[職場のうつ] 2009/07/28[火]

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職場での偏見は当事者など強く感じる傾向に

 うつ病に関して、3人に一人が「職場に偏見がある」と答えた。特に女性に偏見を感じる人が多く、27%が「大いにある」と回答した。
 関与度別にみると、当事者であるほど「偏見ある」とする割合が高く(通院経験者で「まったくない」と思う人はゼロ)、非当事者では「偏見ない」とする割合が高い。
 なお、「現在通院中」や「未治療者(診断されたが通院していない/診断されてないが自分では疑っている)」群にくらべて、「過去通院」群は、偏見を感じる度合いが低い。「過去通院」者のすべてが治癒した人とは限らないが、“偏見が少ない(と本人が感じる)職場にいる患者の方が、快復しやすく治療終了しやすい”のかもしれない。

Q4.あなたの職場では、「うつ病」への偏見があると思いますか。

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職場の偏見度合いは、うつ病の快復度合いと関係あり?

 「職場に偏見がある」とした人だけを対象に、その内容を自由に述べてもらったところ、以下の10系統に分かれた。「ダメ人間・嘘つき烙印」が一番多いが、“職場でのうつ病”ならではの「任せ不能・脱落者化」が2番目に多い。
 注目すべきは、「過去通院」群では、職場が「うつ病」に対し前向きな様子がうかがえること。前頁で、「過去通院」群には「偏見あり」者が少ないと述べたが、さらに“偏見があっても、その内容が比較的良好”といえる。職場環境が治療成果に影響を与える可能性があるかもしれない。

Q5.職場での「うつ病」への偏見として、具体的にはどんな内容が多いと思いますか。

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うつ病の人とは仕事はやりにくい?

 「他人の様子/一般論」ではなく、「自身の本音」を確認するため、「うつ病の人と、一緒に仕事しにくいか?」を聞いた。
 男女別でみると、女性の方が「しにくい」率が高い。もともと女性の方が、職場での役割分担や仕事の進め方において、うつ病の人との接触量やコミュニケーション場面が大きいのかもしれない。
 多くのうつ病患者も、「他のうつ病者とは仕事しにくい」と答えた。“現在通院中”で29%、“過去通院”で43%と、通院経験者全体で35%が「しにくい」だった。
 なお“未治療”グループには、「仕事しにくい」という人が多い。前々問でも「職場に偏見がある」割合が高かったが、こうした敏感性が治療に踏み切るのを阻んでいるのかもしれない。
 “全く経験なし”群の37%が「わからない」と答えた。上場企業の職場でうつ病がゼロということは少ないと思われるため、うつ病との関与度が薄い人はうつ病同僚と気付かずに接しているケースも多いと思われる。

Q6. “「うつ病」の人とは一緒に仕事しにくい”と思いますか。
(ご自身が「うつ病」の方は、“自分以外の「うつ病」の人”と一緒に仕事しにくいと思うか、を教えてください)

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「接し方の目安」わかれば患者も同僚も双方ストレス減りそう

 「しにくい」回答者だけに、その具体的理由を自由に述べてもらったところ、その内容は以下の10系統に分類された。
 一番多かったのが「気を遣わなければいけない」で28%を占めた。2位以降はかなり分散している。うつ病患者の病状が一様ではないことや、各職場での事情や職種・職位の違いによって、“不都合”と感じる要素が様々であることがわかる。
 なお、関与度別では、特に目立った違いが見られなかった。つまり「自身がうつ病患者」の人でも「全くうつ病経験ない」人でも、一緒に仕事する難しさの内容に大きな違いはないようだ。

Q7.「一緒に仕事しにくい」と思うのは、どんなところですか。具体的に教えてください。

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●本調査の詳細レポートは、以下(pdfファイル):
<全国の上場企業勤務者アンケート>「職場のうつ」調査 “偏見と本音”編

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