会員限定この記事を読むと10pt 進呈!!

新規会員登録(無料) ログイン

[患者さんの相談事例] 2015/08/14[金]

いいね!つぶやく はてなブックマーク

 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

医師から勧められた月3万のレンタル医療機器。解約したいのですが医師との関係が崩れそうで困っています。(68歳・女性)

 約1年前、67歳の夫が心不全を起こして救急搬送されました。入院して治療を受けていたのですが、その途中で脳梗塞を起こしてしまい、その結果、身体に麻痺は生じなかったのですが、失語症が残りました。ただ、循環器科は継続して経過観察が必要と言われ、退院したあとも月1回は通院して診療を受けています。
 数か月前、循環器の担当医から「肺に空気を送り込む医療機器があって、あなたのような心不全を起こした人には有効だから使いましょう」とレンタルを勧められました。レンタル料が月3万円と聞いて、夫は経済的に負担だと嫌がったのですが、担当医が「使わないと死ぬよ」と言うので、私が怖くなって夫に契約を勧めました。しかし、実際に自宅で使用したところ夫は使うほうが苦しいと言って、結局、ほとんど使わずじまいになったのです。
 そこで、日頃かかりつけにしているクリニックのドクターに相談したところ、「一度レンタルをやめて様子を見てみたら?」と言われ、先月の受診日にレンタルの中止を申し出ました。すると担当医が急に怒り出し、「やめたいなら、メーカーに自分で直接電話しなさい」と言われたのです。そのような感情的な対応に驚き、信頼感がまったくなくなってしまったのですが、失語症のリハビリがあと数か月残っているので、そのドクターとの関係を崩すわけにいかないと思い、渋々レンタルを継続することにしました。しかし、機器はその後も使用していません。
 その後、たまたまクリニックで心臓の検査を受ける機会があったのですが、医療機器を使用していないにもかかわらず、心機能は良好だと判明しました。クリニックのドクターからは「その医療機器はドクター間でも意見が分かれていて、まだ具体的なエビデンス(科学的根拠)がないんですよ。使いもしない機器に高いレンタル料を払うのはもったいないから、キャンセルしてはどうですか」と言われました。そこで、病院の担当医が言ったように、直接メーカーに解約の連絡をしました。すると、「レンタル契約については担当医を通していただきたいのです」と言われました。担当医が直接メーカーに連絡をと言ったとお伝えしたら、後日連絡があって「担当医に確認したが、そんなことは言った覚えはないとおっしゃっています」と言うのです。こんなことになってしまって、この先どうしたらいいのか、困っています。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 ドクターの考えや感情に翻弄されてしまった感じですね。勧められるとノーとは言いにくいだけに、無理な出費もされたのだと思います。
 心臓については、クリニックのドクターが丁寧に診てくれているということだったのでそちらに任せて、病院には失語症のリハビリだけ通うこともできるはずです。まずは、失語症のリハビリ施設で循環器科の受診との関連を確認し、心臓の病気はクリニックに転院したいと申し出ることも可能ではないでしょうか。
より良いコミュニケーションを目指そう!医療機関さんこうしてみては・・・?
 医療機器の臨床研究に力を入れていたドクターだったのでしょうか。それにしても、使わなかったら死ぬなどと脅しのような言葉で高いレンタル契約を勧めるという態度はいかがなものかと思いました。レンタルの解約を申し出たときの感情的な対応も然りです。
 保険未承認の医薬品や医療機器を使用したり、臨床研究を勧めたりする際は、患者側の自由な意思で選べるものとされています。しかし実際には、このドクターのように露骨に強要したり、断ると気分を害したりして患者が自由な想いを表出できなくなっていることがあります。倫理的な配慮が問われる問題です。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


認定NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

記事を読んでポイント獲得!

10pt 進呈!!

この記事を読んで
簡単なアンケートに回答すると、
"Amazonギフト券に交換できる"
QLifeポイントを獲得できます!

この記事を読んだ人は他にこんな記事も読んでいます。
記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。