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新規会員登録(無料) ログイン糖尿病は合併症予防が大事! 運動や食事に気を付けるところから始めよう
[ヘルスケアニュース] 2022/11/30[水]
糖尿病患者は予備軍を含めるとおよそ2000万人
大杉満先生(アボットジャパン提供)
糖尿病患者数は生活習慣と社会環境の変化に伴って増加の一途をたどっており、世界の患者数は5億人以上と見込まれています1)。日本国内でも糖尿病が強く疑われる人と糖尿病の可能性を否定できない人を合わせると、2000万人もの患者さんがいると推定されています2)。糖尿病は放置すると合併症を引き起こしますが、糖尿病を指摘された就労世代の52%が未治療であると考えられており、深刻な医療課題とされています3)。
身近なリスクである糖尿病について予防や治療継続の重要性を啓発するため、医療機器メーカーのアボットジャパンとオンライン医療サービスの提供等を行っているMICINは、2022年10月25日にWHO糖尿病技術諮問委員である大杉満先生(国立国際医療研究センター)を迎えてメディアセミナーを開催しました。
糖尿病予防に重要な運動と食事
糖尿病とは簡単に言うと血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が上昇した状態です。大杉先生は糖尿病を「非常に厄介な病気」と評します。というのも、たとえ血糖値が上がった状態が続いても体に異変をほとんど感じないため、年単位で放置してしまう危険性があるからです。糖尿病の診断がついたときには合併症が進んでいることも少なくありません。
糖尿病は血糖・血圧・脂質代謝の良好なコントロールと適正体重の維持、禁煙の遵守により合併症を防ぐことが重要です。大杉先生は「いくらよい薬物療法や注射療法があっても、運動療法と食事療法がうまくいっていないと血糖値は改善しない」と指摘します。
体重を減らすのにも病気の予防にも、有酸素運動(歩く、走る)と無酸素運動(筋トレ)の両方の組み合わせが効果的だといいます。大杉先生は「運動というと本格的なものを想像して尻込みしてしまう人が多いけれど、“暑い季節でもちょっと汗をかくぐらいの早歩きを1週間合計で150分”とか“40分のジョギングを週に2回”程度でも十分に効果がある」と無理のない運動でかまわないことを強調しました。また糖尿病に限った話ではありませんが、「長時間座り続けていることも死亡率上昇のリスクになる」として、1時間に1度、理想としては30分に1度くらいは席を立つことを勧めました4)。
食事で気を付けるとよいこととして、大杉先生は「野菜と果物の摂取量を増やす」「食物繊維が多い全粒粉パンや発芽米を食べる」「油はなるべく良質の植物油を使う」「炭水化物をパンやご飯だけでなくナッツ類・ベリー類・豆類・芋類などいろいろなものからとる」など具体的に提案しました。
和食は「小鉢で断続的に食べることで、大皿での食べすぎを防げる」「汁物で満腹感を得られるので全体の食事量を減らせる」「旬の食材を使うことで栄養価の高いものを食べられる」などのメリットがあると説明しました。そして「お米に偏ることを避け、野菜、大豆製品、果物、魚を食べ、牛乳や卵は適度にとる」ようアドバイスしました。
オンライン診療の進展で身近になる糖尿病治療
大杉先生は糖尿病治療の課題として、治療を中断する人や、診断されても治療を始めない人が多いことを問題視。特に50歳未満の就労世代が、体調が悪化していないことや多忙、医療費の経済的負担などを理由に治療から遠ざかっている現状を示しました5)。また、コロナ禍では受診控えが生じ、アボットジャパンの調査では、来院しなくなった糖尿病患者さんの実に43%がその後の治療状態が不明となっていることがわかりました6)。
大杉先生はこの課題を解決する方法としてオンライン診療と糖尿病治療の親和性に着目しているといいます。海外ではデジタルヘルスツールの利用により血糖管理が改善した例が多数報告されているとし、医療のオンライン化が普及することで、「いつでもどこでも“見える”血糖管理で安心が提供できる」「医療従事者と患者の対話を守りながら、通院の負担を軽減し、治療継続をサポートできる」のではないかと期待を寄せました。
寒さが厳しくなる冬は体を動かすのが億劫になってしまう一方で、忘年会やクリスマス、新年会と食事やお酒の量が増えてしまう人が多いのではないでしょうか。糖尿病に限らずさまざまな病気のリスクを低下させるためにも、適度な運動とバランスのよい食事を心がけたいものですね。(QLife編集部)
1)IDF Diabetes Atlas[https://diabetesatlas.org/](2022年11月18日閲覧)
2)厚生労働省:平成28年国民健康・栄養調査結果の概要.
[https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou_7.pdf](2022年11月18日閲覧)
3)厚生労働省:令和元年国民健康・栄養調査結果.
[https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/r1-houkoku_00002.html](2022年11月18日閲覧)
4)van der Ploeg HP et al. : Arch Intern Med 172(6):494-500, 2012.
5)糖尿病予防のための戦略研究 課題2(J-DOIT2)[https://dmic.ncgm.go.jp/medical/130/04.html](2022年11月18日閲覧)
6)アボットジャパン合同会社自主調査「遠隔診療に関するアンケート」(2020年8-9月)765件の医療機関から回収
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