認知症はどんな病気?
[よくわかる「認知症」] 2010/07/30[金]

認知症って、どんな病気ですか?
ごはんを食べたことを覚えていない、自分のいる場所がどこなのかわからない---。ふつうの人なら当たり前にわかっていることが、わからなくなる状態を認知症といいます。認識したり、記憶したり、判断したりする力が障害を受け、社会生活に支障をきたす状態のことです。
認知症という言葉自体は病名ではなく、特有の症状を示す状態を総称する言葉と考えてください。認知症を引き起こす病気は、細かく分類すればじつはたくさんあります。ただし、圧倒的に多いのは、アルツハイマー病と脳血管障害の二つで、この両者が混合している場合もあります。ほかに、レビー小体病(脳の神経細胞に異常なたんぱく質が蓄積する病気)、ピック病(脳の前頭葉と側頭葉に強い萎縮がみられる病気)なども、認知症の原因となります。
日本では近年、アルツハイマー病が増える傾向にあり、老年期の認知症では約80%がアルツハイマー病ではないか、との指摘もあります。

認知症は心の病気ですか?
認知症は心の病気ではありません。脳が病的に変化することによって、何かを記憶したり、場所や人などを認識したり、物事を判断、推測するといった知的機能が低下する、体の病気です。
これらの症状は認知症の「中核症状」と呼ばれています。徘徊や妄想、幻覚などの「周辺症状」と呼ばれる精神症状は、この中核症状が原因で起こります。このような症状は、知的機能の病的な障害によって起こるのですから、認知症の人がこういった行動を起こしても、決して心が病んでいるわけではないのです。
記憶したり、認知したりする能力はたしかに低下しますが、喜怒哀楽などの感情が失われるわけではありません。「ぼけてしまえば本人は楽だ」ということはないのです。認知症の人は、周りに迷惑をかけていることや、自分がどう見られているかをしっかり感じとっています。まず家族などの周りの人が、認知症に対する正しい知識を持って接することが大切です。
認知症の人はどれくらいいるのですか?
認知症は高齢になればなるほど、発症の危険が高まります。認知症は特別な人に起こる特別な出来事ではなく、歳をとれば誰にでも起こりうる、身近な病気と考えたほうがいいでしょう。
現在、国内の認知症患者は約170万人に上るといわれており、65歳以上の男性の55%、女性の66%がいずれ認知症になるのではないかと推測されています。また、認知症患者は、高齢化がさらに進む2035年には、現在の倍以上の376万人になるだろうと予想されています。
一方、65歳未満で認知症を発症する場合もあります。なかでも気をつけたいのは「若年性アルツハイマー病」。65歳未満で発症したアルツハイマー病のことを指す言葉で、現在全国に約10万人いるといわれています。40代、50代の働き盛りで起こることもあり、老年性のものより進行が早く、症状も重くなる傾向があります。
認知症は予防できますか?
アルツハイマー病は、ある日突然発症するわけではありません。脳に小さな変化が起こって少しずつ進行し、かなり進んだところで、疑いようもない症状が出るようになります。
最近注目されているのは、このはっきりした症状が出る一歩手前の段階。これを「軽度認知障害(MCI)」と呼びます。この「認知症の予備軍」の時期に早めに対策をとることで、発症を予防したり、遅らせたりすることができます。おかしいと思ったら、早めに医師の診察を受けることが大切です。
また、アルツハイマー病の原因については様々なものが知られており、なかには対策を講じることができるものもあります。適度の運動や休養、禁煙などのライフスタイルの改善は効果があります。
脳を活性化し、認知機能を改善するといわれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を多く含む魚を食べることもおすすめです。サンマ、サバ、イワシなどの青魚には、とくにEPAやDHAがたくさん含まれています。
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