[患者さんの相談事例] 2011/11/11[金]

いいね!つぶやく はてなブックマーク

 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

婦人科で処置を受けている最中に何かが落ちる音と先生の「アッ!」という声。何が起きたのか教えてもらえず、今も不安です。(70歳・女性)

 4年ほど前、膣に違和感を覚え、婦人科クリニックを受診しました。診察を受けると「子宮が下りてきていて、子宮脱になっています」と言われました。ひどい場合は手術で子宮を摘出しないといけないこともあるそうですが、「あなたの場合、そこまでする必要はないでしょう。膣を縫って閉じる方法もありますが、それよりも負担が少ないリングを入れてはどうでしょう」と勧められました。子宮を摘出するとか、膣を縫うとか恐ろしい治療は嫌なので、リングを入れる治療を受けることにしました。
 リングは1年に一度入れ替える必要があると言われ、毎年交換してもらってきました。先日も、前回から約1年経ったので、入れ替えてもらうために婦人科クリニックを受診しました。
 内診室で処置をしてもらったのですが、途中で「コトン」と何かが落ちる音がして、ドクターが「アッ!」と小さな声をあげたのです。しかし、それについては何も触れられないままリングを入れ替える処置が終わりました。
 ところが、帰宅したころから、「あの音はリングを床に落とした音だったのではないだろうか」「すぐに処置が終わったということは、落ちたリングを消毒していないのでは?」と気になってきました。時間を追うごとに、子宮がばい菌に感染しているのではないかと気が気でならなくなってきたのです。どれだけ心配しても解決する問題ではないと思うのですが、気になって仕方ありません。どうすればいいのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 たしかに、「コトン」と音がして、ドクターが「アッ!」と声をあげれば、何かが落ちたと考えるのは当然でしょう。また、内診室のカーテン越しでは見えないので、悪いほうへ考えてしまうのでしょう。
 もしかしたら、リング以外の何かの器具や道具が落ちたのかもしれません。リングが落ちたとしても、体内に入れるものであれば、消毒せずにそのまま使用することは考えられません。しかし、いずれにしても、いくら考えても解決しないことだけは確かです。
 やはり、不安を解消するには、婦人科クリニックに問い合わせるしかありません。ただ、その際に気をつけないといけないことは、「落としたリングを消毒せずに使ったのではないか」と疑いを前面に話を切り出すのではなく、「あのときの音とドクターの小さな声が何だったのか、気になり始めると不安な方向へ考えてしまって……」と相談を持ちかけるように伝えることが大切だと思います。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 医療者が思っている以上に、患者は小さな物音や医療者の一言、表情などに敏感です。そして、一度気になると、悪い方向へと考えてしまいがちです。ところが、それを気にして質問しても相手にされなかったり、「神経質な患者」という対応をされたりすると傷つくものです。
 とくに婦人科の内診台のように、カーテンで遮られている場合は、カーテンの向こう側で何が起こっているのか気になりがちです。少しの時間患者を待たせたり、器具を取り替えたりする場合でも、状況を言語化して伝えてもらえると安心できます。
 また、この患者さんのように不安を抱いた人が事情を尋ねたり、疑問を呈してきたりする場合は、嫌がらず、丁寧に対応していただきたいと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

この記事を読んだ人は他にこんな記事も読んでいます。
記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。