターと合同で行っており、良好な成績を収めている。専門外来はもの忘れ外来(火曜午後)、ジストニア外来(水曜午後)がある

外来診療=月~金と第1・3・5土。初診・再診とも予約制。初診時には病医院からの紹介状を持参することが望ましい。また、各専門外来には、初診時の診察を受けていただいた後、次回から受診していただくことになります。予約センター電話:06-6993-9455。

医療設備

MRI、CT、SPECT、脳波、心理検査、箱庭。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

麻酔科・ペインクリニック

分野

ペインクリニック

特色

大学病院の麻酔科疼痛治療部門として、痛みの専門的治療を行っている。神経ブロック療法を主な治療手段としているが、難治性の痛みには薬物療法を併用することが多い。院内の他科と良好な連携のもと、痛みの総合的な治療を行っており、心療内科的疾患や整形外科的疾患あるいは癌性疼痛など幅広い疾患を取り扱っている。優れた痛みの治療法を高いレベルで診療提供したいと考えており、癌性疼痛の新しい治療法の開発はその1つである。治療法については口頭と文書で説明し、患者の理解と協力を得ながら、ていねいで安全な診療を行うように心掛けている。日本ペインクリニック学会専門医指定研修施設。

症例数

外来治療の患者数は1日平均40名で、新患患者数は月平均30名である。外来での神経ブロックとしては、硬膜外ブロックと星状神経節ブロックが最も多い。くも膜下ブロックや局所静脈内交感神経ブロックあるいは痛みの部位に合わせた各種の神経ブロックを行っている。当科入院患者に対しては、手術室での放射線透視装置などを使用した神経ブロック治療を行うことが多い。胸部および腰部交感神経節ブロック、腹腔神経節ブロック、神経根ブロック、カテーテル留置による持続硬膜外ブロック、三叉神経ブロックなどである

★神経ブロック療法は、単なる一時的な痛み止めの処置ではない。交感神経と知覚神経への作用により、痛んでいる組織で血流が増加し、痛みの過敏状態が改善する。定期的な神経ブロックによってその治療効果が積み重なり、障害組織の治癒が促進されて次第に痛みが改善していく。神経ブロックの効果は、基礎研究からも裏付けられており、大変有効な痛みの治療法としてますます積極的に用いられるようになってきた

★最近、抗うつ薬や抗けいれん薬などの鎮痛効果が証明され、それらを用いた多面的な痛みの治療を行うようになってきた。また、薬物の効果が最大限に生じる投与方法について、十分な安全性と共に検討を重ねている

★当科で扱う疾患の中で特に多いものは、①帯状疱疹による痛み、②癌の痛み、③椎間板ヘルニアや変形性脊椎症などによる腰下肢痛、④頚椎疾患や交通外傷などによる頸肩腕痛、⑤難治性の神経障害性の痛み、⑥四肢末梢の血流障害、⑦術後の痛みなどである。また、関節痛、頑固な肩こり、三叉神経痛、アレルギー性鼻炎なども取り扱っている。もし神経ブロック療法のみでは鎮痛効果が不十分な場合、薬物療法、心療内科的治療、リハビリテーションなどを取り入れて、各科と共同して総合的に治療を行うようにしている

★癌の痛みに対しては、「ステロイドのくも膜下腔注入法」を1999年から実施している。この方法は少量のベタメタゾン(リンデロン)を生理食塩水と共に腰部のくも膜下腔へ投与するもので、当科が開発した癌性疼痛の新しい治療法であり、外国専門誌に発表した。現在まで約100名にこの治療を行ったが、特にモルヒネが効きにくい脊椎転移の痛みに優れた鎮痛効果が認められている。また、副作用・合併症はみられず、長期間の鎮痛と生活の質の改善が得られている

★比較的規模の大きい学会、研究会は年間5~6回あり、研究発表や症例報告などを積極的に行っている。また院内の症例検討会や勉強会は原則週1~2回行い、ペインクリニック診察について、常に高いレベルを維持するようにしている。

医療設備

外来は、1診、2診の診察室と処置室(1室は清潔度が高いくも膜下ブロック用)があり、神経ブロック用処置台は10台である。特にX線装置などを用いた大掛かりな神経ブロックは、中央手術室で行っている。キセノン光治療器等の各種機器およびMRI、CT、サーモグラフィー、その他の各種診断用設備を有する。

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高度救命救急センター

分野

救急医療

特色

診療:厚生省の救急医療体制の整備にそって、第3次救急医療施設として救命救急センターが本学に設置されたのは1979年。以来、大阪の北河内地区の唯一の救命救急センターとして、人口120万人の北河内地区内に限らず、近隣や時には大阪府南部からの救急患者も引き受け、地区の救急医療の最後の砦として機能してきた。スタッフは救急専門医と一般外科、整形外科、脳神経外科などのサブスペシャリティーを持つ医師と、各科からの派遣専従医よりなり、ほとんどすべての救急患者に対して救命救急センターで診断から治療およびICU管理までを行っている。また、重度外傷、重症疾患のみならず、急性中毒、広範囲熱傷、切断肢指の再接着も広く扱ってきたことから、93年には西日本で最初の高度救命救急センターの指定を受けている。関西医科大学の救急医学科はこの高度救命救急センターの中核をなす診療科である

★研究=脊髄損傷患者に対する脊髄再生治療:脊髄損傷は生来健康であった人に突然に降りかかる不幸で、本人にも家族にも肉体的、精神的、さらには経済的負担は計り知れない。このような脊髄損傷を、完治とまではいかなくとも、脊髄機能を1分節でも2分節でも確実に改善できれば、機能予後は大いに異なってくる。当教室では、自己の骨髄間質細胞を、脊椎の固定手術に際して採取し、培養した後、腰椎穿刺で移植するという画期的な方法での臨床試験を、倫理委員会の承認を得て、世界で初めて開始しており、今後症例を重ねていきたい

★災害派遣、国際貢献:インドシナ森林火災、阪神・淡路大震災、コロンビア地震、インド西部地震、イラク戦争(ヨルダン)04年、インド洋津波(スリランカ、スマトラ)05年、パキスタン地震05年、ジャワ島津波06年

★研修受け入れ:日本救急医療財団からの医師、看護師、救急救命士の業務実地研修、大阪府立消防学校の救急救命士学校、大阪医専、東洋医療専門学校、救急振興財団(東京研修所、九州研修所)からの救急救命士の病院実習、北河内地区の救急救命士の再教育および就業前研修などを受け入れている。日本救急医学会指導医指定施設。

症例数

高度救命救急センターとして重症外傷、重症疾患に限定して、年間600~700症例を受け入れており、重症呼吸不全、重症急性膵炎、急性腹症、重症代謝性障害、多発外傷、その他の重症外傷、指肢切断、重症熱傷、急性中毒などを受け入れている。重症外傷が特に多く、外因性疾患が7割と多いのが特徴である。

医療設備

初療室、集中治療室(ICU 8床)、ハイケアユニット(HCU 6床)、手術室、CT室、熱傷治療室、高気圧酸素治療装置(HBO)、天井懸垂式顕微鏡手術装置、空気流動式高機能体位変換ベッド、人工呼吸器14、麻酔器1、個人用血液透析装置、個人用血液透析濾過装置、セントラルRO装置、持続的血液浄化装置、プラズマフェレーシス装置、スワンガンツカテーテル測定装置、PiCCO、BISモニター、低体温装置、ICPモニター、DSA装置、超音波診断装置、誘発電位・筋電図検査装置、呼吸代謝測定装置、血液ガス測定装置、上部消化管内視鏡、下部消化管内視鏡、各種ビデオファイバーモニターなど。

「医者がすすめる専門病院 大阪・奈良」(ライフ企画 2011年5月)

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