会員限定この記事を読むと10pt 進呈!!

新規会員登録(無料) ログイン

[医療人] 2011/03/04[金]

いいね!つぶやくはてなブックマークGooglePlus

大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第105回
馬車道レディスクリニック
池永秀幸先生

子供の頃からの夢だった医師へ

 小学5~6年生の頃から将来は医師になりたいと思っていましたね。小学校の卒業文集にもそう書いた記憶があります。子どもの頃に病院にかかることがよくあったのですが、普通の子は病院を嫌がりますよね。でも僕は病院に行くのが好きだったんですよ。具合が悪いと親のつき添いはなしで、ひとりで行っちゃうほどでした。今、思えばそれが医師になろうと思った理由だと思います。子どもながらに、医師は病気を治してくれる素晴らしい職業だなと思うようになり、めざすようになりました。じつはこの頃、医師だけでなく、将棋が強い叔父の影響もあって、プロの棋士になりたいと本気で思っていたこともありましたね。
 医師をめざしていた当初は、手術をしたかったので外科に興味を持っていました。その後、大学でいろいろと学び経験していく中で、外科的要素と内科的要素の両方を兼ね備えていて、さらに他の科よりも「明るい科」であることから産婦人科医を選びました。なぜ産婦人科が「明るい科」かというと、産婦人科以外の科は、病気や怪我をした人、ようするに健康状態がマイナスな人を、健康な状態、すなわちゼロ(=0)の状態に戻すのが仕事だと思うのです。でも産婦人科というのは、健康でゼロ(=0)な状態の人から新しいものを作り出すという、プラス指向の建設的な科だと思いました。だから産後の病棟の雰囲気はとても明るいですよね。そういったところに魅力を感じました。
 ところが、勤務医として働いているうちに、ただ分娩にかかわるだけでは物足りなくなってきたのです。そこで、子どもができない人に新しい命を作る、不妊治療に目がむくようになりました。ところが不妊治療は、やろうと思ってすぐにできるものではありません。そこで勤務医として15年間勤める中で不妊治療のことを学び、今に至ります。

1日でも1分でも早く答えを出したい

 不妊治療は「妊娠した」という結果を出すということが最重要事項なのですが、残念ながら今のところ100%の結果が出せる治療ではありません。そのため、開業当初から、とにかく患者さんには納得のいく治療を受けていただこうと心がけています。仮に結果が出ないまでも、治療を受けた甲斐がなかったと思われるようなことはないようにしたいと。そして、妊娠しないというストレスを抱えている患者さんが多いわけですから、1日でも1分でも早く結果を出すよう心がけています。
 また、不妊治療は治療自体が難しいものであることはもちろんなのですが、治療の対象者が夫婦またはカップルのふたりであるというところにも難しさがあります。それは、一般的な病気や怪我であれば本人だけを治療すればいいのですが、不妊治療の場合は、女性だけではなく男性も診る必要があるから。しかし、女性と男性では妊娠に対する考え方がまったく異なるため、最初はなかなか理解してもらえない。さらに、診察に来る関係上、女性のほうが妊娠や不妊に関する知識も高い。こうした男女による考え方の違いや知識差も、治療のさまたげになることがままあるのです。
 不妊治療で結果を出すためには、ふたりの気持ちをひとつにすることも大切な条件のひとつです。ですから日々、男女の妊娠に関する考え方や知識のギャップが埋まるよう啓発はしています。また、個別相談会や月に1回行っている不妊学級にも原則ふたりで参加していただくようにすることで、男性にも妊娠のメカニズムや治療の内容を理解していただきます。このように、男女のさまざまなギャップを埋めてはじめて、今後どのように治療すべきかを、ふたりでよく相談して考えてくださいと提案できるのです。こうしたさまざまな試みは、確実に結果を出すためにはもちろん、治療を円滑に進めていくため、納得した治療を受けていただくためにも、非常に重要なことであると思っています。

仕事が趣味ですが、たまに気晴らしも

 1日に10時間以上働いて、休みは火曜と祝日、そして盆と暮れ。よく家族などから休みが少ないといわれることもありますが、勤務医だった頃から週1回しか休みはありませんでしたし、仕事が趣味みたいなものなので、休みが少なくても苦にはならないですね。そのため、趣味らしい趣味はないのですが、仕事がないときはパソコンに入っている将棋や碁、マージャンなどのゲームを相手に指して気分転換をしています。子どもの頃にプロの棋士にもなりたかったという話をしましたが、昔から考えたり、先を読んだりする類のゲームなどが好きなんですよね。また、滅多に行かれませんが、カラオケに行くこともあります。妻とよく話をしたり、数ヶ月に1回ほどですが、家族で外食をすることも気分転換になりますね。
 実際に勤務医をしていたときは、月に20日間近く当直していました。大げさにいうと家に帰るのは10日間で、休みの日以外は当直。その当時、まだ小さかった娘は、病院が私の家だと思っていたくらいですから。ところが開業して、仕事は朝早くから夜遅くまでですが、当直がないから一定の時間には家に帰れています。それに週に1回は確実に休むことができています。そういう意味でも開業してからのほうが身体はラクですし、生活自体も非常に規則正しくなりましたね。

人は人のために貢献していると思えた時、生きがいを感じる


患者さんからの質問や要望、アンケート結果などはデータ化されており、患者さんも待合室で閲覧することができる。

 私は、65歳くらいまで医師としてやっていかれればいいかなと思っていたのですが、先日、お会いした先生が、70歳になった今でも現役の医師として活躍されていました。実際に非常にお元気で頭もしっかりされていて、そういう方とお会いしてみて、70歳くらいまでできるのかもと思うようになりましたね。それに仕事が趣味みたいなものですから、65歳までと決めつけるのではなく、自分の身体が可能な限り、続けていきたいなと思いました。
 私が開業した頃に比べると、不妊治療は今、非常に進歩して、かなりの高い確率で結果が出せるようになってきました。ただし、先ほども申し上げたように100%結果が出せる治療ではありません。だから今後は、その成功率を100%近くまで上げていきたいと思っています。昨今の少子化問題により、なかなか子どもを生まない人が増えている反面、子どもが欲しくてもできないという方もたくさんいます。そういう方に、自分の仕事を生かして子どもができるようにしてあげていくことは少子化対策に繋がり、社会貢献にもなるんじゃないかなと思っています。だからこそ、つねに患者さんの要望にはできる限り応えていきたいですし、仕事をますます極めていくことで、より多くの人が妊娠できる状況を作り上げたいなと思っています。

取材・文/酒井久美子(Kumiko Sakai)
出版社、編集プロダクション勤務を経て、フリーランスのライターに。新聞社や出版社の各種雑誌や書籍、ウェブサイトの企画編集、執筆や取材などを行う。

馬車道レディスクリニック

医院ホームページ:http://www.bashamichi-lc.com/

写真左: 馬車道駅、関内駅からすぐというアクセスのよい立地。
写真中央:広々とした待合室でゆったりと待つことができる。
写真右:診療が終わると同時にラインで医事コンピューターに送られ、会計で待つことがない。
詳しくは、医院ホームページから。

診療科目

産婦人科(不妊専門クリニック)、泌尿器科(男性不妊)

池永秀幸(いけなが・ひでゆき)院長略歴
1986年 東邦大学医学部卒業
同年 東邦大学大森病院第1産婦人科入局
2001年 馬車道レディスクリニック開業


■所属学会
日本産科婦人科学会認定医、日本生殖医学会会員、日本受精着床学会会員、日本哺乳動物卵子学会会員、日本IVF学会評議員


記事を読んでポイント獲得!

10pt 進呈!!

この記事を読んで
簡単なアンケートに回答すると、
"Amaoznギフト券に交換できる"
QLifeポイントを獲得できます!

おすすめの記事

この記事を読んだ人は他にこんな記事も読んでいます。
記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。