[メタボ撲滅と家族愛のいい関係] 2009/03/31[火]

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QLife会員から「メタボに気をつけるようになって、夫婦仲が良くなった」というメールが届いたことがあります。お互いに声をかけあい、一緒に散歩をして、体をいたわる食事をするうちに、家族の愛が深まったという素敵なお話でした。
確かに、特定健診で「生活習慣を改善しなさい」と言われても、一人で頑張るのは大変です。でも、生活を共にしている家族と一緒ならば、やりやすい。そもそも、家族が健康でないと困るのは家族。本人も「そんなに気をかけてくれるのか」とだんだん嬉しくなってさらに取り組みに熱が入る…というよい循環も期待できます。
「メタボリックシンドローム」が流行語大賞になったのは2006年。言葉自体はあっという間に日本中に広まりましたが、本当の意味を知っている人はどれだけいるでしょう?メタボリックシンドロームの概念普及や撲滅活動で中心的な役割を果たしている、東京逓信病院内科部長の宮崎滋先生にお話をうかがいました。

日本は、体を動かさず生活できるほど便利になってしまった

●「メタボ」を誤解している人は多い
「メタボ」という言葉は、日常会話でも使われるほど浸透してきました。肥満が導く生活習慣病による心臓や脳の血管の障害を知らしめたという意味では、大きな貢献をしたと思います。ただ一方で、誤解も広がってしまいました。

それはメタボが「肥満」の代名詞になってしまったことです。太っている人がメタボとは限りません。人は「みかけ」に目が行きがちですが、オナカが大きい/小さいは、メタボの「入口」に過ぎないのです。本来、血圧は?血糖値は?中性脂肪は?といった健康面にまで、話題を広げて頂きたいのですが。

逆に言うと「ウエストを絞ること=メタボ解消」という勘違いも多いのです。そんな表面的な話ではないんですよ。「食事や運動などの生活習慣を変えることで、健康を目指しましょう」という考え方が重要なのであって、ライフスタイルに着目したところが革命的なのです。

●「メタボに効く」という商品には注意
ところがこれらの誤解を逆手にとって、「脂肪がとれてメタボに効く」などと銘打った商品がたくさんあります。こうした商品で、本当に効果あるものは少ないと思って間違いありません。ほとんどは検証不十分です。

不健康な生活習慣を続けたままでは、何かを食べたり飲んだり、珍しい道具を使っても、メタボは解消できません。「飲むだけで効く」というフレーズに惹かれてしまうのも分かりますが、大事なのはご自身の不健康な生活習慣に気づき、一つひとつ改善していくことです。生活習慣は人それぞれ違います。だから自分の頭で考え、自分のカラダを動かさないと、良い答は出ないのです。

●「メタボ」を理解したうえで「ダイエット」を
メタボが単なるオナカ周りの話でないと理解したうえでなら、ダイエットに取り組むことは、良いことです。「ダイエット」と言うほうが、意欲がわく人も多いですから。でもバナナダイエットなんて方向に走るのは、全く意味が違います。単なる痩身術とは違いますから。あくまで「健康になること」を目指しましょう。

特に無理なダイエットは要注意です。体を壊しがちで、続きません。もともと体重を永遠に減らし続けられるはずはないわけで、一旦減量したら、しばらく「維持する」期間を設定してください。「減らそう、減らそう」とばかり思わず、時々「キープしよう」と発想転換する方が、リバウンドしなくて良いですよ。

●生活習慣の改善は、ツラくない
運動は気軽に始めるのがコツです。昔は「運動療法」というと、さあ運動着に着替えてジムでこの体操を…というイメージがあったと思います。でもメタボ対策では、あくまで日頃の習慣をちょっと改善するだけで効果が期待できます。歩幅を5センチ広げる、なるべく階段を使う、そんなことから始めて下さい。

実は面白いデータがあって、東京の人の方が地方の人よりメタボが少ないのです。この理由を私は、都会は意外に歩く機会もあって、駅など多くの場所に階段があるからではないかと思っています。地方ではクルマをすぐ使ってしまうし、街に階段も少ない。この、わずかな違い、でも毎日の習慣の積み重ねが、メタボ対策につながるのです。ハードルが高いことに挑む必要はありません、「座るより立つ、立つより歩く」発想で気軽に始めてください。

今の日本は、体を動かさずに生活できてしまう便利な社会です。リモコンや携帯電話で歩く機会が減り、機械が家事を手伝ってくれて、買い物も通販で済んでしまいます。意識しないと、どんどん運動不足に、そして不健康な生活習慣へと流されてしまいますよ。

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メタボ撲滅と家族愛のいい関係
 1.ライフスタイル改善は“家族”というチームで ≪
 2.家族での取り組みが「生活習慣」改善の王道
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