10代に罹患の可能性が高く、ワクチンで予防できる侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)を知っていますか?
[身近な病気を知ろう ~QLife調査~] 2014/04/24[木]
侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)という疾患を知っていますか?
IMDの発症数が多いのは、乳幼児と10代とされており※1、近年国内での集団発生も確認されたことから、新たな脅威として警戒が必要な感染症です。
- 初期症状は発熱、頭痛、嘔吐など風邪の症状に似ており、早期の診断が難しい。
- 罹患すると症状が急速に進み、24~48時間以内に患者の5~10%が死亡する※2。
- 回復した場合でも、11~19%の割合で難聴、神経障害、四肢切断などの生涯続く後遺症が残る※3。
- 人から人への飛沫感染で広がり、寮等での集団生活や、人が多く集まる環境、団体行動する場合等では特に注意が必要。
などの特徴のあるIMDは、世界全体で毎年30万人の患者が発生。特に、髄膜炎ベルトとよばれるアフリカ中央部において発生が多く、毎年3万人の死亡例が出ています※4。しかし、米国では2005~2011年に年間800~1200名の髄膜炎菌感染症が報告されるなど、近年は先進国でも散発的な感染が確認されており※5、地域特有の病気としてではなく、どこの国においても対策が必要な疾患として、理解を深める必要があります。
日本国内では、2011年5月、全寮制の高等学校で集団感染が発生。5名が発症し、1名が死亡、保菌者は4名に上りました※6。髄膜炎菌への感染やその結果としてのIMDの発症メカニズムは未だ明らかになっていませんが、予防にはワクチンが有効であることがわかっています。現在のところ、国内で承認されたワクチンはありませんが、海外では既に米国やカナダをはじめとする多くの国でIMD予防ワクチンが使用されており、国内でもワクチンの導入が期待されています。
そこでQLifeでは「小学5、6年生の子どもを持つ母親」「海外渡航経験者」「大学・専門学校1年生」を対象に、侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)に関する調査を行いました。その調査結果をご紹介します。
髄膜炎菌が引き起こす病気について、見聞きしたことはありますか。
全体では、64.2%が何らかの形で知っていると回答したものの、大部分が「聞いたことや見たことがある程度」でした。また、学生については過半数が「全く知らない」と回答しました。
IMDがワクチンによって予防できる病気であることを知っていましたか。
全体では「知っている」と回答したのは20.6%にとどまりました。「知っている」との回答が最も多い母親でも、28.3%でした。
IMDの症状や感染リスクを知って、IMDを予防できるワクチンを接種したいと思いますか。
「とても接種したい」「やや接種したい」と回答したのは、全体で76.8%となりました。
侵襲性髄膜炎菌感染症(=IMD)ワクチン接種に関するアンケート調査
⇒小学5・6年生の子どもを持つ母親対象
⇒大学・専門学校・予備校1年生対象
⇒海外渡航経験者対象
参考文献
※1 American Academy of Pediatrics : PEDIATRICS 2005; 116:496
※2 World Health Organization Meningococcal meningitis Fact sheet No.141,Nov.2012
※3 Rosenstein NE et al : N Engl J Med 2001; 334(18) : 1382
※4 国立感染症研究所感染症疫学センター 病原微生物検出情報 月報 Vol.34, No.12 (No.406) 2013年12月発行
※5 Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR) 2013;62(2): 4
※6 宮崎県小林保健所発表情報 (2014年3月11日アクセス)
参考サイト
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