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[クリニックインタビュー] 2011/09/16[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第122回
おかだ皮フ科クリニック
岡田裕之院長

人と向き合う仕事がしたくて皮膚科医に

 父が歯科医だったため、「いずれ医師になるのかな」という漠然とした思いは、子どものころからありました。人と話したり、人間の内面を見つめることに興味があり、人と接する仕事がしたいという気持ちがあって、父方、母方とも親戚に教師が多かったこともあり、教師になりたいと考えたこともありました。
 高校生のころ、父のあとを継いで歯科医になることも考えましたが、もう少し幅広くさまざまなことを学び、人間をトータルで見て行きたいという気持ちがあり、医師になろうと決めて医学部を受験。勉強しながらいろいろ考えた結果、皮膚科を選びました。小さいときから絵を見ることが好きで、形態から入っていくというか、目で見てすぐ診断がつけられるところに魅かれたのだと思います。子どもが好きなこと、自分も小さいときに皮膚科に掛かっていたことなどもあり、皮膚科なら、子どもたちの元気をサポートしていく仕事ができるかな、という気持ちもありましたね。

患者さんが納得できるまで時間をかけて治療を

子どものお楽しみボックス

 開業して9年になりますが、クリニックには夏場で1日150人、冬場でも1日100人ぐらい、お子さんからご高齢の方まで幅広い年齢層の患者さんがいらっしゃいます。駅からすぐという場所柄、若い女性やサラリーマンの方も多いですね。
 「受診してくださったすべての患者さんに笑顔で帰っていただく。」というモットーがあるので、病気や治療の説明はていねいにすることを心がけています。「こういう所見があるからこういう診断になって、ベストな治療は私はこう考えています」と、自分の考えも含めて、スキップすることなく順序だててすべてお話しするようにしています。そうすることで、患者さんにも「自分が今どういう状態で、どうしてこういう治療が必要なのか」を理解していただけると思うのです。
 こちらが話すことより、相手の訴えを聞くことの方がむしろ重要だと考えています。患者さんは病気に対して多くの不安を抱いているので、じっくり話を聞くようにしています。きちっと診断をつけることも大事ですが、患者さんに、ご自身が抱えている不安を「全部出せた」と感じ、安心してもらえたらいいですね。
 また、お子さんにはとくに、肌に直接ふれて診察したり、薬をぬったりとスキンシップすることも大切にしています。皮膚科の患者さんは、自分の肌に対してコンプレックスを持ったり、人に「きたない」と思われているんじゃないかという不安を抱えていることもあります。ていねいに肌にふれて診察することで、「ちゃんとみてもらえているんだな」とか「人として接してくれているんだな」と感じてもらえたら嬉しいです。
 小さいお子さんを持つお母さんは、薬に対しての不安が強い方もいらっしゃいます。ですから、副作用などについてもきちんとお話しして、副作用と効果のバランスについてお伝えしています。「こういう副作用が起こるかもしれないけれど、薬を使わないともっと肌の状態が悪くなってしまいます」と、副作用のことは認識しつつも、使うメリットのほうが大きいことを科学的根拠に基づいて説明すると、ほとんどの方が納得してくださいます。
 ただ、それでも納得していただけないこともあります。そういう場合は別の治療法を選択し、治療を続けるなかで少しずつ患者さんの認識が変わり、最終的には納得してもらえる治療ができることもあります。患者さんにも考えがありますから、医師の一方的な押し付けの治療はけっしてうまくいかないと思うのです。患者さん自身が納得して、自分から治そう、治療しようという気持ちになって初めて継続できるものだと思うので。ですから、少し時間がかかっても、ていねいに向きあって、患者さんと信頼関係を築いていくことが何より大切だと考えています。

スタッフやほかの医師との信頼関係も大切

 患者さんとだけでなく、クリニックのスタッフやほかの病院の先生たちと信頼関係を築くことも忘れてはならないこと。クリニック内の雰囲気は患者さんにも伝わりますし、いくら私が誠実でていねいな診察を心がけても、たとえば受付の人が無愛想だったりしたら患者さんに不快感を与えてしまいます。患者さんに気持ちよく診察を受けていただくためには、スタッフ同士が気持ちよく仕事できることが必要だと思います。
 クリニックを支えているのは私だけではありません。スタッフがいてくれて初めて、質の高い医療を患者さんに提供できると思うので、コミュニケーションを密にしてスタッフが働きやすい環境を整えられるよう心がけているつもりです。こまめにミーティングをおこない、さまざまな意見を出し合っています。スタッフからも、患者さんが困っていることへの対処法や、どうすればより快適な環境で患者さんに治療を受けていただけるかなどについて、さまざまな意見が出るので、どんどん取り入れるようにしています。
 とても多くの患者さんがいらっしゃるので、厳しいご意見をいただくこともありますし、自分の力が及ばず患者さんに笑顔で帰っていただけないこともあって、そういう時は自分が力不足を感じます。でも、そういう思いをあまり長く引きずりすぎてもよくないと思うので、しっかり落ち込んで、しっかり考えたら、その失敗を次へのステップにできるよう、気持ちを切り替えることにしています。

仕事のために、休日は仕事を忘れる

 気持ちを切り替えるためにも、休日にはいっとき仕事のことを忘れて、自分が楽しめることをしています。仕事をがんばるためには、自分を喜ばせる時間も大切だと思うのです。体を動かすことが好きなので、自転車に乗ったり、ジムに行ったり、落語とジャズも好きなので、寄席やライブハウスにもよく行きます。とくに落語は、プロの噺家さんの話術にはついつい引き込まれますし、人間の本質を突くような内容もあって、いかに相手の心を開くかというような診療のテクニックを学ぶ意味でもとても勉強になります。それに、笑うと明るい気持ちになり、健康にもいいと思いますね。
 自転車で最近よく行くのは、葛西臨海公園。ここ(赤羽)から距離にすると50kmぐらい、ロードバイクなら2時間強で着きます。自転車で走って、公園で海の風を感じて、帰ってくる。そういう時間でリフレッシュできて、また仕事をがんばろうという気持ちになれるので、オンとオフ、メリハリのある生活が心身の健康の秘訣といえそうです。
 この仕事をしていてよかったと思うのは、月並みですが、患者さんに「先生にみてもらってよかった」と笑顔で言っていただけること。また、小さいときからみてきたお子さんがどんどん大きくなっていく様子、成長がみられるのも嬉しいですね。
 これからのことについては、新しい技術や最先端の治療方法を導入しようということはあまり考えていません。地域の方々とのつながりを大切にしながら、そばにあって気軽に寄れる、患者さんにとって「かゆいところに手が届く」まごの手みたいな診療所でありたいなと考えています。患者さんに「あのクリニックにいくと元気になるんだよ」とか、「あそこに通ってるの? いい病院に行ってるね」と言っていただけるクリニックを目指して、きめ細やかで質の高い医療を追求していくつもりです。

取材・文/出村真理子(Demura Mariko)
フリーライター。主に医療・健康、妊娠・出産、育児・教育関連の雑誌、書籍、ウェブサイト等において取材、記事作成をおこなっている。ほかに、住宅・リフォーム、ビジネス関連の取材・執筆も。

おかだ皮フ科クリニック

医院ホームページ:http://www.okada-hifuka.com/

JR「赤羽」駅より徒歩1分。待合室には子どもたちのために絵本やおもちゃも用意されている、アットホームな雰囲気のクリニックです。
詳しくは、医院ホームページから。

診療科目

皮膚科、アレルギー科

岡田裕之(おかだ・ひろゆき)院長略歴
1990年 岩手医科大学医学部卒業 帝京大学医学部皮膚科入局
1993年 国家公務員等共済組合虎ノ門病院皮膚科医員
1994年 帝京大学皮膚科助手
1996年 ヘブロン会大宮中央総合病院皮膚科医長
1997年 帝京大学医学部皮膚科助手・医局長
2002年 おかだ皮フ科クリニック開設


■資格・所属学会他
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本皮膚科学会、日本皮膚外科学会、日本皮膚悪性腫瘍学会、日本医真菌学会


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