[患者さんの相談事例] 2011/11/25[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

雑誌で見つけた評判のクリニック。追加の検査を依頼したら、医療費とは別に“お礼”を払ってください、とのこと。どうすればいいでしょうか。(74歳・男性)

 ある雑誌の特集で、全国の家庭医が紹介されていました。私はもともと胃腸が弱く、しょっちゅう十二指腸潰瘍や下痢を繰り返しています。また、血圧も高めで、総合的に診てもらえるドクターを探していました。“家庭医”ならばどんな症状にも親身に診てもらえると思い、特集で紹介されていたクリニックのなかから、自宅近くのクリニックを選んで受診しました。
 初診の際に、これまでの病歴を伝え、「最近、また胃痛と下痢に悩まされています。できれば胃腸の検査をしていただきたいのです」とお願いしました。すると、「胃カメラは私がおこないますが、大腸ファイバーは別の病院から週に一度出張してきてくれる医師にお願いしています。とても腕のいい有名な先生で、通常はこのような診療所で検査してもらえる方ではないのです。ですから、保険適用で請求する医療費以外に、その先生に別途お礼として3万円支払っていただきたいのです」と言われました。
 私はいままで、そのような費用を強要されたことはなかったので、あまりいい気がしませんでした。しかし、狭い診察室でドクターから直接言われると断ることもできませんでした。そのため、大腸ファイバーの予約を入れて帰宅したのです。でも、考えれば考えるほど、納得できない気持ちが高まってきています。こういうことはよくあることなのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 ドクターから言われて断りにくいことも、お礼を強要されて嫌な気分になったことも、もっともだと思いますし、納得できない気持ちになるのが当然でしょう。もちろん、従う必要はありません。予約はキャンセル可能だと思いますので、納得いかないときは断ることもできます。
 私たちCOMLには、「新聞や雑誌に登場したり紹介されたりしている医療機関なら間違いないだろうと思って受診したが、対応がよくなかった」「ランキング本で上位の病院だったのに、手術がうまくいかなかった」などといった相談が少なからず届きます。新聞や雑誌、ランキング本などは医療機関を探す際の一つの“手がかり”ととらえ、鵜呑みにしないことが大切です。医療機関やドクターを探すときは、まず自分の納得の基準を考え、それを満たしてくれるかどうかを直接確認するようにしましょう。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 このような相談は滅多に届きませんから、もちろん一般的ではないと思います。ドクターが無理にお願いして週に一度来てもらっているのかもしれませんが、患者にその恩を着せ、お礼まで強要するというのは問題ではないでしょうか。
 ここまでではなくても、医療機関側の都合で何か患者側に負担を強いていることはないか、見直す姿勢が必要だと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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