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[患者さんの相談事例] 2009/10/02[金]

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 現代の医療現場では、自分なりの判断や意思決定が求められます。患者側にだって、治療パートナー(医療者)と上手に対話して、疑問解消・意思伝達できるコミュニケーションスキルがあった方が良いですね。
 ここで紹介する「相談事例」は、患者側視点に基づくもので、実際にはもっと他の背景があったかもしれませんが、「私ならどうするか」を考えてみませんか?

患者さんから実際にあった電話相談

医学生の実習なら、患者は我慢して見せるのが当たり前なのでしょうか。(64歳・女性)

 私は3年前に胃がんと診断され、胃を全部取る手術を受けました。その後、再発して抗がん剤治療を受けていたのですが、全身に拡がって最近ではとくに積極的におこなう治療もなくなってきたと言われ、それまでかかっていた大きな病院に通院するのが苦痛になってきました。そこで、地元で在宅医療に力を入れていることで有名なクリニックに転院することにしました。そのクリニックの院長は、がんの末期の患者も在宅で診ていると聞き、私も通院できない状態になれば、訪問診療を受けようと考えたのです。
 先日、全身に発疹が出て痒かったので、定期的な通院の日に、皮膚の状態も診てもらおうと思って受診しました。診察室に入って行くと、見慣れない若い男性と女性がいて、院長の後ろに立っていました。挨拶をするわけでも、立場を名乗るわけでもありません。院長も何も言わないので、何だか私からは聞きにくいまま、診察用の椅子に腰をかけました。
 院長に痒い湿疹の話をすると、「じゃあ、ちょっと服を脱いで診せてください」と言われました。当然、男性と女性は席を外すだろうと思っていたら、院長と一緒になって覗き込むように見るのです。がんが全身に転移してからとても痩せ、人目に晒したくないと思っていたので苦痛でしたが、耐えるしかありませんでした。
 診察が終わり、待合に戻ってから、しばらく躊躇していたのですが、思い切って受付の人に「診察にいた若い人たちは、どなたですか?」と聞いてみたのです。すると、「ウチの先生は在宅医療で有名なので、学生の見学希望が多いんですよ。今日も在宅医療に関心がある医学生を受け入れているんです」と得意げに、あっけらかんとした表情で言われました。
 私にしてみれば、断りもなく見学の対象にされたのかという嫌な気分しか残りませんでした。医学生からみれば、興味関心の対象なのかもしれませんが、自分の肌を他人に晒すことって苦痛な場合もあります。医学生の実習なら、患者は我慢して見せるのが当たり前なのでしょうか。

より良いコミュニケーションを目指そう!患者さんこうしてみては・・・?
 何の断りもなく医学生が同席し、立場や目的も告げずに見られるなんて、患者にとっては苦痛なものです。「見世物じゃない!」と言いたくもなりますよね。
 このようなとき、たしかに勇気は要りますが、ひとこと「あれ、いつもいらっしゃる方じゃないけど、どなたですか?」と直接学生に聞いてみてもいいかもしれません。あるいは、皮膚を見せる段階で「病気で痩せた姿を晒したくないので、ちょっと遠慮してもらえませんか?」と学生さんに言ってみてはどうでしょう。
 本来は、医療側が配慮することなので、患者が勇気を出すことを強要されるものではありません。しかし、まだまだ医療側には「勉強のための見学は当たり前」という意識があるので、配慮がない場合は、患者から声を出すしかないのです。
解決!医療機関さんこうしてみては・・・?
 医療者にとって、見学や実習は教育の一環として“当たり前”で、とくに大学病院や研修病院では当然のように学生や研修医が同席する場合があります。しかし、患者にとっては、何の断りもなく同席され、見られるのは苦痛以外の何でもありません。
 やはり、事前に「今日は医学生が見学に来ているのですが、勉強のために診察時に同席させていただいてよろしいですか?」と患者に同席の目的を伝え、同意を得るのが当然の配慮ではないでしょうか。それがひいては「患者にどう対応」という医学生への教育にもつながります。このような場面では、どうしても患者は遠慮して言葉が発せられず、我慢してしまいがちです。そのような患者の気持ちに敏感になっていただきたいと思います。
※写真はイメージです

この実例紹介とアドバイスのご提供は・・・


NPO法人
ささえあい医療人権センターCOML

理事長 山口育子

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