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[クリニックインタビュー] 2009/04/03[金]

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大学病院が医療の最先端とは限りません。患者のこと、地域のことを第一に考えながら、独自の工夫で医療の最前線に取り組んでいる開業医もたくさんいます。そんなお医者さん達の、診療現場、開業秘話、人生観、休日の過ごし方、夢などを、教えてもらいました。

第14回
池ノ上産婦人科
千代倉由子院長

常に女性の味方でありたい

 「産婦人科は男性医師の方が圧倒的に多い」。それが当たり前だった時代に、私は医学生になりました。いまでは女医も増えましたが、当時は9割前後が男性という状況。
 自分が女性なので、産婦人科にかかる女性の不安や恥ずかしさ、また困惑などの心理的負担については痛いほど想像できました。だから自分が産婦人科医になることで、「女医にかかりたい」と思う方の選択肢を増やす助けになれたらいいと考え、産婦人科の道を選んだんです。
大学卒業後は徹底的に学ぶつもりで大学院まで進み、その後、周産期医療センターや日赤医療センターでの勤務を経て、ここ池ノ上で臨床に携わっています。医療技術は日進月歩で進化していますから、患者さんにとって常に最適な治療を選択できるよう、勉強は日々欠かせません。

相手の立場で考える

 産婦人科の対象となる方に共通するのは、子宮がんでもPMSでも、とにかく精神的なダメージを受けやすいこと。中絶手術や不妊症治療を受ける女性において、それらは特に顕著になります。だから私はいつも、「私が彼女の立場だったらどう感じて、どう行動するだろうか」というのを細かく考え、相手の立場において最も望ましい治療ができるよう、ヒアリングを丁寧に行うようにしています。ライフスタイルや来院までの経緯などを伺い、その後の人生がよりよくなるようお手伝いをしていくつもりで、それぞれの患者さんの治療に取り組んでいます。

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4D超音波検査では、リアルな胎児画像が映し出されて待ち遠しさも募る

 いろいろな人生模様の中で、さまざまな治療を経て、「ありがとう」と言っていただけた時には、その言葉の重みに泣きそうになりますね。痛い思い、つらい経験を経て、そして「ありがとう」と口にしてくれたんだろうと考えると、お気持ちを想像するだけで胸が詰まります。
 産婦人科はその特性上、人の人生と人生が交錯する場。新たな命を育む場であると同時に、反対の選択肢も存在する場です。私は常に女性の味方として、どんな場合でも患者さんに「あなたは正しい選択をしたんですよ」と確信をもって伝えながら、一緒に歩んでいきたいと考えています。
 ひとりでも多くの女性に「よかった」と思える治療をしていくこと。毎日出会うすべての患者さんにとって、それぞれに最適の治療をしていくこと。それには患者さんときちんと向き合うことが必要です。圧迫感のない治療を心がけていますが、でも相手に圧迫感を与えないことって、医者としてというより人としての基本ですよね(笑)。

患者さんの不安を減らすために

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胎内をイメージしたモザイク壁画

 当院には外国人の患者さんも多くいらっしゃいますが、異国の地で産婦人科にかかる不安は半端なものではないでしょう。そんな時にもできるだけのことはしたいと考え、私はなるべくたくさんの国の言葉で、かんたんな挨拶やねぎらいを言えるように勉強しています。外国滞在中にかかった医者が、自国の言葉をちょこっとしゃべったら、なんとなく嬉しかったり、気が楽になったりすると思いませんか。
 本で勉強することもありますが、患者さんに直接教えていただくことも多いですね。もともと言語の勉強は好きな方なので、新しい言葉であいさつを覚えるのは楽しいです。
 あと、日本人でも外国人でも、しっかり眼を見て話すことは大切にしています。眼を見るとだいたい、「不安でいっぱいなんだな」とか「検査結果を信じてないな」というのがわかりますから、じっくりお話しする時間を取ったり、セカンドオピニオンをもらいに別の病院に行くことをお勧めしてみたり、結構はっきり伝えています。
 基本となるのは「自分が彼女の立場だったら」という考え方。産婦人科にかかることになったそもそもの経緯も含め、幸せな人生に転換していくためのポイントにしてもらえたらそれに越したことはありません。

いちばん好きなことは”診察”

 自分の健康管理においては、黄体ホルモンの分泌に合わせ、食事の量やバランスを調節するよう心がけています。食欲は生理周期によって変わるものなので、食欲の多い時期には低カロリーのものをたくさん摂取したり、散歩で気分転換を図ったりすることも大切です。
 散歩では近所を手ぶらで歩いたり、渋谷あたりのカフェに入ってなにも考えずにぼーっと過ごしたりします。だから「趣味は散歩とカフェめぐり」と言いたいところですが、実は私、診察がいちばん好きなんです。だって、ほんとうに色んな方と出会えるんですよ。似たような状況でも新しい考え方に触れることがしょっちゅうありますから、「ああ、そんな考え方もこの世にはあるんだ」と気づかされることが少なくありません。人間の面白みとか深みというのに日々触れることができる仕事なので、診察の時間は大切にしていますし、苦に感じたことは一度もありません。むしろ気分転換にさえなります。
 不妊症の治療のように長期にわたる取り組みを行う際は、ご本人もこちらもプレッシャーを少なからず感じています。でも、そんな時はつらい時期を一緒に乗り越えた患者さんのことを思い出し、彼女たちの存在を励みと誇りにして、目の前の患者さんの治療に取りかかっていくようにしています。毎日出会う患者さんが、納得できて満足できる診療を、今後も続けていきたいですね。

取材・文/戸谷妃湖(とたに ひこ)
広告代理店のコピーライターを経て、現在フリーライターとしてロンドン・北京・東京の三都市を基点に活動。被虐待児童におけるトラウマティック・ストレス学、および漢方による精神疾患アプローチに関する研究をライフワークにしている。

池ノ上産婦人科

医院ホームページ:http://www.sanfujin.com/

小田急線・京王井の頭線「下北沢」駅から徒歩5分・京王井の頭線「池ノ上」駅から徒歩3分。
井の頭線の電車から見える、線路沿いのわかりやすい立地。先進医療機関と連携しているため、いつでも紹介先で高度医療を受けられるという安心感を患者さんには与えている

診療科目

産婦人科
*婦人科:一般検診・中絶手術・不妊症治療・乳房検査などのがん検査・STD(性病)検査・ピル処方・肥満外来・更年期障害 など
*産科:胎児診断・4D超音波検査 など
※英語での対応可能
※中絶手術・4D超音波検査・医療レーザー脱毛は要予約
※各種保険取扱

千代倉由子(ゆうこ)院長略歴
千代倉由子(ゆうこ)院長
東邦大学医学部大学院卒業

■所属ほか
日本産婦人科学会・日本産業医学会・日本医師会認定スポーツ医学会・日本抗加齢学会会員

■資格・取り組み
母体保護法指定医・日本産婦人科学会認定医・日本産婦人科学会産業医・日本医師会認定健康スポーツ医・健康測定専門医(THP)として働く女性の心身の健康指導推進



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