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[ヘルスケアニュース] 2022/03/25[金]

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 糖尿病患者さんの数と糖尿病予備群の人の数はいずれも約1000万人と推計されており1)、さまざまな合併症を引き起こすことからも糖尿病は社会的に問題となっています。

 糖尿病の診療に長年取り組んできた小田原雅人先生(国際医療福祉大学教授、東京医科大学特任教授、山王病院内科部長、日本成人病〈生活習慣病〉学会理事長)は2021年11月11日、糖尿病の合併症について講演しました。

 講演は、製薬会社のバイエル薬品が開催したイベントで行われたもの。糖尿病性腎症を発症し、透析治療を行っているお笑い芸人のグレート義太夫さんや、管理栄養士の沼津りえさんも登壇しました。

心筋梗塞や脳卒中を起こした人の多くは糖尿病に罹患

 糖尿病では、①網膜症(失明の原因)、②腎症、③神経障害(手足がびりびりする)、④心筋梗塞、⑤脳卒中、⑥足の動脈硬化症――が6大合併症といわれています。このうち、腎症、心筋梗塞、脳卒中は国内で死因の上位を占める疾患です。

 小田原先生は、冠動脈疾患患者(心筋梗塞を起こした人など)や脳卒中で救急搬送された人の約6割が糖尿病患者だった2)3)というデータを紹介し、「心筋梗塞も脳卒中も、糖尿病があると非常に危険性が高まる」と強調。「心筋梗塞を予防するためには血糖値と血圧の両方を下げる必要がある」と指摘しました。

 血圧はどの程度下げるとよいのでしょうか。小田原先生は、「適切な血圧は、患者さんが思っているよりも低めだ」と説明します。「すべての人が目指す必要はないが、最高血圧が120mmHg未満、最低血圧が80mmHg未満では心筋梗塞や脳卒中になる可能性が少ないことは間違いない」(小田原先生)

 心臓と腎臓は密接に関係しており、心筋梗塞を防ぐためには腎臓の機能を保持することも大切です。小田原先生は、「腎臓が悪くなっても血液透析によって腎臓の機能を代替することは可能だが、透析をしている人は心筋梗塞や脳卒中で亡くなることが多く、心不全も起こしやすい」と指摘しました。

 小田原先生はまた、「腎臓の機能を保つためにも、血糖値と血圧のコントロールが重要。血圧を下げると、腎不全になる確率が下がる。血圧は下げられるところまで下げた人が、腎臓を守る作用が強くなる」と話しました。

ストレスのない食事制限が大切

 義太夫さんは患者さんの立場から、「糖尿病の怖さは、“痛い”“辛い”がないこと」と強調。「自己判断で通院をやめてしまい、その間に進行してしまった」と自身の経験を語りました。義太夫さんが「こってり系のラーメンやファストフードを控え、自炊生活に切りかえたり、食べる量にも気を付けたりしているが、食事管理はだんだんと甘くなってきてしまう」と食事制限の難しさを吐露すると、管理栄養士の沼津さんは、「食事にストレスを感じずに楽しめる範囲で、毎日少し意識することが大切だ」と指摘しました。具体的には、食べる順番を意識し、糖質の少ないものを先に食べることやよく嚙むこと、暴飲暴食や主食だけの生活をやめることなどをあげました。

 調理する際の減塩の工夫としては、「大葉など香りのよい野菜を使用する、煮物を作る場合は素材だけを煮込んで最後に味付けをする」と紹介しました。

 治療を継続するためのポイントについて小田原先生は、家族が診療についてきてくれる人では長期的にコントロールがよいケースが多いとして、「できるだけ味方を増やして、自分がくじけそうなときは周りにサポートしてもらうことが大切だ」とアドバイスしました。

 心筋梗塞などを予防するために適切な血圧の値を知って、驚いた人も少なくないのではないでしょうか。糖尿病など生活習慣病の治療では、これまでの食生活や運動習慣を変えるよう指摘を受けることがあります。自分ひとりで頑張ろうとせず、医療従事者や周囲の人にサポートを求めながら、治療に臨んでみてはいかがでしょうか。(QLife編集部)

1)厚生労働省:平成28年「国民健康・栄養調査」の結果.
[https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189.html](2022年3月16日閲覧)
2)Kuroda M, et al:JACC Cardiovasc Interv. 2015;8(6):800-811.
3)Urabe T, et al:Stroke. 2009;40(4):1289-1295.

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