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[ヘルスケアニュース] 2022/11/14[月]

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目を酷使する時代が始まっている


VISI-ONEプロジェクト デモデイ集合写真(参天製薬提供)

 今、世界では少なくとも22億人が目の障害を抱えているといわれています1)。目にまつわる社会課題の解決に向けて、国連をはじめとしたさまざまな機関や企業が取り組みを始めています。

 その1つが「VISI-ONE(ビジワン)プロジェクト」で、参天製薬株式会社と日本ブラインドサッカー協会、インターナショナル・ブラインドフットボール・ファウンデーションの3者がパートナーシップを結び展開しています。2022年10月14日には3者主催で「視覚障がいにかかわる“壁”を溶かす」新規事業アイデアを発表するデモデイを開催しました。

「視覚障がいにかかわる“壁”を溶かす」事業アイデアとは

 新規事業アイデアを発表したのは6社。最先端のテクノロジーを活用しながら、視覚障がい者のQOL(生活の質)を向上させるアイデアを多様な角度から提案しました。


「あしらせ」を装着した靴での歩行(Ashirase、参天製薬提供)

 視覚障がい者が単独歩行する際の安全性を間接的に底上げするデバイス「あしらせ」を開発したのは株式会社Ashirase。「あしらせ」は靴にデバイスを挿入し、音声ではなく振動で行き先を知らせる歩行ナビゲーションサービスです。

 視覚障害のある人は歩行時にルート確認と安全確認の2つに多大な労力を割いています。そのうちルート確認を「あしらせ」がサポートすることで、本人は大切な周囲の安全確認により注力できるようになるのです。

 このほかMR(Mixed Reality;複合現実)技術を活用し、商業施設内などで店舗案内のみならずゴミ箱やトイレの位置などを知らせる音声ガイダンスを提供するシステムや、駅などの点字ブロックにQRコードを設置し目的地まで誘導する音声アプリなどが発表されました。各社の事業アイデアは特設サイトで紹介されています。

狭く見える市場にも、多くの人に役立つサービス・製品のヒントがある

 今回発表された事業アイデアは、視覚障がい者という特定の顧客に向けて検討を開始していますが、その結果生まれたサービスや製品は、外国人観光客や異なる障がいのある人の課題解決に転用できるものも多く見られました。それだけでなく一般市民の生活をサポートしたり豊かにしたりといった活用法も考えられそうです。


MR技術を活用した空間案内は他の市場にも転用可能(GATARI、参天製薬提供)

 デモデイでは特定顧客の課題解決における事業設計のあり方や市場拡大の可能性をテーマにパネルディスカッションも実施しました。登壇したデモデイ事務局の髙倉渉さん(ReGACY Innovation Group株式会社)は、「ターゲットユーザーの数が少なくても、その生活を深く理解することで多くの人の潜在的ニーズにたどり着くという示唆が得られた」とし、狭い市場を深堀りすることが最終的に一般市場での大きな成果につながるのではないかと期待感を示しました。

 また本事業アイデア検討では、視覚障がい者自身が各社にアドバイスしていたことを踏まえ、企画検討の初期から当事者にヒアリングし、一緒につくりあげていく重要性も再確認されました。

 生活で不便を感じることがあるのは障がい者だけではありません。例えば骨折したとき、妊娠したとき、高齢になったとき……。さまざまな状況の困りごとを解決するサービスや製品を生むヒントは、福祉領域など一見小さな市場にあるのかもしれません。(QLife編集部)

1)日本WHO協会:失明と視力障がい
[https://japan-who.or.jp/factsheets/factsheets_type/blindness-and-vision-impairment/](11月8日閲覧)

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