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[ヘルスケアニュース] 2022/04/07[木]

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 著名人が前立腺がんでお亡くなりになったニュースをご記憶の方もいるでしょう。日本における前立腺がんの患者数は9万人を超え、男性におけるすべてのがんの中で最多となっています1)。つまり「日本人男性が最も罹患しやすいがん」なのです。

 しかし、50歳を過ぎると患者数が増えることや2)、検診により初期段階で発見し治療を開始するほど生存率が高い3)、といった前立腺がんの情報は浸透しているとはいえません。


上村博司先生(ヤンセンファーマ提供)

 こうした状況を受け、前立腺がんの正しい理解を啓発する『HALF TiME PROJECT』のキックオフイベントが3月15日に開催されました。製薬会社のヤンセンファーマ主催の本イベントでは、横浜市立大学附属市民総合医療センターの上村博司先生による講演と、イベントに先立って実施された「健康意識およびがん・前立腺がんに関する意識調査」の結果を踏まえたトークセッションが行われました。

前立腺がんの原因は?

 前立腺がんの主な原因には、人種、加齢、家族歴(遺伝)があげられます。

 人種別では、黒人、白人、黄色人種の順で罹患数が多く、黄色人種の中では日本人がもっとも罹患率が高いとのことです。これは、食生活の欧米化が原因のひとつではないかと考えられています。40代までの前立腺がん患者数はほぼ横ばいですが、50歳前後から患者数が増えはじめ、年齢が上がるごとに罹患リスクが上がることがわかっています。前立腺がんの原因となる遺伝子もいくつか見つかっており、近しい親族に前立腺がん患者さんがいる人は、そうでない人と比べてリスクが2倍以上になるという報告もあります。その他、生活習慣、肥満や糖尿病、前立腺の炎症や感染といった環境的な要因もいくつか指摘されています3)

検診による早期発見がカギ

 上村先生によると、検診によって自覚症状のない初期段階で見つかった前立腺がんは、自覚症状が出てから発見された場合と比較して、進行がん、転移がんの割合が低く4)、早期に発見・治療開始するほど「生存率が優れている」そうです3)。がん検診の受診率は徐々に上がってきているものの、50代の受診率は全体の10%程度にとどまっており、課題となっています。

 最近では新薬や手術支援ロボットの登場などにより前立腺がんの治療成績も上がってきています。がん検診を積極的に受診し、自覚症状がなくても早期に治療を開始することで根治治療も可能とのことです。

50代になったら毎年検診を


武内務氏(ヤンセンファーマ提供)

 トークセッションでは、事前に行われた「健康意識およびがん・前立腺がんに関する意識調査」の結果が紹介され、50代男性は自身の健康に対する意識が低く、前立腺がんに対する認知不足も明らかとなりました。

 前立腺がんの患者会「NPO法人腺友倶楽部」理事長の武内務さんは、「50代のころは仕事ばかりで残業もあたりまえ、健康には気を使っていなかった」と話し、趣味のマラソンをしていなかったら検査をしなかったかもしれない、と当時を振り返りました。

 ご自身が50代になり、好きなことして過ごすために健康へ意識が向き始めたという青山学院大学 陸上競技部長距離ブロック監督の原晋さんは、「現状をきちんと把握することから始めることが大切だと思う」と話しました。ご自身は年に一度の健康診断のほかに、夫婦でPET検診を受けているそうです。


原晋氏(ヤンセンファーマ提供)

 上村先生は「血液を数cc採取するだけでよいPSAといういい腫瘍マーカーがあるので、50歳以降は毎年検診を受けることを意識してほしい。自覚症状がない初期段階であれば根治治療が可能なこともある」と説明し、検診の大切さを強調しました。

 人生100年時代の折り返し地点となる50代、健康に不安のあるあなたも、自信のあるあなたも、一度立ち止まってご自身の体に目を向けてみてはいかがでしょうか。(QLife編集部)

1)国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(全国がん登録).[https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/data/dl/excel/cancer_incidenceNCR(2016-2018).xls]
2)市川智彦、鈴木啓悦編. 『前立腺癌のすべて第4版』. 2019;pp.2-3、メジカルビュー社.
3)日本泌尿器科学会編. 『前立腺癌診療ガイドライン2016 年版』;pp.12-18、メディカルレビュー社.
4)Sakai N, et al.:Int J Urol. 2015; 22: 747-52.

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