[患者さんの相談事例] 2015/04/03[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

受診した婦人科で強引に撮られた写真データを削除してもらいたいのですが…。(35歳・女性)

 私は2~3年前から生理痛がひどくなり、何か病気でも潜んでいるのだろうかと悩んでいました。婦人科を受診するのは精神的なハードルが高く、ずっと躊躇していたのですが、最近ますます痛みが増してきていたため、思い切って受診することにしました。友人の母親が通っている婦人科クリニックは、70歳代前半の女性のドクターだと聞いたことがあったので、経験もあって、優しく対応してくれるだろうと期待し、そこにかかることにしました。
 ところが実際に受診すると、かなり攻撃的な話し方で、威圧感のあるドクターでした。あらかじめ提出させられた問診票は「なぜこんな細かいことを聞くのか?」と疑問を抱くほど立ち入った内容で、私はかなりの部分を空白にしていました。すると診察の際に「あなたの診断のために必要な問診票なんだから、きちんと記入しなさい。若い子じゃあるまいし」と言われ、私の気持ちにおかまいなく口頭ですべて答えさせられました。
 続いて内診と超音波検査を受けたのですが、痛みを感じて内診台で少しでも動くと、「動かないで!」と怒鳴られました。診察と検査が終わっても内診台から降ろしてくれないので不思議に思っていたら、何の説明もなくデジタルカメラで私の陰部を撮影していたのです。とても戸惑いましたが、「もしかして、治療のために必要なのかもしれない」と考え、我慢しました。
 ところが、内診が終わって再び診察室に行くと、「顔写真を撮影する」とカメラを向けられたのです。さすがに抵抗を感じて、勇気を振り絞って「何のために撮るんですか?」と聞くと、「顔を思い出せるようにカルテに貼るためよ」と言い、強引に写真を撮られてしまいました。
 あまりにも一方的な態度と威圧感で、とても抗議をすることができないまま帰宅しました。精神的にダメージを受け、しばらくはショックで何も手につきませんでした。しかし、ようやく冷静さを取り戻してみると、写真を残されることに屈辱的な嫌悪感が拭い去れなくなってきました。何とか写真のデータ削除をしてほしくて、保健所に相談したのですが、「写真を撮るのは医師の方針なので、指導や削除の強制はできません」と言われてしまいました。どうしたらいいのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 ベテランで女性なら、安心できると思っての受診だったのに、威圧感のある態度にさぞかし驚かれたことと思います。「婦人科は女性医師に診てもらいたい」と考える患者さんは多いのですが、なかには「逆にデリカシーがなかった」という苦情が届くことも少なくありません。「女性だから皆優しい」という問題ではないのでしょう。
 ただ、データの削除を依頼するには、患者さん自身か代理人が申し入れるしかありません。直接出向くか、文書を送る(たとえば内容証明郵便で正式に)か、ご自分にできそうな方法を考えてみてはどうでしょうか。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 写真を撮る場合は、やはり最低限、患者に対して事前に理由を説明し、同意を得ることが基本だと思います。個人情報やプライバシーへの配慮が求められている時代に、信じられない対応だと思いました。
 まして、威圧的な態度や怒鳴りつけるという行為も、患者が萎縮するだけで、何か納得いかないことが起きれば不信感へと発展してしまいます。根本的な患者対応を見直すべきではないかと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


認定NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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