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[患者さんの相談事例] 2014/04/11[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

死期が近い寝たきりの父を1人で自宅介護する高齢の母。疲労と不安から父の入院を希望しているのですが…。
(55歳・女性)

 78歳の父親は心臓の冠状動脈が閉塞している病気で、以前から何度も入退院を繰り返していました。基本的には在宅療養で、77歳の母親が一人で介護をしています。私は弟と2人きょうだいなのですが、2人とも実家とは遠く離れたところに住んでいるため、父の介護を手伝えずにいます。
 父は半年ほど前から寝たきりの状態になっていて、最近では意識も明確でなく、朦朧としていることが多いようです。そのため、在宅医療をしているドクターが訪問してくれているのですが、「もう治療は何もできないので、老衰と思って自然に最期を迎えましょう」と言って、水分補給の点滴もしてくれないそうなのです。
 訪問看護や介護を利用しているものの、24時間そばにいる母はかなり疲れていて、母はドクターに「できれば入院させたいのですが…」と頼んでいるのですが、「このご時世、治療の対象にならない人を引き受けてくれる病院はありませんよ。介護施設なら可能性があるけれど、空きがあるかどうかが問題ですね」とドクターに言われたそうです。母は「最期を介護施設だなんて、それはいくらなんでもかわいそう」と言っています。ドクターによると、父は「今日明日最期を迎えてもおかしくない状態。ただ、それが1週間後に延びるのか、半月後なのかはわかりません」という状況なのだそうです。
 よく新聞などで「最期は自宅で迎えることが理想」とか「在宅死を望む人は多い」といった報道をしていますが、そんな簡単なことではないと思います。今朝も母が不安を訴えて電話をしてきたのですが、救急車を呼ぶしか入院する手立てはないのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 確かに在宅医療は口で言うほど簡単ではないと思います。単身者はもちろんのこと、70歳を超えた老夫婦のみの世帯の場合、心身共に大きな負担が強いられます。きっと、お母さんも実際の疲れに加え、何か変化があったときに一人で受け止めなくてはならない不安もおありなのでしょう。
 お話を伺っていると、訪問診療医や訪問看護師、ケアマネジャーがついているにもかかわらず、お母さんの疲れや不安が十分に伝わっていないように感じました。入院を希望していることはお伝えになっていても、その理由がきちんと伝えきれていないのではないでしょうか。お母さんご自身で直接伝えにくい面があるかもしれませんので、遠方で出向くのが簡単でなければ、せめて電話ででも娘さんや息子さんから訪問診療医などにお話ししてはいかがでしょう。
 ただ、訪問診療医の見解では、お父さんはかなり危ない状況のようなので、時間を調整してご実家に行かれることも考えられたほうがいいのではないかと思います。「今日明日でもおかしくない」と言われてお母さんも不安だと思いますので、せめてそばについて差しあげてはいかがでしょうか。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 在宅医療に力を入れているドクターの中には、「最期は自宅で自然に迎えることが理想」という信念を持たれている方も多く、その方針を前面に出される場合があります。それがあまりに強いと、患者・家族は異を唱えることもできず、従わざるを得なかったり、押しつけられたと感じたりしがちです。やはり、一人ひとり考え方は異なり、家庭が抱える事情もさまざまです。また、患者の状態の変化の理解についても、医療者と患者・家族では前提となる情報や知識が大きく異なります。それだけに、まずは患者・家族がどのような考えや希望を持っているかを確認することが大切だと思います。
 また、相談者の母親のように、入院を希望している裏側には、必ず理由が潜んでいます。希望に対して「できる」「できない」と結論を出すだけではなく、なぜそのような希望に至ったのかに目を向けていただきたいと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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