[患者さんの相談事例] 2014/11/07[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

救急搬送だったのに、すぐの治療は無理だ、と医師に冷たく言われました。(74歳・母親)

 先日、明け方4時ごろに母が急に背中から腰辺りに強い痛みを訴えたので、救急車で病院に運んでもらいました。すぐにCT検査を受けた結果、尿管結石と診断されました。
 午前9時になり、泌尿器科医の診察を受けたのですが、「当院には尿管結石を処理する機器がないのです。設備が整った病院で治療を受けられたほうがいいと思います」と言われました。息子である私が、「母は以前からリウマチがあり、県立病院にかかっているのですが」と伝えると、「県立病院ならお母さんの治療に必要な機器は整っているので、だいじょうぶですよ。すぐに県立病院への紹介状を書きましょう」と言ってくれました。そして、県立病院に連絡も取り、「受け入れOKとのことですので、すぐに当院の救急車で搬送しましょう」と、とても親切に対応してくださいました。
 県立病院には午前11時ごろに着いたのですが、救急車でやってきた私たちを見てドクターやナースは驚いた様子でした。どうやら、救急扱いですぐさま搬送されてくるとは思っていなかったようです。ストレッチャーで運び込まれた母を前に、ある1人のドクターから、「よほどのVIPならすぐに診るけど、ほかにも待っている患者さんが大勢いるんですよ。すぐさま治療なんて、無理、無理。そもそも入院が必要かどうか検査から始めないと判断できないんだから」と冷たく言われてしまいました。
 そのドクターはすぐにいなくなって、別のドクターが引き継いでくれたのですが、母はみるみる熱が高くなり、午後には39度にまで発熱して、腎盂炎になっているとの診断でした。そして、すぐに尿管結石を取り出す手術になったのです。
 手術は無事終わってホッとしましたが、県立病院で最初に診てくれたドクターの態度の悪さが頭から離れません。ドクターが交代しなかったら、母は放置されてもっと悪化していたのではないかと思います。最初に救急搬送された病院のドクターがせっかく適切な判断と連絡をしてくれたのに、腹立たしくて仕方ありません。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 確かに、おっしゃるとおりだと思います。救急搬送された病院で、適切な設備が整った病院での治療が必要と判断され、安心して転院するつもりが、出鼻を挫かれ不安になられたことと思います。結果として手術が成功したから良かったものの、もし取り返しがつかない結果になっていたらさらに遺恨が残っていたでしょう。
 納得いかないお気持ちを何とかしたいと思われるなら、どのような対応をされて、どんな気持ちになったのか、どう改善してほしいかを病院に伝えることしかありません。ただ、その際、病院側も「今後の改善のために役立てたい」と思えるように、できるだけ感情的にならず冷静に伝えることが大切です。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 病院全体としては患者への接遇に力を入れ、患者対応に気をつけていても、たった1人の職員の対応で信用を失墜することはよくあります。当直明けだったのか、よほど忙しかったのか、理由はわかりませんが、感情に任せた発言がないように1人ひとりが気をつける必要があると思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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